オオラカ村
最近、更新を夜中に出来ず辛いです。
それでも毎日更新は忘れない。
初めまして、佐藤 真緒です。この異世界に転移させられてから色々な事がありました。城から追い出され、その先で師匠に出会い、素敵な仲間達も出来ました。そんな私達は世界各地を巡る旅をしているのです。そして、今現在私達は……。
「アメリアを笑わせたいかー!」
「「「「「おおー!!」」」」」
大勢の観客の声が響き渡る。その観客の中にはハナちゃんとリーマ、そして私自身も混ざっている。何故こうなったかと言うと、話は私達が村に着いた直後に遡る。
***
「“第一回アメリアを笑わせましょう大会”開催でございます!!」
村に着くとそこでは、巨大なステージの上で声を張り上げる男と、その下で盛り上がっている村人達がいた。
「こ、これはいったい……」
「おや、あんたたち旅の人かい?」
真緒達が呆気に取られていると、一人の村人が話し掛けてきた。
「はえー、亜人を二人も連れてるなんて……あんたの奴隷なのかい?」
村人は真緒の側にいた、ハナコとフォルスを見ていた。
「いえ、違い「ああ、その通りだ」ま…………え?」
フォルスの言葉に理解が追い付かない。真緒はフォルスを引っ張り、村人に聞こえないように小声で話す。
「ちょっと、フォルスさん!どういうつもりですか!?」
「どうもこうも人間は基本、魔族や俺達亜人を嫌っている。まぁ、お前のような例外もいるとして……。とにかく、仲間と言って怪しまれるより、奴隷と言う方が都合がいい」
「オラは本当に奴隷だけどなぁ」
二人の内緒話に参加してきたハナコ。
「…………分かりました。そう言う事なら協力しましょう」
「助かる」
「あの~、どうかなさいましたか?」
突然コソコソ会話を始めたので心配して声を掛けてきた。
「あ、ああー、何でも無いですー、大丈夫なので、心配しないでください。そ、それより、これはいったい何をしているんですか?」
「ああ……村長の娘さんの、笑顔を取り戻す為の大会だよ」
「娘さん?」
「ほら、あのステージの上にいるだろ?そんで、司会者はその子の父親」
ステージの方を見てみると、声を張り上げている司会者の男の他に、小さな丸椅子に“チョコン”と座る少女がいた。
「ベッピンざんだなぁ~」
「ほんと、お人形さんみたい……」
綺麗な紫色の長髪に黒色の瞳、そして何より全く微動だにしない顔。一点を見つめるその姿はまさに人形を思わせる。
「いつからだったかな~、昔はよく笑う子だったんだよ」
「そうなんですか?」
「ああ、だがある日母親が病に倒れて、そのまま亡くなってしまったんだ……」
「…………それが原因で、笑わなくなったんですね」
当然の理由だ。大切な母親を無くした辛さを、真緒は身を持って知っている。
「いや、母親が亡くなってもよく笑ってたよ」
「え!?」
予想外の展開に驚きを隠せない。
「亡くなる直前に“笑顔の素敵な女性になってね”って言ったらしく、本当によく笑う子だったよ」
「じゃあ、どうして……?」
「分からない……あの子に笑顔が無くなったのは、母親が亡くなってから一ヶ月たった頃だ。気づいた時には、もうあんな感じになっていたんだ」
「そうだったんですか……でも、それならどうして、大会なんて開いているんですか?」
「ああ、それは村長がもう自分の力では、娘を笑わせる事は出来ない。それだったら、笑わせるのに自信がある人を集めようって思いついてね」
色々と明らかになっていく、この大会の目的。真緒達が話を聞いてると……。
「さぁ!盛り上がってきたところで、大会の優勝商品の発表です!!」
「優勝商品?」
「やっばり、ぞういうのも出るんだなぁ」
「いったい何でしょうか?」
「気になるところではあるな……」
「そうですね~」
するとステージ上に、見覚えのある村人が両手に何かを乗せて、上がって来た。
「あれ、あそこにいる人。あなたに凄く似ていますね…………ってあれ?」
振り返ると、そこには村人の姿はなかった。
「いつの間に……」
先程の説明をしてくれた村人は、ステージの上で村長に、優勝商品を手渡していた。
「こちらになります」
「ありがとう…………。こちらが大会の優勝商品“アーメイデの魔導書”の引きちぎられたページです!!」
司会者……もとい、村長は一枚の破れてシワシワの紙を高く上げて、遠くの人にも見えやすくした。
「ええー!何だよ、只の紙かよ!?」
「期待して損した」
優勝商品が分かった途端、村人の大半が不満の声をあげる。しかし、真緒達は違った。
「え!?アーメイデって確か……」
「師匠の形見……」
そう、リーマの旅の目的の一つである師匠の形見の、引きちぎられたページが優勝商品であった。
「マオさん!この大会に出ましょう!!」
「…………」
「私どうしても、あのページが欲しいです。師匠が叶えられなかった夢を私が「リーマ」…………」
続けて言おうとするが、真緒に遮られた。
「そんなこと言わなくても、最初から参加するつもりだよ」
「え?」
「だって、大切な仲間の目的の一つがここにあるんだから、何よりも最優先するのは当然だよ!」
「マオさん……」
「そんだぁ、困っだ時ばお互い様でねぇか」
「ハナコさん……」
「俺達はパーティーなんだ、頼み事なんて水臭いじゃないか」
「フォルスさん……」
「一人は皆の為に、皆は一人の為に、皆で支え合いましょう~」
「エジタスさん……」
嬉しい。仲間がいる事がこんなにも、嬉しいなんて……。言わなくても、通じ合っている。リーマはこの時ようやく、仲間の素晴らしさに気がついた。
「さぁ!リーマの為にも、あの子を笑わせて優勝するぞ!」
「「「「おおー!!」」」」
こうして私達はこの“第一回アメリアを笑わせましょう大会”に出場することになった。
***
「それではルールをご説明します!」
司会者が大会の基本的なルールを説明する。
「まず、挑戦者の方は一人ずつステージの上に上がってもらいます。」
そう言う司会者の指差した方向には、ステージに上がるための階段があった。
「次に挑戦権は、一人一回までとさせてください。そうでなければ、私共も終わる事が出来ません。さらに、制限時間は“一分”とさせてください。いつまでも、だらだらやられてしまうと、他の挑戦者の邪魔になります。ご注意を……」
「一人一回に制限時間は一分……」
「厳しいですね~」
「それでも……やるしかありません!」
リーマの言葉に全員が頷く。
「さぁー!最初の挑戦者は誰かな?」
「俺から行かせて貰おうか?」
するとステージに上がったのは、筋肉隆々のたくましい肉体の持ち主だった。
「へへへ……」
男は片手を拳にしてもう片方の手で掴み、バキボキと鳴らす。反対側も同じように鳴らした。
「それでは一分間、始め!」
「…………ミィヤァァオ」
「ブフゥ!?」
筋肉隆々の男からは考えられないほどの高音質な声、思わず吹き出してしまった真緒。それに感化されるように周りの人達も笑い始める。そして、肝心のアメリアはというと…………。
「…………」
無反応。微動だにしない顔に、筋肉の男も戸惑いが見え始める。
「……に、ニィヤァァオ」
再び、高音質な猫撫で声を発するも、アメリアは眉一つ動かさない。
「はい、時間切れです。残念でしたね、お疲れさまでした」
「そ、そんなこの俺が……」
男は重い足取りで、ステージから降りてきた。
「さぁ!続いての挑戦者は誰ですか?」
「これは厳しいかもしれない……」
真緒の呟いた言葉は核心を突いていた。
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