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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
第三章 冒険編 オオラカ村の笑わない少女
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オオラカ村

最近、更新を夜中に出来ず辛いです。

それでも毎日更新は忘れない。

 初めまして、佐藤 真緒です。この異世界に転移させられてから色々な事がありました。城から追い出され、その先で師匠に出会い、素敵な仲間達も出来ました。そんな私達は世界各地を巡る旅をしているのです。そして、今現在私達は……。


 「アメリアを笑わせたいかー!」


 「「「「「おおー!!」」」」」


 大勢の観客の声が響き渡る。その観客の中にはハナちゃんとリーマ、そして私自身も混ざっている。何故こうなったかと言うと、話は私達が村に着いた直後に遡る。




***




 「“第一回アメリアを笑わせましょう大会”開催でございます!!」


 村に着くとそこでは、巨大なステージの上で声を張り上げる男と、その下で盛り上がっている村人達がいた。


 「こ、これはいったい……」


 「おや、あんたたち旅の人かい?」


 真緒達が呆気に取られていると、一人の村人が話し掛けてきた。


 「はえー、亜人を二人も連れてるなんて……あんたの奴隷なのかい?」


 村人は真緒の側にいた、ハナコとフォルスを見ていた。


 「いえ、違い「ああ、その通りだ」ま…………え?」


 フォルスの言葉に理解が追い付かない。真緒はフォルスを引っ張り、村人に聞こえないように小声で話す。


 「ちょっと、フォルスさん!どういうつもりですか!?」


 「どうもこうも人間は基本、魔族や俺達亜人を嫌っている。まぁ、お前のような例外もいるとして……。とにかく、仲間と言って怪しまれるより、奴隷と言う方が都合がいい」


 「オラは本当に奴隷だけどなぁ」


 二人の内緒話に参加してきたハナコ。


 「…………分かりました。そう言う事なら協力しましょう」


 「助かる」


 「あの~、どうかなさいましたか?」


 突然コソコソ会話を始めたので心配して声を掛けてきた。


 「あ、ああー、何でも無いですー、大丈夫なので、心配しないでください。そ、それより、これはいったい何をしているんですか?」


 「ああ……村長の娘さんの、笑顔を取り戻す為の大会だよ」


 「娘さん?」


 「ほら、あのステージの上にいるだろ?そんで、司会者はその子の父親」


 ステージの方を見てみると、声を張り上げている司会者の男の他に、小さな丸椅子に“チョコン”と座る少女がいた。


 「ベッピンざんだなぁ~」


 「ほんと、お人形さんみたい……」


 綺麗な紫色の長髪に黒色の瞳、そして何より全く微動だにしない顔。一点を見つめるその姿はまさに人形を思わせる。


 「いつからだったかな~、昔はよく笑う子だったんだよ」


 「そうなんですか?」


 「ああ、だがある日母親が病に倒れて、そのまま亡くなってしまったんだ……」


 「…………それが原因で、笑わなくなったんですね」


 当然の理由だ。大切な母親を無くした辛さを、真緒は身を持って知っている。


 「いや、母親が亡くなってもよく笑ってたよ」


 「え!?」


 予想外の展開に驚きを隠せない。


 「亡くなる直前に“笑顔の素敵な女性になってね”って言ったらしく、本当によく笑う子だったよ」


 「じゃあ、どうして……?」


 「分からない……あの子に笑顔が無くなったのは、母親が亡くなってから一ヶ月たった頃だ。気づいた時には、もうあんな感じになっていたんだ」


 「そうだったんですか……でも、それならどうして、大会なんて開いているんですか?」


 「ああ、それは村長がもう自分の力では、娘を笑わせる事は出来ない。それだったら、笑わせるのに自信がある人を集めようって思いついてね」


 色々と明らかになっていく、この大会の目的。真緒達が話を聞いてると……。


 「さぁ!盛り上がってきたところで、大会の優勝商品の発表です!!」


 「優勝商品?」


 「やっばり、ぞういうのも出るんだなぁ」


 「いったい何でしょうか?」


 「気になるところではあるな……」


 「そうですね~」


 するとステージ上に、見覚えのある村人が両手に何かを乗せて、上がって来た。


 「あれ、あそこにいる人。あなたに凄く似ていますね…………ってあれ?」


 振り返ると、そこには村人の姿はなかった。


 「いつの間に……」


 先程の説明をしてくれた村人は、ステージの上で村長に、優勝商品を手渡していた。


 「こちらになります」


 「ありがとう…………。こちらが大会の優勝商品“アーメイデの魔導書”の引きちぎられたページです!!」


 司会者……もとい、村長は一枚の破れてシワシワの紙を高く上げて、遠くの人にも見えやすくした。


 「ええー!何だよ、只の紙かよ!?」


 「期待して損した」


 優勝商品が分かった途端、村人の大半が不満の声をあげる。しかし、真緒達は違った。


 「え!?アーメイデって確か……」


 「師匠の形見……」


 そう、リーマの旅の目的の一つである師匠の形見の、引きちぎられたページが優勝商品であった。


 「マオさん!この大会に出ましょう!!」


 「…………」


 「私どうしても、あのページが欲しいです。師匠が叶えられなかった夢を私が「リーマ」…………」


 続けて言おうとするが、真緒に遮られた。


 「そんなこと言わなくても、最初から参加するつもりだよ」


 「え?」


 「だって、大切な仲間の目的の一つがここにあるんだから、何よりも最優先するのは当然だよ!」


 「マオさん……」


 「そんだぁ、困っだ時ばお互い様でねぇか」


 「ハナコさん……」


 「俺達はパーティーなんだ、頼み事なんて水臭いじゃないか」


 「フォルスさん……」


 「一人は皆の為に、皆は一人の為に、皆で支え合いましょう~」


 「エジタスさん……」


 嬉しい。仲間がいる事がこんなにも、嬉しいなんて……。言わなくても、通じ合っている。リーマはこの時ようやく、仲間の素晴らしさに気がついた。


 「さぁ!リーマの為にも、あの子を笑わせて優勝するぞ!」


 「「「「おおー!!」」」」


 こうして私達はこの“第一回アメリアを笑わせましょう大会”に出場することになった。




***




 「それではルールをご説明します!」


 司会者が大会の基本的なルールを説明する。


 「まず、挑戦者の方は一人ずつステージの上に上がってもらいます。」


 そう言う司会者の指差した方向には、ステージに上がるための階段があった。


 「次に挑戦権は、一人一回までとさせてください。そうでなければ、私共も終わる事が出来ません。さらに、制限時間は“一分”とさせてください。いつまでも、だらだらやられてしまうと、他の挑戦者の邪魔になります。ご注意を……」


 「一人一回に制限時間は一分……」


 「厳しいですね~」


 「それでも……やるしかありません!」



 リーマの言葉に全員が頷く。


 「さぁー!最初の挑戦者は誰かな?」


 「俺から行かせて貰おうか?」


 するとステージに上がったのは、筋肉隆々のたくましい肉体の持ち主だった。


 「へへへ……」


 男は片手を拳にしてもう片方の手で掴み、バキボキと鳴らす。反対側も同じように鳴らした。


 「それでは一分間、始め!」


 「…………ミィヤァァオ」


 「ブフゥ!?」


 筋肉隆々の男からは考えられないほどの高音質な声、思わず吹き出してしまった真緒。それに感化されるように周りの人達も笑い始める。そして、肝心のアメリアはというと…………。


 「…………」


 無反応。微動だにしない顔に、筋肉の男も戸惑いが見え始める。


 「……に、ニィヤァァオ」


 再び、高音質な猫撫で声を発するも、アメリアは眉一つ動かさない。


 「はい、時間切れです。残念でしたね、お疲れさまでした」


 「そ、そんなこの俺が……」


 男は重い足取りで、ステージから降りてきた。


 「さぁ!続いての挑戦者は誰ですか?」


 「これは厳しいかもしれない……」


 真緒の呟いた言葉は核心を突いていた。

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