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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
第六章 冒険編 出来損ないの小鳥
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事情

更新が遅れて申し訳ありません。


 「さぁ答えろ、貴様らは何の目的でここにいるのだ!」


 二人の鳥人に弓で狙われながら、問い掛けられる。


 「わ、私達は旅の一行です。世界各地を巡っています。その道中で仲間が……」


 そこまで言いかけると、あの事がリーマの脳裏を過る。


 「(もしかして、フォルスさんがヘルマウンテンに行きたくなかったのは、追放された自分の里があるから……)」


 それは、フォルスと初めて会った時に聞かされた話だった。


 


 俺は…………飛べないんだよ。


 生まれた時からそうだった。里に住む他の子供は皆、空を飛んでいたのに俺だけ地面を歩いていた。そしてついに俺が飛べないことが里の皆にバレてしまった。その事から俺は里を追放されたんだ…………。



 

 「仲間がどうしたんだ?」


 「!!……な、仲間が怪我を負ってしまったんです!」


 言葉を急かされたリーマは、咄嗟にフォルスの事を隠してしまった。そして倒れている真緒に駆け寄る。


 「マオさん、大丈夫で……!!」


 しかし、そこでリーマの目に飛び込んできたのは、フォルスとの戦闘で突き刺さった矢であった。


 「(不味い!もし、この矢を見られてしまったら、誰に射られたか聞いて来る筈!……って、何を考えているんだ私は!!別にフォルスさんがどうなろうと関係ないじゃないか!フォルスさんはパーティーを抜けたんだから!!……でも…………)」


 リーマは今も苦しそうに倒れている真緒を見つめる。フォルスに何かあったら、恐らく真緒は悲しむだろう。頭の中で様々な感情が入り交じる。そしてリーマが導きだした答えは……。


 「マオ…………ごめん」


 そう言うとリーマは、真緒の肩に突き刺さっている矢を引き抜き、隠した。


 「ぐぅっ……!!」


 「リーマぢゃん!?」


 「なんとまぁ……」


 突然の行動に驚きを隠せないハナコとエジタス。


 「お願いします、二人供私に話を合わせてください……」


 「おい、怪我を負った仲間というのは、そいつの事か?」


 「はい!さっきのヘルプラントに襲われてしまったんです!!」


 近づいてきた鳥人達に、矢の存在を気づかれないように、ヘルプラントの仕業に見せかける。


 「そうかそれは災難だったな、回復はさせられるのか?」


 「はい、一応ポーションを持っています」


 リーマは袋から緑色のポーションを取り出すと、傷口に掛ける。すると、みるみる内に傷口が塞がっていき、傷跡はキレイさっぱり無くなった。

 「う……う………………」


 「マオぢゃん!?」


 「安心してください、気を失っただけですよ」


 痛みが引いた真緒は、静かに寝息を立てていた。


 「すまなかったな、疑ったりして……」


 「いいんですよ、里の近くで暴れていたら、気になるのは当然ですから」


 「お詫びと言っては何だが、その子を我々の里で休ませてはどうだろう?」


 鳥人の二人は、里で休んで欲しいと提案してきた。


 「えっ、いいんですか?」


 「ああ、怪我人をこのまま放っておくのは気が引けるからな……それに、お前達は世界各地を巡っているんだろ?是非、我々の里にも来て欲しい」


 「では、お言葉に甘えて……ハナコさんとエジタスさんは、それでいいですか?」


 「いいだよ、マオぢゃんがゆっぐり休めるなら、何処でも大丈夫だぁ」


 「私も、全然気にしませ~ん」


 「それじゃあ、ハナコさん。寝ているマオさんを運んで貰えますか?」


 「勿論、ぞうずるだよぉ」


 「ちょっと、待ってくれ」


 二人の了解を得たリーマは、早速真緒をおんぶする手伝いをしようとすると、鳥人の二人がそれを止める。


 「どうしましたか?」


 「客人にその様な労働はさせられない」


 そう言うと、何処からか角笛(つのぶえ)を取り出し吹き始める。プオー、という音が響き渡ったかと思うと、遠くの方から数人の鳥人が飛んで来た。


 「どうかしたのか?」


 「この方々は客人だ。しかし、仲間の一人がヘルプラントに襲われたらしくてな…………それなら、我らの里で休んで頂こうと思ったのだ」


 後からやって来た鳥人に、事情を説明する。


 「話は分かった。この人達を里まで運べば良いのだな?」


 「ああ、頼む」


 「承った。……すまないが、少しじっとしてて下さいね」


 「えっ……それってどういう……」


 リーマが問い掛ける前に、鳥人の一人がリーマの両腕を足で掴んだ。


 「飛びますよ」


 「えっ、ちょ、待っ……きゃああああ!!」


 リーマは鳥人に掴まれると、そのまま空高く舞い上がった。


 「おわ~、浮いでるだぁ!」


 「これはこれは、良い眺めですね~」


 その後に続き、ハナコ、エジタス、そして真緒が空高く舞い上がった。しかし……。


 「んぎぎ……お、重い!……」


 ハナコを持ち上げた鳥人だけ、とても苦しそうな表情をしていた。


 「お、おい!手が空いている奴は、手伝うんだ!」


 「は、はい、分かりました!」


 鳥人二人係で安定するのを見て、リーマが一言発した。


 「ハナコさん……もしかして……太った?」


 「し、失礼だよぉ!オラは熊人だから亜人の中でも、体が大ぎいだげだぁ!」


 「ごめんごめん、冗談だよ」


 宙ぶらりんになりながら会話をしていると、徐々にヘルマウンテンに近づいて来た。そしてその(ふもと)には、柵で囲まれ幾つかの高台が、そびえ立っているのが見えた。


 「もうすぐ我々の里に着くが、衝撃に備えてくれ」


 「「「衝撃?」」」


 三人が不思議に思っていると、それまで掴んでいた鳥人達が手を離した。


 「え、……嘘?」


 「「「いやああああ!!」」」


 寝ている真緒以外の三人は、高さ数十メートルの地点から落下していく。


 「うう……まだ死にたくないよ」


 「死ぬ前にお腹一杯食べだがっだなぁ……」


 「風が気持ちいいですね~」


 三人は、地面に激突すると思っていたが……落下地点の辺りに、他の鳥人よりも一際目立つ真ん丸お腹の大きな鳥人が、落ちてくる三人をお腹で受け止めた。


 「ナイスキャッチだ!流石、里一番の巨体の持ち主」


 「もぉー、いきなりー、落とすなんてー、危ないじゃないかー」


 語尾を伸ばすように発音する大きな鳥人は、受け止めたリーマ達を地面へと降ろした。


 「大丈夫ー?怪我とかして無いー?」


 「は、はい……何とか……」


 「じゃあ早速里に入って貰う訳だが、その前に今更だが、自己紹介をさせてくれ」


 リーマを落とした鳥人が降り立ち、自己紹介をする。


 「俺はビント。そして、この巨体の鳥人がペングだ」


 「どうもー、よろしくー」


 「私はリーマです」


 「オラば、ハナコっで言いまず」


 「ど~も初めまして“道楽の道化師”エジタスと申しま~す」


 お互いが自己紹介し終わると、ビントは里の前にある大きな門に手を掛ける。


 「では歓迎しよう。ようこそ!我々、鳥人の里へ!!」


 ビントが門を開くとそこには、空を自由に飛び交う、鳥人達の姿があった。

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