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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
第六章 冒険編 出来損ないの小鳥
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鳥人の里

更新が遅れて申し訳ありませんでした。

今度はもっと早くに更新出来る様に頑張ります。

 「さぁ、遠慮せずに入ってくれ」


 「その前に、マオさんは何処ですか!?」


 リーマ達が見上げて探してみても、真緒を掴んでいた鳥人は見当たらなかった。


 「安心しろ、ちゃんと宿屋まで運んでくれている。後で案内してやるよ。ついでに仲間の目が覚めるまで側にいてやると良い。勿論、金は取らない」


 「分かりました…………」


 本当は今すぐにでも行きたい。だが、その前にフォルスの故郷であるこの里を見て廻り、真緒に伝えようと考えた。


 「じゃあ、改めて入ってくれ」


 「はい……」


 リーマ達が里に足を踏み入れると、それに気が付いた数人の鳥人達が、飛んで来た。


 「ビント、こいつらが例の客人かい?」


 薄い青色の羽をした雌の鳥人が話し掛けてきた。


 「ああ、そうだ。案内を頼むぞ、俺は見張りの仕事に戻る」


 そう言うとビントは、空へと舞い上がり、高台の一つに降り立った。


 「あ、おい!勝手に決めるな……はぁー、仕方ないな」


 ビントの急なお願いに溜め息を漏らすと、リーマ達の方に目を向ける。


 「あんた達の話は聞いてるよ。ここからは、あたしがこの里を案内してやるから付いて来な。あたしの名前はククだ、よろしくな」


 「は、はい、よろしくお願いします」


 ククから差し出された手を、リーマは握り返す。


 「それじゃあ先ずは、族長の所に行って挨拶しようと思うんだけど……何か聞きたい事はあるか?」


 「あの……いいですか?」


 ククの言葉に手を挙げるリーマ。


 「いいわよ、何でも聞きなさい」


 「何故、鳥人の皆さんはヘルマウンテンの麓何かに住んでいるのですか?……その……失礼極まりないとは思うのですが、こんな暑い場所に住んで…………焼鳥…………にはならないんですか?」


 「……ぷっ、あははははは!!!」

 

 リーマの質問に突然笑い始めるクク。あまりに可笑しかったのか、目から涙が出ていた。

 

 「あーはー、まさか……そんな事を聞いてくる奴がいるなんてね……それにしても……“焼鳥”って……あははは!!」


 再び笑い始めるクク。リーマ達はその光景を呆然と眺めていた。


 「その話をすると長いから、向かいながら話そうか」


 そう言うとククは歩き出した。その後をついていくリーマ達を確認しながら、話始めた。


 「結論から言っちゃうとね、ここは鳥人が空を飛ぶのに最適な場所なんだよ」


 「どういう事ですか?」


 「ここはヘルマウンテンの麓だけあって、凄く暑いでしょ?」


 「はい、凄く蒸し暑いです」


 汗こそは掻いて無いものの、じわじわと肌を焼かれている様な感覚がする。


 「それは、気温が高いって事なんだけど、それによってここ一帯では常に上昇気流が発生しているのさ!」


 そう言うと、ククは助走も付けずに羽を広げながらその場で膝を曲げ、勢いよくジャンプした。すると、強い熱風と共に空高く舞い上がった。


 「す、凄い…………」


 「ガッゴいいだなぁ……」


 「あそこまでの高さに一瞬で辿り着くとは、流石ですね~」


 上昇気流が発生しているのを、実際に証明してくれたおかげで、三人により明確に伝わった。


 「分かったかい?あたし達鳥人が、気温の高いヘルマウンテンの麓に好んで生活するのは、飛ぶのに最適な場所だからさ」


 ククは説明し終わると、地面に降り立った。


 「そんな理由があったんですか…………」


 「あと、ここでは温泉に入れるのよ」


 「温泉があるんですか!?」


 温泉というワードを聞いたリーマは、目を輝かせていた。


 「ああ、地下から湧き出る温泉を、適温まで冷ましたのをこの里では、入る事が出来るんだ。あんた達の仲間が運ばれた宿屋こそが、その温泉が整備されている唯一の場所なんだよ」


 「それは、是非とも入ってみたいですね!!」


 これは、急いで真緒の下まで行かなくてはいけない。温泉が、リーマ達の想いを更に強くした。


 「楽しみにしてるといいよ……さぁ、着いたよ。ここが、族長の家だ」


 「へぇー、中々お洒落な住まいですね」


 温泉の話をしていたら、あっという間に目的地まで辿り着いた。族長の家は他の住居より横幅が広く、家と言うよりも屋敷と言った感じであった。


 「では、入ろうか……」


 「あ、はい」


 ククが扉を開け、三人を中へと招き入れた。


 「うわぁ~、中もお洒落ですね」


 族長の家は支える柱などを含め、ほぼ全ての内装が木の素材で、建てられていた。


 「族長は、この奥にいらっしゃるけど、失礼の無い様にお願いするよ」


 ククは、族長に迷惑を掛けないで欲しいと懇願していると、一つの人影が迫る。


 「くくさん、くくさんやい」


 そこには、(しわが)れた声でククを呼び止める鳥人がいた。羽のほとんどが抜け落ちて、腰は曲がっており、目は完全に閉じているのか、まるで生まれたての小鳥みたいに非常に細目である。


 「トハさん、どうしましたか?」


 「わしの飯はまだかの?」


 「さっき食べたばかりでしょ?」


 「ああ……そうか……」


 そう言うと“トハ”と呼ばれる鳥人は、何処かへと歩き始めた。


 「では、改めまして行きましょ「くくさん、くくさん」…………なんですか?」


 族長に会いに行こうとすると、三歩程歩いた先から再び、トハに声を掛けられるクク。


 「わしの飯はまだかの?」


 「だから、さっき食べたでしょ?」


 「……ああ……そうか……そうだったねぇ……」


 そう言うと再び、歩き始める。


 「時間を掛けてしまったね。それじゃあ、そろそろ族長に「くくさん、くくさん」………………なんですか!」


 族長に会いに行こうとすると、また、三歩程歩いた先から三度、トハに声を掛けられるクク。


 「わしの飯は「さっき食べたって言ってるでしょ!!」……ああ……そうか……そうだったねぇ……悪かったねぇ、何度も聞いてしまって……」


 「あ……いえ、あたしも強く言い過ぎました……ごめんなさい」


 トハの三度の質問につい、強い口調で言ってしまったククは、頭を下げて謝った。


 「くくさんが、気にする事では無いよ。忘れっぽいわしのせいなんだから……それより、何処かに行くつもりだったんだろう?早く行きなさい」


 「ありがとうございます……皆、行きましょう」


 ククが、トハの言葉に甘えてリーマ達をその場から連れ出した。去り際にリーマ達が見たのは、優しい暖かい微笑みを浮かべながら、こちらに手を振るトハであった。


 「急に歩かせてしまってごめんね」


 トハの姿が見えなくなると立ち止まり、リーマ達に謝罪した。


 「私達は別に気にしていませんが……あの方はいったい、誰なのですか?」


 当然の疑問を投げ掛けるリーマに、ククは静かに答え始めた。


 「あの人はトハさんと言って、この里一番の御高齢の方で、あらゆる知識が詰め込まれていて、その昔神の頭脳を持つ女、トハと呼ばれていたらしく、族長が唯一頭が上がらない人なのです」


 「そんなに……凄い人何ですか?」


 「ぞうは見えながっだげどなぁー」


 「優しそうな人なのは、間違いないと思いますよ~」


 先程の出来事しか見た事の無いリーマ達は、とても信じられずにいた。


 「トハさんは……その御高齢から、歳を重ねる毎に脳が衰え、今では三歩歩くだけで忘れてしまう程になってしまったんだ」


 「……すみません、私達何の事情も知らないのに勝手な事を言ってしまって…………」


 「いや、こればかりは仕方の無い事だと思うよ。年齢には誰も逆らえないんだから……」


 「…………」


 「…………」


 気まずい空気が流れる。どちらが悪い訳では無いのだが、それでも罪悪感は拭えなかった。そんな沈黙を破ったのは、ククであった。


 「あーあー、止め止め!こんな暗い雰囲気で族長に会ったら、叱られてしまうよ。さぁ、元気出して行くよ」


 「そうですね!いつまでも暗い顔をしてたら、マオさんに叱られますよね」


 それぞれが己の心を奮い立たせ、元気を出した。


 「それじゃあ、改めて族長に会いに行くよ!」


 「「「おおーー!!!」」」


 こうして、ククとリーマ達は族長に会う為に歩き始めた。

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