お帰りなさいとはじめまして
まだそれぞれの口調と説明表現が安定しませんが、見逃していただけたら幸いです。
わたしとソルは従姉だけれど、すごく似ていた。
双子とよく間違えられてたくらい。
18になった今も似ているだろうけれど、兄妹に見られるんだろうなと思う。
姿が似ていると考えも似るのか、よく行動がシンクロしてた。今もよくある。
それと、なんとなーく、どこで、何してるかとか、わかる。
ソルもそうだって言ってた。
だから、わたし以上に私の事がわかって、わたしの体調の変化とか、気持ちの浮き沈みに気付いちゃうのがソル。
逆に、ソルの事は、ソル以上に私の方がわかるかも。
そろそろ玄関にお出迎えしに行こうかな。と部屋が出て玄関に向かう。ずっと住んでる家だから、屋敷の中なら、そっと壁に手を這わせば行きたいところへいける。……足の筋力が持てば。
だんだん屋敷に近くなっているのだろう、ソルの感情がなんかいつもと違う感じ。
緊張?でもウキウキ?不安?
よくわからないけど珍しく感情が入り乱れてるみたい。
悪い事があったわけでも怪我したわけでもなさそうだけど、うーん?
ゆっくりと階段を降りていたけれど、気になって足を止めてしまった。
階段から落ちたくはないから、無意識にできうる限りガッチリ手すりは掴んで、階段の途中でソル考察をしてしまっていた。
「ただいま。……ルナ?どうした?!」
フワッと抱き上げられるのと前後して、ソルの感情が心配一色で平定されてしまった。
うん。ごめん。階段の途中でボーッとしてたら心配するよね。
「お帰りなさい、ソル。お勤めお疲れ様でした。怪我したりしてない?それとごめんね。心配させて。ちょっと考えだとしてただけ。」
ソルの頬を両手で挟んで、おでこをソルのおでこ(だと思う辺り)にくっつけて、見えないけど、ソルの眼を覗き込むようにして、いつもの挨拶をする。
ソルもいつものように返してくれる。
「ならよかったけど。ありがとう。怪我はしてないよ。ルナは?ちゃんと大人しくしてた?具合悪くなったりしてない?」
私を抱き上げたまま、ソルの手がわたしの頬を撫でる。
背中とか太腿あたりの感覚からすると、ソルは腕一本で私を抱き上げているんだと思う。すごい力持ち。
ソルの腕に座ってる気がする。
頬を撫でた手が私の前髪を上げて、額に優しくキスが落とされる。熱を測るためだって知ってるけど、つい顔が緩んでしまう。
「大丈夫だと思う。」
ずうっとある鈍い頭痛も体の痛みも、特に酷くはなっていない。酷くなってないということは良好ということだと思うし、そんな微々たる不調もソルの首に抱きつくと落ち着くから不思議。
「うん。平気。どこも痛くないよ。ちょっとだけだるかったけど、ソルが帰ってきたから治ったみたい。」
首に抱きついたままいい匂いのするソルの首元に、おでこと頬をすりすりする。
「くすぐったいよ。」
「んー。落ち着くんだもん。…だめ?」
ふふっと笑いながら頭と背中を撫でられる。
慣れてるとはいえ見えないで一人で、いや、もちろん護衛の人とかいるけど、離れたところにいるから気分的に一人でいる感じになり、それなりに緊張して暮らしているんだと思う。
それが、ソルの腕の中にいると何も気を使わなくていいんだって安心できる。
ふうっと気が抜けてへにゃっとした顔になってしまう。
ダメとは言われないのをわかっていても、一応聞いてみる。ダメと言われたら強請るけど。
「いくらでもどうぞ。お姫様。」
「へへ。ありがと、私の王子様。」
首に埋めたままの私に頬を寄せてキュッと柔らかく抱きしめてくれる。すごい甘やかされてる自覚はある。
ソルは優しいし、従姉弟で、さらに一緒に暮らしてる特権だよね。
私の方が『従姉』のはずだけど、居心地いいから気にしない。
私を抱き上げたまま階段を降りてる振動が伝わる。
「まだ外明るいけど、外でお茶する?」
「する!したい!え、うれしい。何日ぶりだろう。」
「でも、少しでも体調が怪しいと思ったら言うんだよ?無理はしないこと。」
「はーい。」
「……ごめん、待たせた。」
…待たせた。ってなんだろう?
「……………いえ。」
「……………ああ。」
「どうした?」
ソル以外の声がした。
聞いたのことのない声。
声のした方に視線を向けるけど、明暗だけでは人がいるのかどうかもわからなかった。
お客様かな?と思ったので聞いてみる。お客様なら、降ろしてもらってちゃんと挨拶しないとだしね。
「お客様?」
「そう。ルナは初めましてだね。同期の同僚のカイル・ヒューレット子爵子息とマティス・モルガン子爵子息だよ。カイル、マティス。従姉のルナティア・エブラン……惚れるなよ。」
なんか余計な一言があったけど、説明しながら降ろして、二人がいる方に体を向けてくれる。
そして、お二人の顔があるだろう角度に、そっと顔を向けてくれた。身長高いな、二人とも。後ろに倒れそうになるとソルが背中を支えてくれた。
どんな見た目の人なのかわからないけど、目の前にいて嫌な感じが全然しないから、いい人たちなんだろうと思う。
「ヒューレット子爵子息様、モルガン子爵子息様、本日はお目にかかれまして光栄です。ルナティアと申します。このようなお見苦しい状態で申し訳ありません。」
支えてもらわないと淑女の礼もできないのだから嫌になってしまうが、ソルが家に連れてくるということは、気にしないでくれる方々なのだと思い、気合いなく挨拶ができた。
戸惑う気配がしたが、二人の声は蔑む色も好奇な色もなかった。
「…カイル・ヒューレットだ。…コレとは、見習いの時からの付き合いになる。よろしくな。ルナティア嬢。」
「マティス・モルガンです。自分も見習いの時からの付き合いです。」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
「……………。」
「……………。」
「……………。」
「………どうかしたのか?」
なんとなく会話が続かず黙ってしまった私たちにソルが不思議そうに、何を黙ってるんだと聞いた。
何に戸惑っているかはわかります。
見えてないことに触れていいのか戸惑っていると思う。そして、私はソルの『従姉』で、同じ歳の18歳なのだけど、それは確かなんだけど、見た目が、6歳、だからだと思う。
とりあえず、お茶をしよう。
ソル達は180㎝前後と考えてます。ルナはもともとちびっこでそのままだから、100くらい?