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第4話.足掻き続けた先の選択肢

今回の後書きはわからない人が見るとまったくわかりません。


また、読後感を損なう恐れもあります。


ですので基本的に無視してください。


内容がわかってそんなの気にしないという人だけ読んでください。

 小さな不満は種火の様に燻っていた


 その火は徐々に大きくなっていく


 誰かが火勢を強めたのか、元々燃えやすい環境だったのか、それとも両方なのか。今となっては分からない


 そして、その火はある時を境に劫火となってすべてを飲み込み始めた


 まるでそれまでの努力をあざ笑うかのように、瞬く間に飲み込まれていく人々


 そしてその劫火を止めるために6人の強力な転化者が先頭に立って戦った


 すべてが終わった後にその6人は王となり、それぞれの領土で人を監視する事になった


 もうこれ以上人々が争わないように






「元々転化者と転化していない人間との間には大なり小なり確執があったわ。転化者はそうでない人々を自分たちより下等な種族と見下していたし、転化していない人間は転化者を化物と蔑んでいた。皆同じ人なのに……」

「そしてそれぞれの不平不満が溜まりに溜まってついに爆発したのが3年前。最初は転化者とそうでない人間達の争いだったが、次第にその規模が大きくなって行った。対立の構図もあやふやになっていつしか誰が誰の敵なのかわからなくなり、泥沼の戦争になっていったっつーわけだ」

「もうー転化者とーそうでない人達とかー関係なくなってー転化者同士で争ったりーそうでない人間同士でー争うようになったりしたのー」


 当時を知る3人の口調は一様に重い。桃子でさえも今回は茶化そうとはしなかった。表情も暗く、その戦争が如何に悲惨なものだったかが如実に現れている。


「その当時の強硬派を相手取って獅子奮迅の活躍を見せた共存派の戦力の中枢が、スノウちゃんを含めた現在の6王だったんだ。そして戦争は強硬派の首魁を狙った電撃作戦を成功させた共存派の勝利で終了した。もちろん、この時も6王の活躍があったのは言うまでもないな」

「あの時はとにかく早く戦争を終わらせなくちゃいけなかったから、少数精鋭で敵の頭を狙っただけよ。それが、終わった後になんだか英雄みたいに見られて、気が付いたら6王なんて呼ばれるようになってて……」

「いやいや、実際に英雄だったんだよ。スノウちゃんたちの活躍がなかったら、俺様達は今頃もっと悲惨な状況にあったかもしれないんだから」


 どうやらいまだにスノウは自分が魔王であることに疑問を感じているらしい。だがそれも無理はないかと天真は思う。元々内向的な性格だった彼女は人の前に立つということがいまだに苦手なのだろう。


 しかし、少し見ただけだがこの街は良く治まっていると思う。もしかしたら自分や彼女自身が思っている以上にそういう適正があるのかもしれない。


「それで戦争は終わったんだけど、やっぱり今までと同じって言うのは難しかったから、転化者達と転化していない人達との間である程度の住み分けを行ったわ。その際に共存派の英雄と呼ばれた私を含む6人が転化者達の王になって各地に移り住んだの。これにはいろんな意味があったんだけど、人が増えたから新しい土地を開拓しようっていうのと、それぞれの転化者に合った土地で生活しようっていうのが大きな理由かな。それで今に至るの」


 ようやく話が終わって一息つくスノウ。他の皆も大きく深呼吸したり、固まった体をほぐしたり、めいめいが緊張を解く。


「本当に大変だったんですね。すみません、そんな大事な時期に雪や他の皆の傍にいることが出来ずに」

「そんな、天真だって向こうで大変だったはずなのに、本当に謝ることなんてないのよ」


 真剣な表情で頭を下げる天真。そんな天真に困ったような表情を向けるスノウ。


「しかし、約束も守れずに」

「天真」


 不意にスノウが強い口調で天真の言葉をさえぎる。その力強さに天真も口を閉ざす。


「これはあなたが悪いわけじゃない。確かに私たちも大変だったけど、このことをあなたが負い目に感じる必要はないの」

「雪……」

「何よりそんな事で私は恨んでなんかいないし、それに」


 そう言いながら不意に天真の両手を取る。


「天真とまた生きて会うことが出来て本当にうれしかったの。また私の名前を呼んでくれたあの時、どんなに私が……」


 瞳に涙をためて声を詰まらせる。そんな彼女の姿を見て、


「……分かりました。そこまで言うのならこれ以上この話題はしないようにしましょう。それに」


 そういってスノウから視線を外す天真。その顔が少し赤くなる。


「もう一度会えてうれしかったのは、私も同じですからね」

「あ……」


 その言葉にスノウも頬を染めて視線を泳がせる。そしてそのときになってまだ自分が天真の両手を握り締めていることに気付くが、いまさら離すのももったいないなと思いながらしばしそのままでいる。天真の両手から伝わってくる体温に不思議と安らぎを覚え、


「だからそういうことは他に人が居ない時にやって頂戴って何度も……」

「ひゃうっ!?」


 ようやく外野の存在を思い出したスノウがあわてた様子で天真の両手を離す。ちなみにこのときの外野の反応は、


 美亜→もはや突っ込む気力も無くす。


 ハヌマーン→もはや嫉妬する気力も無くしていじける。


 桃子→もはやなくなったお茶請けのお変わりを要求する(どこまでもフリーダム)。


「え、えっとそれで話はここまでで一段落なんだけど、何か他に聴きたいことはないかな?」


 慌てて話を方向変換させるスノウの姿に苦笑する美亜。そんな姿を見ていると、本当に魔王なのか疑わしくなってくる。


 だが、これだけははっきりさせておかなければならない。美亜は表情を引き締めると、ここに来た最大の目的を果たすためにスノウに話しかける。


「スノウ、一つだけ教えて欲しいことがあるの」

「何かな、美亜」


 その雰囲気にスノウも姿勢を改めて美亜に向き直る。そして美亜は自身の目的を叶える手段を魔王本人に聞く。


「あなたたち6王を殺せば元の世界に返れるというのは本当なの?」

「!!!」


 その問いに驚愕の表情を見せるハヌマーン。だが、スノウにはその問いを予期していたように、動揺は見られない。天真や桃子の表情にも外見上の変化は見られなかった。もちろん、内心でどう思っていたかまでは分からないが。


 そしてスノウはその問いに答えるためにゆっくりと口を開く。


「その質問に関しては、こう答えるしかないわ。その可能性は限りなく低いと」

「……」


 その回答に表情を強張らせる美亜。


「確かに私たち6王はこの世界の影響を最も強く受けている存在ではあるの。でもだからといって私たちが居なくなることで、世界に何かしらの影響がある可能性は限りなく低い。ましてそれで元の世界に返れるなどという事はほぼ確実に無いと言ってもいい」

「じゃあ、他に元の世界に返れる方法は」

「私は知らない。元の世界に帰る方法も、実際に帰ったという人物の話も聞いた事が無いわ」

「そっか」


 そこまで聞いて、美亜は何か張り詰めていたものが切れたかのように背もたれに体重を預けた。その顔には乾いた悲しみの表情が浮かんでいたる。全ての望みを絶たれた、まさしく絶望の表情が。


「結局、私は何も出来なかったのか。弟も救えず、ただ苦しんで死んでいくのを見守ることしか出来ないのね」

「美亜さん……」

「ごめんね天真、ハヌマーン。私の都合に巻き込んで。散々引っ張りまわした挙句、何も出来なくて……」


 そして美亜の瞳に涙が浮かぶ。だがそれを拭う力すらもう無いのか、両目から溢れる流れをそのままにただ悔恨の言葉をつぶやき続ける。


「結局、私のしてきたことは無駄だったのね。あの子にもさんざん心配をかけておきながら私は」

「無駄じゃありません」


 強い調子で美亜の言葉を遮ったのはスノウだった。意外な人物からの意外な言葉に、しばし美亜の頭は真っ白になる。だが美亜のそんな様子にも気をかけずに、スノウは言葉を続ける。


「美亜が今まで弟さんのためにやってきたことは無駄じゃありません。あなたが今まで苦しんできたことに意味が無いなんてことは絶対にない」

「……知った風な口を利かないで」


 スノウの言葉に、美亜の目には怒りの色が浮かび上がる。それを真正面から受け止めて、それでもスノウは一歩も引かなかった。


「あなたに私達の何が分かるって言うのよっ。あの子にはもう時間が無い。もうすぐ死んでしまうの。そして私はもうあの子の死を見取ることしか出来ない。こんな私のどこに意味があるって言うのよ!!」

「……確かに、弟さんの死の前に絶望することしか出来ない今のあなたは無意味で無価値なのかもしれない」

「あんたはっ!!!」


 その言葉に顔色を変えながら、スノウに詰め寄り胸倉をつかみ上げる美亜。だが、そこまでされてもなおスノウは冷徹とも言える瞳で美亜を見つめ続ける。


「血も涙も無い魔王に人間の何が分かるっていうのよ! 今までどれだけ私達が生きるために苦労してきたと思っているの!」

「それなら、なぜ最後まで抗い続けようとしないの!」


 どこからそれほどの声量を出しているのかというほどの大声で、スノウが美亜を一喝する。


 その瞳は燃え上がるかのように輝き、真紅の髪も激昂によって体からあふれ出してきた魔力の作用によってゆらめいている。その迫力に呑まれて言葉を失う美亜。


「今までどんなに苦しくても前に進んできたんでしょう! それをたった一つ方法が無くなっただけでもうあきらめるの!? あなたが今まで背負ってきたものは、そんなに簡単に放り出せるほど軽いものだったの!?」

「っだけど、麗はもう……」

「だからどうしたっ! いつかその時が来ることくらい分かっていたんでしょう! それでも投げ出さずに進んできたんでしょう! だったら最後の最後まであきらめずに足掻いてみなさい! あなたがあきらめれば、麗君は間違いなく死ぬのよ!」


 叩き付けるように放たれた言葉に美亜はびくりと身を竦ませる。そんな彼女に、スノウは少しその表情をやわらかくしながら話を続ける。


「でも、あなたがあきらめなければ今すぐ麗君が死ぬことは無い。ならあなたが最後の最後まであきらめなければ、もしかしたら麗君を救えるかもしれない」

「そんな都合のいいこと……」

「無いかもしれない。でも可能性は0じゃない。そして、ここで負ければその可能性も0になる。あなたはどうする? ここで投げ出していい加減楽になる?」


 答えを促すように、スノウは口を閉じた。そのまま美亜の瞳を覗き込むようにじっと見つめる。


 そこには葛藤の色が浮かび、美亜はそのままスノウの言葉を反芻し、己自身に問いかける。そして、


「……まったく、何なのよもう」


 そう言いながら美亜はスノウから手を離す。その表情は疲れきってはいたが、目には確かに灯る光があった。


「何なのよ、殺そうとした人と友達になって、挙句に叱咤されるなんて。本当に私の人生どうかしてるわ」

「まあ元々こんな世界に来てしまった時点で人生かなりおかしなことになっていると思いますが」

「そっか、そう言われてみれば今さらな気もするわね」


 ひとしきり怒鳴ることで心の整理が付いたのだろうか、横合いからの天真の言葉に妙に納得してしまう。


「天真、一応私はこの世界の王様の一人なんだから、こんな世界呼ばわりはひどいと思うの」

「あ、すみません雪。別にそういうつもりで言ったのでは」

「じゃあどういうつもりだったのかな?」

「えっと、だからですね」


 思わぬ方向からの攻撃にうろたえる天真。そんな彼を不機嫌な表情で追い詰めていくスノウ。そんな二人を見ていて、美亜は―――


「くっ……あははは、あははははははははは」


どうしようもなくおかしくなって大声で笑い出す。あまりにおかしかったものだから涙まで出てきてしまう。


「あはははは、だ、だめ、おかしすぎて、涙が止まらない。っくう、うううううう」


 そのままとめどなくあふれ続ける涙。いつの間にか大声で泣いている自分がいた。と、そんな自分をやさしく包みこむ腕。いつの間にかスノウに抱きしめられていたという事に気が付いた時には、もう顔も頭もぐしゃぐしゃだった。ただただ泣き続けていることしか出来なかった。


 そんな二人の様子を、どこかほっとしたような表情で見守る3人。


「まあ、少しはすっきりしましたかね」

「そうだな、色々と背負い込みすぎていたみたいだしな」

「こういう場合はー一回ー怒るかー泣くかしておいた方がーいいのー」


 しばし部屋の中には美亜の泣き声が響き渡る。すべてを洗い流すかの涙はそのまましばらく止まることは無かった。


 ようやく涙が止まり、身だしなみを整えた美亜はどこか照れくさそうに、しかしさっぱりとした顔で室内の面々に謝罪する。


「ごめんなさい、いきなり怒鳴ったり泣き出したりなんかして」

「気にすること無いぜ。泣いている美亜ちゃんの表情にもそそられるボフッ!?」


 ハヌマーン撃沈。しかし、その顔にどこか満足げな表情が浮かんでいたのは見間違いではないだろう。


「本当にごめんなさい。スノウには迷惑をかけちゃったわね」

「いいのよ。私こそ生意気なことを言ってしまってごめんなさい」

「そんな、私こそ失礼なことを言ってしまって」

「それこそ、私のほうが」

「そこまで」


 堂々巡りになりかけた二人の謝り合いをぴしゃりと断ち切る天真。


「ずっと頭を下げ続けているつもりですか? お互いに謝ってそれを受け入れたのですから、この話はこれまでです。もう蒸し返さないように」

「「はーい」」


 返事はまったく同時だった。それがおかしくて二人は笑ってしまう。その様子を見て天真は肩をすくめた。だが、その顔には確かな笑みが浮かんでいる。


 そうしてひとしきり笑いあった後、スノウは不意に表情を真剣なものにして美亜に語りかけた。


「楠美亜さん。あなたは弟の麗君を助けるために、どんなに困難なことでも最後まであきらめずに立ち向かえますか?」


 その顔と声から、その問いに半端な気持ちで答えてはいけないということは瞬時に理解できた。だが、それでも美亜の答えは最初から決まっていた。


「聞かれるまでも無いわ。私は麗の為ならどんな試練でも乗り越えて見せる。最後まであきらめずにね」


 その答えを聞いてスノウが安心したように微笑む。と、そこで美亜がおかしなことに気付く。


「あれ? そういえば何でスノウが麗のことを知っているの? 私は喋って無いわよね?」


 天真のほうを向く。だが彼も首を横に振って否定する。そんな二人にスノウが答えを話し始めた。


「私が麗君の話を聞いたのは、東堂さんからです」

「は? リーダーから? っていうかなんで魔王がレジスタンスのリーダーと知り合いなの?」

「それも含めて麗君のことでお話しがあります」


 そしてスノウは美亜に思いがけないことを語り始めた。


「麗君を助けるために、麗君自身とあなたの命が必要だと言われたら、姉としてどういう決断をしますか、美亜?」


突然突きつけられた謎めいた問いに、美亜はただ呆然とすることしかできなかった。

作「“12”発売キター!!!」

天「だから勉強しなさい」(ザシュッ)

作「ぐはっ。なんのおおおおお!!!」

天「!? 瞬間再生!?」

作「ふはははは! そんなことでこの私の“無限シリーズ”にかける愛を止められるものかっ」

天「でもあなた“7”は持ってないんですよね?」

作「ごふっ」

天「“11”は積みゲー状態ですし」

作「あべしっ。っく、“入ったり出たり”はやったぞ!?」

天「“私自身、あなた自身”も積みゲーじゃないですか」

作「ひでぶっ。だが、それでも俺はこの作品を3年待っていたんだ! そして、お二人は私が目標とする大先生! いつか俺もお二人のような物語を書くために、日々鍛錬を……」

天「……私たちの話、ジャンルがぜんぜん違いますが? しかもそういうお話が書きたいなら、少なくとも特殊相対性理論とか理解しないと」

作「ワ、ワカッテマスヨ? きちんと勉強してますし、そういう話の原案はもう考えているんですから」

天「え? あるんですか?」

作「量子力学の観測の問題を軸にして少し」

天「……書けるんですか?」

作「妄想中。公開時期未定。というか無理?」

天「だめじゃないですか」

作「うう、でもいつか書きたいし」

天「まあ、がんばってください。それで、試験勉強は?」

作「……てへっ」


ドシャッ


天「それでは皆様また次回」

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