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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

キトリ

『キトリ』

作者: びたみんC

 初夏の熱い季節。

 梅雨は過ぎ去り雨の鬱陶しさは無くなりつつも、ジメジメとした肌に着く感触が不快の極みであった。


「くぁ~あっちぃ!もうちっと本数増やしてくれないかね」


 俺の名前は端辺 透吾(はしべ とうご)

 田舎に暮らして少し離れた都市部の高校に通う学生だ。


 ここは緑豊かな山々に囲まれた場所で、コンビニはおろかスーパーなども無く買い物にも苦労するような場所。


 俺が今居る駅のローカル鉄道が唯一の交通手段であり、朝の通学のために待っているのだ。

 その交通手段も2時間に一本。しかも急行は通過するため、昼から夕方には一本も止まらない。


 普段からこの駅で待つのは俺一人であり、高校一年の間は誰とも出会ったことがなかった。


 ガタンゴトン・・・


 遠くから車輪が継目を叩く音が聞こえて来る。

 やがて列車が駅に近づいてくるとディーゼルの心地よい低音を響かせながら車両は所定の位置に停車した。


 プシューと言う音共に空気が抜けて重い扉が開かれ、俺は人の少ない車内へと足を踏み入れる。


 車内に入り空いている席に着くと、屋根についた扇風機から囁やかな清涼が送られてくる。


 この非電化のローカル線も駅単体で見ては廃線必至だが、都市部から都市部を繋ぐ線区としては非常に重要な位置づけとして活きている。


 故に一両しか停められないこの駅に、ディーゼル音を唸らせながら6両の特急が高速通過することもある。


 列車の進来を知らせるアナウスなどはなく、居ないだろうがホームに居た人はあまり経験したこともない風圧と恐怖に見舞われる。



 そんな片田舎の風景が早々と過ぎ去り、トンネルを抜け三十分ほど列車が走り都市部の駅へと到着する。


 そこでは人が賑わい、とても同じ県とは思えない光景であった。


 高校に着いて正門を通り過ぎ教室に入るが、まだあまり生徒が来ていない。

 本を読みながら暫く時間を潰していると、後ろからバンッと背中を叩かれた。


「っはよ!今日も暑いなー」


「おう、毎日嫌になるぜ」


 こいつは高校からの友人で、入学早々に後ろの席から声をかけて来た奴だ。


 名前は智男(とみお)。皆は親しみを込めてトミーと呼んでいる。

 明るい性格で誰とでも親しくなってしまう一種の才能みたいなものを持っている。


 ホームルームまで昨日のバラエティ番組について、あれこれトミーと話しながら時間が過ぎて行った。



 午後には日差しの照りが厳しくなる中、部活動に励む生徒で校内は賑わいを見せている。


 俺は列車を一本逃すと最終の20時まで無くなってしまう為、残念ながら帰宅部となっていた。

 なんせ父の設定した門限が19時なのだから、部活をしていては間に合わない。


 特にスポーツでプロを目指した訳ではないが、やはり友達と部活を楽しみたいのもあり、言い争いになった事もある。


 山の日没は早いもので、平野部の日没が19時だと18時には日が山に隠れてしまう。

 俺はいつも17時には駅に着く列車に乗っていた。


 村の家は旧家で隣の家まで100m以上離れている。しかも近所全てが同じ苗字である為、屋号や名前で呼び合うのが慣例となっていた。


「トウゴか~?おけぇり(お帰り)。後でおとっつぁんにトウモロコシ持っていくって言っといてさぁ」


「たはぁ、分かったよジロさん。あるって(歩いて)くけどいいだっぺ?」


世話ねぇ(良いよ)。こっちかたしたら(片付けたら)いく」


 近隣で蚕屋のお爺さんがトウモロコシを持って来てくれるとの事。これはうちで取れるキュウリやナスなどを用意しておく必要がある。


 つまり物々交換の様な風習だ。

 強制はないが、何となくこんなやり取りが当たり前に存在する世界。


 因みに屋号は今現在の職と関係なく、先祖が使ってそのままの場合が多い。

 したがって他所から来た者は、屋号と職業が合わず不思議に思う事が多い。


 その日の晩は蚕屋のジロさんが来て、遅くまで酒を飲んでいた。

 俺は寝ると言って先に部屋に戻ったが、酒席の声が煩くて寝付けないでいた。


「とっつぁん、そろそろ時間だっぺ?」


「はぁジロちゃん止まった方がいいんじゃ?」


「列車さ()ないかい?」


 何やら最終列車が駅を過ぎたか気にしているようだった。時刻は22時過ぎで急行が隣町へと向かう最終として通過したはずだ。


「いんや、カミさん待ってるし今日はけぇるんべ」


「おめぇかなり飲んで・・・」


 それを聞いて俺は眠れない布団から出ると、酔った蚕屋を送っていくと言った。


「俺が送ってくさぁ」


 突然部屋から出てきた二人はボケっとした表情で見上げてきた。

 二人ともかなり飲んでやがるな。


「んじゃあれ持ってけ」


 酔っぱらった父が奥の仏間へと入り、何かを漁る音がしたと思うと一つ木箱を持ってきた。


「母さんちと心配で、はぁ無くならないと思うけぇ」


「良いわよ。トウゴはこれを肌身離さず持っているのよ」


 両親に言われて木箱を半ば強制的に押しつけられた。これが何なのか聞くと《キトリ》と言う名前だけで中身は教えてくれなかった。


 《キトリ》とは《木取り》。

 この山神様から授かった木でできた器だからこの名前だと言うこと。

 よくある迷信ちっくな物だなと思い、蚕屋のジロさんを家まで送り届けることになった。


 ジロさんの家までは300mくらいの距離だが、問題は田舎特有の暗さにある。

 街灯など存在せず道は舗装されているが、舗装道路から家までは農道のような曲がりくねった砂利道を進む必要がある。


 懐中電灯で道を照らして、ゆっくりとジロさんの家近くまで来ることができた。


 道中ジロさんが農業用水路(小)に片足を突っ込んで「気持ちいんなぁ、おめぇも入るんべ!」とか言って用水路に足を突っ込まされた。


 無事家まで送り届けて、奥様には物凄くお礼をされてしまった。

 暗いとはいえ遠くはないしそれは過剰では?と思いながら踵を返し帰ろうとした。


「駅は見てぇきんな?」


 なに?

 奥様は駅は見てくるなと言った。


 そう言えばジロさんと父も駅がどうのと言っていた。家に向かう方角では気にしない限り見る事はない。


世話ないです(大丈夫です)なっから気をつけて(凄く気をつけて)けぇります(帰ります)


 それだけ聞いてニコリとすると、家の中へと戻っていった。


 俺も懐中電灯の明かりを頼りに帰路へとついた。

 足を突っ込んだ用水路に差し掛かった所で、靴がびしょ濡れな事に今更ながら思い出された。


「ジロさん何が気持ちいいだよ。確かに水は冷たいけどさ」


 そんな事を思いつつ用水路の方を見た。すると山の途中で何かが淡く光っていた。

 あの辺りは家がなく明かりと言える物は無かったはずだが、俺はそれが気になって見ていると、やがて光は輝きを失って普段の暗闇へと戻った。


「何なんだか。まぁ車でも通ったんだろ」


 山道は真っ直ぐではないため、遠くから見るとライトの明かりが見えたり見えなかったりする。


『べ』


 何かが聞こえた気がしたが、一瞬だったのでよく分からなかった。

 家に行くための砂利道に入るため、舗装路から外れて坂道を登り始めた。


 そこで背後に何かを感じて振り向き、来た道を照らしたが、誰もおらずカエルの鳴き声だけが木霊していた。


「何やってんだか」


 前を向いて足元の悪い道を再度照らした時、白い何かが目に入った。


 それは女性物の着物の裾のようであった。


 こんな時間に明かりを灯さずいるのはおかしいし、先ほどは誰も居なかった。

 考えれば考えるほど、恐怖に駆られて身動きが取れなくなる。


『つめたいかい?』


 なに?冷たい?

 言われて俺は用水路に突っ込んだ足の事だと思った。


 確かに初夏とは言え用水路の水は山から来るので冷たく、外は都市部と違って日が落ちれば涼しくなる。

 だが、明かりを照らしても濡れているのが分かるとは思えない。


「世話ねぇ。とべ(はしれ)ばいいっぺ」


 あまり濡れてないから走って帰れば問題ない。という事で恐怖心を押し込めて走り出した。


 後ろは振り返れなかった。


 ただ無心に前だけを突き進むが、歩き慣れた砂利道に何故か苦戦する。

 暗がりだからか、やたらと足に引っかかるものを感じる。


 やっとの思いで家に着くと玄関を開けて中へと入り、後ろ手で扉を閉めた。


「今けえった。はぁジロさん家までは届けたけぇ」


 バタバタと音がして母が出迎えてくれた。

 少しホッとした表情をしているようだが、今あった事を言うべきか悩んでやめた。


「おっかぁこれ。あまり役立たなかったみたい」


 お守りとは一体何なのか小一時間問い詰めたい。

 そして《キトリ》をポケットから取り出し母に渡そうとした瞬間、母の表情が困惑の表情へと移り変わる。


「駅を見たんかい?」


 冷や汗がブワっと額に湧き上がる。帰路の舗装路から用水路方面は駅の方角だった。


「世話ねぇ。ちと見てぇ、はぁなっからとんだんべ」


 母は何も言わずにただ俺を見た。

 いや、正確には手元の《キトリ》を見ている。


「それは持っていなさい」


 急に変わる母の態度に怪訝な顔をして箱を見ると、黒い紐筋のような物が見えた。


(こんなんあったか?)


 そう思ってポケットにしまうと自分の部屋へと向かい、よく分からないままその日は就寝した。



 翌朝、いつもの様に目が覚める。

 カーテンを開けると農作業に勤しむ村民が畑や田んぼに勤しみ、それはいつもと変わらない村の風景だった。


 1階へと降りて朝食を摂るが、特別変わったこともなく両親もいつも通りの感じで過ごしていた。

 家を出て駅に向かう中で、昨日のことが脳裏に浮かぶ。


 徐々に近づく駅。

 いつもと何も変わらない。


 そう言い聞かせて、改札もない小さな駅舎を過ぎて恐る恐るホームへと出た。


 誰も居ない。


まぁず(マジで)驚かせて(ビビらせやがって)


 そのままいつもの様に列車に乗って高校へと向かう。

 俺は考えすぎなんだ。あれは夜も遅かったから気のせいだ。



 何事もなく学校の自席について本を読み紛らわせていく。

 そしてやがて生徒が集まってくると、いつものように声をかけられた。


「よう、どうした?顔色悪いな」


「んぁ?何もないけど」


 昨晩はテレビも観ていないので、特に話のネタもなくジロさんを送り届けた話をした。


 少し冗談のようにあの事も含めてだ。


「田舎だからなぁ、不思議な事もあるもんだ」


 そんな当たり前の日常が過ぎ去り、7月も半ば過ぎになろうとしていた頃。

 あの後は特に何もなく、俺自身も忘れていたんだ。


 そして訪れる学生の年内最大イベント、そう夏休みだ。


「なぁトウゴ!夏休みにお前の家に遊び行っていいか?」


 なんだって?


 小中とあまり人数の多くない分校に通っていたため、これは嬉しい申し出であり断る理由もなかった。


「あぁ、是非来てくれ!」



 そして訪れた7月末日、俺は駅のホームで人を待っていた。

 ここには自分が乗り降りする以外に用事はなかったため、人を待つことがこんなにワクワクとは知らなかった。


 ドゥルルルルルーープシュー!!


 ディーゼル音を響かせながら一両編成の列車がドアの開き、そこで現れる友人を笑顔で迎えようとした。


 ・・・が、出てこない。


 おかしい。

 そう思っていると違うドアから現れた。


「二つしかないドアで外すか?」


「はぁ、しゃぁないんべ」


「??」


「わり、仕方がないって」


 俺は学校で方言が出ないように気を付けている。

 夏休みで村民としか話してなかったので、間違ってしまったのだ。


「てっきり方言は無いのかと思ってたよ」


 そんな俺の意外な一面を発見したトミーはどこか嬉しそうだった。


 山々に囲まれたこの自然豊かな村も気に入ってくれたようで、トミーはあっちこっちを見ては嬉々として玩具を見つけた子供のように喜んでいた。


「この坂の上がうちだよ。ちっとキツイから気をつけてな」


「すげぇ、なんていうか木があるのに村が見通せるな」


 都市部から来る人間は皆そう思うだろう。

 駅周辺は庭などないのが当たり前だし、窓から手を伸ばせば隣の家についてしまう。


 そういう気の滅入る生活はあまり好かなかった。


 家についた俺は、網戸を開けて中に入るように促すとトミーは眉を吊り上げて言った。


「えっ?玄関閉めないの?」


「風が通らないだろ?トカゲ、昆虫やら蜘蛛が入ると面倒だから網戸はしめるけどな。たまにネコとか入ってくるぞ」


 トミーにとっては想像を絶する世界であったが、逆に好奇心をくすぐるものばかりであった。

 家に入ったトミーは元気よく俺の両親に挨拶をした。


「こんにちは!お邪魔します!」


 すると母がやってきてトミーに笑顔で挨拶を返してくれた。


「何もない所にようこそ。ゆっくりしていってね」


 それから俺はトミーを客間へと案内した。

 自室に呼んでも良いが、俺が客間で一緒にいる方が良い。


 なぜなら客間の方が広く、その外の光景が如何とも素晴らしいものがあるからである。


「何だよこれ・・・この村全部が見えるんじゃないのか?」


 そう、俺の家は山に少し入った所にあるため高い位置にあるのだ。


 つまり庭が一望できる客間ということは、そこから見える景色は絶景だった。


「ありがとう、それよりやる事沢山あるから荷物なんておっぱなしとけ」


「ん?おっぱ?」


「投げとけって、変なところで止めるな」


 結構まどろっこしい。

 学校だと周りが普通に喋っているので方言は出ないが、家だとどうしても出てしまう。



 俺たちは舗装路から畦道に入り、少し窪んだ場所へと足を運んだ。

 そこは川のせせらぎがあり、多すぎない水量からチョロチョロと僅かな音が聞こえる。


「トミー、おめぇこれ持ってくれ。俺はこいつだ」


 石組みをして流されないようにした物を川から取り出した。それは真っ赤に熟したトマトだった。

 そしてトミーに拾わせたのが緑色の球体であるスイカ。


「おもっ、これいくらするの?」


「あっ?んなもんその辺に(うわ)ってる。昨日ナス、キューリと交換してもらったんだ」


 そういってスイカの一部を指さすと、黄色くなっている部分があった。

 これは発育の際に日光があまり当たらなかった場所で、出荷はできない。


「味は変わらないが見た目で廃品だ」


 食べ物に至ってはこんなこともある。

 農家の人たちはこういった細かいことに気を遣う必要があり、非常に大変な仕事なのだ。


 二人は網に入ったトマトとスイカを担いで、田んぼと田んぼの間の畦道を走って帰った。


 家に着いた俺たちは先ほどのスイカを母に切ってもらい、縁側に腰かける。

 トミーが桶の中に入れられたトマトをジーッと眺めていたので、丸かじりと伝えると手に取ってコロコロと転がしていた。


 そしてそのままかじった瞬間、トミーは急に頭を抑えだした。


「くぁー!何これ中が凄く冷たい!」


「あぁ、川の水は芯まで冷えるんだ。まぁずうめぇぞ」



 その後も田んぼの周りを走り回り、山道に入って山菜を見て時間を過ごした。

 都市部に住まうトミーにとってはこの上ない体験だったようだ。


 カナカナカナカナカ・・・


 ヒグラシが鳴く夕暮れ時になり、街灯がないだけでなく山の日暮れも早いため家路についた。


 そして最後の締めはやはりあれしかない。


 ここでは入手が大変なのでトミーにお願いして買ってきてもらっていた。


「本当にこんな物使っちゃっていいの?」


「世話ねぇ。けど打ち上げはダメだから入ってねぇべ?」


 そう、夏の風物詩花火である。

 ここでは音をあまり気にせずシャワー5M、吊るし花火に煙玉などやりたい放題である。


 だがコウモリ花火やロケット、パラシュートなど高温を保ったままコントロール出来ずに落下するものはダメだ。


 枯草に落ちれば山火事になるし、かなり洒落にならないので山だから何でもしていいと勘違いしてはいけない。


 俺は外にある物干し竿に吊るし花火をセッティングするが、点火はトミーにやらせる。


「燃したらとべ。なっから熱いぞ」

(火を付けたら走れ。凄く熱いぞ)


 恐る恐るチャッカマンで導火線に火を向けるが、風に揺れて中々着火しない。

 半ばやっきになってトミーは花火本体を持って火を近づけた瞬間。


 プシュ!シュゥルルルルル!!


 その場で火を噴きながら物凄い勢いで回転を始め、火花は3~4Mほど吹き飛ばしながらとにかく回る。


「はは、すっげ!」


「おう、火が止まっても回り続けるし複数やると、ちっとべぇおっかないぞ」


 その後も噴水のように噴き出す色とりどりの5Mシャワー。

 煙玉を5個点火しての鬼ごっこ。


 とても高校生徒は思えないような無邪気な遊び方だが、実際やればわかる。

 あの感覚に年齢は関係ない。



 こうしてひときしり遊び終えて20時になったので、父からかたして家に入るように言われた。


 門限より1時間遅い時間だが、家の庭にいるのでこれくらいは良いだろうとのこと。

 俺は客間に2枚布団を敷いてトミーと一緒に寝ることにした。


 窓は開けっぱなしで網戸を閉めた状態。

 外からの風は冷たく心地いいし、冷房など無用の世界であった。

 鈴虫がリンリンと鳴く中でそれが子守唄のようになり、俺はいつものように微睡みの中へと入りこもうとしていた。


「おい、トウゴ起きてるか?」


「あぁん?おめぇねみぃよ」


「寝ぼけんな。ちょっと外出ようぜ」


 外と聞いて俺の脳が覚醒していく。

 あの日以来俺は夜間に外へ出たことがなかった。


 遠くではガタンガタンと言う列車の通る音が響き渡っていたが、恐らくは最終の急行列車だ。

 時刻は22時過ぎであり、トミーはまだ普段から寝るような時間にないのだろう。


「まぁず危ねぇべ?街灯ないし夜獣もいごき始めるんかんなぁ」


「それがいいんじゃないか!」


 どうやら田舎の全てを見つくしたいようだった。

 だが危ないものは危ない。本当の常闇の世界では怪我じゃすまない事になりかねないのだ。


 トミーの夜の村を見たいという熱望はそれからもヒートアップしていき、俺が折れる形で見て回ることになった。


「たぁはぁ満月だから明るいけぇ、ちっと見て終いだんべ」


「分かった分かった。トウゴの方言が好きになってきたぜ」



 何言ってるんだか。

 そんな事を思いながら懐中電灯を2本用意して靴を玄関から持ってくる。


 夜は玄関をしっかり施錠し居間などの大窓は雨戸を閉めるのだが、なぜか寝室は開けっぱなしという不思議である。


 客間に戻り縁側で靴を履いてから地面に降りる。

 縁側の下には蛇がいるかもしれないので、靴は上で履いてからだ。


 アオダイショウなら良いがハブだと噛まれたら生死に関わる事態になる。


 靴を履いて柔らかい土の上を踏みしめたトミーは感動したような顔をしていた。

 きっと初めて大地に降り立ったアダムとイヴはこんな顔をしていたんだろう。



 そっと明かりを照らして慎重に移動し、舗装路に出た所でトミーは更に感動していた。


「すげー!月に照らされた田んぼって逆さ富士並じゃね?!」


「あはは。こればかりは何度見ても飽きないよ」


 そう、稲穂がまだ大きく育ち切っていない田んぼは水の露出面積が広くなる。

 夏風が穏やかで月光量が多い晩は、星雲と月が地面に落ちたような錯覚を覚えるほどに美しい。


 思ったより月明かりが強く目が慣れてきたおかげで、懐中電灯を点けない方が見えやすいので切ることにした。


 そのまま村の中を静かに二人で散策し、時に用水路などに落ちそうになるトミーを引きとめて周った。


「なぁ、夜の線路ってどんなんなんだ?」


「見たことないけど、駅にいくのか?」


 7月初めころのあの日を思い出し、少し身震いした。

 やはりちょっと駅に行くのは抵抗がある。


「けど駅は見るなとも言われているしな」


「おいおい、最終が行った後に仕事する人たちも居るだろうが」


 確かに言われてみればその通りだ。

 インフラ関連は特に日中の動いている時間はあまり行わない。

 その彼らも仕事で夜間にあの駅付近に絶対来ているはずだ。


「それもそうだな。ちっとべぇ見てけぇるか」


「そうこなくっちゃ!」


 駅までの道は身体が覚えているようなものだ。

 この間のように駅で光る何かもないし、今回はトミーも一緒にいるため恐怖心はあまりなかった。



 二人で駅舎の前に来ると、その空間が異世界に来たような感覚を覚えた。

 人工的な明かりはある。ただしそれは赤色だ。


 鉄道用の信号機が赤く点灯しており、一両しか入らないホームと駅舎は真っ赤に照らされていたのだ。


「すげぇ・・・予想していたのと違った」


「幻想的だけど怖いな」


 言い出しっぺのトミーがビビっていた。

 二人は駅舎を潜り抜けてホームへと出ると、そこは別世界であった。


 信号機に照らされた方はレールが赤く反射しており、その先を月明かりが照らしていた。

 反対側は信号機が逆光となり、信号から先がまったくの常闇である。


 見ているだけで引き込まれそうな恐怖心を駆り立てた。



 ブルッっとする感覚に鳥肌が立ち、いい感じに夏の風物詩をもう一つ手にかけることができた。


「トミー行こうぜ、中々良かったな」


 そう言って振り向くと空気が一変した。


「トミー?」


 トミーはホームから線路側を見たまま口がポカンとしており、俺もトミーが見ている方を見て目を見開いた。


 真っ赤な着物。

 信号機に赤く照らされて色が変わっている。



 やばい、やばい・・・



 あの時の女だ。

 俺は女から目を離さずにトミーの肩に手を置いた。


 トミーがハッっとしたようにこっちを見てくる視線を感じ、トミーの目を見て言った。


「たはぁ、おめぇこんなとこ居たらあぶなっかぺ。

 列車はもう終ぇだからけえった方がいいだんべ」


 早口で捲し立てたため、トミーは多分何を言われたかあまり分かっていない。

 俺も緊張して方言しか出てこず、上手く話せていない。


「帰った方がいいね」


 トミーの復唱に理解してくれたと考え踵を返すと、入ってきた駅舎に向けて歩き出した。


 俺も焦らずその後をついて行くと・・・


『きとりはきとり、さいごのにえはだれかい?』


 はぁ!?


「トミーとんでけ!」


 俺は駅舎の外に向かって一気に駆け出した。


 だがトミーは違う行動を取り、ホームから線路へと向かって“飛んだ”のだ。


「おめぇとべは走れ言うことだんべ!」


 線路上に居る着物女がトミーに徐々に近づきつつある。

 俺も線路に飛び降りて動かないトミーを助け出そうとした。


「しっかりしろ!」


 トミーの両肩をつかんで揺さぶった瞬間ギョッとした。

 両目は限界近くまで開き、口からは涎が出て笑っている。


 動こうとしないどころか、トミーは惹かれるように着物女の方へとズルズル移動を始める。


 俺は火事場の馬鹿力でトミーをホーム上に押し上げると、自分も同じ様に上へと登った。

 その時ホーム下の待避スペースで桐箱のような物が見えた気がしたが、今はそれどころではない。


『ふふふっ、あなたのうしろにだれかきない?』


 ハッ・・・ハッ!ハッ!

 後ろ!?


『べ・・・べ・・・べ〜』


 着物女の口角があがり、垂れた前髪を手でずらし始めた。


 そして見えたものは・・・白目のない漆黒の瞳。


 トンッ


 肩をたたかれ思わず後ろを振り向いた。眼前に広がる光景は顔いっぱいに広がる口。



 口、クチ、くち。



 俺はそこで駅ホームに倒れた。

(あぁ、年配の言う事は聞くもんだ・・・)




 俺が目を覚ましたとき、真っ白い壁が目に入った。

 周りを見るとカーテンで覆われており、そこが病院のベッドであることに気が付いた。


 確かトミーと一緒に夜の散策に出てそれで・・・


「トミー?」


 カーテンが開かれて陽光が急に降り注いだため、思わず目をしかめてしまった。

 するとカーテンを開けた主は、思いっきり抱きしめてきた。


「トウゴ!なんであんな馬鹿なことを・・・良かったわ・・・うっぅっ」


 母であった。

 こんなにも大事に思ってくれる人がいるのに、なぜあんな事を・・・


「おっかぁごめん」


 ただその一言だけで全てが伝わってくれた。

 落ち着いた母はこれまでの事を説明してくれた。


 寝ていた期間は1週間程度。

 あの日の翌朝、始発列車が通りかかった際、運転手がホームに倒れる二人を認めた為、駅に停車して救急に連絡してくれた。


 救急隊が駆け付けたところ、命に別状はないが意識が戻らないとして都市病院まで搬送されたのだ。


「そうだ!トミーは!?」


「なんだい?」


 母の後ろから彼が顔をのぞかせた。

 あの呆然とした顔を見ていたので、トミーの方が心配であった。


 そこで自然と目から雫がこぼれ落ちた。


「良かった・・・おめぇが無事でほんと良かった」


 トミーは俺より1日早く目が覚めたようであった。

 母が看護師に知らせてくると言って席を離した時、あの晩のことを率直に聞いた。


 すると赤く照らされた駅舎をくぐった所から記憶がないとのことだった。

 だがトミーも意識を失う直前に、着物女に近づき聞いたそうだ。


『にえのきとりがもりばん。のんのさんのんのさん』


「あの女、何考えてんだ」


 それから身体検査を受けた俺とトミーは問題ないということで、ひとまず家に帰ることになった。


 退院の準備をしていた所で、トミーのご両親が迎えに来たため、俺と母は謝罪した。

 トミーとその母は止めたのだが、やはりこういった事はしっかり謝るのがスジである。



 俺自身も帰ってから親父に泣かれるは、こっぴどく叱られるわ大変な事になってしまった。

 しかし怒る父に対してどうしても腑に落ちない事があったので、これだけは聞くことにした。


「父ちゃんごめん、けどこれだけは聞きたいんだ」


「世話ねぇ。話してみるっぺ」


「《キトリ》ってあらぁ何?なんで女は俺らにぶっこんで来るんかい?」


 父は黙ったまま返事をしなくなってしまった。

 そこで仏間からやってきた祖母が座り口を開いてくれた。


「オレが変わる。おめぇにはちっとべぇ重い話なんさぁ」


「ばっちゃ、俺たち今どうなってるんかい?」


 祖母はまず一つの木箱を裾から取り出すと置いた。

 それは真っ黒な木箱でどこか見覚えがあるものであった。


「おめぇの《キトリ》じゃ」


 そういって木箱を開けると、中には枯れた茎のようなものが丁重に保管されていた。


 見たことがある人も居るだろうが、へその緒だ。


「邪な者から守ってもらう厄除けだけぇ。二人分精一杯頑張ったみたいだんね」


 《キトリ》の正体が分かったのはいい。


 だけどあの女が言っていた言葉にもキトリが出てきており、これが邪魔だったということだろうか?


「キトリはキトリ、最後の贄は誰かい?」


 その言葉に祖母は目を見開き口をパクパクさせた。


「おめぇ、それ聞いたんかい?」


 コクリと頷くと祖母は立ち上がり、明日準備するから今日は寝てくれと言って仏間に戻ってしまった。

 父は額に手を置いて溜息を吐き、母も心配そうな顔をしていた。


 仕方なしに部屋に戻って布団を敷き、眠れない夜を過ごしていた。


 今日の昼はよく晴れたようで積乱雲が発達しており、雷を伴った非常に強い雨に襲われていた。

 雷が時折光る中で豪雨が窓や屋根に打ち付ける音がけたたましく響き渡る。


 そんな中で聞こえるはずがない声が聞こえた。


『きとりはすぐくる、きとりはまもれ』


 カバッと布団から起き上がり、窓の外をカーテンをずらして覗き込んだ。


 ・・・いた。


 あの女に初めて会った場所に。

 《キトリ》は今祖母に預けてあって俺は持っていない。


 あの女にはわかるんだ・・・

 どうしよう、どうしよう・・・


 前髪は垂れて見えないけれど、もうあの口角があがった広い口に黒い瞳は今にも思い出される。


 見られている。


 ・・・あの女はここにはきない!

 きないきないきない・・・


 バンッ!!


 !?!?

 何かが窓にぶち当たった?!


 恐る恐るカーテンを開けると・・・


 女が張り付いていた。



 ギョロ



 沢山の目が。


『べ・・・べ・・・』


「うぉぁああああああああああああ!!!」


 大声を叫びながら祖母の居る仏間へと突っ込んだ。


 すると祖母は起きて仏壇に向かって正座しており、ブツブツと念仏を唱えていた。


「ばっちゃ・・・」


 そこで手と肩に何かが触れた感触と共に、再び意識が遠のいて行った。




「はぁ直ぐにやった方がいいっぺ」


 俺は起き上がると、組の人たち(自治会)がうちに集まって話し合いをしていた。


 おれは起き掛けに挨拶をすると、一同が神妙な面持ちになってしまった。


「おめぇ駅は見ちゃダメだって言ったんべ?」


 蚕屋のジロさんだ。

 彼は俺の事を叱りながらも、原因が自分にもあるため多くは言えないようであった。


 俺は素直に正座をして額を畳にこすりつけた。


「ごめんなさい!」


「はぁ世話ねぇ、トウゴは一端の村民じゃいいんだっぺ」


「あぁね、ただちっとべぇ容易じゃねぇぞ」


 祖母はそこで組の人たちに謝罪をして、協力を仰いでいた。


「《キトリ》は《魂渡離》って言うのが正しい」



 以前教えてもらった《木取り》は造語で、山神様から授かった木でできた器という話自体が真実を隠す隠れ蓑と伝えられている。


 この村では古くから凶作や病気などにおいて、山の神様に貢物を授けて祈願していた歴史があるそうだ。


 だが言い伝えによるとこの村を襲った神隠しで、山の神様に祈願しても一向に収まる気配を見せなかった。


 そこで村を一望できる山の中腹に仏像を安置する櫓を建てたそうだ。

 そしてその年に生まれた子供のへその緒一本を、仏像と一緒に桐箱へ入れて力を付けてもらおうと画策した。


 それ以来村で神隠しは起きなくなり、やがてへその緒を入れた子は大きくなり村長となって村民の安全を願い続けた。



 時は経ち、時代の流れにこの村も巻き込まれる事となった。


 村自体はくぼ地になっており、列車を通すにも山を切り開いて村を通過させるのが良いとされた。

 だが山を削ることに反対した村民達の努力が実り、山沿いを走らせて駅を一つ増設することで合意が得られた。


 ただ一つの間違いがあったとすれば、それは駅の作られた場所に朽ち果てた櫓あったことに気づかず工事を進めた事だ。



 つまり《魂渡離》とは、最初は仏様へお願いする物として自身の魂の半分を預けるという意味で使われていた。

 そして代を重ねる毎に、魂の渡し船であり離れたもう一つの分身体として自身を守るものへと変わっていった。


「はぁ、仏様が贄を欲しているってぇ事かい?」


「分からんし、おめぇが見た女も分からん」


 そこで先日、意識を失う前に駅のホーム下に木箱があった事を思い出した。

 先ほどとの話に関係無いとは思えず叫び出していた。


「駅に木箱があったけぇ、確かめるんべ!」


「まてぇ!今は!」


 言うが早いか、俺は組の人の事も忘れて走り出していた。祖母が声をあげて静止にかかり、外に出てその意味が分かった。


 常闇。


 今は夜で月も出ていないため、真の闇が訪れていた。


『きとりはきとりがたべるべぇ、やぐらがみちをしめすんべ。のんのさんのんのさん』


「ばっちゃ、聞こえる?」


「何も。はぁ今はうまかなっぺ」


「呼んでる。あの駅には何かがある」


「トウゴ!」


 名前を呼ばれるが、何故か今じゃないとダメな気がして身体が勝手に動く。

 駅までの道のりは身体が覚えているので灯りなど要らない。



 駅舎にたどり着くと、以前と同じように赤信号が不気味な色をさせていた。

 俺は構わず駅舎を潜り抜けてホームへと上がった。


 ・・・きた。


 不気味に赤く映る着物。

 ザワッとした感触が全身を駆け巡り、鳥肌が立つのを感じる。


「おめぇに用はねぇ。この下だけさぁ」


 そう言ってホームから線路上に降りると、ホーム下の退避スペースへと入り込んだ。


 やはりあった。


 あの時見た木箱は、触るだけで朽ち果てそうなほど時間が過ぎ去っていた。

 すると背後に物凄い嫌悪感のようなものを感じ、胃の中がひっくり返るような感覚が襲ってきた。



 背後を覗くと、俺の肩に微笑んだ女性が手を置いてきた。

 瞬間、ギョロっとした目が沢山浮かび上がる。


 沢山の目はそれぞれが別々に動いている。


 直後、一斉に全ての眼がこちらを見た。



『きとりのにえ、み〜つけた〜』



「いあぁぁぁぁぁぁ!!」


 逃げ出そうとするも体が動かない!



 あんぐり開けた口が、丸のみするかのように大きく開いている。


「うぁ・・・ぁ・・・」


 恐怖で目を見開き何とか動こうとすると、指が僅かに動いた。


 すると何かに触れた。


 触れた物から暖かな心地よい風が全身を駆け巡り、口を開いた女が後退りを始めた。


 『べ・・・べ〜?』


 訳が分からず見ていると、女の後ろに着物女が立っていた。

 俺は勘違いしていた。着物を着た女性は・・・



 そして着物の女は口角を釣り上げ、髪をかき分けてその瞳で俺の()()を凝視してきた。


『《木取り》は《魂渡離》、最後の贄は誰かい?』


『《木取り》は直ぐ来る、《魂渡離》は守れ』


『贄の《魂渡離》が守番。のんのさん(仏様)のんのさん(仏様)』


『《木取り》は《魂渡離》が食べるけぇ、櫓が道を示すんべ。のんのさんのんのさん』


 口を開けた化け物は徐々に窄んでいき、その姿を小さくして最後は消え去ってしまった。


『冷たいかい?』


 初めて出会った時に聞かれた質問を再びかけられた。


 指先から感じる温もりが全身を覆い、寒気などは一切吹き飛んでいる。


「はぁ、まぁずあったかいんべ」


 それだけ聞くと、着物の女性は先程とは打って変わって優しい笑顔を向け、足元から消え去った。



 その後すぐに村の人たちが駅まで走ってやって来た。

 蚕屋のジロさんが軽トラックに発発と農業用照明を持って来たので、辺りは昼のように明るくなっていた。


 そして俺は今あった事を祖母に話して《魂渡離》を差し出した。


「ばっちゃ、この《魂渡離》が俺を助けてくれた」


「オレの孫さぁありがと」


 祖母は《魂渡離》を抱きしめて心の底から感謝していた。


『のんのさんおめぇの家さ守った。おばぁ頑張ったんべぇ』


 着物の女性の声が聞こえたが、今はもう姿を見ることも叶わなかった。



 そして後日、組の者を集めて駅周辺を隅々まで調査する事になった。


 山や駅舎などはこちらで見られるが、鉄道用地は流石に自治体では手が出せないので、市からの要請という形で調査した。


 結果、線路に使われるバラスト(砕石)の中から、頭部の無い木製の仏像が発見された。


 駅舎の屋根を綺麗に修繕してもらい、仏像を置く新しい櫓を組んでもらった。

 そこにアクリル板で保護して一緒に見つかった《魂渡離》を安置しておく。



 これで大昔に起きた村の神隠しは、きっともうこの村では起きないだろう。


 だって神隠しを起こした山神は、のんのさんと初代の《魂渡離》が今もこの駅からお守り下さっているのだから。



 やがてとある山中の駅で、着物を着た美しい女性が舞う姿を見たと噂になった。















「ハッ!ハッ!くる・・・来るな!!うああああぁぁ・・・」


 トンッ


『べ・・・』


「ぁえ?」



『《木取り》は山神、隠し神。この山続く何処までも。《魂渡離》は駅から村さぁ護るんべ』




【!注意!】

 『線路内に許可なく立入る行為』は鉄道営業法に抵触して罪となります。危険の他にも様々な人に多大な迷惑がかかります。

!!絶対におやめください!!

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 数ある小説の中から『キトリ』を手に取り、ここまで貴重なお時間をお付き合い頂き、ありがとうございます。


 短編読切は初めての試みでして、筆者としてはホラーが好きな部類なので執筆しました。

 気がついたら短編なのに原稿用紙34枚程度のボリュームとなってしまい、やや長かったか?と反省しております。


 しかしながら主人公達の学園生活や村の過去など、もっと本作の世界を掘り下げたかった部分もありますが、そこは断念しました。



 最後になりますが、良き田舎の風景や遊びの楽しさ、そして独特の怖さなど本作を通じて感じ取れて頂けたなら嬉しい限りです。



【2021年7月14日追記】

 関連作『消えた御守』を公開しました。

更なる清涼に、その身が震えたら感無量です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ∀・)田舎町の風土というか、そうした雰囲気が味わる作品はなかなか珍しいと思います。そのうえホラーの舞台するとはまた良き。村の古くから伝わる伝承話を絡めることも自然とでき、なるほどこうした作…
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