羽後平定戦
1551年 陶晴賢が謀叛でやっちったりな、今日このごろ、いかがおすごしでしょうか?、八戸領は麦類が豊作のようで。飢饉に備えての備蓄もた……
「若、もうすぐ九戸城でございます。」
じじいにドナドナされました。
◆◆◆
「おう、政栄、鉄鉱石欲しくないか?」
ナニー!鉄鉱石だと!!欲しいにきまってんだららら…
落ち付け俺、深呼吸だ、スーハー、スーハー。
前回の安東領切り取りから、南部家内で警戒されたのか鉄鉱石が回ってこなくなったんだよ。塩と交換だ!と強気で交渉はしてるけどね。
鉄鉱石がないと、開発が滞るし、本当困ってたのよね。
「どこに、どこにあるのですか?」
「欲しいんだな。」
爽やかな、じじいの笑顔があった。
またかよー、なんでこうなった?
◆◆◆
九戸城
南部家最大勢力九戸氏の要塞(城じゃねえのか?)である。
百年程前まで、貧乏な南部家でも最下層のド貧乏だった九戸氏だが領内に大鉄鉱山が見つかったことから一転、東北地方でも一二を争う金持ちに。ちっ成金が。
ただの脳筋が、金持ちの脳筋に、非常に迷惑です。
「やあ!君が政栄君かい。」
俺の目の前にいる、エセ生徒会長のようなイケメンが先ほど元服したばかりの九戸の御曹司政実である。(様なんかいらん)。
「優秀な軍師なんだって、よろしくたのむよ」
背中をたたくな、このバカボンはなんだってここの一族は力がこんなに強いんだよ、鉱山労働者だからか、そうなのか。
「はい、羽後の平定戦の間、よろしくお願いします。」
「うんうん、作戦とかは任せたよ、うちはなぜが苦手な人多くてね。」
◆◆◆
羽後平定戦
昨年俺は安東領に侵攻して、大館を切り取ったわけだが、やはりというか、なんというか、最大勢力の檜山安東氏をボコっちゃったら、周りの歯止めが効かなくなり、羽後は混乱の坩堝なわけで
。
大館の本家代官からの緊急要請がかかったんだよねー
俺?モチロン断りましたよ、あそこは鬼門です、おしりがピンチです。
でだ、九戸氏に白羽の矢が立ったけなんだけど、九戸氏は前々回ボコられてるわけで、さらに、元服したてのバカボンが大将とか、もう、ゲラゲラです、死んでこいって感じかな。
と、いうわけでさすがの脳筋の九戸信仲でも、わが子のため優秀な人材を買ってきたってわけだ(泣)。
◆◆◆
そんなわけで、九戸氏の軍事力をチェックと言う名のスパイしにいきますか。
九戸氏
本城、九戸城 山城 要塞クラス 防御力 超高い
最大動員兵士 14000 騎馬 5000 歩兵 装備品 良質 補給物資 山ほど
うん、俺いらないよね?
◆◆◆
なんだか凄い理不尽を感じつつも、仕事はちゃんとやろう、このレベルの装備品を持って負ける脳筋達だ、油断して死ぬのは俺だからな。
「政実様、軍の規模はいかほどに、なさいますか?」
「うーん、羽後の兵力って、どれぐらいだい?」
おお、なんだ、ちゃんと考える頭があるじゃないか、よかった。
「はい、現在、混乱の渦中にありますが、最大勢力で五千ほど、羽後全体で三万程と思われます。」
下調べはバッチリよ。
「じゃあ、倍の六万で!」
すいません、前言撤回します。アホだこいつ。
……いやいや、親父さんに言って南部の兵力を結集しかねん、うまく誘導しないとたいへんなことになる、補給が切れて全滅なんてしゃれにならん。
「政実様、九戸の兵は精強です、騎馬二千、足軽四千、補給隊 二千の八千でじゅうぶんかと。」
「それだけでいいのかい?父上にそう……」
「ハイ!けっこうです!!」
あぶねー
「うん、それでね政栄くん。」
「なんで、ございましょう。」
「補給隊ってなんだい?」
たすけてー
まったく、遠征だぞ他領で補給が切れたらどうなるか、じっくりと補給の大切さを説いたわけだが、意外に、ちゃんと理解しているようだ。
「お腹がすいたら、大変だからね。」
……誰か、代わってくれ。
んん、まあ、間違ってない、だいじようぶだ、頑張れおれ、負けるなおれ!
「そうだ今、同行する軍目付けの方がきているんだ、会っておこう。」
ふむ、本家の依頼だからな、三戸の誰かだろうけど。
「お会いしましょう。」
◆◆◆
「政栄くん、軍目付けの北信愛殿だよ」
なにー!クレイジー北だと、ヤバイ、ヤバすぎる、晴政様の寵愛を受けていた、ヤンデレ野郎だ。
史実の跡目争いの時、三戸城の一族会議で、襖の裏に槍兵を配置して強引に信直に跡目を継がせた(あんたも加担な)あの北かよ!
うわー晴政様の邪魔者を物理的かつ陰険に排除してきたアブナイ人キター。
「初めまして、八戸政栄です、よろしくお願いいたします。」
「よろしく政栄くん、噂はかねがね。」
なに、この背筋が凍るかんじ、いやそんなめでみるんじゃない。
えもの、ゲットみたいなかんじが、ぷんぷんする。
ヤバイよ、ヤバイよ、いろんな意味でピンチです。
◆◆◆




