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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
第四章 冒険編 オークと子供達
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真緒パーティー VS オーク

更新が遅れて申し訳ありません。

戦闘の描写が難しい。

 「ハナちゃん、一気に決めるよ!」


 「分がっだぁ!」


 真緒とハナコはオークに向かって走り出す。


 「いくよ!スキル“ロストブレイク”!!」


 「スキル“熊の一撃”!!」


 真緒とハナコの連携攻撃が、オークへと放たれる。


 「……フン!」


 しかし、それを難なく両腕でガードする。


 「そんな!?」


 「オラ達の渾身の一撃を……」


 「威力は申し分ない……しかし、それだけの話だ。我を倒すのは百万年早いわ!!」


 オークは360度回転して、フルスイングで真緒達を()ぎ払った。


 「きゃ!」


 「うぐっ……」


 見た目に似合わず素早い攻撃に反応が遅れ、まともに食らってしまう。


 「マオさん!ハナコさん!よくも二人を……今度は私が相手です!!」


 リーマは魔導書を開き、魔法を唱える。


 「“スネークフレイム”!!」


 リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、オークに放たれる。


 「(ぬく)いわ!!」


 しかし、放れたリーマの魔法は、オークの足に踏み潰され消滅した。


 「……っ、やはりそうなりますか、それなら、“ウォーターキャノン”!!」


 リーマの目の前に、大きな水の塊が形成され、その塊はオーク目掛けて飛んでいく。


 「片腹痛いわ!!」


 オーク目掛けて飛んでいく水の塊は、突き出した拳とぶつかり合い、弾け散った。


 「そんな、これでも駄目なの……」


 真緒とハナコに続き、リーマの攻撃を意図も簡単に対処するオークに、真緒達は絶望の色に染まっていく。


 「貴殿達を見るに、相当なステータスを要していると判断する……だがしかし!笑止千万(しょうしせんばん)!!そんな物は只の数字にしか過ぎない!真の強者に必要なもの、それは“心”である!!」


 オークの怒鳴り声は洞窟内である為、反響してより大きく響き渡る。


 「我には、絶対に守らなければいけない存在がいる。それを守れるなら我はこの命を差し出そう!!命を掛けられない貴殿達には決して負けぬ!!覚悟の違いを思い知れ!!!」


 オークは真緒達に向けてスキルを放つ。


 「スキル“ストロングクエイク”!!」


 オークは両腕を掲げ拳を作ると、そのまま地面に叩きつける。すると、激しく揺れ始めた。


 「うっ……」


 「ゆ、揺れでるだぁ」


 「立ってられません……」


 「おわ、おわ、おわわわわ」


 あまりの震動に立つことが出来ない四人。さらに追い討ちを掛けるように、オークが殴り掛かる。


 「フン!」


 「がっ!はぁ……」


 真緒はお腹に強烈なフックを貰い、その場に倒れる。


 「マオぢゃん!」


 「余所見している場合か!」


 「!!」


 ハナコが真緒の安否を心配していると、既に目の前にはオークが拳を振るおうとしていた。ハナコは咄嗟に両腕を顔の前に立てて、ガードの構えを取る。


 「甘いわ!」


 「ゲボァ!!」


 しかし予測していたのか、オークは拳ではなく足でハナコの横腹を蹴り払った。


 「ハナコさん!」


 「案ずるな、すぐに後を追わせてやる」


 既にリーマの目の前には、オークが立っていた。


 「まだです!私には音魔法がっ……!」


 リーマが音魔法を放とうとする前に、オークがリーマの喉を掴み上げる。


 「魔法使いの長所は、魔法が使える事。ならばその魔法を唱えさせなくすればいい。悪いが喉を潰させてもらう」


 「がぁ……ぁ……」


 ミシミシという嫌な音を立てながら、徐々にオークの掴む力が強くなっていく。


 「本当にすまない……」


 「……ぁ……ぁ……」


 「流石に、見過ごす訳にはいきませんね~」


 「!!?」


 突如、オークの背後から声が聞こえてくる。急いで振り返るとそこには、いやらしい笑みを浮かべる道化師が立っていた。


 「ほい!」


 「ぐお!?」


 エジタスは、オークが振り返ると同時に、持っていたナイフで腕を切りつけた。あまりに突然の出来事に思わず、掴んでいた手を離してしまう。


 「大丈夫ですか?」


 その一瞬の隙を見逃さず、リーマを救出した。


 「ゲホ、ゲホゲホッゲホ、ゲホ、ゲホ……エジタスさん、助けて頂きありがとうございます」


 「いえいえ、気にしないでください。これが私に出来る唯一の事ですから」


 「エジタスさん、お願いします。マオさんとハナコさんも助けてやってください」


 「それは、出来ませんね~」


 「え……?」


 まさかの返答に戸惑いを隠せないリーマ。


 「何だ、貴殿は闘わないのか?」


 「はい、無駄な事はしない主義なので~」


 「何で……何でそんな事を言うんですか!!」


 エジタスが仲間を見捨てる様なことを言うなんて、信じたくなかった。


 「そりゃあ……ね~」


 エジタスは倒れている真緒とハナコに目を向ける。すると……。


 「はぁー、ビックリした」


 「「!!」」

 

 「痛がっだなぁ」


 「「!!!」」


 真緒とハナコは何事も無かったかのように起き上がる。


 「いったい、どういう事だ!?」


 「ステータスは只の数字。真の強者に必要なのは心、確かにそうかもしれませんね~。しかし、ステータスの数字というのは、事実を突きつける為の表示形式なんですよ」


 「何が言いたい……」


 「いえ、ですから~…………あなたの攻撃力では、マオさん達は殺せないんですよ」


 「!!」


 真緒達のステータスを上回るステータスでなければ、ダメージを与える事は出来ない。その事実を知ってしまったオークは、ショックのあまり俯いてしまうが、すぐに顔を上げた。


 「だとしても、貴殿達が我を倒せるかどうかは別の話だ」


 「……師匠、悔しいですけど、奴が言っている事は正しいです」


 「そうですね~。いくらステータスが高くても、それに似合った技術が無いと意味を成しません」


 「ですので、どうか私達にお力をお貸しください」


 真緒は倒す(すべ)として、エジタスに転移や滑稽な躍りをしてもらい、その間に倒す事を考えていた。


 「駄目ですよ~、毎回助けがあるとは限らないのですから、頑張って自分の力だけで達成してみてください」


 「そんな~……」


 エジタスに断られてしまい、真緒は頭を抱え別の方法を考えていた。


 「そうですね~、助言するとすれば……スキルや魔法は、攻撃目的に使うだけではない……でしょうかね~」


 「「「!!」」」


 三人は顔を見合わせ、ヒソヒソと小声で話し合う。


 「……試してみる?凄く危険な賭けだよ」


 「オラは信じでいるがら、大丈夫だぁ……」


 「私も、やってみる価値はあると思います」


 「…………野暮な質問だったね。じゃあ、作戦開始!」


 真緒の掛け声と同時に、オークを取り囲む。


 「作戦会議は終わったみたいだな。だが、言ったであろう。貴殿達では我を倒すのは不可能だ!」


 「ええ、分かっています。“私達では”倒せません。スキル“ロストブレイク”」


 真緒はスキルを放つが、オークではない在らぬ方向へ放った。


 「……何をしている?」


 「ハナちゃん!」


 「行くだよ!スキル“熊の一撃”」


 ハナコはスキルを放つが、それはオークにではなく、真緒と同じオークの頭上にある洞窟の“天井”に向かって放った。


 「!!まさか……貴殿達の目的は!」


 「仕上げです、リーマ!」


 「はい!“ウォーターキャノン”!」


 リーマの目の前に、大きな水の塊が形成され、その塊はオークの頭上目掛けて飛んでいく。


 「クソ!」


 オークは、急いでその場を離れようとすると……。


 「逃げてはいけませんよ~。スキル“滑稽な踊り”」


 「ぐっ!……」


 オークは強制的に、エジタスから視線を外せなくなり、一瞬動けなくなった。そして、その一瞬が重要であった。オークの頭上にヒビが入り天井が崩れ落ちてきた。


 「ぐおおおお!!!」


 オークは崩れた土の下敷きになった。


 「やったー!!作戦大成功!!」


 「オラ達、勝でだんだぁ!」


 「嬉しいです!!」


 三人が勝利の酔いに浸っていると……。


 「うおおおおおお!!!」


 「そんな!?」

 

 突如、崩れ落ちた土が吹き飛び、四方八方へと飛び散る。そこに立っていたのは、息を荒くしているオークであった。


 「はぁ、はぁ、はぁ、まさか……我にではなく、その頭上にある土塊(つちくれ)を攻撃して崩れさせるのが目的だったとはな………しかし、我は今こうして生きている!貴殿達には負けてはおらぬ!!…………ぐっ」


 しかし、そう言ったオークは片膝をついた。


 「…………我の負けだ。止めを刺してくれ」


 「…………」


 真緒は、無言のまま持っていた剣をオークに向ける。剣を高く掲げ、振り下ろそうとした瞬間!


 「やめてーーー!!」


 「!!」


 オークの目の前には、数十人の子供達が両手を広げ、オークを庇うように立ち塞がる。


 「皆、退いて!危ないよ!!」


 「いやだ!!どかない!だって、おーくさんは、なにもわるいことしてないもん!!」


 「そうだよ!おーくさんは、あたしたちをたすけてくれたんだよ!」


 「何を言ってるの?……オーク、あなたがこの子達を拐ったんじゃないの?」


 拐われた筈の子供達は、オークを庇うような行動を取った。その事に戸惑いを見せる真緒達。


 「何を言ってる……貴殿達こそ、この子達を拐うよう命令されたのだろう?」


 「命令なんかされていない!私達は拐われた子供達を助け出してほしいって、村の人達から頼まれて……」


 「まさか……お互い勘違いをしていたのか?だとしたら、貴殿達は騙されている!その村人達は………ぐぁ!!!」


 「おーくさん!!」


 その時突然、オークの肩に斧が突き刺さった。


 「どうしたの!?」


 真緒達が突然の出来事に混乱していると、後ろの方から聞き覚えのある声が響き渡る。


 「いやー、皆さんご苦労様でした」


 「そのオークの始末は我々に任せてください」


 そこにいたのは、村の入口で助けを求めてきたあの、村人の二人組だった。

次回 衝撃の真実 お楽しみに!


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