泥棒
ついに仲間集め、最後の一人が登場!
「それじゃあ、私達もう行くね」
おじさんの店の前。リーマは二人にお別れの言葉を述べていた。
「本当に大丈夫かい?旅の準備が整うまでウチに泊まっていいんだよ」
「そこまで甘える訳にはいかないよ。自分の世話は自分で何とかするから……心配しないで」
「でも「母さん」……あなた」
過剰に心配するおばさんの肩に手を添えるおじさん。
「こいつらは自分で考えて行動を起こそうとしている。大人になろうとしているんだ、それを大人である俺たちが邪魔してどうする」
「…………そうね、あなたの言う通り。誰でもいつかは大人になるもの、甘えてたのは私の方だったみたいね」
「おばさん……」
「おばさんの手料理、すんげー美味じがっだ。また、食べに来でもいいだか?」
「ええ、美味しい料理を作って待ってるわ」
ハナコの一言でいつもの明るさを取り戻した。
「さようなら、おじさん、おばさん」
「マオちゃん、あまりお金は使いすぎないようにね」
「はい」
三人はおじさん、おばさんに手を振りながら去っていった。
「…………行っちゃったわね」
「ああ、そうだな」
三人を見送った、おじさんとおばさんは遠くを見つめるように話していた。おばさんは自分のお腹を擦る。
「私達に子供は出来なかったけど、ここ何日かはまるで娘が三人も出来た思いだったわ」
「けっ、あんな個性の強い娘がいたらこっちが疲れちまうよ」
「さぁ、あの子達が帰ってきた時の為に料理の腕を上げときますか!」
おばさんは腕捲りし、店の中へと入っていった。
「おいおい、あんまり無茶するなよ………………頑張れよ娘達」
おじさんは誰もいない道にぼそりと呟いた。
***
「良かったですね。おじさんと仲直りできて」
「本当にありがとうございます。これも全部マオさん達のお陰です」
「ぞんなぁ、オラ達はただお金を稼いだだけだよ」
「いえ、私一人だけでは店にすら近づけませんでした。本当に感謝してもしきれません」
「それならそのお返しに私達との敬語のやり取りは禁止ね」
「う……善処します」
「善処かぁ~、出来るか出来ないかで答えてほしいな」
「…………出来ます!」
「やった、言質は取ったからね」
「これでわだがまりは少なぐなるだねぇ」
「う~、卑怯で……だよ、二人とも!」
「「あはははは」」
三人が楽しく会話をしていると前から来た一人の男が真緒の肩にぶつかった。
「おっと、失礼……」
「いえいえ、気にしないでください」
男は去り際にニヤリと口元を歪ませるのを、リーマだけは見逃さなかった。
「いやー、それにしても仲間集めも残すところ“あと一人”この調子ならすぐ終わるかもしれません」
「マオさん!」
突然リーマに呼び止められる真緒。
「どうしたのリーマ?」
「急に大声出じで何があっただぁ?」
「今すぐお金を確認してください!」
「え、何で?」
「さっきぶつかってきた男、スリかもしれません!」
リーマが先程の男を指差すと男は慌てて逃げ出した。
「え、あ、ない!?ちょっと待って……」
「泥棒ー!!!」
「ぞんなに慌でなぐでも大丈夫だよぉ」
こんな状況で何故か落ち着きを払っているハナコ。
「どうしてそんなに落ち着けるんですか!?あのお金はおじさん、おばさんから貰った大切なお金なんですよ!」
「大丈夫だっでぇ、こっぢにはマオぢゃんがいるでねぇが。マオぢゃんの身体能力なら直ぐにでも追いづくはずだぁ、ねぇマオぢゃ…………マオぢゃん!?」
ハナコが顔を向けると真緒は地面に踞っていた。
「ぢょっど、どうじだんだマオぢゃん?」
「マオさん?」
二人は真緒を心配して近くに寄ると、何かぶつぶつと独り言が聞こえてきた。
「……私は泥棒じゃない。私は泥棒じゃない。あれは誤解なんだよ。私は泥棒じゃない。私は泥棒じゃない。あれは誤解なんだよ。私はやっていない。私はやっていない。」
リーマの泥棒という言葉に条件反射を示してしまった真緒。こうなってはしばらく使い物にならない。
「マオさん!正気に戻ってください!」
「マオぢゃん!」
「私はやっていない。私は泥棒じゃない。あれは誤解なんだよ。」
「へへ、あいつら何チンタラしてるんだ?これなら余裕で逃げ切れるな。楽勝、楽勝」
こうして話している間にも男はどんどん離れていく。
「ああっ、ごのままじゃあ逃げられぢまう!」
「そんな!?お願い!誰か、そいつを捕まえてー!!」
しかし、悲しい事にこの時間帯は丁度人通りがない。さらにこれは偶然ではなく、通りに誰もいなくなる時間帯を男は予め調べて、その時に犯行を重ねていたのだ。
「へへ、あばよ」
「ああそんな……おじさん、おばさん、ごめんなさい…………」
もうダメだ。そう思って諦めかけたその時、三人の側にローブを着て顔を隠し、体格的に男と判別できる人が現れた。
「あなたは…………」
「…………下がっていろ」
一言そう言うと、懐から弓矢を取り出し逃げる男に向け、矢をセットして弦を引く。
「スキル“ロックオン”」
この瞬間、逃げる男にターゲットマーカーが表示される。
「スキル“急所感知”」
さらにスキルを掛けると、ターゲットマーカーは男の左足に移動する。そして…………。
「…………」
無言のまま矢を放つと飛んでいった矢は、物理法則を無視して逃げる男の左足に見事命中した。
「ぎゃあああ!?い、痛い……何でよりにもよって、兵士の頃に受けた左足の古傷に…………」
矢が刺さっている左足を押さえながら男が悶えていると、ローブを着た男がゆっくりと近づいてきた。
「こいつは返してもらうぜ」
そう言うと、男の懐からお金が入ってる革袋を取り返した。
「ほらこれだろ、お前らの取られた物は…………」
そしてその革袋を、やっと正気に戻った真緒に放る。
「あ、はい、そうです」
「「…………」」
いきなりの出来事に、驚きを隠せない真緒と声すらあげられない二人。
「じゃあな」
「ちょっと待ってください!名前をお聞かせください。助けて頂いたお礼がしたいんです」
その場を立ち去ろうとするローブを着た男に思わず声を掛けた真緒。
「……“フォルス”だ。お礼は結構、大したことはしていない」
「いえ、私達のお金を取り返してくれたんです。お礼をしないと気がすみません」
「そうだよぉ、助げで貰っだんだからお礼ずるのが当然なんだぁ」
「その通り、お願いします。私達にお礼をさせてください」
三人はフォルスに近づく。
「いや、ホントにいいんだ。これ以上俺に関わらないでくれ……」
「でも……」
真緒が止めようとローブに手を伸ばすと……。
「いいって、言ってるだろ!」
「きゃあ!?」
フォルスは真緒の手を払い除ける。しかし、勢いよく払い除けたせいで、フードが外れてしまった。
「えっ、嘘!?」
「まざが!?」
「あなたは!?」
その顔は人間ではなかった。羽で埋め尽くされて、鋭い目付きに最も特徴的なのはクチバシがあったことだ。ハナコのような部分的な熊要素があるのとは違い、全てが鳥の要素で構築されたその姿はまさに“鳥人”だった。
「だから関わるなと言ったのに……」
「ごめんなさい、少し驚いてしまって……」
「いいんだ、もう慣れた」
「あの、差し出がましいのは承知ですが、“鑑定”してもよろしいですか?」
「ここまで見られてしまったんだ。全部見せよう」
まさか、許諾が取れてしまうとは……。ゆっくりと深呼吸をして調べ始める。
「スキル“鑑定”」
フォルス Lv28
種族 鳥人
年齢 35
性別 男
職業 アーチャー
HP 200/200
MP 160/160
STR 60
DEX 250
VIT 100
AGI 130
INT 80
MND 140
LUK 120
スキル
ロックオン 急所感知
魔法
風属性魔法
称号
なし
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