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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
第六章 冒険編 出来損ないの小鳥
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友と家族の温もり

今回は少し短めかもしれません。

何故なら、次回は長めになるからです!

 「やったなフォルス!これで俺達ようやく全員大人になれたんだな!」


 「全く、遅すぎるんだよあんたは!!」


 フォルスが十五年の時を経て、成人になった事を喜び、幼馴染みのビントとククが肩を寄せて来た。


 「待たせてしまったな……二人供」


 静かに呟きながら笑みを見せるフォルスに、更に強く肩を寄せ合うビントとクク。


 「良かったですね、フォルスさん!」


 「おめでどうだぁ!」


 「フォルスさん、おめでとうございます」


 「大人の仲間入りに立ち会えるなんて、今日は良い日ですね~」


 「マオ、ハナコ、リーマ、エジタスさん、皆…………ありがとう」


 仲間達からもお祝いの言葉を貰ったフォルスは、心の奥が温かくなるのを感じていた。


 「ほほ、積もる話もあるだろう。今日はこの辺でお開きとしよう」


 「本当ですか、族長様!」


 族長が気を利かせて、話し合いを終わらせてくれた。真緒達はその言葉に甘える様に族長の家を後にした。


 「それじゃあ、私達は宿屋に戻りますね…………ちょっと待って下さい。フォルスさんはこっちじゃないですよ」


 「え…………なんで?」


 真緒達が宿屋に向かい始めると、後ろからフォルスがついてくるのに気が付き、歩みを止めて来ない様に注意した。


 「フォルスさんには、真っ先に帰らなければいけない所がある筈ですよ」


 「!!」


 フォルスは、真緒が指差す方向に振り向くとそこには、幼馴染みであるビントとククが立っていた。


 「今日位、家族と一緒の時間を過ごして下さい」


 「その道中は俺達と話そうぜ」


 「皆…………何から何まですまないな」


 お礼を述べるとフォルスは、二人のいる方へと歩いて行った。


 「優じいだなぁ、マオぢゃん」


 「本当に良かったんですか?」


 「うん、十五年振りだから甘え足りないかなって…………さぁ、私達も宿屋に戻りましょうか!」


 真緒は両手を合わせると、気持ちを切り替え、再び宿屋へと歩き出すのであった。


 「あー、オラ腹ペゴだぁ……」


 「沢山動きましたからね。今日の晩御飯は何か楽しみです!」


 「魚料理が食べたいなー」


 そんな雑談を交わしながら、歩いて行く真緒達だった。




***




 こちらでもビントとククが、フォルスを家まで送り届けるまでの間、雑談を交わしていた。


 「それにしても、久しぶりだな。この感じ…………」


 「こうして三人で並んで歩ける日がまた来るなんて、夢にも思わなかった」


 「…………悪かったな二人供、勝手に出て行っちゃって……」


 三人で肩を並べられる事に喜んでていると、フォルスが里を出て行った時の話を掘り返した。


 「ホントだぜ。自分だけの問題だからみたいに、クールな雰囲気を見せやがってよ…………それと俺、お前に腹殴られたの忘れてないからな」


 「す、すまん…………」


 ビントが殴られたお腹を擦りながら言うと、フォルスは気まずそうに謝った。


 「あたしなんか、偵察から戻ったらいなくなっていたから驚いたんだぞ。一声掛けて欲しかったなー」


 「本当にすまない…………」


 今度はククの言葉に、度々頭を下げるフォルス。


 「まぁ、そんな所がお前らしくて良いんだがな…………ほら、そうこうしてる間に着いたぞ」


 フォルス達が軽く話していると、あっという間に家の前まで辿り着いた。


 「ありがとうな。ここまでついてきてくれて…………」


 「何言ってるんだよ。久しぶりにお前と話せて俺達も楽しかった。じゃあまたな」


 そう言うと、ビントとククはそれぞれの自宅へと帰って行った。


 「…………よし、俺も覚悟を決めるか」


 フォルスは、玄関のドアノブに手を掛ける。ゆっくりと開くと、そこには先に帰っていたトハが晩御飯の支度をして待っていた。


 「フォルスちゃん、おかえり」


 「た、ただいま」


 本日二度目のただいまに、何故か少し照れてしまうフォルス。


 「もうすぐ、晩御飯が出来るからね」


 「…………その前に少しいいかな?」


 「改まったりして、どうしたんだい?」


 何やら思い詰めた表情をするフォルスを見かねて、トハが意識を向ける。


 「俺……母さんの事思い出したよ」


 「!!…………本当かい!?」


 「ああ、おぼろ気だけど何となく思い出した。いつも俺に優しい笑顔を送ってくれていた…………」


 「そうか…………良かったね」


 フォルスの言葉に涙ぐんでしまうトハ。ほんの僅かでも、自分の母親を思い出してくれて嬉しく思ったのだ。


 「さぁさぁ、色々聞かせておくれよ。この十五年の間、外の世界で何があったのか。晩御飯も出来上がるからね」


 「俺も手伝うよ!」


 「…………ありがとう」


 トハとフォルスの二人は、供に料理を作り始めた。




***




 「そうかい…………そんな事があったんだねぇ……」


 夕食の時間。フォルスは食事をしながら、トハにこれまでの出来事を話していた。真緒達に出会った事、ハイゴブリンとの戦闘やオークと子供達の事、つい最近ではクラーケンとも戦った事など、楽しそうに話していた。


 「真緒達がいたから、俺はこうしてここに帰って来れた。真緒達が仲間に誘ってくれなかったら、ずっと塞ぎこんだままだっただろう…………」


 フォルスは、真緒達との出会いを染々と嬉しく感じていた。


 「…………それで、これからどうするつもりだい?」


 「何が?」


 突然トハからの質問に、何を問われているのか分からないフォルス。


 「あんたは長い冒険をしてきて、ようやく故郷に戻る事が出来た。もう旅を続ける理由も無いんじゃないかい?」


 「…………」


 「この里で皆と暮らすか、あの子達と一緒に旅を続けるか、あんたはどっちを望むんだい?」


 トハからの選択を迫られるフォルス。十五年振りの友、家族との再会、ずっと帰りたいと思っていた故郷に帰る事が出来た。しかしそれは、真緒達という仲間と旅をしたお陰の結果である。まだ話したい事は沢山ある。里の皆とまたバカ騒ぎしたい。家族と仲間、どちらを選べば良いのか…………。フォルスは、目を閉じてしばらく考え込んだ。何分、何時間たっただろうか、料理が冷めていく中でフォルスが遂にその閉じられた瞼を開き、答えを口にした。


 「俺は………………」

フォルスが出した答えは…………。

次回 第六章 完結

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