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三戸城

新田行政は三戸城に来ていた


「しかし、三陸征伐とは穏やかではございませぬな、なにがあったのですかな。」


もともと、内陸部の陸衆と、海岸部の海衆とは仲が悪く揉め事がたえなかったわけだが、征伐とは行き過ぎではないか。


「塩でなのですよ、行政様、値上げした塩の代金を支払いを拒否したところ、海衆が送って来なくなった...まあいつものことなのですが。」


ドキ!ここでも、塩問題かまったく、現在の当主の晴政様は血の気が多すぎるのでは、ないのか。


「海衆筆頭としては、申し訳ない。」


「いえいえ、新井田領から滞りがあったことなど、ありませんですし、こういってはなんですが、今年も台所事情が苦しくて、その...」


またかよ、何年分貯めるつもりだよ、まあ飢饉や冷夏でどうにもならん事情はどこもおなじなんだが。


「気にしないでください、去年もお世話になったばかりですし、今年は天候も良く、良い塩が作れました幾分か増やして納めましたので皆さんでお分けください。」


「おお、本当でござるか、いや、かたじけない、早速いや、用事をおもいだしたのでしつれいをば。」


まったく、まあ、ウチも三戸のやつらを巻き込んで、田名部領を取るつもりなんだから、晴政様のことはとやかくいえんのだがね。

さて、挨拶と行きますかな。


◆◆◆


現在の南部家の当主は三戸南部氏の晴政様で今年は不来方に代官をおいて、三戸城に戻って来ていた。

まあ昨年の八戸領の騒乱が原因なのだが。

どうせしばらくすれば、安東氏との紛争に出張るのだろうが。

早く戻ってくれないと、三戸の連中に兵をださせる裏工作がしにくいな。


「おお、新田行政、塩の件ごくろうであった。」


「家督を継いだばかりだというのに、見事に治めているようだな、感心なことだ。」


「ありがとう御座います、今年は良い塩ができましたので。」


「まったく、他の領は値上げばかりしおって....いやすまん、新田殿には関係ない話であったな。」


「ゆっくりしていくといい、ワシはちと忙しくてな。」


九戸も来ているらしいからな、安東氏関連だろう。

金はないのに、戦ばかりではな.....

長居は無用だ、三陸征伐の費用の打診などされてはたまらんからな、今回は二戸に泣いてもらおう。


◆◆◆


暗躍 2


新井田領塩の生産工場


闇の中、静かな闘いが繰り広げられていた。


ドサリ、とひとりの覆面すがたの者が倒れた。


「頭、また、中川のやつらですかね。」


「ああ、大浦の依頼ってところだろう、うち(斎藤)以外の忍びは甲賀流の奴らだけでしょうから。」


「若にも、こまったもんですな。」


ジロリと睨む、頭


「すいません、軽口がすぎました。」


「まあ、いいでしょう、若はそんなことを気にされる方ではありません。」


小声「頭は、若びいきだからな。」


「聞こえてますよ、無駄口を叩かない!始末してもどりますよ。」


「大浦だとすれば、蠣崎にわざと情報を流す可能性もありますね。」


「大殿に報告しておきましょう。」


◆◆◆


三陸征伐


二戸に本拠をおく田子高信(のちの石川高信)を総大将とする三陸征伐軍が発動された、じじいは軍目付として随行するようだ。

征伐といっても実際は行軍して“ごめんなさい”と言わせてくるだけの子供のお使いである。

それをさせられる田子様も付き合わされるじじいもたまったものではない(おもに金の面で)。

ていうか当主が行けばいいだろう、自分は九戸と安東氏にちょっかいをかけにいくってどうよ?


「いや、留守居はわかったのですが、そのお姿は?」


「いいだろう、頼光公の赤糸威鎧のまねだ!」


いや、判るけどね、南部領一之宮、櫛引八幡宮に奉納されている頼光公の鎧のだっていうのはわかるのよ、問題はそこじやないだろ、どっからそんな金をだしたんだ、しかもなんか部下たちにもお揃いの黒塗りの鎧ってそんなに八戸領に金は無かったはずだが?新井田領時代に新調するため貯めていたのだろうか?


「立派なお姿で御座います。」


「おう、ありがとよ、まあ征伐といっても行軍して早々に引き上げるだけだからな、ちったあ見映えってもんもあるしな。」


どうも話だと田子様も鎧を新調したらしい、何対抗してんだよあっちは鉱山もってウハウハなんだからね、よそは、よそ!ウチはウチなのよ!


「何事もないとおもうが何かあったときは、行政に連絡して指示を仰げ、いいな、無茶すんじゃねえぞ。」


「わかっております、では御武運を。」




しばらくして、田名部領の大軍に攻められました。え?



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