水平城(中新田城)の戦い その五
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中新田城 一ノ丸
氏家守棟と足止め部隊が一ノ丸の氏家定直に合流した。計三度の足止めを敢行し貴重な時間を稼ぐ事に成功していたが、三度戦闘で士気は落ち兵は皆立っているのがやっとと言う状態だった。
「守棟ご苦労!お前のおかげでなんとか火計の支度はできたぞ。」
「それはなによりだな、もうやれと言われても絶対に無理だからな、それで火計を使うとか手順はどうするんだ。」
「近づいてきた所に油と火を放ちあの武器を焼く、それだけだ。」
「単純なのが一番効果があると言うし、良いんじゃ無いかいい加減奴らの勢いを止めないと、城が落ちるのも時間の問題だからな。」
「奴らの勢いはそれほどか……」
「武器からして違い過ぎる、槍といい弓といい我々のかなり先を行っている、俺は最上は和平して時間を稼いで根本から立て直すべきだと確信したよ。」
「和平交渉か……それもこれも生きて帰れたらの話になりそうだな。」
「義直殿も南部の大軍が既に領内を蹂躙している所に、更に石川高信がやってきたら和平など笑われて終わりな事は理解しているはず、親父は都合が悪かろうから俺が義直殿に提案しよう。」
「最上の未来か……わしは兵を鍛え戦に備えてきたつもりだったが足りていなかったの………」
伝令 「敵が来ました!」
「生き残ってからこの話をしよう、守棟は本丸に迎え……もしここが落ちたら降参するのも手だろうからな。」
「親父……」
「負けるつもりは微塵もないぞ、やるからには勝つ!」
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中新田城 二ノ丸
八戸政栄 「実親殿、さっきまで散発的に仕掛けてきた攻撃が止んだようですね。」
九戸実親 「はい、要するに足止めをする必要が無くなったわけですね。」
政栄…… 勘もいい、いずれ某将と呼ばれるのかもね。
「相手に策の存在を知らせないのも策のうち、知った以上は手を打つここが大事な点です。」
間違っても我々のようなか弱い者は、笑いながら罠など噛み砕けば良いじゃなーいとか言えないしね。
「おお、政栄殿は何か策があるのですか?」
要するに、木砲対策の準備が終わったんだろ、運がなかったね。攻城槌ならその手でよかったのにな。
「実親殿はアレを撃ちたいんでしたね。」
「撃てるんですか?」「撃てるンですよ。」
撃てるンですに名前は決定かな使い捨てだし。
さて、冗談はともかく城外の馬車から残りの撃てるンです(木砲)を持ってこないとな。
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一ノ丸 門付近
伝令 「南部の動きが止まりました。近づいてきません。」
定直 「そうか……」
感づかれたか?だがこちらも取れる策がない、包囲されてる訳では無いのだ脱出もそろそろ視野に入れるべきか……
半刻ほど経過……
「動きだしました!」
「よし、油壺を投げる準備をせよ!、火矢の用意も忘れるな。」
さて、なにか対策をしてきたのか見せてもらおうか。
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「全部で十本ですか、やっぱり一本売ってください。」
あれ?大砲は門で数えるんたよね?木砲はでかい銃だから丁?木だから本?まあ後で考えよう。
「高い買い物(嘘)ですから愛姫に相談しないと怒られますよ。」
でも買ってくれ、ぼったくろうぼったくろう。
「それとまあ、四本?は火薬がないので飾りですけどね。」
「六発も撃てるンですか。楽しみだな。」
「ええーと、とりあえず三発で勘弁して下さい、本丸が残ってますから。」
「そうですか、楽しみです。」
もったいない、この門壊したら本丸囲んで交渉しようかな。
「さて!やりますか、工兵部隊は実親殿と門から少し離れて砲撃!今回は三連発だ訓練では発砲までやらなかったが手順は同じだからそのように!では掛かれ!」
工兵部隊長 「はっ!実親様は直衛の方々とこちらへどうぞ。」
「よろしく頼むよ。」
ふむ盾兵で囲むのは一緒か、今回は三発で離れた所からだが……まあ火計の外からでも一発当たればいい……あ、六発全部はずれたら、かっこ悪いな。
盾兵を先頭に門の手前三十メートル位まで近づく。
……よし、あの距離ならなんとか当たるだろ。
「砲撃許可!赤旗上げ!」
本陣から赤旗が上がる、盾兵が、横に移動して三つの木砲が現れる。
守備側
伝令 「定直様!目前に敵の武器が三つも、しかも油壺を投げても届くかギリギリの距離に離れています。」
「なんだと!クソ!わかった直接わしも見る。」
攻撃側
工兵部隊長 「では、着火でこれを引いて下さい、少し熱が伝わるまでかかりますが動いて狙いを外してははいけません。」
「なる程、わかった!」
「では、一番用意!」「一番用意よし!」
「二番用意!」「二番用意よし!」
「三番用意!」実親「用意よし!」
「火薬装填!」「一番よし!」「二番よし!」実親「三番よし!」
「火蓋を切れ!」「一番よし」「二番よし」実親「三番よし!」
「安全装置解除!」「一番よし」「二番よし」実親「三番よし」
だから付いてないって。
「砲撃許可よし!」「一番着火!」「一番着火!砲撃!」
ドン!!!ヒューーーー ドゴーーーン!!
「命中ならず!」「二番着火!」「二番着火!砲撃!」
ドン!!!ヒューーーー ドゴーーーン!!
「命中!門の左側破壊!」「三番着火」実親「三番着火!砲撃!」
ドン!!!ヒューーーー ドゴーーーン!!
「命中!門の破壊を確認!!」
おお!ビギナーズラック。
守備側
「三つも、しかもあんなに離れて門を壊せるのか」
ドン!!!ヒューーーー ドゴーーーン!!
「門を外したか、なる程火矢の大きいのを飛ばしているのか、だが離れては当たらな……」
ドン!!!ヒューーーー ドゴーーーン!!
「門に命中!!扉がこわれました。」
「うわー!もうためだ!」「逃げろ!!」
「ええい!黙らせろ!まだ……」
ドン!!!ヒューーーー ドゴーーーン!!
「門が完全に破壊されました!」
「………本丸に撤退!」
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「イヤー命中しましたよ!見てましたか。」
「ええ、お見事でした。」
お客様は神様ですから。
「では、敵も逃げだしたみたいですし、ゆっくりと本丸を囲みますか。」
「もう一回撃ちますか?」
「敵は逃げだしたので戦う気はもうないでしょう、交渉で城を明け渡してもらいます。」
「わかりました残念ですが、城を落としたから十分です。」
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