エジタス VS 真緒パーティー
ついに12時更新が出来ました。この調子で頑張ります。
「先手必勝!スキル“ロックオン”」
エジタスの体にターゲットマーカーが表示される。
「スキル“急所感知”」
ターゲットマーカーがエジタスの左胸に移動する。
「悪いが手を抜く訳にはいかない。……これで終わりだ!」
放たれた矢はエジタスの左胸目掛けて、飛んでいく。
「ロックオンと急所感知のコンボスキル……これほど厄介な組み合わせはありませんね~。ですが、少し勘違いしていませんか?ロックオンは絶対“外れない”能力であって…………」
当たる直前に矢を片手で掴み取った。
「必ず“命中”する能力ではありません」
「俺の矢を掴んだだと……!?」
「さらに言わせれば、急所感知のせいで何処に矢が命中するのか分かってしまうので、掴み取るのは容易です」
自分のスキルがあっさりと破れたのを、見てしまったフォルスは、膝をついた。
「さて、今度はこちらの番ですかね」
手に持っていた矢を捨て、膝をついてるフォルスに駆け寄る。
「パーティーの心得その一、常に仲間の事を気に掛けるべし」
エジタスはフォルスの顎に膝蹴りを叩き込んだ。
「グボァ……」
「フォルスさん!」
リーマがフォルスの安否を確認しようと声を掛ける。
「パーティーの心得その二、仲間を気にしすぎるあまり、自分を疎かにしてはいけない」
パチン!という音が聞こえたかと思うと、リーマの後ろにエジタスが立っていた。
「リーマ、後ろ!!」
エジタスは腕を横に振るい、リーマを吹き飛ばした。
「ああ!!」
「リーマぢゃん!よぐも、リーマぢゃんを!!」
ハナコは怒りに身を任せ、エジタスにスキル“熊の一撃”を放とうとする。
「パーティーの心得その三、一時の感情に流されてはいけない」
エジタスはハナコの腕を掴み、熊の一撃を防いだ。
「ハナちゃん!」
「ほいっと」
近づこうとする真緒に、掴んだハナコを投げつけた。
「う、うう……」
「……ハナちゃん、大丈夫?」
「一つ、言い忘れていましたね」
「!?」
「私は“圧縮”の他にも空間魔法の応用で空間を行き来して、特定の場所に行くことができる“転移”が使えるんですよ」
「さっきのあれが……」
真緒は一瞬で、リーマのいる位置まで現れた時の出来事を思い返していた。
「(“転移”それがあるかぎり師匠を倒すことは不可能に近い。あれ、でもそれなら何でハナちゃんの時…………まさか!)」
対策を考えている真緒にある疑問が浮かび上がった。そこから一つの可能性に辿り着いた。
「作戦タイム!」
「はい?」
「少しの間、話し合う時間を頂けませんか?」
「…………普通なら、そんなこと許す敵はいませんが……いいでしょう。今回だけ特別ですよ」
「ありがとうございます!皆、ちょっと集まって!」
エジタスからの許可を貰い、集まり話し合う四人。
「…………それは、本当なのか?わざと、って可能性もあるんじゃないか?」
「確かにあるかもしれない。でも、賭けてみる価値はあると思う」
「…………オラはマオぢゃんの話に乗るだ」
「私もです」
「……このままやっても勝ち目はないか。分かった、俺も乗るぞ」
「皆……それじゃあまず、フォルスさんが…………」
四人が作戦会議をしている間、エジタスは静かに待っていた。
「(マオさん、あなた達は強い。しかしそれは個人の強さであって、パーティー的な強さではない。強すぎる力は、合わせようとすると反発してしまう。そこをどうやって調和させるかが、パーティーに必要な事……まぁ、そこまでは教える気は無いですけどね~)」
するとエジタスの方に顔を向け、四人それぞれが離れて、距離を取り合う。
「作戦会議は終了しましたか?では、再開しましょう。(あまり長引かせると、退屈してしまいますからね。そろそろ、決着をつけましょう)」
エジタスは先程と同じ、フォルスへと駆け寄る。
「(まずはベテランであるフォルスさんから、片付けます)」
フォルスの腹を蹴り飛ばす。
「ぐっ…………掛かったな!」
フォルスは崩れた体制から素早く弓を構え、矢を放った。
「(近距離射撃!?あの体制から放つとは凄まじい集中力の持ち主ですね~ですが……)」
エジタスは指をパチンと鳴らし、フォルスから少し離れた位置に転移する。
「残念でしたね~もう少し早かった「今だ!リーマ!」ら……?」
フォルスの目線の先にリーマが立っていた。息を大きく吸い込む。そして……
「…………きゃあああああ!!!」
悲鳴をあげたかと思うと、物凄い衝撃波が飛んできた。
「(こ、これは音魔法!?)」
エジタスは衝撃波に吹っ飛ばされる。そしてその先には真緒とハナコの二人が立っていた。
「「…………」」
二人は先程の作戦会議を思い出す。
***
師匠の“転移”には欠点があるかもしれない。
どういう事だ?
何で、そう思うんだぁ?
リーマの所に転移した後に、ハナちゃんが熊の一撃を使おうとしたけど、手首を掴まれて防がれちゃったよね。あの時、どうして転移で避けなかったんだろう?その方が安全なのに…………。
それは単に使うまでもなかったのではないですか?
その可能性もある。だけど、私はこう考えている。使わなかったのではなく、使えなかったのだとしたら?
それってつまり……!?
師匠の転移は連続して使用できないんだと思う。
だがそれは、本当なのか?わざと、って可能性もあるんじゃないか?
確かにあるかもしれない。でも、賭けてみる価値はあると思う
…………オラはマオぢゃんの話に乗るだ
私もです
……このままやっても勝ち目はないか。分かった、俺も乗るぞ
皆……それじゃあまず、フォルスさんが…………
***
「準備はいい?」
「勿論だぁ」
吹っ飛ばされて来るエジタスに二人は全力のスキルで迎え撃つ。
「ま、参りました!私の負けです!だから、ちょっ、ちょっと待ってくださ……」
エジタスの降参は届かない。
「スキル“ロストブレイク”!」
「スキル“熊の一撃”!」
「ぎぃやああああーーー!!!」
***
「お見事です。まさか、負けてしまうとは思いませんでしたよ。遂に師匠を越えましたね」
エジタス VS 真緒パーティー、勝者は真緒パーティーに決まった。
「そんなことありませんよ。師匠は本気じゃなかったんでしょ?その証拠に一度も圧縮を使って来なかったんですから……」
「私を買い被りすぎですよ。圧縮を使わなかったのは致命的な欠点があるからです」
「えっ、それってどういう……」
「圧縮の対象は、使用者の身長の二分の一、以下でなければならないんですよ」
「そうだったんですか!?」
「私の身長が約170センチなので、最高で85センチ以下にしか使用できないんですよね」
「そんな欠点があるなんて……」
最強と思われていた圧縮の、意外な欠点に驚く真緒達四人。
「さて、約束通り今日から私は、マオさんのパーティーの一員です。よろしくお願いしますね」
「ありがとうございます師匠!」
「これがら、よろじぐお願いしますだぁ」
「とても心強いです」
「供に頑張りましょうぞ」
真緒達からの歓迎を受けて、エジタスは言う。
「では皆さん、私達の旅を始めましょう!!…………と言いたいとこですが、まだやることがあります」
エジタスは真緒を見つめる。
「それは服の新調です」
「え、私ですか?」
一瞬、自分が言われているとは思わなかった真緒。
「マオさん、正直言って……あなたの服はかなり変ですよ」
「そ、そんな……」
忘れているかも知れないが、真緒は元の世界では高校生だったため、学生服のままである。
「皆、何も言ってなかったですよね?」
「いや、他人の服のセンスにあれこれ言うのは失礼かなって……」
「オラは服の事はよぐ分がっでながっだがら……」
「とても個性的な服だなと思っていました」
「皆……酷いですよー、もぉー」
「「「「ははははは」」」」
真緒を除く、四人が笑った。
「ですので、マオさんの服を新調しに防具屋へ行きましょう~」
***
カルド城内。愛子と舞子、聖一は困っていた。
「ああ~もう、何なのよ!」
「まさか、学生服が変だなんてね」
「何も言われなかったから、変だとは思わなかったよね」
「申し訳ありません。もっと早くお伝え出来てればよかったのですが……」
シーリャが聖一達に頭を下げる。
「いえ、いいんですよ。今からでも遅くはないでしょう。確か、防具屋でしたよね?」
「はい、城下町にありますのでご利用ください。こちらがお金になります」
「ありがとうございます。それでは行ってきます」
聖一達は防具屋へと向かった。
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