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笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~  作者: マーキ・ヘイト
第八章 冒険編 狂乱の王子ヴァルベルト
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明かされる真実

最近、小説を書く時間が足りなくなって行くのを感じる。何とか短い時間で、書き上げたいものです。

 「ハナちゃーん!!師匠!!何処ー!!?」


 現在、ヴァルベルトの城において真緒は行方不明となったハナコとエジタスを捜し回っていた。


 「マオさん!!」


 「あっ、リーマ。二人は見つかった?」


 二人を捜す中で、真緒はリーマと合流を果たした。


 「いえ、何処にもいませんでした…………」


 「いったい何処に行っちゃったんだろう……?」


 何処を捜しても手掛かりさえ見つけられておらず、不安は募るばかりだった。


 「……マオ…………」


 「ん?」


 「マオさん、どうしましたか?」


 「誰かに呼ばれた様な……?」


 真緒が声のした方向に顔を向けると、遠くの方から駆け寄って来る者がいた。


 「マオ、リーマ、無事かー!?」


 「フォルスさん、ハナちゃんと師匠は見つかりましたか?」


 それは鏡の一件を終えて、真緒達を捜していたフォルスであった。


 「その事何だが、ちょっといいか?」


 「「……?」」


 フォルスは、これまであった出来事を話した。鏡の中の自分が話し掛けて来た事、ハナコは真緒達を置いてパーティーを抜けたと嘘をついた事、きな臭く感じていたのが確信に変わり、真緒達の安否を確かめに来た事。


 「そんな…………」


 「この城は何処かおかしい……。城が大きいわりに使用人が何処にもいない」


 「「!!!」」


 もっと早くに気が付くべきだった。この城に来てから、出会った人物と言えばヴァルベルトとエルの二人だけ、あまりに不自然である。しかし真緒達はそれを良しとしてしまった。強くなったという慢心が招いた致命的な落とし穴。


 「それじゃあ……ハナちゃんや師匠はもう……」


 「「…………」」


 沈黙が漂う。最悪の事態が真緒達の頭に思い浮かぶ…………その時だった。


 「おや、皆さんこんな所で何をしているのですか~?」


 「「「!!?」」」


 そこには、魔王城から転移して来たエジタスが立っていた。


 「「エジタスさん!!」」


 「し、師匠…………もう、心配したんですよ!!」


 涙を流し、鼻声になりながらエジタスに抱き付く真緒。


 「いや~すみません。実は少し気になった事があったので調べに行っていました」


 「気になる事?」


 「はい、ヴァルベルトさんの事を調べて来ました」


 「「「!!!」」」


 突然戻って来たエジタスは、ヴァルベルトについて調べて来たと述べる。


 「今回のハナコさん失踪は、彼が関わっていると見て間違いないでしょう~」


 「えっ、ハナちゃんと一緒では無かったんですか!?」


 てっきり、ハナコと一緒にいると思っていた真緒。


 「残念ですが、ハナコさんは捕らえられていると思いますよ~」


 「そ、そんな……でも、どうしてヴァルベルトさんの仕業だと分かるんですか?」


 「それは彼が四天王だった頃の話に遡ります…………」


 エジタスはフォルスと同じ様に、魔王城で聞いて来た内容を真緒達に伝えた。


 「ここからは私の憶測になりますが、おそらくヴァルベルトさんは、過去にあのエルさんを亡くされて、甦らせようと禁断のアイテムである肉人形と、永遠の若さを保たせる為に巻き戻し時計を盗んだのだと思います」


 「じゃあ、ハナちゃんは……」


 「エルさんの生命維持の生け贄として捕まっているのでしょうね~」


 「ハナちゃん…………」


 ハナコの安否を心配する真緒達。行方不明となっていたハナコがまさか生け贄として捕まったとは、夢にも思わなかった。


 「それにしてもエジタスさん、よくそんな情報を集められたな?」


 「えっ……あ~それは……あれですよ。私はマオさん達と会う以前から、旅をしていました。そう言う訳で、よく色んな情報を耳にしていたんですよ~」


 「成る程…………さすがは元旅人だけはある」


 「(ふぅ~、危なかったですね~)」


 危うく四天王である事、良くても魔王軍に入隊している事がバレる所であった。


 「それで……どうしますか?」


 「勿論、ハナちゃんを助けに行きますよ!!」


 「ほぉ~、ヴァルベルトさんの事情を知ってもですか?」


 「!!そ、それは…………」


 ヴァルベルトにも同情する余地はある。愛する人を失った気持ちは、計り知れない。しかし、だからと言って仲間を犠牲には出来ない。だがそれでは、婚約者のエルは動かなくなってしまう。お人好しの真緒は悩みに悩んでいた。


 「師匠……酷いですよ。私にはそんな非情な決断は下せないのを、知っているのに……」


 「マオさん…………私は前にも言いましたよね。そのお人好しがいつか大事な決断の時に、大切な物を失ってしまうと…………それが今なのです。さぁ、まだ間に合います、決断して下さいマオさん」


 「私は、私は…………」


 「マオ……」


 「マオさん……」


 エジタスの言葉に、心を揺さぶられながらも真緒は決断出来ず、頭を抱える。


 「……助けて…………」


 「ん、誰か何か言いましたか?」


 「いえ、私は何も言ってませんよ?」


 「俺もだ」


 「私もです」


 「それじゃあ、この声はいったい…………?」


 真緒が声のした方向に顔を向けると、青く光輝き揺らめく物が近づいて来ていた。


 「あ、あれは何だ!?」


 「ひ、人魂!?」


 「あっ、昨日の人魂!!」


 それは真緒が昨夜見かけた、人魂であった。人魂は真緒達の目の前で動きを止める。


 「マオさん、知っているんですか?」


 「うん、昨日の夜に見た人魂何だけど……てっきり夢だと思っていたよ」


 「……助けて…………」


 「助けて……って事はもしかして、この人魂はこの城で生け贄として死んでしまった魂か!?」


 恐ろしい答えを導き出したフォルスは、その人魂に対して身構えてしまう。


 「……彼を……助けて……」


 「彼?誰かを助けて欲しいみたいです!」


 「助けて……彼を……ヴァルベルトを助けて……」


 「「「「!!?」」」」


 まさかの人魂は、首謀者であるヴァルベルトを助けて欲しいと懇願して来た。


 「ど、どういう事だ!?この魂は、ヴァルベルトに生け贄された魂じゃないのか!?」


 「助けて……私の婚約者のヴァルベルトを…………助けて……」


 「婚約者って…………まさか!?」


 「「「「エルさん!!?」」」」


 衝撃の事実。人魂の正体は、肉人形として生き返った筈のエルであった。


 「これは、いったい何がどうなっているのでしょうか!?」


 「う~ん、もしかすると……肉人形というのは、本当の意味での“人形”……魂自体は入っていないのかもしれませんね~」


 「という事はつまり、あのエルさんは見せかけだけの只の人形で、こっちの人魂こそが本物のエルさんという事ですか?」


 「そう言う事ですね」


 「「「…………」」」


 明らかになった真実。この瞬間、真緒達のこれからの行動は一つになっていた。


 「皆さん、今からハナちゃんを取り戻します!!そして取り戻した後、ヴァルベルトさんをこの呪縛から解放しましょう!!」


 「了解した!」


 「任せて下さい!」


 「それでしたら、巻き戻し時計を壊すと良いでしょう。壊してしまえば、肉人形は腐っていく肉を維持出来ず、崩れ落ちる筈です」


 肉人形と巻き戻し時計は、二つで一つの代物。どちらか一方が欠けてしまっては、意味が無い。


 「では、師匠は巻き戻し時計である大きな古時計を見つけ出して下さい。その間に私達は、ハナちゃんを取り戻します!!」


 「分かりました~」


 そう言うとエジタスは、大きな古時計を探す為に歩き始めた。


 「さぁ、行きましょう。フォルスさん、リーマ!!ハナちゃんを……私達の掛け替えの無い仲間を!!」


 「「おおーーー!!!」」


 遂に決断した真緒達はハナコを……ヴァルベルトを救うべく、走り出した。


 「……お願いします…………どうか、どうかヴァルベルトを救ってあげて……勇者様……」


 青い人魂は、いつの間にか姿を消していた。


























 





 「ヴァルベルト様……どうやら奴ら、あの熊人を我々が捕まえたと感づいた模様です……」


 「そうか……だが安心するがいい。既に準備は整っている……」


 ヴァルベルトの目線の先には、無数に広がる赤い光がうごめいていた。

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