大海原へ
12時更新が出来て、とても嬉しいです。
何日続くかな……。
「「「「「船長!!!」」」」」
巻き上がった砂が晴れ、そこにいたのは大の字で倒れているジェドとそれを上から見下ろす真緒だった。
「マオ!」
「マオぢゃん!」
「マオさん!」
「皆!」
真緒の勝利を喜び、フォルス達が駆け寄る。
「よくやったな!俺達はお前が勝つのを信じていたぞ」
「皆……私を信じてくれてありがとう!」
真緒はフォルス達に深々と頭を下げる。
「マオぢゃんが無事で良がっだぁ……」
「よくあの状況で倒す事が出来ましたね?」
「ああ、それは師匠のおかげだよ」
「エジタスさんが?」
仲間達に褒められる真緒は、エジタスの方に顔を向ける。
「師匠が言ってくれた“あなたは今、目が見えません。でもだからこそ有利でもあるんですよ”この助言は、見えないからこそ相手の油断を誘い、不意を突くことが出来るって意味だったんですよね?」
「半分正解で半分ハズレですね」
「えっ、どういう事ですか?」
てっきり正解を引き当てたと思っていた真緒は、エジタスの返答に驚きを隠せないでいた。
「私が言いたかったのは考えるばかりなのを止めて、心の行くままにするのも大切ですよ、という意味も含めて言ったんですよ」
「そ、そうだったんですか……」
「まぁ、マオさんの場合そんな助言など、必要なかったかと思いますがね~」
「いえいえ!師匠の助言が無かったら、今頃何も出来ずに殺られていたかもしれませんから……」
「そうですか?なら、お役に立てて光栄です」
真緒の素直なお礼に鼻を高くするエジタス。
「船長ー!!」
「しっかりしてください!」
倒されたジェドを囲み、安否を心配する海賊達を見かねて、真緒は歩み寄る。
「安心してください、殺してはいません。気絶しているだけです」
「お前……よくも船長を……ぶっ殺して「待て!」」
海賊達が真緒に復讐しようとすると、目を覚ましたジェドに止められる。
「船長!無事だったんですね!」
「……どうして殺さなかった?」
ジェドは自身が生きている事に疑問を持った。
「一騎討ちで尚且つ目が見えないあの状況だ……殺しても誰も文句は言わない。それなのにどうしてだ?」
「えっ、だって勝ったらいいって言うから、別に殺さなくても勝つ方法はあるかなーって思ったんだけど……」
「…………ぷっ、あははははは!」
「せ、船長!?」
当たり前の様に話す真緒に、思わず笑ってしまったジェド。
「あーあー、負けだ負けだ。約束通り俺達に命令しな、何でも聞いてやるよ」
「しかし、船長……こいつらの言うことなんて……」
「馬鹿野郎!!海の男が一度交わした約束を破るなんて、言語道断だ!」
「す、すみません!」
手下の一人が負けた事に納得出来ずにいると、ジェドが怒鳴り付けた。
「待たせて悪かったな。それで、何を命令するんだ?」
「あ、えっと……あなた達の船をしばらくの間、貸してくれないかな?」
「貸す?貰うんじゃなくてか?」
「うん、海賊さん達から船を奪うのは流石に酷かなって……」
「……まぁ、別にいいけどよ。なんつーか、お人好しだなお前、何でも命令できるんだからもっと欲を出していいんだぜ」
真緒の甘い要求に、少し拍子抜けのジェドであった。
「そうかも知れないけど、私がそうしたいと思ったの」
「そうかい、そういう事なら仕方ないか……じゃあ、貸している間はお前が船長だ!」
「……えっ、私がですか!?」
「せ、船長……流石にそれは……」
「いいんだよ、奪われる事になっていたらどの道、船長は交代してたんだ。だったら、一時的でも船長の気分を味わって貰いてぇじゃないか!ええっと……そういえば、お前名前は?」
「佐藤 真緒です」
「よし、マオ。今日からお前が船長だ!よろしく頼むぜ、マオ船長!」
「そ、そんな私が船長だなんて……」
「おい、テメーら!マオ船長がすぐに出港が出来るよう、船の準備を整えるぞ!」
「「「「「おおーー!!!」」」」」
真緒の言葉はジェドを含めた海賊達には届かず、そのまま船の方へと走って行ってしまった。
「ど、どうしよう……」
「いいじゃないんですか?船長って肩書き似合ってますよ」
「リーマ……あ、そうだ。皆、ごめん……船を貰うって言ったのに借りる形になっちゃって……」
「別に気にしていないさ」
「マオぢゃんが決めた事なら、オラは信じられるだよ」
「それに、素人の私達が船なんて高度な物を動かすのは無理ですからね」
「とてもいい判断でしたよ~マオさ~ん」
「ありがとうございます!」
仲間の許可を得ずに話を進めてしまった真緒だったが、仲間が寛大な心の持ち主で良かったと思う。
「これからよろしくお願いしますね、“マオ船長”」
「ちょっと、リーマ!」
「「「「あはははははは」」」」
「おーいマオ船長、ちょっといいかー?」
皆で笑っていると、船の方から走ってくるジェド。その両手には何かを抱えていた。
「ジェドさん、もう出港の準備が出来たんですか?」
「ああいや、それはまだなんだが……その前に船長らしい格好になってもらおうと思ってな。他の仲間達の分もあるぞ」
「本当ですか!?」
「オラも着れるがなぁ?」
「なんだかワクワクしますね」
「ああ、そうだな」
そう言うと各々は、渡された服に着替える。
***
「なかなか良いですね」
「オラにも合うサイズがあっで良がっだぁ」
「少し、羽が窮屈だな……」
リーマ、ハナコ、フォルスの三人はそれぞれ色違いのバンダナに、シャツとベルトを身に付けていた。
「皆、お待たせ」
「マオぢゃん、ガッゴいいだなぁ」
「凄く似合っています!」
「サイズもピッタリのようだな」
真緒の服は船長という事もあり、ジェドと色違いの黒いコートに身を包み、真っ黒な帽子を被っていた。
「えへへ、そうかな?」
「着替えたか?おおー、全員よく似合っているじゃねぇか!これでお前達も立派な海の男だな!」
「私達は女なんですけど……」
「海の上では男も女も関係ねぇ!船で大海原に出た者は、全員海の男だ!」
ジェドは親指を突き立て言った。
「……それにしても、本当によかったのか?着替えなくても……」
そう言うジェドの目線の先には、いつもの服装と変わらないエジタスがいた。
「ええ~、私はこの服装が気に入っていますから」
「そうか……」
「船長ー……じゃなかった……ジェドさーん!」
船の方から呼ぶ声が聞こえる。顔を向けると、手下の一人が手を振っている。
「出港準備が整いました!!」
「分かった!準備が整ったようだ。早速行くか、船長?」
「そうですね、それじゃあ皆行こう!」
真緒の言葉に仲間全員が頷いた。
「わぁー、これが船の甲板ってやつですか」
船に上がると、元いた世界の映画でよく見る光景が広がっていた。甲板では海賊達が、上がってきた船長である真緒に顔を向ける。
「では、船長。出港の合図をお願いします」
ジェドが背中をポン、と叩き前へと押し出す。
「……それじゃあ皆、まだ見ぬ冒険の海に出港だー!!」
「「「「「おおーー!!!」」」」」
こうして真緒達は大海原へと旅立ったのである。
遂に真緒達が大海原へと旅立ちました。
次回もお楽しみに!
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