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ミステリーサークル

ミステリーサークル 〜会長特別篇〜

作者: 千同寺万里

ミステリーサークル会長のスピンオフ。

今まであまり想像していなかったジャンルですが、全力尽くしました、お楽しみください。

空はどこまでも青く澄んでいた。

風は程よく吹き新鮮な空気をこの街に運んでいた。

数日前まで降っていた雪は徐々に溶け、正門までの道はアスファルトが所々黒く顔を出していた。


三月。松戸(まつど)真司(しんじ)は卒業を間近にしていた。地元の名門私立高校「明流学園」への進学が決まり、残りの中学校生活は高校への期待を胸に、消化試合のような日々を送っていた。


「ねえ、松戸くん。今日も帰りは図書館なの?」

真司のクラスメイトの飯島(いいじま)愛海(あみ)が話しかけてきた。


愛海は一年生の頃に、福井県から親の転勤で転校してきた。スラッとした鼻筋に、大きな瞳。加えて厚めの唇はクラスほとんどの男子の目を釘付けにした。もちろん松戸も漏れなくその一人だった。なんとか仲良くしたいという下心を隠しながら、愛海と話したり帰路を共にしたり、数度であるが二人で遊びに行くようにもなった。しかし幸か不幸か、日が経つに連れそれは恋心から友情へと変わっていった。


「ああ。今日も図書館だな。昨日借りた本の謎解きは全部終わっちまったからなぁ。」

「え、あの分厚い本だよね?もっと謎を味わいなよ。」

「謎を味わうってなんだよ。謎解きなんかある程度コツを掴めば、数学の方程式みたいにちょちょちょのちょいだよ。」

松戸は椅子を後ろに傾けながら手をくるくる回して言った。


「仕方ない、付き合ってあげるか。」

「おいおい、別についてこなくたっていいよ。」

「心配しないで。あなたを見捨てないわよ!」

と愛海は劇団員の如く髪をなびかせてセリフを決めた。


「おいおい、羨ましいな。お前ら今日もデートかよ。もう結婚したらどうだ?」

彼は小学生の頃からの腐れ縁三原(みはら)波瑠斗(はると)。やはり彼もかつて彼女の美しさに目を奪われた一人だった。

「そんなんじゃねえよ。第一、俺みたいな謎解きオタクを好きになるような人間は俺はゴメンだよ。」

「ええ、それじゃあ、お前は一生恋できねえじゃねえか。愛海ちゃんも可哀想だぜ。」

「だから、そもそも愛海だって俺のこと好きじゃねえって。」

「分かった分かった。お前は全く贅沢な野郎だ。俺はせいぜい純也とおてて繋いで帰るよ。」

「ウゲッ、想像するだけで鳥肌だよ。」

「やめろ、想像してんじゃねえよ!」

「お前が言ったんだろう!」

教室はいつもの通り、ざわめきに満ちていた。



「さようならぁ。」

授業も終わり一同が玄関へ向かった。部活動は言うまでもなく終わっており、三年生は家で遊ぶかどこかへ出かけるかと言う日々を送っていた。

真司は人々の流れに身を任せながら下駄箱へ向かった。外へ出ても正門までは人の流れができていた。

「今日は何借りようかな。」

あらかじめ家で調べて気になった本のタイトルをメモ帳に書いておいた。真司はそれを取り出して見ながら、門を出ようとしていた。

「ほーら置いてくな!」

愛海がポンと真司の肩を両手で叩いた。

「おお、愛海か。また付いてくるのか。昨日散々暇だって言ってただろ。」

「うーん、確かに暇だけど今から帰るのはもっと暇だからね。」

「あーあ、これが二年前はどれだけ嬉しかったことか。」

「ちょっとそれどういう意味よ!」


あの時は愛海が何らかの理由で触れた時、胸が止まりかけたものだ。男なら誰でもわかる。というより、触れなくたって近くを通った時にフッと鼻をかすめる匂いを嗅ぐだけで、ただそれだけで真司の胸の鼓動を著しく速めた。

初めて二人で帰ったあの日。初めて二人っきりで周りには誰もいなくなったあの日。真司は緊張と緊張と緊張で結局何も喋れず、まともに目を向けることすらできなかった。そういえば、あの日の愛海も「何も喋らないなんて暇だよ」と言っていた。あの日は後悔に暮れたが、翌日に彼女から「おはよう」と言われただけで、あの減点はなかったことのように思えた。


「ま、いいや。お前も少し頭の運動していけよ。」

そう言って二人は町の図書館へと向かった。



図書館の入り口前は融けた雪で濡れていた。二人は水溜りに足が入らないよう気をつけながら図書館に入った。


「はーっ、やっぱ図書館の空気はいいな。」

と真司は図書館の入り口で大きく深呼吸をした。

「何言ってるの。別に綺麗でもないし、美味しくもないわよ。」

と言いながらも、愛海もまた少し空気を吸ってみた。やはり美味しくはなかった。

「この本の匂い分からないか?」

「本の匂いなんてカビの匂いよ。別にいいとは思わない。」

「お前は女の子なのに男の俺よりもロマンにかけたやつだな。この匂い然り、膨大な本が並ぶ景色然り、エネルギーをもらえるだろ。」

「エネルギーが欲しいなら美味しいもの食べてつけるわよ。」

「本当にロマンが全くかけてるな!」

と言ったところで周りの静かで強い視線に気づき

「ま、まあ行こうか。」

と二人は顔を赤くしながら中の方へ進んだ。


「ここだよここ。謎の宝庫だな。昨日のは失敗だったから今日は吟味したいな。」

「ねえねえ、謎を解いて何が楽しいのよ。」

「誰も読めないものを読めるって、かっこよくないか?」

「その割には真司くんは英語苦手じゃない。」

「図星付いてくるんじゃねえよ。あれは謎よりタチが悪いんだよ。」

「そんな言い訳格好悪いわ。モテないわよ。」

「モテなくたっていいよ。俺は謎と心中するからよ。」

と松戸は上の方にある本を手に取った。

愛海は口を尖らせながら

「後悔しても知らないわよ。」

と目を細めた。


「うーん、なかなかいいね。これ借りよう。愛海はなんか借りていかないのか。」

「私は…別にいいわ。小説も漫画も興味ないし。」

「謎解きは?」

「いうまでもなくよ。私は謎に恋するほどロマンチストじゃないの。」

と言って真司の持っていた、昨日借りた本を手に取った。

「これ返すんでしょ?そしたら私に貸してちょうだい。あなたの彼女を徹底的に調べてみるわよ。一日で飽きちゃったそうだけどね。」

と言って松戸の袖を引いた。

「お、おい何するんだよ。」

「あなたが返さなきゃ借りれないでしょ。行くわよ。」

と言うので松戸は愛海にぶつからないように体を反らしながら受付へと向かった。


「これ返します。」

「そしたら私が借ります!」

とすかさず愛海が言った。

「『謎との遭遇100』ですね。少々お待ちください。」

と言って受付の女性はバーコードを読み取り、返却の手続きを終えた。

「そうしたら、あなたは図書カード持ってますか?」

「あ、いえ。借りたことないので…」

「そしたらこれに必要事項を記入してください。あと身分証明書と一緒に受付に持ってきてください。」

と記入用紙を渡した。

「真司くん、ちゃんと待ってるのよ。勝手に帰らないでね。」

「分かってるよ。」

「そうかしら。気付くとすぐいなくなるくせに。」

と言って愛海は用紙へ書き込みを始めた。


「じゃあ、俺はさっきの場所にいるからな。」

といって真司はクイズや謎解きの本をまた探しに出た。



棚にはびっしりと本が置いてある。恐らく千冊ほどだろうか。謎解きだけに焦点を当ててもこれだけある。いったいどれほど素晴らしい本が、誰にも見つからないところで静かに眠ってしまっていることだろうか。

真司は棚の本をじっと見つめながらそのようなことを考えた。そうしていると一冊の本が不意に目に入った。


「女心の迷宮?変わったタイトルの本だな。」

中身を見ると小説であった。どうやら『迷宮』と言う単語から、誰かが謎解きコーナーに間違って置いたらしい。真司は少し気になったので一ページ目を見てみた。

そこにはこう書かれていた。



ー女は隙を感じて近づき、それは間から姿を消すー



女の子は気づいたらそこにいて、気づかないうちにいなくなるってことか?何だか哲学っぽい言葉だな。趣味じゃないや。

と思って真司は元の棚に戻そうとした。その時ちょうど愛海が戻ってきた。

「ねえねえ、何読んでるの。」

真司は反射的に本を隠してしまった。

「うん?ねえねえ何読んでるのさ。」

「いや、別に何でもねえよ。」

別に隠さなければ怪しいものでも恥ずかしいものでもなかった。しかし、隠してしまった今、何だかそれを見せるのが急に恥ずかしく感じてしまった。

「ちょっと見せてよ。」

「いつもの本だよ。」

「ならいいじゃない。」

「放っとけよ!」

と真司は咄嗟に受付へ走っていった。

「あ、ちょっと。」

愛海は真司を追って歩いた。

「あの、これ貸してください。あとこれ戻しといてください。」

「はい、かしこまりました。」

と受付は言っていたが、その受付の人が呼ばれてしまいどこかへ行った。代わりに来た受付が二つとも借りるのかと勘違いしどちらも貸す処理をした。

「あ、あの…」

借りてないことを言おうとした頃には愛海はそこまで来ていたので、慌てて、表面は落ち着いたように見せながら本を鞄へしまった。

「もう、走らないでよ。」

「わりいわりい。帰るぞ。」

「え、ちょっとどうしたのよ。」

真司はさっきの本を深入りされないように外へ出た。


「真司くんどうかしたの?」

「いや、早く謎を解きたくてよ。」

「本当に好きだね。高校入ってもそんなんだったら本当に彼女できないで三年経っちゃうよ。」

「残念ながら、俺は高校入ってもやる。明流学園には謎解きの同好会があるらしいからな。」

「そっか。真司くん明流学園だもんね。」

と愛海は心なしか悲しそうに呟いた。

「うん?どうかしたのか。」

「別にどうもしないわよ。」

「あ、そう。じゃ、お前の家こっちだろ。じゃあな。」

「あ、あの真司くん!」

愛海は咄嗟に真司を呼び止めたが、それ以上何も言う言葉が見つからなかった。

「あのさ…また明日ね。」

「おう。」

愛海は雪融けで足場がないほどに濡れた地面を向いて、濡れないように気をつけながら何度も小回りをして家へ帰って行った。



「ただいまー。」

真司が家に着いた時、時刻は六時前だった。卒業を間近に控え、塾はすでに終わっていた。高校は私立で放課後勉強もキッチリされているため、塾は辞めたのだ。

もちろん宿題もなく、することもない真司はまたいつもの通り謎解き本を読むことにした。鞄から今日借りて来た本を出そうとした時、受付の人が間違って貸した本を見つけた。

「そうだった。借りて来ちゃったんだった。」

恋愛漫画、小説には一ミリたりとも興味のない真司であった。あの惚気(のろけ)がどうにも苦手なのだ。しかし、こうして手元へこの本がやって来たのも何かの縁。真司は少しだけ読んでみることにした。




ー女心の迷宮ー 神山真知子



女は隙を感じて近づき、それは間から姿を消す。



男が恋をするように、女もまた恋をする。男女で性格を分けるのはこの時代良くないことかも知れない。

しかし私はやはり男女の恋愛感情には、感じ方のズレや募り方の違いが存在すると思う。

男は美女あるいは可愛い子がいれば(時に周りと違う好みを持つ者もいるが)、すぐにそちらへ顔を向け、夢中になる。日々の中であいつよりもなかよくなろうとあの手この手で近づいて、結局女からは鬱陶しがられることが当然なのだが、それを学びはしない。

そんな中でその子がいわゆるイケメンと付き合おうものなら、結局顔だけかと敗因の研究をしようとはしない。また、当然誰にしても男から迫られれば、それが好みでなくても嫌いでさえなければ、社交的にある程度の仲を作ることくらい、女だってするものだ。時にあざとい女もいるもので(これが結構少数ではない)、誰彼構わず男の隙を見て近づき、本命ができると次は男たちの間から離れていく者もいる。

それを完全に許せとは言わないが、ある程度そういう属性があることは、私自身否定することはない。


さて、女について語ったが男に恋する女はどうだろうか…



バタン



「うげぇ、なんじゃこれ。いったい誰が読むんだよ。」

恋愛小説かと思って開けば、中は恋愛の啓発本であった。

真司はそもそも他人の恋愛ごとが嫌いで、かつ啓発本というものに胡散臭(うさんくさ)さを感じている。完全に耐えきれなくなった真司はこの本は忘れてしまおうと鞄にもう一度しまった。

そして今度は読みたくて借りた謎解き本を取り出した。真司は机に電気を灯し、謎解き本に向かい合った。

「よし、どれどれ。」

と真司は真ん中くらいのページを開いた。

大抵の謎解き本は、最初のページの内容は極めて簡単な為、真ん中くらいのページを読むことで真司はこの本の価値を感じる。

「ふーん、なるほどね。」

と言って机の棚から裏紙用紙を取り出して謎を解き始めた。

外では雀が鳴き、バイクが通り、階下では親が見ているテレビからモゾモゾと音が鳴っていた。

しかし、この時の真司には全く聴こえなかった。

全ての神経を、鼻や耳すらも謎に集中させ、考えていることを取り出すかのように紙へガサガサと様々なことを書いていった。

真司は頭の中で考えるよりも、なるべく視覚化して考えるのが好きなのだ。

そうして八分ほどたったところでそのページの謎解きは終わった。

「八分か。無駄な考えを減らせば、もうちょっと短くなったかもな。」

そういって本のページをめくり模範解答を見た。

「ま、あってるか。この本もまあまあだな。」

そういって真司は本の後ろの方のページをみた。

ここらまでくると、相当な頭の柔らかさを求められるのだ。



ー問題 次の暗号を解けー


ZIHTZITAHW



アルファベットが羅列している問題だ。もちろんそのまま読んだところでまったく意味がわからない。

しかも今回は問題がかなり短い。クイズや数学は問題が短いのに難しいというケースが少なくない。与えられているヒントが少ないことと同じだからである。

与えられているヒントが限られているときは、今度は知識から答えまでの道のりに必要なものを自ら埋めて行かねばならない。

真司は頭を回した。


考え始めたちょうどそのとき

「ごはんよー。下りてきなさーい。」

と母親の声がした。

気がつくと時刻は七時半を回ろうとしていた。

真司はタイミングが悪いな、と思いつつも空腹には耐えられず、階下の食卓へ向かった。



食事を終えたのは九時だった。正確には食事を終え、一通りテレビの前でだらけ終わったのがこの時刻だった。その間も真司の頭の片隅にはアノ謎がへばりついており、気になって仕方がなかった。この後また呼び戻されるのも面倒と思い、部屋に戻る前に真司は風呂に入ってしまうことに決めた。


髪と体を洗い終わったところで湯船に浸かった。真司はアッツアツの風呂が好きでいつも温度を高めに設定するか、追い焚きを欠かさず行うようにしている。

湯に足が入った瞬間から全身に熱さが電気のように伝わって行き、体を刺激した。湯に浸かる面積が増えれば増えるほど、その刺激は頭の方へ達していき、一日間酷使し続けた脳に心地よさを与える。それはいわば脳へのマッサージのように思える。

「アー、気持ちいい。」

と快楽を狭い風呂場に響かせ目を細めた。

この時ばかりは謎だらけの真司の頭の中も空っぽになっていた。


数分入ったところで真司は風呂を上がった。

火照った体をタオルで拭き、肩にかけたまま部屋へ向かった。そうして机につき、再び先ほどの謎に取り掛かることにした。

「よし、やるか。」

真司が謎を見たその時だった。とんでもないことを思い出してしまった。折角戻らなくてもいいようにと風呂に入ったが歯を磨くのをすっかりと忘れていた。

面倒だなと思いつつも、さすがに見過ごすこともできず、仕方なく風呂場の横にある洗面台へ向かっていった。


鏡を見ると、そこには見慣れた自分の姿が映っていた。よく写真映りが悪いと自分だけが思っている人がいる。実は、人間は見慣れた顔に若干の違和感を覚えるだけで、見映えが悪いと脳が判断するらしい。

鏡に映った姿、すなわち実際向こうから見たものとは左右反転している姿を見ているため、写真と微妙な違いを感じ取っているのだ。

そんなウンチクを思い浮かべながらダラダラと歯を磨き、ようやくそれを終えた。部屋へ戻って今度こそ先ほどの謎に向かった。

「なるほど、反転はその本来の姿を消し去るのか。」


先ほどの文字を反転させる。


すると見えてくるではないか。


ZIHTZITAHW

WHATISTHIS


元の文のうち、Z以外は全て左右対称であり、Zは反転によりSにかわる。実に簡単なことであった。

「こんなことに悩まされていたのか。答えはMirror(鏡)だな。」

人間は考えてもわからないときはいくら考えても分からないが、その答えを知ると素っ気なく感じてしまう。よくあることだな、と思いながらベッドに倒れこんだ。

考えても分からないのはいいけど、一番厄介なのは気付くべきことに気付かないことなんだよな。

そんな風に思いながら今度は目を瞑った。

後二日。卒業式をあさってに迎える。しかし、不思議と緊張も不安も寂しさも残っていない。

暖かい布団の中で真司は明日を待つことも拒むこともせず、ゆっくりと眠りに入った。



部屋が暗い。いつもより暗い。目を覚ました真司は時計を覗く。目覚ましのなる五分前。時刻は普段と大して変わりない。

カーテンを開けて外を覗くと雨がザーザーと降っていた。アスファルトに叩きつけられる雫はあっという間に池を作り出していた。強い雨のせいか空気はかなりどんよりとした重さを持っていて、その重さは真司の背中に乗っかった。


朝食を食べ終え学校へ向かおうとリュックを背負ったら、なおさら背中が重くなった。外へ出ると雨は朝よりもさらに強さを増していた。傘に当たる雨粒はボツボツと大きな音を立てて真司の耳に響いてきた。

若干溶け残っていた雪も、雨に流されてその姿はどこかへ消えていた。

正門が見えたところで波瑠斗が横から来た。

「ひでえ雨だな。明日は俺らのハレの日だと言うのに。ちゃんとやんでくれっかなぁ。」

「まあ、今日のうちに出し切ってもらえれば晴天もあり得るだろ。さすがにこの天気で卒業は嫌だな。」

「全くだよ。」

玄関近くのタイルは水に濡れてツルツルになっており、二人の足を今にも滑らせそうであった。

「ひやぁ。ひでぇもんだな、真司。」

「本当にそうだ。早く帰りてぇよ。」

「ほんと来たばっかりだけど帰りたいな。」

と話していたら愛海が入って来た。

「酷い雨ね。スカートは寒いわ。」

「同情するよ。」

「あら、真司くんに同情されるなんて珍しいこともあるものだわ。まあ、明日は卒業式だからね。人生で一度くらいのいい経験ができたわ。」

愛海はさっさと靴を変えて行ってしまった。

「俺らも行くぞ。」

と波瑠斗が言うので真司もついていった。

この日は卒業式準備と最終予行。授業もないので楽であった。一通りの確認も終わり波瑠斗と昼食を食べた。

「波瑠斗、この後何すんだよ?」

「知らねーよ。」

「掃除よ。二人とも頑張りなさい!」

と愛海が入って来た。

「マジかよ。めんどくせえな。真司、サボろうぜ。」

「あら、それはダメよ。男の子なんだから力仕事沢山あるんだからね。しっかりやるのよ。二人とも。」

といったところで女子が愛海を呼んだのでいなくなつてしまつた。

「なあ、真司。本当にいいのか。あいつに告白しなくて。明日卒業なんだぞ?」

「知らねえよ。告白っていうのは恋をするからやるんだよ。」

「でもお前は元から愛海ちゃん好きだったじゃねえか。」

「かれこれ三年前の話だよ。関係ないさ。」

「俺は忠告したからな。お前は頭良さそうにしてるけどよ、ロクな使い方しないんだよ。」

「どういう意味だよ。」

「ここから先は俺の言えることじゃねえ。っていうか、言いたいことに責任持てないから言わねえ。」

「そうかい。無理には聞かねーよ。」

「でも俺は忠告したからな。高校入ってから後悔したって俺は知らねえぞ?お前の彼女には慣れないからな。」

「グヘッ、何気持ち悪いこと言ってんだよ。」

「想像してんじゃねえよ!」

「想像させんじゃねえよ!」


そこで鐘が鳴り、大掃除開始が告げられた。

真司は図書室の掃除に割り当てられた。本棚の上はしばらく掃除しなかったためかひどく埃まみれであった。いくら掃いても綺麗にはならなかった。

掃除の班長が

「おい真司、バケツに水を汲んできてくれ。」

と言う。

「オッケー。」

と言って真司は図書室をでた。水を組むために男子トイレへ向かっている途中、愛海がやって来た。

「ねえ、真司くん。明日で卒業でしょ?」

「ああ、そうだな。」

「あのね、その…」

「どうした?」

「うーんと、渡すものがある。」

「ほお。なに?」

「はい、家帰るまで絶対開けないでね。絶対だよ。」

愛海は手紙を差し出した。

小さいレターサイズの封筒に入った手紙。

いくら鈍感と言われる真司も想像する。


これは、ラブレター…なのか?


おもて面を見ると丸い文字で書かれていた。


『私からの別れの挨拶。真司くんへ。』


「なんだこれ、ラブレターか?」

「あ、あのね!デリカシーのかけらもない人ね!万一本当にラブレターだったらどうするのよ。泣いて教室に駆け込んじゃうわよ。」

「わ、悪かった。じゃ、違うのか?」

「違うわよ。これは私からあなたへ送る最初で最後の謎解き。もしかしたら、真司くんならすぐに解いちゃうかもしれないけど、でも、頑張って作ったから。ちゃんと捨てないで解くのよ。解いても捨てないでよね!」

「分かった分かった。」

「じゃ、私は教室掃除だから。」

といっていなくなった。

真司はもらった手紙を片手に図書室へ戻った。

「お、真司おかえり。ありがとな。」

「え?あ!水汲むの忘れてた!」

「はあ?おまえ正気かよ!高校行く前に病院行くこと進めるぞ。」

「悪い行ってくる!」

真司は慌てて図書室を飛び出した。

今度は道中、誰にも会わなかった。



帰りの時間になった。外は雨が降り続いており、やはり気分のいいものでは無い。景色は傘で埋め尽くされ、誰が誰かともよくわからない。

跳ねる雨粒がズボンに当たるたびに冷たさを感じた。


昨日の本はなかなか良かったからまた別の問題をやるかな。

そう思いながら真司は帰り道の長さは考えないようにして、ひたすら前へ前へと進んだ。

「おい、真司。」

「ん?波瑠斗。どうした。」

「ちょっとウチ寄ってけよ。暇だろ。どうせ。」

「ああ。まあな。」

真司の帰り道の途中に波瑠斗の家はある。波瑠斗はサッカー部に入っていたため、帰り道を同じくすることはあまりなかった。

「久しぶりだな、二人で帰るのは。」

「確かにな。お前がずっと愛海ちゃんといたから誘えなかったよ。」

「何言ってるんだ。お前がずっと部活してたからだろ。」

「果たしてどうだろうかね。俺が帰宅部だったらお前は俺と帰り続けたのか?」

「多分そうじゃねえかな。」

「じゃあ返って良かったか。俺がいたら愛海ちゃんは手の届かないところにいたかもな。」

「知らねえよ。」

「いやいや、少なくともお前とああやって帰ってなかったら彼氏作ってたかもしれないぞ。お前が今あいつと付き合ってるかどうかは別としてよ。」

「そんなものなのか。」

「間違いねえさ。」


波瑠斗の家に着いた。真司は中に入った途端、冷え切っていた足に暖かさを感じた。

「よほど外は冷たかったんだな。家の中あったかいや。」

「融けた雪のせいもあるんじゃないか。知らないけどよ。ほらこっちこい。」

招かれて波瑠斗の部屋に入った。波瑠斗の家には久しぶりに来たが、前に来た時と何ら印象は変わってなかった。

「お前変わんねえな。小学生の部屋みたいだな。」

「余計なお世話だ。これが俺のアイデンティティなんだよ。」

「ひでぇアイデンティティだな。」

「麦茶持ってくるから待ってて。」

「おう。」

部屋の中央に置かれたテーブルの前に腰を下ろした。

鞄から昨日の本を取り出してまだ解いてない問題を見ていった。

そうしてすぐに波瑠斗は戻って来た。

「また謎解きか。」

「これが俺のアイデンティティなんだよ。」

「ひでぇアイデンティティだな。」

「お互い様ってことだな。」

「ほらほら、そんなもん見てないで俺と話せよ。」

「なんだよ。全く。」

「あのさ。付き合ったのか?」

「またその話か。何億回説明すりゃいいんだよ。もう反論するのも面倒だよ。」

「だってさ、お前今日進展があったじゃねえか。」

「え?」

「見てたんだよ。途中で愛海ちゃんいなくなったから、ちょっと用事ある風の体裁でついていった。」

「なるほど、ストーキングってことか。」

「別に俺は愛海ちゃんに興味があるんじゃない。お前になんかあると思ってよ。そしたらさ、廊下で止まって動かないんだよ。二十分も。」

「あいつそんなにあそこにいたのか。」

「約束してたんじゃないのか?」

「いいや。バケツの水汲みに出たら偶然あった。」

「もしかしたら偶然じゃないのかもな。ということは告られたのか?」

「まさか。手紙をもらった。」

「ラブレター?」

「あいつが違うってよ。」

「おい、ちょっと持ってるだろ?見せろよ。」

「はあ?勘弁しろよ。」

「ラブレターじゃないなら恥ずかしがることないだろ。」

「ま、まあな。」

女子の心男子知らず、下手に下がれなくなった真司は仕方なく手紙を出した。

「これよ。」

「あけようぜ。」

「分かったよ。その代わり俺が先に読む。」

「もちろん。」

「謎解きって言ってたよ。」

そう言って封筒を開けた。



ー真司くんへ


中学に来てからの三年間。真司くんと一緒にいれて楽しかった。高校変わるし、もしかしたらもうしばらくは逢えないと思う。

別れの言葉に変えて、私から最初で最後の謎を真司くんへ送ります。



Close Open En Em Counters Tables Of About The An Mystery Enigma Hundred Thousand



最後に

私の気持ちは二つに一つだからね。


飯島愛海ー



「ほらよ。見せてやるよ。」

「うん?どれどれ。なんだこれ。よく分かんねえけど。でも最後の文見る限りやっぱお前のこと好きなんじゃねえのか。」

「は?なんでそうなる。」

「そりゃ二つに一つって言ったら好きか嫌いかのことだろ。嫌いなわけないんだから好きだろ。」

「いやいや、そんな中途半端に分かりづらい書き方するかよ。好きなら好きっていうし、隠したいならもっと巧妙にやるだろ。愛海だってバカじゃないさ。」

「じゃ、この謎はなんだよ。」

「知らねえよ。英語嫌いな俺への当てつけだろ。」

「解かないのか?」

「まあ解いてもいいけど。まず、最初の単語二つは開け閉めで対義語。次は…よく分からん。次はカウンターとテーブルで席の話だろうから対義語。次の二つはちょっと対義語かは微妙だな。次の冠詞も。その次はどっちも謎で同義語か。ラストは百と千。さっぱりだな。俺らは対称的な関係だけど似たようなところもありますよってことか?」

「お前そんな解答で満足するのか?」

「素人の作った問題なんか知ったことかよ。」

「俺はもうちょっと考えるぜ。例えば文字数が電話番号とか。」

「スタートがゼロ文字じゃない時点で携帯じゃない。家の電話くらい調べりゃわかるよ。」

「そうか。頭三桁以下と考えても余るな。」

「ま、いいや。ゲームでもしようぜ。お前と喋っても暇だよ。」

「そうだな。」

二人は七時近くまでゲームをして、その後真司は家へ帰った。


外は相変わらずの天気だった。

降り止まぬ雨は明日の卒業式まで続くか、真司は心配をした。

家へ帰りこの日はもう謎解きはやめることにした。明日は卒業式だから、緊張しているわけではないが、なんだか謎を解く元気はなかった。



昨日の朝よりも部屋は明るかった。

昨日カーテンを閉め忘れたせいである。外ではここまでかというほど太陽が輝き、歩道は卒業生を讃えるかのように、水を滴らせた花が笑顔を見せていた。

さっさと朝食を済ませ、いつもより気持ち制服を整えてから学校へ向かった。

教室はガチャガチャと騒がしく、みんな思い思いに時間を過ごしていた。

「真司!卒アルだせよ。サイン書いておいてやったぞ。」

「波瑠斗のサインなんかいらねえよ。」

「本当は嬉しいくせに恥ずかしがるなって!」

朝のうちに配られていた卒アルを開くと、波瑠斗のサインがきっちり入っていた。

ー高校でも楽しもうね!ー

小学生並みの文である。

「おらおら、お前も書いてくれよ。」

「こっちにもよ!」

クラスではあちこちでサイン会をしていた。

仕方ないな、と真司もみんなと書きあいをしてなんだかんだ盛り上がっていた。

愛海はと言うと、男子からも女子からも人気のようでしっかりと囲まれていた。若干の寂しさを感じつつも、真司はそこへは行かなかった。

「はーい、それでは並んでくださーい。」

担任の声に従って全員が廊下に並び始めた。

ここからは本当に長いのである。



校長からのありがたい言葉、PTAからのありがたい言葉、在校生代表からのありがたい言葉、卒業生からのありがたい言葉、国歌に校歌の斉唱…ありがたいことづくめで本当につまらない時間だった。

卒業式も無事に終わり、教室は再び和みの空間となった。

「あーあ、暇だったな真司。」

「全くだよ。ありがたい言葉なんて、一番感動してるのは言ってる奴自身だよ。実に悪習だね。つまらん。」

「本当だよな。やるならビルゲイツとかジョブズとかから聞きたいな。」

「英語は理解できねえからやっぱつまらねえよ。」

「お前は英語出来ないからなあ。」

「心配するな、お前もどうせ聞き取れないよ。」

二人で話していると愛海が寄ってきた。

「ねえねえ、真司くん、ほら…」

と何かを示そうとしてきた。おそらく手紙だろう。

「まだ解けてねえよ。」

「よかった。ちゃんと解くのよ。」

「え?昨日解けたじゃねえか。これでいいかって。」

「いや、ありゃ解けたうちに入らねえだろ。」

「ちょっと待った。真司くん、三原くんに見せたわけ?」

「いや、誤解だ。見せたと言うよりかは謎解きを手伝ってもらっというか…」

「そうそう。文章は全然読んでない!」

「三原くん、文章は読んでないならなんであることを知っているの?」

「あ、そ、それはな。手紙なら…あるかな…と…ごめん…」

「まあいいわ。」

ハアッと愛海は呆れたように溜め息をついた。

てっきり雷が落ちると思っていた二人は安堵を覚えた。

「悪かったよ。ちゃんと解くから。心配するなって。」

「じゃ、答えわかったら、ちゃんと連絡するのよ。」

「はいはい。」

「じゃあ、私のサインもしておいてあげるから。」

そう言って愛海は真司の卒アルにサインを書いた。


そこからの時間はあっという間だった。みな家族と共に家へ帰って行き、真司もまた、家へ帰った。


卒業。長かった三年間も終わり、新たな生活が目の前へ来た。真司の義務教育に終止符が打たれた。



それから一年と少しの時が過ぎた。

四月。真司は新入生を迎える準備をしていた。

「なあ真司、俺らも去年ここに入ったんだよな。」

「そうだな。波瑠斗。」

「あのさ、愛海ちゃんどうなった?」

「どうもこうもないさ。親の転勤ついでに引っ越してあれからあってもない。」

「電話とかは?」

「番号もメアドも。何も知らない。」

「もったいねえな。あんな美少女なかなかいないぞ。少なくともこの学校にはまだいないね。」

「それは認めるよ。愛海は本当に美人だった。今更後悔してるよ。」

「だから俺はあれほど忠告したのに。人間はその身にならなきゃ気づかねえな。」

「本当に後悔先に立たずだよ。」


この日は入学準備期間ということで、同好会活動は休みだった。帰宅後、真司は久しぶりにあの日の手紙を見た。

「そういえば、まだ謎は解けてなかったな。」

もう一度謎を見た。

「ふーん。もし、もしもあいつが謎解きを知っていたら、この後書きにも意味があるかもな。二つに一つか。二つに一つが大切としたら。うん?まさか、いや、そのまさかだ。あいつはちゃんと謎解きらしく作ってたんだ!」

Close Open En Em Counters Tables Of About The An Mystery Enigma Hundred Thousand

それぞれついになる語の一つ目だけ繋ぐと…

『Close En Counters Of The Mystery Hundred』

つまり

『Close encounter of the Mystery 100』

「確かこの前半部分って…」

真司はスタホを取り出し調べた。

「やっぱりそうだ。未知との遭遇。原題はClose encounter of third kindだ。つまりこの謎解きは『謎との遭遇100』。俺の記憶が正しければ、あの日あいつが借りた本だ!」


時刻は五時。まだ間に合う。

真司は急いで家を飛び出し、図書館へ一目散に走った。

あの日、二人で話した本棚。確かこの棚…

「あった!」

『謎との遭遇100』その本をペラペラめくった。

するとスルリと紙が落ちた。


『A君ースピードー地球ーペットボトルー転んだから』


紙にはそう書いてあった。

「くそ。また謎かよ。でもあれから誰も借りなかったのか?残っててよかった。うーん考えろ考えろ。」

真司は頭をものすごい勢いで回した。ただ謎を解きたいだけじゃない。愛海を感じたい。その感情が真司にはあった。

「答えか!」

片っ端から解答ページをめくる。この本は問題のすぐ次のページに解答が載っている。

「A君A君…あった!スピード…前の前のページか…地球は…」

全てが見つかった。

「これをどうする…全ての答えに共通するもの…この本に載ってること…ページ数は全部に載ってる!」

ページ数を組み合わせると080から始まる十一桁の数字が浮かんだ。

「携帯の電話番号か…今なら…大丈夫…かな…」

真司は外に出て、震える指が別のボタンを押さないように気をつけながら電話をかけた。

すぐに向こうから声が聞こえた。

「もしもし?」

若い、綺麗な女性の声だ。

「あの、もしもし。」

「どちら…さまですか?」

「あの、松戸真司です…」

「真司くん?真司くんなの!?」

「やっぱり。愛海だったか。」

「謎解けたのね!遅いわよ…すっかり忘れてたわ…」

「本当に悪かったよ。なんか一言くらい言ってから別れればよかったな。」

「そうね。あのさ、真司くんは彼女いる?」

「いんや。あの頃の愛海の予想通りさ。」

「そっか。私ね○○市にいるの。」

「なんだ県内か。」

「うん。あの、今度会わない?」

「もちろん。いつでもいいよ。」

「あのさ…今度は友達じゃなくてさ…」

「え?」

「いや、なんでもないや!じゃ、日取り決まったらまた電話する!真司くんの携帯でしょ?」

「おお。いつでもかけていいよ。夜は一時まで起きてる。」

「わかった。じゃ、切るね。」

「ああ。」

真司の心臓はいつもの数倍強く打っていた。

少し落ち着こうと、もう一度あの本棚ね向かった。

すると真司の目にあの日の本がうつった。

「またここに置かれたのか。やれやれ。」


ー女心の迷宮

女は隙を感じて近づき、それは間から姿を消す。


「懐かしいな、おい。」

真司は締めが気になり最後のページを開いた。


ー別れの悲しさを感じたくない人は、いつか会える奇跡を信じてこっそりとその人の前からいなくなる。

女は好きを感じて近づき、それは愛だから姿を消す。


「なるほど、ね。」

不思議と感じなかった悲しさの代わりに、あの後の真司には割と大きめの穴が空いたようだった。

むなしさと悲しさ。どちらがマシだったかわからない。しかし、確かに彼女と連絡が取れたし会えることにもなった。もうそれでいいじゃないか。それで十分じゃないか。


真司はいつもより上を向きながら家へと帰った。

胸キュン賞応募を目標にしたら大して胸キュンもハラハラもせずに完結しました。

今後はまたミステリーサークル執筆をします!

皆さんに素敵な謎が届きますように!

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