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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
最終章 笑顔の絶えない世界
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道楽の道化師(前編)

遂にこの日がやって来た……エジタスとの戦い!!

果たして、勝利を収めるのはどちらなのか!?

世界の平和を掛けた戦いが、今始まる!!

 「師匠!!退いて下さい!!」


 「マオさ~ん、そんなベタベタな台詞で退く訳にはいきませんよ~」


 残り三十分。人類が統一されてしまう前に、クロウトが被っているワールドクラウンを取り外そうと考えた三人。そんな中、最初に攻撃を仕掛けた真緒。エジタスに向かって駆け出した。


 「スキル“ロストブレイク”!!」


 エジタスの側へと近づいた真緒は、エジタス目掛けて渾身のスキルを放った。しかし当たる瞬間、転移によってエジタスの姿は消えてしまった。


 「!!!」


 「動きが単調……強力なスキルなのに残念ですね~」


 「しまっ……きゃあ!!」


 転移で姿を消したエジタスは、一瞬の内に真緒の背後へと現れていた。そして、真緒が振り向くと同時に強く蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた真緒は、数メートル先まで吹き飛ばされた。


 「マオさ~ん、あなたをそこまで育て上げたのは、他でも無い……この私なのですよ~?私に勝つには、少なくとも二千年は鍛えないと……あぁ、それとサタニアさん?」


 「!!?」


 するとエジタスは転移で姿を消すと、玉座の側でクロウトからワールドクラウンを取り外そうとしている、サタニアの側へと姿を現した。


 「隠密行動をするなら、その駄々漏れの魔力を隠しましょうね~」


 「ぐっ……ぁああ!!」


 突然目の前に現れたエジタスに、不意を突かれたサタニアは、エジタスから繰り出される蹴りをまともに食らってしまった。


 「マオさんが囮になって、その隙にサタニアさんがクロウトさんから、ワールドクラウンを取り外す……息の合ったコンビプレーですね~。とてもこの玉座の間で、殺し合いをしていたとは思えませんな~」


 「それが……この二人の友情という事よ……“クリスタルアロー”」


 「おや?」


 エジタスが、真緒とサタニアのコンビネーションについて褒めていると、その真横から結晶型の矢が飛んで来た。迫り来る矢に対して慌てる様子を見せる事無く、転移を使ってその場から離れた。


 「あなたには……決して手に入れられない代物よ……エジタス」


 「これはこれは、初代勇者を裏切ったアーメイデさんではありませんか~」


 「……そう、確かに私はあなたという驚異から目を背け、コウスケを見捨てて逃げ出してしまった……でも、だからこそ!!今度は逃げない!!マオ……サタニア……二人にこれからの未来を歩んで貰いたい!!私は……逃げない!!」


 「…………」


 するとエジタスは、何も答えずに転移を使い、アーメイデの目の前に姿を現した。そして、アーメイデ目掛けて回し蹴りを繰り出した。


 「っ!?“クリスタルシールド”!!」


 咄嗟にアーメイデは、自身の目の前に結晶型の盾を生成した。エジタスの蹴りとアーメイデの盾がぶつかり合う。


          ……ピシッ


 「そんな!?この盾にヒビが入るだなんて!?」


 アーメイデは慌てて、盾を置いてその場から離れた。それと同時に、エジタスは再度回し蹴りを行い、アーメイデの盾を粉砕した。


 「二回蹴らないと砕けないとは……相変わらず硬いですね~」


 「厚さ五センチの結晶型の盾を砕くだなんて……どんな脚力しているのよ……」


 「それよりアーメイデさん、そんなに魔力を消費してしまって、よろしいのですか~?」


 「…………」


 「ど、どう言う事ですか?」


 エジタスの言葉に、真緒は疑問の表情を浮かべる。


 「おや、話していないのですか~?いいでしょう、私から説明させて頂きましょう~。アーメイデさんが永遠の若さを保つ為に使っている“停止魔法”……実は……自分が取り込む空気中の魔力まで停止させてしまうので~す」


 「えっ……それってつまり……」


 「つまり、アーメイデさんは二千年前から“MP”を回復出来ていないのですよ~」


 「そんな…………それじゃあ私達の修行の時から……ずっとMPが回復していないんですか?」

 

 「…………」


 無言。それは肯定の表しであり、アーメイデは否定しなかった。


 「どうして……どうして黙っていたんですか!?」


 「…………」


 「私が代わりに答えましょう~。魔法使いにとって、MPは命よりも大切な物……そんなMPを回復出来ないと知られてしまったら、危険だと言われてこの戦いに参加出来なくなってしまう……違いますか?」


 「…………」


 「図星の様ですね~。それとサタニアさん、先程も言いましたが……隠密行動するなら、その駄々漏れの魔力を隠しましょうね~」


 「!!?」


 真緒、アーメイデの二人と会話をしている間に、クロウトからワールドクラウンを取り外そうとしたサタニア。しかし、気づかれてしまった。


 「がっ……あ……ああ……!!」


 「サタニア!!」


 エジタスは、サタニアの首元を掴み上げる。サタニアは死にもの狂いで、もがいている。


 「おや、アーメイデさ~ん。助けなくていいのですか~?これからの未来を歩む筈の一人が……死に掛けていますよ~?」


 「アーメイデさん!!」


 「エジタス……あんたはサタニアを殺せない……そうだろう?」


 「…………」


 「えっ、どう言う事ですか!?」


 「良く見なさい……確かにもがき苦しんでいるけど……しっかりと息が出来る様にしている……」


 アーメイデの言葉を聞いた真緒は、掴み上げられているサタニアを確かめる。すると、確かにもがいてはいるが苦しそうにしている様子は、見受けられなかった。


 「あなたは、マオとサタニアを殺す事は出来ない……何故なら、二人は光の王冠と闇の王冠の継承者。今ここで殺してしまったら、光の王冠と闇の王冠がこの場から消えてしまう。そうなれば、せっかくのワールドクラウンが台無しになってしまう。だからあなたは、二人を殺す事が出来ない……違う?」


 「…………えぇ、その通りですよ……でもね……」


 そう言うとエジタスは、掴み上げていたサタニアを数十メートル先へと、投げ飛ばした。そして、転移を使ってアーメイデの目の前に姿を現した。


 「二人は殺せなくても、あなたを殺す事は出来るのですよ?」


 「!!!」


 目の前に姿を現したエジタスは、アーメイデの腹部を目にも止まらぬ速さで殴り付けた。すると、殴られた衝撃でアーメイデの腹部に穴が空き、中の肉や内蔵が飛び出した。


 「アーメイデさん!!」


 「あ……あ……オ……“オールライフ”……」


 その瞬間、アーメイデの体をピンクのドーム状が包み込んだ。そして瞬く間に、アーメイデの腹部に空いた穴が塞がった。


 「ふ~ん、反射神経は良い様ですね~」


 「はぁ……はぁ……はぁ……あ、危なかった……後数秒遅れていたら……確実に死んでいた……」


 「やぁああああ!!!」


 「ん?」


 すると、先程投げ飛ばされたサタニアが、エジタスに向かって走って来た。


 「おやおや、今度は真正面から突っ込んで来ましたか」


 「“ブラック・ファンタジア”!!」


 サタニアが魔法を唱えると、エジタスを囲う様に無数の黒い玉が生成された。黒い玉は、まるで踊っているかの様にエジタスを中心に、上下に揺れながら回り始めた。


 「捕らえた!!今の内に早く!!」


 サタニアの言葉を聞いた真緒は、急いでクロウトの側へと駆け寄る。


 「サタニアさ~ん、これで私を捕らえたと思ったら大間違いですよ~」


 そう言うとエジタスは、一瞬でその場から姿を消した。そして、クロウトに近づこうとする真緒の目の前に現れた。


 「っ!!スキル“乱激斬”!!」


 それに対して真緒は、足の速さを緩めずにエジタス目掛けてスキルを放った。無数の斬激がエジタスに襲い掛かる。


 「中々の判断能力です……ですが……」


 「!!!」


 そう言うとエジタスは、空間魔法で食事用のナイフを取り寄せると、真緒が放つ無数の斬激を次々と受け流す。


 「攻撃に無駄が多いですね~。これでは意図も簡単に受け流せますよ~」


 「そんな……この!!この!!」


 真緒は、何とかエジタスに攻撃を当て様と斬激を繰り返すが、全て受け流されてしまった。


 「残念でしたね~。もう少しスキルの技術を磨いた方が……!?」


 その瞬間、エジタス目掛けて無数の黒い玉が襲い掛かる。


 「これは……!?」


 「残念だったねエジタス、僕のブラック・ファンタジアは対象とした人物を追跡するんだ。転移で避けても、当たるまで追い掛ける!!」


 「そうでしたか……それなら……」


 するとエジタスは、掌を広げて迫り来る無数の黒い玉に向けて伸ばした。


 「…………“圧縮”」


 そして、広げた掌を勢い良く閉じた。その瞬間、無数の黒い玉は何かに潰されたかの様に消えて無くなってしまった。


 「ブラック・ファンタジアが……破られた……!?」


 「良かったですよ。あの黒い玉が私の背丈よりも小さくて……私の圧縮は、生物だけでは無く無機物にも適用するのですよ……」


 そう言いながら、エジタスは真緒の横腹を蹴り飛ばした。


 「がはぁあああ!!!」


 「マオ!!」


 「くそっ!!」


 横腹を蹴られ、真横へと吹き飛ばされた真緒をアーメイデが受け止める。


 「はぁ……はぁ……大丈夫?」


 「は、はい……何とか……」


 「う~ん、残り二十分……もうすぐ人類は統一され、世界は完全な平和を手に入れる事となる!!」


 「…………っ!!」


 するとサタニアは、再びエジタスの元へと走り出した。


 「サタニアさ~ん、何度やっても結果は同じですよ~」


 「“ダーク・イリュージョン”」


 「!!!」


 サタニアが魔法を唱えると、サタニアの分身が三体作り出された。


 「どれが本物か……分かるかな?」


 サタニアは、エジタスを更に混乱させ様と交差しながら走って行く。


 「…………」


 するとエジタスは、空間魔法で片手に四本の食事用のナイフを取り寄せた。そしてそのまま、迫り来る四人のサタニアそれぞれに目掛けてナイフを投げつけた。


 「…………」


 「…………」


 「…………」


 「……っ!!」


 四人の内三人は、エジタスのナイフが突き刺さっても反応を示さなかったが、一人だけ痛みから反応を見せてしまった。


 「どうやら、あなたが本物の様ですね~」


 そう言いながらエジタスは、本物のサタニアとの間合いを詰めると、本物のサタニアを蹴り飛ばした。本物がダメージを負った事により、作り出された偽物は消滅した。


 「がはぁ!!」


 「サタニア!!」


 サタニアは吹き飛ばされ、壁に激突した。それに対して、真緒が安否を確かめる。


 「だ、大丈夫……だよ……」


 「はぁ……はぁ……はぁ……まさかここまでとは……想定外だったわ……」


 「…………師匠……」


 「残念ですが~、そろそろお別れの時間となりました~。とても名残惜しいですが~、二千年続くこの長き関係に終止符を打つとしましょう……本当に楽しい二千年……ありがとうごさいました。さようなら……皆さん……ですが安心して下さい……殺すのはアーメイデさんだけ……マオさんとサタニアさんは、ちゃんと生かしてあげますよ~」


 そう言うとエジタスは、ゆっくりと三人に向かって歩み寄って来る。


 「エジタス……」


 「師匠……」


 「ここまでか……」


 エジタスの、圧倒的な強さを前に心が折れ掛ける三人。するとその時!!


 「“ウォーターキャノン”!!」


 「!!!」


 三人が粉砕した扉の向こう側から、巨大な水の塊が、エジタス目掛けて飛んで来た。エジタスは咄嗟に転移を使ってその場から離れると、玉座の方へと姿を現した。


 「今の水の塊は……」


 「……もしかして!?」


 真緒、サタニア、アーメイデの三人は慌てて扉の方へと振り返る。


 「「「マオ!!!」」」


 「「「魔王様!!!」」」


 「「み、みんな!!!」」


 扉の向こう側から、リーマ、ゴルガ、フォルス、シーラ、ハナコ、アルシアの六人が駆け付けて来た。


 「「「「「「助けに来たよ!!!」」」」」」


 人類統一まで残り二十分。希望の光が見えて来た。

照らし始める希望の光。

九人全員が合流を果たした!!

人類統一化を防ぐ事が出来るのだろうか!?

次回もお楽しみに!!

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