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常陸国 

現在の常陸国は、佐竹氏が江戸氏を降し小田氏との仲も良好であり見た目には佐竹氏の常陸統一がなったかにみえる、だが江戸氏と対立していた鹿嶋氏などの小勢力は、圧倒的勢力となった佐竹氏に表向き従っているような状況であり、常陸国の小勢力の中にはまだまだ不穏な空気が流れていた。


「更に、そこに磐城や陸前の富が流れ込んだわけだね。」


「水面下で行われている戦の準備が整い次第、この国は荒れるだろうね、まあ下総や上総も条件は一緒だけどあちらは北条が出張るから俺らはやることも無いけど。」


「何だよ常陸国だと出張る理由があるのかよ。」


「うーん、金はオマケだが銅山がね、どちらかと言うと銅の方が俺にとって価値があるんだよね。」


「俺は金や銅より食べ物がいいな、八戸で留守番してたほうが良いもの食ってた気がする。」


「むう、確かに旅に出てからロクな物食べてないよな、今日は宿でにしん蕎麦でも作って食べるか。」


「おお、にしん蕎麦とは豪勢だな、ケチの政栄にしては珍しい。」


「誰がケチだ、倹約家と言ってくれ、これでも英気を養う場所は間違わないつもりさ。」


南部御一行様は常陸国太田城までの道のりをホッコリ旅していたとか。


「なあ、殿。」


「なんだ、お前から質問とは珍しいな。」


「この国って、金山や銅山、八戸以上の広大な平野、川も湖もあるのになんで飯が不味いんだ。」


……驚いた、腹で本質を突いてくるとはね。


「ふむ、人口も八戸領の五倍はある。名君が開発すれば常陸国は三百万石に届く日ノ本でも有数の好条件下にある土地だ。」


のちの水戸藩を徳川親藩にしたのは江戸の守りだけが目的じゃないからね。


「どうして豊かな土地なのに飯が不味いんだ。」


「豊か過ぎて少数勢力が乱立していたからかな。」


「多少無理してでも、隣の村を支配下におけば、次は隣の村。そうして平野部は佐竹家で纏まっていくんだが、山岳地帯と霞ヶ浦はそうは行かない。山中や湖に逃げてしまえば再起が可能だからね。」


特に南半分の湖沼地帯は治安がすぐ悪くなるからね。ここを上手く治められれば佐竹家は安泰なんだがね。


「乱立していたって事は、今は纏まっているのか?」


「表面上はね、砂上の楼閣となるか堅固な城となるかは佐竹家しだいだけどね。」


「つまり堅固な城となれば飯が美味くなるのか。」


「国が纏まって関所が減り流通が始まれば、にしん蕎麦のように、身欠きニシンは田名部や松前から、蕎麦は三戸や山岳地帯から、鯖節や鯵節、醤油はうちからって感じでね。」


「常陸国だと何が出来るんだ。」


「そうだなあ、冬は旬のアンコウ鍋かな、米はウチよりはるかに採れるし、霞ヶ浦から揚がる水産物は鰻や鯉、シジミまで美味い物だらけだからな、その気になって集めれば季節問わずいろんな美味い物が作れるな。」


「鰻かあ、冬に政栄が作った鰻丼は美味かったな。」


「馬淵川は北の川だからはそれほど鰻も捕れないんだよな、霞ヶ浦の鰻は汽水域にいるから美味いらしいぞ。」


「おお、そりゃ楽しみだな。」


「佐竹家が済んだら、鹿島家を訪ねる途中で鰻を仕入れてみるか、皆で鰻丼も悪く無い。」


「「「殿!是非ご相伴を!!!」」」


「わかってる、皆でって言ったろう。南部丸にコークスと砂糖、醤油が有るから皆のぶん鰻丼を作るとしようかね。」


アサリも仕入れて深川鍋もいけるな、酒飲みどもの為にシジミ汁も作ろうかね。ウチにも小川原湖はあるけど、やはり南の湖しかもこの時代の霞ヶ浦はまだ汽水湖だからね。

旅も長くなりそうだからな、英気を養う機会は作らんとね。


◆◆◆


「で、塚原の爺さんはどこに行ったんだ?」


「南部丸で鹿島港へそこから舟で霞ヶ浦を渡って真壁氏の治めている真壁郡に行ってる、鹿島本家に近いからいろいろしがらみもあるんだろうね。」


江戸氏とのいざこざもあって、常陸国南半分は表向きは佐竹家に従っているけど忠誠心はなく各家バラバラの状態だからな、爺さんが最初渋ったのもそのへんなんだろうな。とはいえこの時期に会っておかないと、義重の近習(人質)として太田城に上がるから会う機会も当分無くなるだろうし、義重の初陣までに塚原の爺さんに指導してもらって鬼真壁の基をつくるとなるとこの機しか無い気がするんだよね。いや、うちで奴がグウタラしたぶん彼が割を喰ってるって考えたら申し訳なくってね。


「爺さんに付いていけば鰻が食えたかな?」


お前の中身は食い気で出来ているのですか、納得。


「たしか、(この時代の鰻料理は)白焼きかブツ切りにした味噌煮だよな?骨付で洗練されてないとはいえそれはそれで味があるかもな。」


「にしん蕎麦も食えたしこっちで良かったのかな。」


「現金な奴だな、不公平が無いようにあっちに付いて行った連中にもにしん蕎麦を振る舞うとしようかね。」


「爺さんに護衛なんて要らないと思うがな。」


「そうでもないさ、三方から五十人位で矢を射掛けたら……なんとか護衛を盾にして逃げ延びれるかな。」


「その為の護衛かよ。」


「本来の護衛とはそういうものだろうが、勿論付いて行かせた奴らにはキチンと話をしてあるからな、納得していると思う事にする。」


「政栄、いや殿も気苦労が絶えないな、ウチ(斎藤衆)の連中にそんなに気をつかわなくても良いのに。」


「有能な部下は幾らでも必要だし使い潰すなんて勿体ない、死ぬまで働いてもらうでござる。」


「素直じゃないんたから。」


「殿!見えてきましたあれが太田城です。」


太田城


別名佐竹城、舞鶴城、青龍城。


平安時代末期の建設の平山城、三ノ丸北口が搦め手となる構造だが二ノ丸からは山城となる構造、三ノ丸の居住区画は落とせてもそこからはかなり時間がかかる、守りに適した巨城。


但し味方の後詰め援軍があればの話だがね、包囲されて援軍が無ければ二ノ丸からの逃げ道が無いため、三ノ丸の防御力が低い以上問題点がある城ともいえるかな。



ちょっと文章がくどい気がする。


体調不良で暫く不定期になります。


申し訳ない<(_ _)>



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