銀杏並木のある大学で
今日みた、夢の話をしよう、、、
最近越してきた、この新しい家から微かに匂う木の匂いを感じながらふと、目が覚めた。
喉の渇きを癒すためにキッチンに向かう途中、別の部屋から漏れる灯りに気づく。
数センチ空いていた、部屋の扉を覗くと真剣な顔をして机に向かっている君が見えた。
今日みた、夢は君と出逢った頃だった。
あの頃も、僕が寝ていると君は机に向かっていることが多かった気がする、、、、
「おはようございます。もう朝ですよ」
朝日が差し込む窓の反対側から声がする。
「カーテンは今日買いに行かないといけないですね。」
マグカップを二つ手に持っている君が言う。
側からはコーヒーの匂いが漂う。
「今日は、この辺を案内して欲しいです。」
部屋の真ん中にある、小さな卓の上にマグカップを置き、口を付けながら今日の予定を告げられた。
覚醒しきっていない頭が考えながら、今日の予定を了承し僕もコーヒーに口をつける。
「入学式までに、部屋の片付けだったり、」
一口、二口とコーヒーを飲みながらだんだんと寝ぼけていた頭が覚醒をしていく。
「必要なものを買ったり、この辺のことを知りたいです。」
そんなこと言う君は、笑顔で僕に話し続ける。
「朝ごはんどうしましょうか?この家にはまだ冷蔵庫がないので食べ物はありません。」
それは、美味しいお店を紹介しろという催促と受け取り出かける準備を促した。
春の陽気は、朝一番にはなく少し肌寒い。
時計を見ると8時を廻った所。
行きつけの地元の喫茶店に歩を進めるなかで色々な情報を得ることができた。
「地元は、此処より寒いです。」
「海が近くて、風が強い」
など、、、
地元出身の僕には見慣れた、少し小洒落た喫茶店の前に着くと、
「こんなお洒落なところで朝食ですか!」
なんて素っ頓狂な事を聞きながら
お洒落じゃなくて、古いだけと否定をして重い扉を開いた。
「いらっしゃい」
古びたカウンターの奥からいつもマスターの声が聞こえる。
手前の常連客の後ろを抜けて、足早に指定席である窓際のボックス席に腰を落として君を待った
「坊っちゃんが女の子連れてきてる」
常連の一人からそんな声が聞こえたが無視をした。
と思ったが、、、、
「はじめまして」
君が挨拶なんてするからつけあがる。
会話は、聞こえない。
うんざりするほど、微妙に聞こえない音量だ。
「はい!彼女です。」
素直な君の声だけが聞こえてきた、またうんざりをしてしまった。
敢えて聞こえないように、ポケットからスマートフォンを取り出して画面に集中をする。
いつものニュースサイトやTwitterを確認する。
ん、なんか長いな。体感時間でそう感じた頃、実際は数分なのだろうが君を確認してすると、困った顔でこちらを見ていた。
助け舟は、まあいらないかと一瞬思ったが、、、
なんとか常連から引き剥がして二人で席についた。
「ありがとう!坊っちゃん」
そんな悪気のない声を聞いて表情が固まってしまった。
「あそこのおばさまがそう呼んでたから」
悪びれもなく小悪魔的な、笑みを浮かべる。
「だって、まだ私はあなたのお名前を知りません。」
その言葉で我にかえったと同時に名乗った覚えがない事を思い出した。
「」
自分の名前を聞いて、再び笑顔を見ることができた。
「私は、、、、」
君が発すると同時に被せて呼ぶ。
「はじめての呼び捨てだね」
その言葉と同時に耳が昂揚するのがわかる。
それは、君も同じだったけど、
、、、、、、、、、、、、、、、、、、
不意にこちらを向いた君と目が合った。
「ああ、ごめん。起こした?」
否定の言葉を言いつつ、ドアをあけると
「資格の試験が近くいんだ」
「コーヒーでも入れようか」
立ち上がりながらこちらに向かって声がかかる。
いつものパジャマに、家では眼鏡をかけている。
腰まである髪は、一つに無造作にまとめてある。
ドアの対面の壁に掛かった時計は1時過ぎを指していた。
リビングのテーブルには二つのマグカップが並んでいる。
コーヒーを淹れるのはいつも僕の仕事だ。
二人で初めて飲んだ時と同じマグカップ。
「やっぱりエドワードのコーヒーには敵わないね」
そんな悪態をつきながら常連の小洒落た喫茶店を褒めるきみは、
「資格試験はやっぱり憂鬱だね。」
いつもの冗談まじりでそう呟く。
「ねぇ、初めてエドワードに行った時のこと覚えてる。坊っちゃん」
あの時と同じ小悪魔的じみた笑顔で問いかけられた。
うんざりした顔でコーヒーに口をつける。
君はまた、机に向い、僕はベッドに戻り、天井を見つめる。
先程の質問の答えは、もちろん僕は、
、、、、、、、、、、、、、、、、、




