外交政策と使者
1552年 2月
三戸城
斯波氏攻略のため不来方に移動する直前の晴政様を捕まえて内政関連の話をすることができた。
「なる程…米造りをやめて、麦類に転作して石高の増加を図るのか…」
「…米もとれん僻地と言われないか。」
やはりそこにツッコむか。
「稲作は続けます。ただ、現在の米を品種改良して北国に適した米ができるまでの辛抱かと。」
いつ出来るかはしらんけど。
「石高はどのぐらい上がるんだ、たいして変わらんのではないか?」
「…約三倍ほどに、それと、軍馬用の豆類も倍増させる予定です。」
「むう、豆類か……」
軍馬に馬力をつける、豆類と塩は生命線だしね、騎馬は維持費がたかいのが難点だな、かわいいけど。
「…それで、関連してこの外交政策か……」
心の中で軍人がプライドを妥協させたようだ。
「…今川に頭を下げるのか…」
お、プライドが盛りかえした。
「今川領内で米と特産品を交換する許可をいただくだけですよ。」
直接頭を下げるのは、おっさんじゃなくて、外交使者の誰かだろ。
「他の領ではいかんのか。」
プライドつええ!!
「今川領以外での有力候補は、伊達領ですが。」
軍人頑張れ!!
「ぐっ、ムムムっ…」
「わかった、今川に使者をだそう。」
軍人、逆転勝利!!
「では、書状のここに、署名してください…はい、あと、これと、それと、ついでにこれと。」
気が変わらんうちにだ、貰っとけ。
「この白紙はなんだ。」
「使者に持たせます、全権代理ということで。」
「おい、全権代理かそれは…」
「今川領と何度も往復できませんよ。晴政様の信頼できる使者を選んでください。」
まあ、ヤンデレいったくでしょ。
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北信愛「許可がおりたんですか、晴政様が良く、納得しましたね。」
勝因は軍人意識が強かったからかな。
「まあ、かなり悩んでましたが、とりあえず書状はかいてくださいましたよ。」
「ふむ、では、具体的に許可の内容を詰めねばなりませんね。」
「ある程度、妥協できるよう、白紙状もいただいております。」
「…なんというか、仕事が早いですね。」
ええ、ついでに堺にいっておつかいしてもらうからね、ケケケ
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八戸領 港地区
「交易船に使うとしたらこれかな。」
棟梁「足は遅いが安定性は抜群だぜ。」
まあ、地元の水軍衆と戦う気はないし、関税はふっかけられない限り払ってやるつもりだし、足より安定性だな。
「ガレオンとはいかないがクレーンもあるし、小型船も積めるしこれでいいな。」
棟梁「火矢対策もしてあるが、帆は無理だぜ。あと格納式の櫓は前と後ろに2門(←えっ)つけといたぜ、クジラとるとかいってたからな。」
「今回はクジラをとる余裕はないかなーまあ房総沖にでれは可能性もあるけど。」
「まあ、俺がいくんじゃないから、クジラはいいや。」
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ちなみに現在日本最大の船です。主人公は現代日本の船と比べているため小さいと思ってます。
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南部晴政
クソガキめ、なんで今川なんぞに頭を下げねばならんのだ、あのやろう、毎回手紙で田舎もん田舎もんと揶揄しやがっててめえだって都落ちした田舎もんだろうが……
いかん、いかん、今川はいまどうでも良い、戦力増強をかんがえんとな。まあ、兵糧がふえればよし、豆類があれば騎馬を大量投入もできるしな。ふむ、悪くない判断であったな。
さて、使者か、高信は斯波氏攻略にてを上げている、九戸は論外、大浦は信用ならん、盛政は……やめておこう、信愛は留守を任せるからだめだ、こうしてみると、外交使者として適任者がいないな、図太くて、物怖じしない……。
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南部家は馬を他の大名に出荷しているので、意外と親交があります、ただ仲がいいとは限りません。
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八戸領 大工丁
棟梁「水車を利用しての削りだしだぁ?」
「ああ、柱とかの端材を乾燥させて盆とか椀とかをね。」
「ふん、出来ないことはないが手で削ったのじゃいけねえのかい。」
「均一な物が大量にほしいんだよ。」
「まあ、なんとかするが、漆はそっちで仕入れてくれよ。」
「ああ、少し遅れるかもだが余ってるものだし、麦粉と交換するつもりだから大丈夫あつまるさ。」
丁度いいや、ヤンデレに相談しよ。
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三戸城
「漆ですか?、馬具用に充分量おくっているはずですが?」
「新しく、盆や椀にぬるんだよ。」
「どのくらいいるんですか?」
「この位。」
「こんなに、在庫…ギリギリありますね。」
「じゃあ、十倍量の麦粉と交換するから持ってくね。」
「この先もいるんですよね?」
「売れたらね、ダメだったら諦めるさ。」
「わかりました、五倍量でいいですよ、集めるのは彼ら(猟師)も片手間ですしね、麦粉と交換なら喜ぶでしょう。」
「毎度あり。それと、外交使者の寄港地なんだけど、案をもってきた。」
「どれ、……本気ですか、一つ一つ寄っていくのはわかりますが伊達にも寄るんですか?」
「まだ、戦端が開かれたわけじゃないし、停戦するにしても“つて”を持っておくのは大事だよ。あと、戦力視察も兼ねてね。」
「……なる程、晴政様の判断は正しかったようですね。」
「もう少し後で話そうとおもっていましたが、政栄くん、君が南部家の使者として行って貰うことになりました。」
「はいー?」
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