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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
番外編 魔王城のとある一日
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料理対決(実食編)

すみません、もう少しだけ続きます。

 「最初に出来上がったのは、サタニア様ですか…………」


 魔王城第一回料理対決。“自由”というテーマの下、料理を作り上げる五人。この中で最も早く完成させて審査員であるクロウトに持って来たのは、魔王サタニアだった。


 「さぁ、クロウト食べてみて!!」


 そう言って出来た料理を自信満々で、クロウトの前に差し出した。


 「こ、これは…………なめこの味噌汁ですか…………?」


 「そうだよ、僕の自信作!」


 「あー、はい、では頂きます……」


 クロウトは、出されたなめこの味噌汁を啜った。


 「…………なめこの味噌汁ですね……」


 「どうクロウト、美味しい?」


 「…………」


 この時クロウトの脳内では、料理の記憶が掘り返されていた。以前、初めての料理を成功させたサタニアは、得意げに何度も何度も、なめこの味噌汁ばかり作った。他の料理は無いかと聞いてみたが、サタニアが言うには『まずは、なめこの味噌汁から極めたいんだ』という事らしい。


 「(正直、極める行為はそれなりに料理の経験を積んでからする物だけど、サタニア様の場合一度決めた物事は、納得するまでしてしまうからな…………)」


 「クロウト?」


 「とても美味しいですよ」


 「ほんと!?良かったー、今日のなめこの味噌汁はちょっと失敗しちゃったから、心配してたんだよ」


 何処をどう失敗したのだろうかとクロウトは思ったが、考えるだけ無駄と判断した。


 「それでは作り終えたサタニア様は、こちらの方で他の皆様が終わるのをお待ち下さい」


 「うん、分かったよ」


 料理を終えたサタニアは、クロウトの言われた通り審査員席から、少し離れた場所で用意された椅子に座った。


 「…………さて、その噂の方々はどうなっていますでしょうか?」


 クロウトは、サタニアが座ったのを確認すると、まだ調理中の四天王の様子を確かめた。


 「うーん、もう少し味付けを濃くしようかしら?」


 「~~~♪~~♪~~~♪」


 「マックロニナルマデ、ヤク!!」


 「……料理って思ったより難しいんだな。取り敢えず、私の好きな物を容れていけば美味しくなるだろ。えーと、まず始めにポイズンドラゴンの睾丸を入れて…………」


 順調に味付けを整えるアルシア、鼻歌混じりに余裕のエジタス、薄っぺらくなった肉を真っ黒になるまで焼いているゴルガ、そして自分の好きな物をとにかく入れようとするシーラ。


 「…………はぁー」


 思わず溜め息を漏らす程酷い光景であった。あまりの光景に頭痛すら感じてしまう。


 「皆、頑張ってー!」


 サタニアは、今もなお料理を作っている四天王に応援のエールを送る。


 「…………よし、出来たわ!!」


 エールからしばらく時間が経つと、アルシアが料理を完成させた。


 「アルシア様、出来ましたか?」


 「ええ、私の中でも過去最高と言って良いほどの出来栄えよ!」


 そう言うとアルシアは、出来上がった料理をクロウトの前まで持って来る。


 「さぁ、食べてちょうだい。私の自信作名付けて、“自由”なカレーよ!」


 クロウトの目の前に出されたのは、至って普通のカレーライスだった。


 「え…………あの……アルシアさん、これは……?」


 「いいからいいから、まずは右から食べてみて」


 「はい…………」


 クロウトは、言われた通りに右から食べる。


 「…………まぁ、凄く美味しいですけど……」


 凄く美味しい。それは間違いない、何種類ものスパイスが絶妙な辛味と旨味を引き出していた。しかしこれでは只の美味しいカレー、自由なカレーとは言えない。


 「次は左の部分を食べてみて」


 「…………こ、これは!」


 クロウトは、アルシアに言われるがまま左上の部分を食べるとその瞬間、全身に衝撃が走った。


 「ターメリックライス!?」


 先程の右から食べた時は普通のカレーだったが、左を食べた途端インドカレーに早変わりした。


 「そう!このカレーは、ふっくらしたお米と味が濃いターメリックライスの二種類を併せ持つ、どちらから食べるのも“自由”なカレーなのよ!!」


 「成る程…………“自由”というテーマをそのまま意味では受け取らず、それに沿って作り上げてしまうとは、流石でございます」


 アルシアが作った“自由”なカレーは、高評価を得る事が出来た。


 「さて、次はどなたが完成させますでしょうか?」


 「は~い私で~す」


 「…………あなたですか……」


 アルシアに続いて料理を完成させたのは、エジタスであった。クロウトは、あからさまに嫌な顔をした。


 「もぉ~、そんな嫌な顔しないで下さいよ~」


 「嫌な顔以外ありますか?」


 「まぁまぁ、それはこの料理を食べてから、考えてみてくれませんか?」


 そう言うとエジタスは、出来上がった料理をクロウトの前に差し出した。


 「“アクアパッツァ”です」


 「アクアパッツァ?」


 「魚介類をオリーブやトマトなどと一緒に、水で煮込んだ料理です」


 見た事が無い料理に戸惑うクロウトに対して、エジタスが丁寧に説明をしてくれた。


 「…………では、いただきます」


 恐る恐る、初めての料理を口に運ぶクロウト。


 「(こ、これは…………!!)」


 人は、あまりにも美味しい物を口にすると喋れなくなると言われている。勿論、クロウトはそんなのは迷信だとずっと思っていた。エジタスの料理を食べるまでは…………。魚介の旨味にトマトの酸味が素晴らしいハーモニーを生み出し、食べても食べても飽きる事が無い。


 「(く、悔しい…………自分が敵意を向けている相手に美味しいなんて言いたく無い!!…………でも)」


 止まらない。止まらない。食べる手が止まらない。無意識の内に次々と料理を口へと運んでしまう。


 「ほぉ~、どうやら言葉にもならない程美味しいみたいですね~」


 「…………そうですね、不本意ですが認めざるおえないようです……あなたの料理の腕は……!」


 「素直じゃないですね~」


 エジタスの料理を食べ終えたクロウトは、嫌みを言いつつ感想を述べた。


 「さて、次はどなたですか?」

次回こそ必ず、料理対決が完結します。

ところで皆さんの予想は当たりましたでしょうか?

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