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商談

田中殿は南部丸のサンプルに二千二百貫(二億二千万円)の値段をつけてくれたわけだ……


ヒャッハー!!俺お金持ち!!


とはならないよな、イロイロ買う物とか、探してもらう物とかあるし。


田中殿の屋敷であらためて商談といきますか。

堺 田中与四郎の屋敷


さて、南部丸の積載量の関係から米は四百石程度、四百貫残り千八百貫か。


開発関連で欲しい物、作物の種や芋類の実とかだな。

あとは研究用に硝石、硫黄は九戸にたのめる。

ゴムが手には入れは言うことはないが、まだ鉄の車輪で我慢だな。

小型高炉は実現可能だけど耐火煉瓦と鉄が足りない、鉄鉱石……いや重量に余裕があるなら純度の高い銑鉄だな。

耐火煉瓦を作るには、高温燃料がいるから石炭からコークスを作ってか九戸に石炭はあるな。

耐火煉瓦をつくれば硝子炉は可能、板ガラスはうーん温室のため試作してみるか。

外洋に出るために、船用の観測器機もガラスがあればイロイロ作れそうだな。


よしだいたいまとまったか。


「田中殿、領内の開発の為に欲しい物、必要な物を言いますので、手に入る物などを教えてください。」


「わかりました、どうぞおっしゃって下さい。」


「では、南方系の作物、芋の亜種が国外から種芋としてはいっていたら。これを最優先で手にいれたい。」


ジャガイモ、サツマイモは絶対ほしいからな。


「南方はつても多いです、当たってみましょう。」


「かたじけない、次は南瓜、唐辛子、トマト、など海外から種で輸入されている物、手に入る種類をすべてお願いしたい。」


「トマトは初めて聞きましたが、堺に有る物ならすぐに、あとは探させましょう。」


「あと南方に白い粘性の有る樹液を出す木があります。その樹液を手にいれたい、ですが優先度は低くて結構です、もしあれば程度で構いません。」


「量はいかがしますか?」


「十石程あれば、研究用に充分です、まだなんとも言えぬ物ですし。」


「分かりました。」


「これらの物とあとは研究用に手に入る金属鉱石と銑鉄、千貫で足りますか? たりなければさらに二百貫程…」


「いえ、充分たりますとも、千貫で積めるだけの鉱石も用意しましょう。」


「助かるよ、あと、斉藤衆に交代で買い物をさせるから、百貫を貨幣で頼む、最後は土産なんだが、堺は店頭で販売はしてないのだよな。」


「南部家中に配るのなら知り合いを呼びつけましょう。」


……なにそれ?くるの?なんで?


「………いかん、大事な物を忘れていた、澄酒すみさけと砂糖、澄酒は職人を是非雇い入れたい蒔絵と同じだけ出しましょう、あと砂糖は壷でほしいです、麦芽と米で作る飴や甘酒にも飽きたところですから。」


「砂糖で御座いますか、砂糖なら扱っておりますよ。」


「おおそうですか、かえしの代わりにして、醤油もあるし、うどんと蕎麦がようやく食べられるな。」


「蕎麦とうどんですか?」


「ああ、田中殿は鰹節を扱っておりますかな?あればなおよし、おいしいものがつくれます。素人料理ですがいかがですか?」


「鰹節もありますが、棒状の乾物ですぞ、砕いて使いますがあまりよいものではないと。」


ほう? カンナでけずる……


カンナって江戸時代かな?いや棟梁は押し鉋を知っていたが台カンナはしらなかったな。

まあいい、工作室に二枚刃の台カンナがある、あれなら薄く削れるだろ。


「まあ、物はためし、田中殿、台所を借りますよ。」


「八戸様がつくるのですか!」


「いや、俺しか蕎麦とかつくれないし、ああ、ネギがあればなお、いいですな。」


何年ぶりで食べる蕎麦はうまかった、しかし、もっと腕があれば。


くっ。


◆◆◆


南部丸工作室


さて、最後の問題は工作室にある手押しポンプなんだが、八戸領での量産化は不可能だし、播磨など鉄が手に入りやすいところで大量生産しなければマネされて終わりだしな。金儲けのタネにはしづらいのよね。この時代に特許とかライセンス契約とかの観念がないからな。

だか、せっかく作ったのに諦めるのは惜しいな、田中殿に相談してみるか。


◆◆◆


堺 田中与四郎の屋敷


大きめの漆塗りの椀に醤油を使った汁に蕎麦を麺状にして泳がすとは、薄い口当たりの良い椀に魚の旨味を凝縮した汁に絡んだ蕎麦のなんと美味いこと、素晴らしい。


素晴らしいぞー


大工道具で鰹節をあんなに薄く削るとは、だが汁にしみ出した魚の旨味は今まで味わったことのないほど素晴らしかった。


……ふむ、八戸様は多方面に才能豊かなお方のようだ、なかなか良い人物を紹介してくれましたな雪斎殿。


◆◆◆


南部丸 工作室


「なる程水を汲む道具ですか。」


「どうですかね?売れますかな。」


「売れますが、金持ちは買いませんな。」


「え、どうして?こんなに楽に水を組めるのに。」


「水を汲むのは下男の仕事ですから。」


「どちらかというと、村の共同井戸にあると便利ですかな。」


「ハァ、言われてなんとなく理解できた。なる程金持ちは自分で水を汲まないか。」


「まあ、物珍しさからかうかもしれませんが、そんな物好きは滅多には。」


「物好きにしか、……一人思い浮かんだ、うぜー君にあげるか、よろこぶかもしれん。」


ちくしょう。(泣)



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