表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/163

新井田城に呼ばれました。

1547年、天文16年 足利義輝が細川晴元に京から追い出されたり、武田信玄が甲州法を制定したり、竹千代君が織田の人質になったりといろんなことがありましたが、八戸領は平和です。


「若様」


............


「若様?」


「おサエさん、みず!みずを持ってきてくれ!」












弟がうまれました。






マジー!?おれまだ4才よ、いや、何時かは生まれるだろうけど早すぎるだろ。


いかん、こうしてはおれん、暗殺者のじゅん...


「若様、大殿がお呼びです。」


遅かったか、ヒィィィ!


◆◆◆


ふっ、享年4才、名前はまだない。


「若?大丈夫ですか?」


「ああ、大事ない、少し気を抜いていただけだ…って、根城に向かうのではないのか?」


「話を聞いてなかったのですな、大殿がお呼びになってます。」


「大殿?」


大殿って誰だ?今の南部本家は今は不来方だし、八戸領の領主で引退した人はいないだろ…はて?誰のことだろ。


「爺、大殿とは?」


「若様?なにを冗談を若様の祖父、新井田城主、新田盛政様でございますよ。」


マジか、いやそりゃあ俺にだって祖父は居るよね、隣の新井田領の領主とは知らなかったが。



新田盛政  新田行政の父親で現在の南部傍流新田家の当主である、父上(行政)にはまだ家督を渡していないんだそうだ、現役バリバリの武闘派である。



なるほど父上が根城の館にいるのはそういうことか……世知辛い世の中だな家老兼人質ってね。


「わかった、新井田城だな、日が暮れる前に急ごう。」


◆◆◆


新井田城 謁見の間


いわゆる土下座ポーズで待っているとドカドカという擬音をともなって、たぶんだけど盛政のじいさん?が謁見の間に入ってきた。


「おう!よくきたな政吉。」


ん?誰のこと?。


「どうした?顔をよく見せて見ろや!うん。」


間近で見た祖父の顔は……うんヤクザ(顔)だった。


「ええと、政吉とはどう言うことでしょうか。」


「ああ、まだいってなかったな、今日から新田政吉だ、数えで五歳だそういう話だろ。」


おう、そういえば、そんな話もあったっけ。


「ありがとうございます、盛政様。」


「なんだよ、よそよそしいな、おじいちゃんでいいだろう。」


無茶言ってんじゃねーよ、おバカな嫡男なんて噂がたったらどうすんだよ、ただでさえフラグが立つてんのに。


「滅相もございません。」


「その年で、堅え奴だなまあいい今日は遅いから泊まってけ。」


「ありがとうございます、一晩御世話になります。」


そしてまた土下座、家長や当主はこの時代絶対的君主だからね、盛政の爺さんがよくても周りの目が怖いからね。


新井田城に泊まったその夜、俺の人生を変える大事件が起こった。



◆◆◆


「若、大変でございます、起きてくだされ、若!」


んーって顔が近いぞ爺


「おお、どうした、こんな夜更けになにかあったのか?」


「一大事でございますよ!根城館から火の手があがったと!」


「なに!そんなバカな!?」


八戸領は親南部領で囲まれている、現在の領主の八戸勝義は親南部で本家に逆らったわけではない、粛清されるいわれはないはずだが。


「敵の旗印は?」


「奇襲と思われます、確認されておりません。」


「旗が上がってないなら、まだ落ちていないのだな。」


敵の手に落ちたのなら旗が上がるはず、ならチャーンスだな

どさくさに紛れて...いやいや身内の確認をしないとな。

生きているか分からんしクックック


「爺!馬をもて!ゆくぞ」


馬小屋に向かうと、法螺貝の音が、出陣の合図だ!


「早いな、盛政様は既に向かわれたか。」


「若!、無茶が過ぎますぞ。」


「分かっている、近くで確認するだけだ」


そう、確認ね。


小声「また、悪い顔をなさって、バレバレですぞ。」







根城館


「勝どきを、あげろ!!」

「オオオオ!!!」


「盛政様、落ちたようでございます。」


「ふん、ちょうどいいぜ、勝ち戦のスキを突く!」


「全員、騎乗のまま、突撃!」


「オオオオ!!!」


20騎ほどの騎馬集団が館に突入していく。


「オラ!オラ!オラ!オラ!オラ!、ハハハハハ死にたい奴は前に出ろ、逃げる奴は、皆殺しだ!」


騎乗のまま大槍を振るいあ然と立ちすくむ敵兵を突き殺していく、根城館は平城で物流倉庫としての一面があったため中はひろく平面で馬が駆けるスペースが十分過ぎるほどあったのだ。

それは敵兵にとって最悪の状況となってしまった、さらにわるいことに乱戦状態で弓を使う場所がなくなってしまっていた。

無理に立ち止まり弓を引こうとした兵は全速の騎馬により蹴散らされてしまう、逃げ場の無い状況は勝利から一転、地獄絵図にかわってしまった。


館の裏手の高台


「化けもんか、あのじじいは!」


50キロはある大鎧を着けたまま巨大な大槍を振り回す、騎馬も田名部産の特大の黒馬だ。


「どこの、世紀末覇者だよ」


眼下で実際に雑兵が宙を舞っている。


「ひけ!ひけ!」


千はいたはずの敵兵が算をみだし逃げ出していく。


「追撃だ!!続け!!!」


あー行っちまった、まあいい俺は俺の仕事をしましょうかね。


「爺!館の生き残った味方を集めよ、負傷した敵兵は武器を取り上げて殺さず一カ所に集めるように。」


◆◆◆


あの後、じじいは、てきを追撃しつつ、駆けつけてきた新井田領、八戸領の兵士をまとめて、田面木の砦を陥落させ、櫛引城まで敵を押し返した。

現在は馬淵川をはさみにらみ合になっている。


しかし、まさか櫛引城主が下克上とはね、八戸勝義の妻は自分の娘だろう、昨年孫娘が産まれたばかりだというのに、今じゃないといけない理由....食糧がないからか。

櫛引氏の領地は名久井岳からの颪(山からの冷たい吹き下ろしの風)で壊滅的な被害がでているからだとか。領内で一揆や反乱を起こすくらいならと乾坤一擲の掛けに出たってところか。

なんというか諸行無常……まあ食糧は足りるだろうねこれだけの戦死者を出したらさ、この後の領地運営どうする気なんだろうね。


どうれ、根城館の生存者の確認と敵兵士の拘束もおわったころだろ


忙しく部下?に指示を出している爺に声を掛ける。


「爺!報告を。」


◆◆◆


馬淵川は水深がふかいところで1メートル以上あり、さらに櫛引城は坂を登った所にある、さすがというか、じじいは戦なれしている、深追いはしなかったようだ。

根城館の被害だが、領主の勝義が討たれていた、なんというか大将をとられた以上こちらの敗北だ。

父上と家族は、倉の地下に隠れて難を逃れたとのこと、ちっ。


館の生き残った者から話を聞きだした所、領主の義父である、櫛引弥太郎が訪ねてきて、門を開けたところを奇襲されたようだって、平和ボケしすぎだろ。

まあ、俺もまさか根城を襲うなんて夢にも思ってなかったが。


櫛引弥太郎は、勝義を幽閉して、実権を握るつもりだったのだろうが、勝義が予想外に抵抗したため、やむを得ずってところかな。


館の八戸氏は女達以外、全員殺されていた、さすがに娘には手をかけなかったようだ。


「爺、報告は以上か。」


「はい、それといましがた、盛政様が戻ってきたようです。」


「わかった、父上に連絡を、盛政様を出迎えるぞ」


さて、どう収拾をつけるんだろうな。


◆◆◆


新田盛政

「報告は聞いた、勝義殿がなあ。」


新田行政

「それもありますが、父上このままでは、領内のお家騒動として他の領の干渉を受けることになるかと、特に、九戸氏と本家は勝義様の後釜を狙ってくるでしょうし、我々は主を討たれた以上従うしかありません。」


「勝手に他の領に干渉した俺にもお咎めがくるだろうなぁ」


「当主の晴政様はともかく、取り巻きどもはうるさいでしょうね。」


「九戸だってゴリ押ししてくるだろ、あの脳筋はよ!」


「ちっ、しゃあねぇーおれは隠居する、家督は行政おまえが継げ。」


「なるほど、わかりました、父上は根城館に入るのですね」


「ああ、それしか手がなさそうだ、オイだれか、政吉を呼べ。」





……私、新たな八戸領主になりました。アレ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ