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常陸国 乱 その十一

結城晴朝の文をかなり直したので前回部分にかなり修正がはいりました。<(_ _)> 



結城城


結城晴朝は常陸国の乱を結城家の大事というか俺の手には負えんと考え軍議を開く事に、結城家でも力のある宿老、家老達を呼び寄せた。


結城城 大広間


結城晴朝


「集まった様だな、では始めてくれ。」


……て言うか常陸国で乱が発覚して五日だぞなんで結城城に詰めてないんだよ、今日まで独自の動きをしてたみたいだし本当軽くみられてるよな俺


宿老 多賀谷政経


「……今小田家に味方して攻め入るのは反対です、佐竹家の軍は行動限界が近いはず結城領に攻め入るだけの力は残ってないかと。」


家老 水谷正村 


「多賀谷のとっつあん、正しい判断だとは思うけどよ万が一という事もあるぜ、味方の暴走とかで準備する前に侵攻されて泥沼に嵌まったらどうするよ、小田家の二の舞はごめんだぜ兵力は集めておいた方がいい。」


家老 山川氏重


「折角常陸で乱が起きたのだ、小田家を助けると言う大義名分もある、付け入る隙があるなら押し入るべきではないだろうか。」


「押し入るっうのはわかるんだけどよ、あいつら七万近いんだろ、常陸に入るには結城城からは渡河の必要もあるし、結城城の守りなら河を盾にできるから七万だろうとなんとかする自信はあるが、大軍が待ち構えている所に押し入るのは難しくないか?」


「菅谷勝貞から詳細情報は手に入っている、かなり兵糧が足りんらしいからな、河を挟んで対峙して攻め時……兵糧切れを待てばいい。」


「……攻める事に反対はしない、だが一度使者をだしておくべきだ、外交を閉ざすと一時期の北条家との関係のようなことになりかねん。」


「ふむ、意外と意見の対立はなかったな、国境沿いの河を渡らず兵を待機させ、使者を送るなどして情報収集を積極的におこなっておく、侵攻が出来るようなら小田家支援を表明して攻め込めばいい。」


「前線には誰が行くって俺しかいないか、多賀谷殿は当然全権代理で使者役だろ。」


「そうだな、私は補給と北条の備えに回ろう。」


「……晴朝様、この内容でよろしいですね。」


「ああ、それでよい卿らに任せる。必要なら私も出陣しても構わないんだからな。」


(やれやれ相変わらず外様扱いか、まあなんであれ意見の対立が無かっただけありがたいと思っておくか。)


「……では菅谷殿と話を詰めて兵を集めましょうだいたい二万でよろしいと考えます。」


「そうだなあ、小山家や那須家や下野周辺の連中に声をかけたとしても田植えが近いから動かせるのは二万位がこの季節限界だろう。」


「異議なしだ。」


「では、早速行動に移そうか。」


(しかし、檄文の事など気にもしてないようだな、水谷殿は忘れているのかもしれないがな)


「あ!そうだった、殿嫁は何人がいい?山川殿と俺の娘が年齢的にいいかんじだから、考えておいてくれ。」


「……そうですな、また嫡男が出来なかったら何処の家なのか分からなくなりますからな。」


「おい!うちの娘を勝手に嫁に出すんじゃない。」


(ハーヤレヤレ、嫁をとって家内がまとまるなら構わんかな。)

◆◆◆


土浦城


佐竹軍は翌朝には筑波平野の東側を飲みこみ土浦に進出を果たし、そのままなんの抵抗もされずに土浦城を約三万の兵で取り囲む事に成功していた。


「城は取り囲んだが正門前の間口が狭いのう、あれでは一度に千人と送り込めんな。」


土浦城は水堀で囲まれており、三ノ丸に唯一続く正門の裏は堀に橋が架かっていて正門以上に大人数で攻め込み難い構造になっていた。


「門を燃やして破壊したとしても一緒に橋を落としては攻め込めませんな、正門に火を放つのはやめておきますか。」


「政栄殿、正門前に火攻めをしないなら正攻法で正門を抜くのですか?」


「さすがに搦め手を仕込む時間がありませんでしたからな、土浦城は正攻法で落として行くしかありません、とりあえず橋が燃えるので火攻は使えませんね。」


木砲があればあの手の門は一撃なんだが、まさか門の裏に吊り橋とかふざけてるとしか言い様のない城だな時間稼ぎする気満々じゃねえかよ。


「一応、丸太橋は架ける用意はしてありますが、ここは正攻法で様子見ですかね。」


「様子見?」


「敵の出方意図がわかりません、おそらくは籠城策なのでしょうが、粘るつもりなのか、こちらの兵を削るのが目的なのか。一当てして様子見しましょう。」


取り囲む前に挑発したのに乗ってこなかったな、小田氏治って挑発するとホイホイで手来るモノだと思ってたんだが?まあ三万相手に出て来たらさすがにおかしいか。


◆◆◆


「掛かれ!!」


土浦城正門に千名程の兵が殺到する。


「攻城槌用意!!矢を放って援護せよ!!」


攻城槌部隊を援護するために、後方の味方から雨よとばかりに矢が降りそそぐ。


「……取り付きましたな、正門を落としたら三の丸に入り二の丸へ火矢と焙烙(油入り)玉でしたな。」


攻城槌部隊が正門にとりついたか速いな佐竹軍から選抜した精鋭だけはある。よし攻城槌と言う名の丸太を反動をつけて……


ガッ!!


乾いた軽い音が。


ガッ!ガッ!!


あれ、門が全然撓んでないな……


「しまった!ちっ、やってくれる……徳寿丸様軍配を!攻撃を火攻に、攻城槌部隊は後退に攻撃内容変更を指示して下さい。」


「わ、わかった!」


軍配を裏に返して左に振り火攻に指示をだす。


攻撃が切り替わり包囲した部隊から三の丸に火矢が降りそそぎ始める。


攻撃が火矢に切り替わったのを見て攻城槌部隊がこちらを見て指示を仰いでいる。


軍配上げた徳寿丸様と隊長の目が合う。


指先を部隊に向けた後、改めて軍配を部隊に向け戻すを二回行い更に同じ動作を二回繰り返し部隊に後退を指示する。


攻城槌部隊が後退を始めると周囲の部隊の攻撃が完全に三の丸への火攻に切り替わり火矢が焙烙玉が正門を越えて降りそそいでいく。


……裏に土嚢か土を盛ってガチガチにしてやがるな、たわみが全く無い音がするとは、あの手の動かない門は嫌がらせを含めて散々訓練で造ったからな、時間をかけて門を壊すのはリスクが高いし、労力をかけても割に合わん、攻城槌で攻撃をするだけ無駄だな。


「政栄よ、いきなり作戦変更とは何かあったのか。」


「徳寿丸様、おそらく門の裏に土盛って開かない様にしてますな、門が全く撓まず乾いた音がしてましたから。」


「土を盛っているのか、それでは門から出て来る気は無いという事か。」


「開門には半日がかりでしょうな、面倒くさいことを。」


「故の火攻か、門にも火を着けるのか?」


「あらかじめ門や建物に水を含ませて燃えにくくしているのでしょう、素材も火が着きにくい木材でしょうし。」


「……水城の本領発揮といったところですかな、裏は霞ヶ浦ですし幾らでも水はありますから。」


「籠城戦だしその位はまあ普通に有るでしょう、ですが敵は焙烙玉の分は計算に入っていますかね、油に火が着けば簡単には消せませんよ。」


なんだ?、なんかいつもと違ってやりづらい感じがする、大体挑発したのに出て来ないなんて小田氏治にあるまじき流れだよな、本当に土浦城にいるのかね。


◆◆◆



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