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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
最終章 笑顔の絶えない世界
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本気のエジタス(前編)

今回から、覚醒したエジタスとの戦いが始まります!!

果たして、九人は勝つ事が出来るのだろうか!?

 「“迷彩”」


 その瞬間、エジタスの体が徐々に薄くなり始め、その場から消えてしまった。


 「気を付けろ!!転移だ!!周囲を警戒するんだ!!」


 シーラが叫ぶと同時に、各々が辺りに注意を向ける。


 「…………」


 「…………」


 静寂。いつまで経っても、エジタスは姿を現さなかった。


 「いったい何処に……!!?」


 すると突然、アーメイデの体が後方へと吹き飛んだ。


 「アーメイデさん!?」


 「な、何だ!?いきなり吹き飛んだぞ!?」


 突然吹き飛んだアーメイデは、勢いのまま床に叩き付けられると、次第に失速して止まった。


 「アーメイデさん、大丈夫ですか!?」


 リーマは、アーメイデの安否を心配して、アーメイデの側へと駆け寄る。


 「ごほっ!!げほっ!!はぁ……はぁ……え、えぇ……大丈夫よ……」


 「突然、どうしたんですか!?」


 「……分からない……突然腹部に、強く蹴られた様な痛みが走った……」


 アーメイデは、腹部を押さえながら自身の身に起こった出来事を話した。


 「えっ……でも、アーメイデさんの前には誰もいませんでしたよ?」


 「……もし、これがエジタスの攻撃だとしたら……」


 「!!!皆さん気を付けて下さい!!エジタスさんが、攻撃を仕掛けています!!」


 事態の危うさに気が付いたリーマは、残りの七人に注意を呼び掛ける。


 「何?だが、エジタスの姿は何処にも無い……!!?」


 リーマの呼び掛けに、疑問を浮かべるシーラ。そんな矢先、シーラの顎に強い衝撃が走る。まるで誰かに殴られたかの様に、口から血を吐いた。


 「シーラ!?」


 「ちょっとシーラちゃん、大丈夫!?」


 突然顎を殴られ、仰向けに倒れてしまったシーラ。そんなシーラの安否を心配して、サタニアとアルシアが側に駆け寄る。


 「な、何が起こったんだ……!?」


 「それはこっちの台詞よ」


 「まるで……誰かに殴られた見たいに倒れたけど……」


 「……確かに……言われて見れば……誰かに殴られたのかもしれません……ですが……目の前には誰もいませんでした……」


 「そんな…………」


 またシーラも、アーメイデと同じ様に、自身の身に起こった出来事を話した。


 「いったい……何がどうなって……」


 「分からない……分からないが、俺達も用心しておいた方が良いって事……!!?」


 そう言った矢先、今度はフォルスの体が突然、鋭利な刃物で斬り裂かれたかの様に傷付いた。


 「ぐぁあああああ!!!」


 「フォルスさん!!」


 「フォルスざん!!」


 「くそっ……いったい……何が起こっているんだ……」


 訳も分からず、フォルスは斬られた体を押さえて、止血を試みる。


 「フォルスざん、大丈夫だがぁ!!」


 ハナコは、フォルスの安否を心配して、フォルスの側へと駆け寄ろうとする。


 「……がぁ!!?」


 「ハナちゃん!?」


 しかし突然、ハナコの足が床を離れて空中に浮かび始めた。


 「あがぁ……ご……うぇ……」


 「ハナちゃん!!どうしたの!?ねぇ!!ハナちゃんったら!!」


 突然、空中を浮かび始めたハナコに対して必死に呼び掛けるが、全く反応を示さない。それ以上に、とても苦しそうに首元を押さえていた。


 「何だあれ……」


 「フォルスさん?」


 「マオ……見ろ!!ハナコの首元を!!ハナコの首が絞められている!!ハナコは浮いてるんじゃない……持ち上げられているんだ!!」


 「!!?」


 フォルスがハナコの首元を指差す。真緒は慌てて、ハナコの首元に視線を向けた。すると確かに、ハナコの首元を絞めているその手形が、はっきりと浮き出ていた。姿こそは見えないが、誰かがハナコの首を絞めているのは間違いない。


 「で、でも……いったい誰が……?」


 「そんなの……一人しかいないだろ!!“三連弓”!!」


 フォルスは、傷付いた体を無理矢理動かすと、ハナコの向かい側の誰もいない方向に向けて、三連続の矢を放った。すると放たれた三本の矢は突如、空中で制止した。


 「「!!!」」


 「……観察能力は……ある様ですね……フォルスさん」


 突然、誰もいない筈の所から声がしたかと思うと、空中で制止した三本の矢から、人の手が浮き出て来た。浮き出た手は次第に腕、体、足、顔へと広がり始める。そして全身が浮かび上がった時、誰もいない筈の所に立っていたのは、エジタスだった。


 「やはり……エジタスさんでしたか……」


 「師匠……」


 「てめぇ!!エジタス!!私の顎を殴ったのは、お前だったか!!」


 「気付くのが遅いですよ……あの場には、私しかいなかったのですから……そう考えるのが普通なのに……全く鈍いですね……」


 「何だとぉ……!!」


 エジタスの煽りに、シーラは分かりやすく苛立ちを覚える。


 「師匠!!ハナちゃんから離れて下さい!!スキル“乱激斬”!!」


 真緒は、ハナコの首を絞め続けるエジタス目掛けてスキルを放った。対してエジタスは、転移を使ってその場から姿を消した。そして、少し離れた位置に姿を現した。


 「ハナちゃん、大丈夫!?」


 「げほっ!!げほっ!!げほっ!!……はぁ……はぁ……はぁ……オラ……なら……大丈夫……だよぉ……」


 危機一髪。真緒は何とか、ハナコの息の根が止まる前に救出に成功する。


 「良かった……」


 「…………」


 その様子を見てエジタスは、食事用のナイフを投げた。投げたナイフは、真緒の首元に突き刺さった。


 「えっ……?」


 「マオぢゃん!!」


 一瞬、何が起こったのか状況の整理が追い付かなかった。只首元からは、大量出血が起こっていた。


 「マオ!!」


 「マオさん!!」


 リーマとフォルスの二人も、慌てて真緒の側へと駆け寄る。首元に突然ナイフが突き刺さり、そのあまりのショックに仰向けに倒れる真緒。


 「あ……ああ……」


 「くそっ!!出血が止まらない!!」


 「マオさん!!気をしっかり保って下さい!!」


 「マオぢゃん!!死んぢゃ嫌だよぉ!!」


 フォルスは、何とか出血を止め様と止血を試みるが、一向に止まらなかった。リーマとハナコの二人が、必死に呼び掛けるも徐々に、心臓の鼓動が弱まり始める。


 「誰か!!回復魔法を扱える人物はいないか!?」


 「私に任せな……」


 「アーメイデさん……」


 フォルスが回復魔法を扱う人を探していると、アーメイデが側に駆け寄っていた。


 「“オールライフ”」

 

 その瞬間、真緒の体をピンクのドーム状が包み込んだ。そして瞬く間に、真緒の首元の出血が収まっていた。


 「あ、ありがとうごさいます……アーメイデさん……」


 「礼には及ばないよ……それよりも、随分と冷たいじゃないか……あんたの弟子なんだろ……エジタス」


 「例えマオさんだろうと……私の計画を……人類統一化を台無しにした者には……“死”で、その罪を償って貰います……」


 「師匠……」


 冷たい言葉。優しさも暖かみも感じられないその言葉に、真緒は落ち込みを隠せない。


 「マオ……大丈夫?」


 「サタニア……うん、アーメイデさんが助けてくれたから、大丈夫だよ……」


 「シーラちゃんの顎や、ハナコちゃんの首絞め……エジタスちゃん、あなた……“透明”になれるわね?」


  「「「「「「「「!!!」」」」」」」」


 アルシアの言葉に、エジタスを除く全員が驚きの表情を浮かべる。

 

 「おやおや……気付きましたか……私の“迷彩”は、自身の空間をねじ曲げて、周囲の風景と同化する能力です」


 空間をねじ曲げる。空間魔法のスペシャリストのエジタスにとって、まさに得意分野なのは明確である。


 「そう言う事か……種さえ分かれば、負ける訳ねぇな!!」


 突然顎を殴られたシーラだったが、その正体がエジタスの魔法だと分かると、負ける訳が無いと啖呵を切る。


 「残念ですが……どんな手を用いても、私の迷彩を見破る事は出来ませんよ……」


 「なら、試して見ろよ?」


 「ほぉ~、それでは……試して見ましょうか……“迷彩”」


 その瞬間、エジタスの体が徐々に薄くなり始め、その場から消えてしまった。


 「消えた!?」


 「何も見えない……おいシーラ、本当に大丈夫なのか?」


 「…………」

 

 フォルスが心配して、シーラに声を掛けるも、シーラは目を瞑ってじっとしていた。


 「シーラ……シーラ……聞いてるのかよ!!」


 「フォルスちゃん、そんな大声を出しちゃ駄目よ」


 「フォ、フォルス“ちゃん”!?」


 アルシアに“ちゃん”付けで呼ばれ、驚きの声を上げるフォルス。


 「……ここはシーラちゃんに任せて、静かにしてあげて……ね?」


 「…………分かった……だが危険だと思ったら、すぐに矢を放つからな!!」


 「……ありがとう」


 アルシアに説得され、渋々見守る事にしたフォルス。




***


 


 「…………」

  

 静寂。エジタスが透明になって、十分が経過した。未だにエジタスは攻撃を仕掛けて来ず、シーラもずっと目を瞑ったまま動こうとしない。


 「…………」


 「…………」


 「…………!!!」


 しかし、その瞬間は突然やって来た。今の今まで、ずっと目を瞑っていたシーラだったが突如目を見開き、誰もいない自身の真横に向けて、持っていた槍を突き出した。


 「こ、これは!?」


 「ふふふ、言ったでしょ?任せてって……」

 

 誰もいない空間に突き出した槍、その槍の先から血が伝って来た。そして、次第にエジタスの体が浮き出て来た。シーラの槍は、エジタスの体を貫いていた。


 「な、何……!?」


 「ほらな、種さえ分かれば負ける訳がねぇんだよ……」

まさかの展開!?無敵に思われたエジタスの魔法“迷彩”を、シーラが意図も簡単に打ち破った!!シーラの槍に貫かれたエジタス。このまま殺られてしまうのだろうか!?

次回もお楽しみに!!

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