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第7話.最初の決着

 少女は目の前の光景が理解できないでいた。最初は思わぬ助けに舞い上がっていたが、冷静に考えれば普通の人間がたった一人で自分を追ってきた2人を倒せるわけがないのだ。しかも見た目頼りなさそうだし、緊張感のかけらもなく敵と会話をしようとするし。


 だから最悪、彼を犠牲にしてでも自分だけは逃げ出そうと考えていた。彼には悪いが自分にはどうしてもやり遂げなければならない使命があるのだから。


 だが、たった今目の前で起きた出来事は自分の予想を完璧に打ち砕いてしまった。もしかしたら自分は白昼夢をみているのかもしれないと思っても、さっきから続いている全身の痛みがこれは現実だと訴えかけている。予想をはるかに超えた出来事に少女はただ目の前の光景を見続けることしか出来なかった。


「いやはや、これは参りました」


 ようやく自失状態から立ち直ったリックの第一声はそんな言葉だった。


「まさか魔王軍の正規軍人が人間一人に倒されるとは」


 言葉の調子も表情も軽い。だがその目は鋭く、抑え切れていない怒りの気配を天真は感じ取っていた。


「一応聞いておきますが、こちらの法律に正当防衛は存在します? あ、それ以前に法的機関は存在していますか?」


 こちらも表面上は穏やかに、だが緊張は解かずに問いかける。


「ありますよちゃんと。証言すれば罪にはなりません。証人もいますし。ただ」


 そこまで言うとリックは不意に口をつぐむ。そして表情を改めると


「魔王様の手足たる我々がたかが人間一人に負けたってのは、どうあっても許せることじゃねーんだよ!!」


 怒気も露に睨み付ける。口調も変わり、どうやら相棒が自分に負けたことがよほど腹に据えかねているらしい。


「やっぱりそうなりますか。というか居るんですね魔王。本格的にファンタジーになってきたなあ」


 正面からの殺気を受け流しながら軽口をたたく天真。その裏ですぐに動けるように体を準備しておく。そんな彼にリックは構えることもなくいたって普通に歩いて近づいてくる。いぶかしげにそれを見据える天真に向かって、歩みを止めること無くリックは言う。


「確かに貴様の近接戦闘術のレベルは高い。不意を衝かれたとはいえダイゴが負けたのなら俺では敵わないだろう」

「……ありがとうございます。しかし、それなのに戦うと」


 よりいっそうの注意を払って相手を警戒する天真。体術では自分では敵わないといいつつ負けるとは微塵も思っていないようなその口調にダイゴとは違うプレッシャーを受ける。と、その時、


「しまった。ダメ!」


 突然背後の少女が警戒を呼びかける。その存在を忘れていたわけではないがいきなりの言葉に面食らう。だがこのままではまずいということだけは理解し、とっさに相手から距離をとろうとして、


「残念、終わりだ。」


 突然リックの目が光を放ったように感じた後、体がまったく動かなくなっているのに気づく。


(これはっ)


 声を上げたつもりだったが実際は喋ることすら出来なかった。いきなりの金縛りに驚愕していると、


「驚いているようですね。無理も無い」


 落ち着き払った声でリックが語りかける。口調も元に戻っているしその雰囲気からして勝負はすでに終わったと思っているのだろう。実際天真は指一本動かせない状態で、話を聞くことしか出来なかった。


「あなたはこちらに来たばかりでまだ知らなかったのでしょうが、この世界には地球で言うところの魔術が存在します。そして、魔術はこちらでは一般的な力として扱われています」

(本当に王道のファンタジー世界ですね)


 会話が出来ないので、胸の内で呟く天真。


「人間たちは呪文などを用いて魔術を扱っていますが、我々魔族はそんなことをしなくても手足を動かすように魔力を操ってさまざまな現象を起こすことが出来ます。たとえば、視線を合わせるだけで相手の動きを封じたり、とかですね」


 懇切丁寧に今の状態を解説してくれるリックに、


(いるんですよねーこうゆう説明好きなキャラ。ゲームの進行上必要なので)


 などとあまり自分の状況が分かってないんじゃないかと思われることを考える。そんな思考を置いてけぼりにして説明はまだ続くようだ。


「私達夜魔(ナイトメア)は特に精神に働きかける能力に特化しています。ですからいかにあなたが直接戦闘に長けていようとも我々の前では無意味というわけです。後ろのお嬢さんはどうやらそれをあなたに伝えるのをすっかり忘れていたようですが」


 背後の気配に動きが無い。どうやら同じように視線で呪縛されたようだと考える。一度目を合わせれば効果はしばらく続くんだなと冷静にこの状況を把握する天真。


 こんな状況にあってもなお天真には焦りというものが見られなかった。ただ開き直っているだけか、それとも……


「さてお二方にはしばらく眠ってもらいます。大丈夫ですよ、別に永遠の眠りというわけではないですから。いろいろと込み入った事情はありますが後の身の安全は保障しましょう。それではお休みなさい」


 そう言った後再びリックの目が光を放ったような気がした。すると体の周りに何かが纏わりついてくる感覚が―――


(違う。これは物理的なものじゃない)


 あえて言葉にするならば意識に纏わりついてきていると言うべきか。それは意識を包み込み暗闇へ引きずり込もうとする。


 だが、そんな中でも天真は冷静に思考を進める。


(まずは、確認)


 自らの存在を、その在り様を認識する。敵の攻撃の中でも凪のように落ち着いている自分の心を、その上方よりそんな自分を俯瞰しているもう1人の自分もまた認識する。そして自分を見つめる視線をさらに自分の奥深くへと。自らの内面に潜るように深く深く潜行していく。


 そして目的の場所に到達する。そこにあるのは巨大な門、自らのうちにあるものを閉じ込めておくための境界に立ち、手を触れ戒めを開放する。


 そして―――――


「―喝っ!」


 裂帛の気合と共に内に秘めたものを開放する!!


「ぐあっ!?」

「えっ?」


 いきなりリックが声を上げて後ずさる。それと同時に金縛りが解けて自由になる天真と少女。拳を握ったり開いたり、その場で屈伸したりして動きに支障が無いか確かめる天真。それとは別に何が起こったのか分からないという残りの2人。


「は?え?ば、馬鹿なっ」


 先に立ち直ったのはリック。驚愕の面差しで天真を凝視する。


「貴様……いったい何を!?」

「え? 何と言われても纏わりついてくるものが気持ち悪かったので殴りつけただけですが。あ、もちろんイメージの中で」

「馬鹿なっ!」


 天真の返答に、我を忘れた様子で反論するリック。


「ただの人間が精神攻撃に対して防御するどころか反撃を加えるだと? そんなことありえん!」

「いや、そう言われましても。なんとなく成功しただけですし」

「なんとなく? なんとなくで私の攻撃をっ……」


 どうやら今の返答が逆鱗に触れたらしい。怒りで顔を赤くしながら(地肌が紫なので赤紫になっている)こちらを睨み付ける。そんな敵の様子を至極冷静に眺めながらさらに言葉をつむいでゆく。


「いや、実は追い込まれたことで眠っていた未知の力が」

「精神をズタズタにして廃人にしてやるっ!!!」

「あらら、もう聞いてませんか……。でも」


 憤怒の形相で此方をにらみつけるリック。ただの人間に自分の力が破られた事が余程腹に据えかねている様子だ。今度こそという気合を込めて力を行使しようとする……


「相手を見ていても、状況をきちんと認識していなければ意味がないですよ」


 瞬間、右手に握っていたものをリックの顔面に向かって投げつける。いきなりの動作にリックは一瞬動揺を見せる。


「何っ!?」


 いきなり顔面を襲う土くれ。それが先程天真が自分の体が上手く動くかどうかを確かめていたときに用意していたものである事、そして自分が怒りのあまり不用意に近づきすぎた事を理解した瞬間には既に勝負はついていた。


「終わりです」



 ドンッ!!



 リックが反射的に顔をかばったその期を逃さず天真は一瞬で相手の懐に飛び込み、そのまま刀の柄を鳩尾へと叩き込んだ。


「かはっ」


 肺の中から空気を搾り出すようなうめき声を上げてリックの体が崩れ落ちる。そのまま地面に倒れ付した相手を観察し、完全に気絶している事を確認すると、


「はあ、最初からしんどいですねえ」


 疲れたような溜息を吐きながら天真は、それまでの俊敏な動きが幻であったかのように体中から倦怠感を放出しているような緩慢な動きになる。


「さて、」


 とりあえず当初の目的は達成した。これからどうしようかと思った矢先、


「すっごーい!!!」

「おうっ!?」


 いきなり横合いから抱き付かれてたたらを踏む。胸の中に飛び込んできたのは一番最初の救出目標であった少女であった。


「すごい、すごいよきみ! 一人であいつらを倒しちゃうなんて!」

「あー分かった。分かりましたからとりあえず離れて、落ち着いて話を聞いてください」


 抱きついたままぴょんぴょん飛び跳ねる少女を引っぺがして宥めようとする。さすがにはしゃぎすぎたと思ったのか素直に天真の言葉に従う少女。改めて向き合い、


「自己紹介がまだだったわね。私の名前は美亜(みあ)。あなたは?」


 ようやくお互いの紹介を始めたのだった。

作「あーようやくバトルが終わったところで皆さんにお知らせがあります」

天「バトルというほどの事もしていないような気がしますが、ほとんど奇襲やだまし討ちで」

作「うっさい。えーとりあえずこの小説の読者数が2000人を超えました。皆様ありがとうございます」

天「一月で2000人強。これはまあまあの数字だと思って良いんでしょうか?」

作「まあランキングサイトにも乗っけていないし、ぼちぼちじゃないの?」

天「そんなものですか」

作「それで皆様にお願いがあります。読者数はそれなりですが感想や評価はまだひとつもありません」

天「まあ、駄文ですし」

作「そこうるさい。それでこの小説に対する感想、評価をなるべく送っていただければ嬉しく思います」

天「まあ、何も反応がないのは少しさびしいですしね」

作「酷評でも良いんでもらえればと、あとずうずうしいですがそういう場合は具体的にどこが悪いかも教えていただければ励みになります」

天「全部とか言われてへこむ姿が見えるようですね」

作「む、まあでもそのときはそのときで頑張るだけ」

天「まあ頑張ってください。ところで今後の予定はどうなっているのでしょうか」

作「年内に1章を完成させるのは一応目標だけどその後の事はまあ次回にでも説明する」

天「まさか、何も考えていないなんて事は」

作「はっはっは、ちゃんとかんがえているさ」

天「そうですか。それなら」

作「エ○ーナルファンタジーの2次創作とか」

天「………」

作「他にも色々とって何で刀を抜いているんですか?」

天「作るなとはいいませんが、ちゃんと私達の物語も完結させてくださいよ?」

作「いや、それは分かっていますからなんでそんな殺気を!!」

天「いえ、此処のスタンダードな終わり方ですし。まあ今回は無理やり感が強いので技はなしということで普通に切って差し上げます」

作「そんな標準はいらないってぎゃあああああ!!!」


暫くお待ち下さい


天「それでは皆様また次回」

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