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第9話.異世界における文明の進歩について

「本当にここの人達は囁くだけで魔術が使えるんですね」

「私の使うものなんてせいぜい初級レベルのものだけど、すごい人になると火球とかで家一軒くらいなら簡単に吹き飛ばすわよ」


 種も仕掛けもなく指先から火を出した美亜に、本気で感心する天真。どうやらこちらの世界に来ると、誰でも火くらいは簡単に出せるようになるらしい。


「そんなわけで今まで機械でやってきたことを魔術で代用できるからあまり不便というわけでもないのよ」

「不便を感じないから文明が育たないというわけですか。道理ですね」


 人が文明を発達させてきた背景には不便をなくす、簡潔に言えば楽をしたいという心理が大きく働いていた。


 例えば交通手段。もっと早く移動したいという思いが馬などを使った移動を生み、さらに大勢を一度に移動させたいという心理の元馬車が考案された。そして更なる利便性を求めて鉄道や車が発明されたのだ。


 楽をしたいからこそ人間は道具を発明し利便性を追及してきた。だがもし、言葉一つでほぼ何でも問題が解決できるとなるとどうだろう。道具を使う代わりに魔術を行使すれば事足りるとしたら。


「機械文明はその発展を大きく遅らせますよね。たとえ一度その恩恵にあずかっていたとしても」

「まあその代わりに魔術を使った文明、そのものずばり魔術文明がこちらの世界の人間の間に浸透し始めているわけだけど」


 そんな話をしていると周囲がずいぶんとにぎやかになってきたことに気付く。着いたのは夕方だったがすでに完全に日は沈んでいるようだ。酒を飲みに来た人々が集まり始めている。


「少し横道にそれちゃったけど、まあ基礎知識の説明としては大体こんな所かしら。地理とか歴史とかに関しては詳しく話し始めるとさすがに長くなるからここでは省かせてもらっていい?」

「ええ、大丈夫です。後は適宜質問していくことにして、今この場で聞きたいことは後一つだけですから」

「? 何かしら」

「なぜ、あなたは追われていたんですか?」


 その質問に対して美亜はすぐには答えを返さず、何かを確かめるかのように天真の目を覗き込む。しばらく無言のまま見詰め合う二人。と、不意に美亜が溜息を付く。


「まあ成り行きとはいえあなたも巻き込まれちゃったわけだし、話さないわけにも行かないか」

「なにやら予想通り厄介事の雰囲気が濃くなってきたのですが、さっきの質問を無かった事には出来ないでしょうか」

「ダメ。というかあなた腕が立つんだしやっぱりなんとしても巻き込まれてもらうわよ」

「拒否権は?」

「こっちに着たばかりで一文無し。今夜の寝床すら確保できていないあなたにあるとでも?」

「……せめてしばらくの間でも3食付でお願いします」

「よろしい。それじゃあとりあえず晩御飯は私がおごりましょう。その後私たちの組織に案内するわ」

「組織? 何の組織ですか」

「その辺の説明も全部移動してから。まずは食事にしましょう」


 そう言うと美亜は近くにいたウェイトレスにいくつかの注文を出す。状況は自分の意思を無視して進んでいるがとりあえずはご飯にもありつけそうだし、もう少しこのまま様子を見るかと天真は考えていた。とりあえず今現在の問題はここの料理が口に合うかということだ。もしゲテモノっぽいのが出てきたらどうしようなどと少しずれた心配をする天真であった。






 食事(驚いたことに和食で味も申し分なかった)の後連れてこられたのは、どちらかというと寂れた感じの一角。裏路地に建っているどう好意的に見てもアンティークなどとは言えなさそうな、端的に言うとぼろい宿屋だった。


「……美亜さん」

「何?」


 しばらく宿屋を検分した後、重々しく言葉を発した天真に美亜は訝しげな視線を向ける。


「3食付けろなんてわがままを言って、しかもご飯まで奢らせてすみませんでした。でも一言言っていただければ私も……」

「あなたが何を心配しているのかひっじょーに分かりますけどね、勘違いもほどほどにしなさいっ」

「え? 明日の暮らしにも困るほど貧困しているから猫も手も借りたいということで私を仲間に引き入れたのでは」

「だからこれは目立たないようにするためのカモフラージュ。別にお金に困っているわけじゃないのっ」

「あ、そうでしたか」


 ポンと手をたたいて納得する天真。そんな様子を見ながらやっぱり仲間に引き入れたのは間違いだったかも、とこめかみを押さえながら自分の選択を後悔し始めた時、唐突に軋んだ音を立てて宿屋のドアが開いた。


「美亜。無事だったのか!」

「ただいま。ケン」


 現れたのは10代後半、美亜と同じくらいの年頃と思われる青年だった。短めで逆立っている髪に鋭い目つき、180センチくらいの身長に服の上からも鍛えられていると分かるがっちりとした体。場所もあいまって腕自慢の不良という感じだが、その表情は仲間の帰還を心のそこから喜んでいた。


 と、そこで不意に美亜のそばに立っている人物に気づく。その顔がいぶかしげに歪められて鋭い目つきで天真をにらむ。


「美亜、こいつは?」

「この人は葉上天真。危ないところを助けてもらったの。話を聞いたらこちらに来たばかりだって言うから、腕も立ちそうだしとりあえず仲間にしようと思って」

「葉上天真です。よろしく」


 そう言って手を差出す天真。だがケンは胡散臭そうに一瞥した後、


「……まあ美亜を助けてもらったことには礼を言っとく。だが何か問題を起こしたらただじゃすまねえからな」


 そういって差出された手を無視すると再び美亜に向き直って、


「みんな心配してたけど無事でよかったぜ。今ちょうど会議中でリーダーたちが集まってるから報告に行こう」


 そう言って宿の中に戻っていった。美亜は天真に向き直ると、


「ごめんなさい。今ちょうど大事な時期でみんなピリピリしているの。だからあまり気を悪くしないでね。ケンも本当は悪いやつじゃないのよ」

「気にしていませんよ。いきなり見ず知らずの人物が現れれば誰だって警戒くらいはするものです。それより早く行きましょう」

「そうね。ありがとう」


 そう言って美亜も宿の中に入る。その後に続いて天真も宿屋に足を踏み入れた。

美「後書きでは始めまして。美亜でーす!」

天「どうも、天真です」

美「えっと、それでいきなり質問なんだけど何で今回作者居ないの?」

天「ああ、それはですね前回何の説明もなしに一方的に後書きを終わらせたので少しお仕置きを」

美「……んーと、それであそこの煙が出てるロッカーみたいなのは何かな?」

天「ええ、お仕置きということでちょっと燻製になってもらってます」

美「………」

天「あ、大丈夫ですよ。ちゃんとスモーク用に桜のチップも使ってますし」

美(話には聞いてたけど後書きの人格って本気で怖い……)

美「え、えっとそれじゃあ前から言っていた今後の予定は?」

天「それなら大丈夫です。ここに作者のダイイイング……もとい伝言がありますから」

美「……なんだか赤いんだけどそれもしかして血で書」

天「えっとですね、それで今後の予定ですが」

美「スルー!?私後書きでもそんなキャラなの!?」

天「まあいいじゃありませんか。つまり不必要に変えなくてもいいくらいキャラとして立っているということですよ」

美「え、そ、そっかー。えへへ」

天(うん。扱いやすい)

美「……今なんか不穏なオーラを感じたんだけど」

天「気のせいでしょう(キッパリ)」

美「ならいいんだけど。それで、今後の予定って?」

天「えーっと、しばらく更新できないそうです」

美「いきなり更新停滞宣言!?」

天「年末は社会人として忙しいんだそうです。年末締めとか忘年会とかで」

美「後者はお酒飲むだけでしょ?」

天「まあお付き合いも仕事の内ということで。それでしばらく休んで年末の30日くらいに第1章をまとめてあげるそうです」

美「後3話くらいだっけ。素人が無駄に話を大きくするから構成がだらだらと伸びるのよねー」

天「まああの作者ですし。それでその後年内に第1章の修正と構成の整頓をすると。要するに短い話同士をくっつけたり、無駄に長くなった話を削ったりしようと」

美「ふむふむ」

天「それで年明けとともに“お正月だよ異世界見聞録魔王付。年明け耐久第2章まで一気につっ走るぞ祭り”を開催すると」

美「なにその国民的アニメの年末年始スペシャルみたいな題名。ていうか無駄に長いし」

天「端的に言うと年明け3ヶ日で第2章を終了させてしまおうと」

美「だ、大丈夫なの!?第2章もへたれ作者のせいで第1章より構成が長くなってるって聞いてるけど」

天「まあ人間死ぬ気でやれば何とか」

美「年明け早々死ぬんだ……」

天「そういうわけで1月の1,2,3日はこの小説常時更新状態だと思ってください」

美「えーっと作者もがんばりますといっています」

天「そういうわけでしばらく更新はストップしますが見捨てないでくださいとのことです」

美「まあ一応やる気あるみたいですしどうか次回もお楽しみにということで」

天「それでは皆様また次回」

美「さよーならー」

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