表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/163

羽後平定戦 その2

1551年 初夏

一年間の停戦があけた六月、九戸南部氏を中心とした羽後平定軍は大館を目指して出陣した。

時期九戸氏の家督を相続する政実のデビュー戦のためか、過剰ともいえる装備と精鋭を揃えての出陣となった。


「なあ、政栄くん。」


「なんで、ございましょう。」


「なぜ、こんなにゆっくり、進軍してるんだい?」


十和田湖畔からは、索敵をしつつ、安全確保しながら行軍している。ていうか、おまえら自前の忍者レーダー持ってんだから活用しろ。


「敵の、伏兵、奇襲を防ぐ為でございます。」


まあ、九戸の兵士の練度なら返り討ちの可能性が高いがね、ムダに精強すぎだよ、まったく、おそらくこれが、索敵を疎かにする原因だろうな。


「敵は逃げませぬ、ゆるりと、参りましょう。」


「そうだね、ハハハハ。」


そうだよ、バカボン。


◆◆◆


「政実さま、敵を捕捉いたしました。」


もうすぐ、比内というところの山道で敵を発見した。おそらく、昨年蹴散らした浅利ちゃんとその他であろう。まさか、比内地鶏を根こそぎ持って行ったのを恨んでいるのだろうか?


「政栄くん、どうする?」


発見されてなお隠れているのが悪いのだ、判断ミスのツケを払っていただこう。


「火矢を打ち込みましょう、出てきた処を、騎馬で殲滅いたします。」


「僕もでていいかい?」


いいわけあるか、あんた大将でしょ。


「今回はご遠慮ください、露払いなど、大将の仕事ではございません。」


「そうかい?残念だなあ。」


ハイハイ、お願いだからおとなしくそこにいてね。


歩兵、弓兵少し離れて騎馬の三列横陣を素早く組みあらかじめ、敵がでてきたら、歩兵、弓兵はゆっくり固まって下がるよう、騎馬には固まりを避けて歩兵が下がった位置まで突入を指示する。


遭遇戦の始まりだ。


◆◆◆


弓の射程より少し遠い距離から火矢を放つ、命中とかはどうでも良い、届けばいいのだ。


「火矢を放て!」


山裾やますそに火矢を放つ、名将ならば伏兵を発見された時点で撤退するんだけどなー、まあ、火矢にあせって騎馬の行動範囲にでてくる方が悪いよね。


火の付いた山裾から、わらわらと敵兵がせまってくる。


無言で軍配を返す


歩兵、弓兵が固まり小さな円陣を組みながらゆっくり下がる。

なにを、勘違いしたのか、敵兵が声を上げてせまってくる。


「政実様、号令を。」


「うん、騎馬隊突撃、我に続け!!」


はい?


「うををををををををを!!!!」


九戸の精鋭騎馬隊が吶喊する、先頭は九戸政実だ!


あほかー!


なにしとんじゃわれーたいしょうは、ここにいろっていったよね?








蹴散らしましたとも、ええ完璧にね(涙)



◆◆◆


あー宙をまってるねーあれも、じじいと同じ人種だったか。


九戸政実がサワヤカな笑顔で敵兵を飛ばしている。


やめてよね、手傷でも負ったらあんたの親父にすり潰されるだろうがよ!


敵を完膚なきまでにたたきつぶして帰ってきたバカボンを日が暮れるまで説教した。


◆◆◆


そこはかとない理不尽を感じつつも、仕事はバッチリよ。


索敵、発見、殲滅を二度繰り返し、大館にたどり着いた。


さあ、ここからが本当のたたかいだごあいど……


いや、おわらんよ。


バカボンを相手にして疲れているのかもしれないな。


「爺、現在の羽後の情報を報告してくれ。」


「疲れてませんか?」


「まあな、だが、手は抜かんよ、油断大敵だ。」


さて、主城の檜山城だが、港安東氏が奪いとったようだな。あー愛季ちゃんやられたのか、ナンマンダ成仏してくれ。


「なるほど、港安東家の安東茂季が現在の安東家の当主というわけか。」


できれば野戦にもっていきたいな、城攻めで時間を取られたところにゲリラ戦法で補給にダメージを与えられたら、簡単に終わるからなあ。なんとかせんと。


うーん、おびき寄せる手か?


嫌がる、恥、隠し事、なんかないかなー


報告書、報告書っと。


あれ?新しい当主、養子だね?しかもこいつ愛季ちゃんの弟だよしかも五歳って(笑)ふーんつまり誰かの傀儡って訳ね。


悪く言えば、この時期に当主になったのって負けた時の生贄って訳か世知辛いな。


つまり、勝ち目なしなら、腹をきらせるってか。


はーこれは、交渉してよびだすか。裏にいる奴をあぶりだして、殺っときましょ生かしておくとろくなことにならん。


「爺、文を届けてくれ、檜山城にな。」


まあ、前港安東家当主の尭季だろうけどね。


「爺、それと調べて欲しいことがある捕虜にした連中から聞き出してくれ。」


◆◆◆


「タダ囲むだけで良いのかい?」


「はい、停戦の使者はすでに、のち城外での会談となるでしょう。」


「もし、うって出てきたら?」


「粉砕するのみです。」


「それは、楽しみだね。」


まず無いけどね、そんなこと。


ひねりもなく、停戦となりました。


いや、不満げな顔されてもね。


「若!調べがすみました。詳細はこれに。」


◆◆◆


交渉の結果、安東家は南部家に従属することに。


それと今回の騒乱の責任をとり前当主の尭季にすべての騒乱の責任を取ってもらい腹を切らせた。


最後まで抵抗しやがって見苦しい。

謀がばれたなら、潔くしろってんだ。


まあ、本当に騒乱の首謀者だったとは驚いちゃったけどね、てへ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ