事情
更新が遅れて申し訳ありません。
「さぁ答えろ、貴様らは何の目的でここにいるのだ!」
二人の鳥人に弓で狙われながら、問い掛けられる。
「わ、私達は旅の一行です。世界各地を巡っています。その道中で仲間が……」
そこまで言いかけると、あの事がリーマの脳裏を過る。
「(もしかして、フォルスさんがヘルマウンテンに行きたくなかったのは、追放された自分の里があるから……)」
それは、フォルスと初めて会った時に聞かされた話だった。
俺は…………飛べないんだよ。
生まれた時からそうだった。里に住む他の子供は皆、空を飛んでいたのに俺だけ地面を歩いていた。そしてついに俺が飛べないことが里の皆にバレてしまった。その事から俺は里を追放されたんだ…………。
「仲間がどうしたんだ?」
「!!……な、仲間が怪我を負ってしまったんです!」
言葉を急かされたリーマは、咄嗟にフォルスの事を隠してしまった。そして倒れている真緒に駆け寄る。
「マオさん、大丈夫で……!!」
しかし、そこでリーマの目に飛び込んできたのは、フォルスとの戦闘で突き刺さった矢であった。
「(不味い!もし、この矢を見られてしまったら、誰に射られたか聞いて来る筈!……って、何を考えているんだ私は!!別にフォルスさんがどうなろうと関係ないじゃないか!フォルスさんはパーティーを抜けたんだから!!……でも…………)」
リーマは今も苦しそうに倒れている真緒を見つめる。フォルスに何かあったら、恐らく真緒は悲しむだろう。頭の中で様々な感情が入り交じる。そしてリーマが導きだした答えは……。
「マオ…………ごめん」
そう言うとリーマは、真緒の肩に突き刺さっている矢を引き抜き、隠した。
「ぐぅっ……!!」
「リーマぢゃん!?」
「なんとまぁ……」
突然の行動に驚きを隠せないハナコとエジタス。
「お願いします、二人供私に話を合わせてください……」
「おい、怪我を負った仲間というのは、そいつの事か?」
「はい!さっきのヘルプラントに襲われてしまったんです!!」
近づいてきた鳥人達に、矢の存在を気づかれないように、ヘルプラントの仕業に見せかける。
「そうかそれは災難だったな、回復はさせられるのか?」
「はい、一応ポーションを持っています」
リーマは袋から緑色のポーションを取り出すと、傷口に掛ける。すると、みるみる内に傷口が塞がっていき、傷跡はキレイさっぱり無くなった。
「う……う………………」
「マオぢゃん!?」
「安心してください、気を失っただけですよ」
痛みが引いた真緒は、静かに寝息を立てていた。
「すまなかったな、疑ったりして……」
「いいんですよ、里の近くで暴れていたら、気になるのは当然ですから」
「お詫びと言っては何だが、その子を我々の里で休ませてはどうだろう?」
鳥人の二人は、里で休んで欲しいと提案してきた。
「えっ、いいんですか?」
「ああ、怪我人をこのまま放っておくのは気が引けるからな……それに、お前達は世界各地を巡っているんだろ?是非、我々の里にも来て欲しい」
「では、お言葉に甘えて……ハナコさんとエジタスさんは、それでいいですか?」
「いいだよ、マオぢゃんがゆっぐり休めるなら、何処でも大丈夫だぁ」
「私も、全然気にしませ~ん」
「それじゃあ、ハナコさん。寝ているマオさんを運んで貰えますか?」
「勿論、ぞうずるだよぉ」
「ちょっと、待ってくれ」
二人の了解を得たリーマは、早速真緒をおんぶする手伝いをしようとすると、鳥人の二人がそれを止める。
「どうしましたか?」
「客人にその様な労働はさせられない」
そう言うと、何処からか角笛を取り出し吹き始める。プオー、という音が響き渡ったかと思うと、遠くの方から数人の鳥人が飛んで来た。
「どうかしたのか?」
「この方々は客人だ。しかし、仲間の一人がヘルプラントに襲われたらしくてな…………それなら、我らの里で休んで頂こうと思ったのだ」
後からやって来た鳥人に、事情を説明する。
「話は分かった。この人達を里まで運べば良いのだな?」
「ああ、頼む」
「承った。……すまないが、少しじっとしてて下さいね」
「えっ……それってどういう……」
リーマが問い掛ける前に、鳥人の一人がリーマの両腕を足で掴んだ。
「飛びますよ」
「えっ、ちょ、待っ……きゃああああ!!」
リーマは鳥人に掴まれると、そのまま空高く舞い上がった。
「おわ~、浮いでるだぁ!」
「これはこれは、良い眺めですね~」
その後に続き、ハナコ、エジタス、そして真緒が空高く舞い上がった。しかし……。
「んぎぎ……お、重い!……」
ハナコを持ち上げた鳥人だけ、とても苦しそうな表情をしていた。
「お、おい!手が空いている奴は、手伝うんだ!」
「は、はい、分かりました!」
鳥人二人係で安定するのを見て、リーマが一言発した。
「ハナコさん……もしかして……太った?」
「し、失礼だよぉ!オラは熊人だから亜人の中でも、体が大ぎいだげだぁ!」
「ごめんごめん、冗談だよ」
宙ぶらりんになりながら会話をしていると、徐々にヘルマウンテンに近づいて来た。そしてその麓には、柵で囲まれ幾つかの高台が、そびえ立っているのが見えた。
「もうすぐ我々の里に着くが、衝撃に備えてくれ」
「「「衝撃?」」」
三人が不思議に思っていると、それまで掴んでいた鳥人達が手を離した。
「え、……嘘?」
「「「いやああああ!!」」」
寝ている真緒以外の三人は、高さ数十メートルの地点から落下していく。
「うう……まだ死にたくないよ」
「死ぬ前にお腹一杯食べだがっだなぁ……」
「風が気持ちいいですね~」
三人は、地面に激突すると思っていたが……落下地点の辺りに、他の鳥人よりも一際目立つ真ん丸お腹の大きな鳥人が、落ちてくる三人をお腹で受け止めた。
「ナイスキャッチだ!流石、里一番の巨体の持ち主」
「もぉー、いきなりー、落とすなんてー、危ないじゃないかー」
語尾を伸ばすように発音する大きな鳥人は、受け止めたリーマ達を地面へと降ろした。
「大丈夫ー?怪我とかして無いー?」
「は、はい……何とか……」
「じゃあ早速里に入って貰う訳だが、その前に今更だが、自己紹介をさせてくれ」
リーマを落とした鳥人が降り立ち、自己紹介をする。
「俺はビント。そして、この巨体の鳥人がペングだ」
「どうもー、よろしくー」
「私はリーマです」
「オラば、ハナコっで言いまず」
「ど~も初めまして“道楽の道化師”エジタスと申しま~す」
お互いが自己紹介し終わると、ビントは里の前にある大きな門に手を掛ける。
「では歓迎しよう。ようこそ!我々、鳥人の里へ!!」
ビントが門を開くとそこには、空を自由に飛び交う、鳥人達の姿があった。
評価・コメントお待ちしています。




