出会いの両者
誤字矛盾はぜひご指摘ください。
ひたすらうろうろしてようやく小人さんたちの痕跡を見つけた。
そうして、洞窟まで戻ってきた俺は違和感に気づいた。暗いはずの内部がよく見える。
よく見えるからこそ分かる。この洞窟は思ったより規模が大きいようだ。
そして森を、さ迷っていたときよりもナニかが濃く感じる。出所は洞窟奥。
感覚は、以前より格段に鋭くなっている。それにより初めて気付いた。洞窟内で息ずく生物たちの気配。
なかなか興味引かれるが今は休もう。
苔が繁茂している場所に腰をおろし胡座をかく。
一度に多くの事が起きすぎた。
俺は天井を、見上げぼんやりとしていた。
どれだけたったのか。
ぼんやりとしていると足元に何かの気配を感じたので上へ傾けていた頭をしたに向けた。
犬だ。しかも子犬。
森で見た犬っぽいやつとは一線を引くかわいらしい奴だ。
おっ、と思ったとたんに俺の意識が向いていると気付いたらしい子犬は凄まじい勢いで洞窟奥へ逃げていってしまった。
『あぁあ!もふもふ!』
子犬のあんまりな対応に俺は泣きそうだ。目玉無いけど。
だが!逃げられると追いかけたくなるのが本能というものだ。
俺は子犬が逃げたであろう洞窟奥に足を踏み入れることにした。
ちなみに、今後の方針は無い。ひとまずやりたいことを、やることにした。
奥を目指してうろつくとやはり気になるのは洞窟の規模。
洞窟だけでこれだけ広いと、この森の規模について考えると……。
途中横穴があったり、美味しそうな気配。ここは森より飢えが刺激されてよろしくない。
奥につれて足元に俺のお仲間が転がり始めた。まあ、骨だ。
鎧をまとっていたりきらきらした宝石を身に付けているやつもいる。
遺留品の山だ。
邪魔くさいお仲間たちを蹴りどかしながら進むと子犬の美味しそうな気配を見つけた。
いや、美味しそうとか言ったけど食べる気はないぞ。断じて!
ようやく見つけた子犬は尻尾を股に挟み全力でこちらを威嚇していた。
うず高く積みあげられた布は巣か?その上から子犬は見下ろしていた。
尻尾股に挟んだままだから可愛いだけだが。
取り敢えず捕獲したいが俺が触れんのはダメだ。動きあぐねているとキンキンとした声が響き渡った。すげえ煩い。
「お、ぉおまえはなにものだ!」
あん?
首をかしげる。はて、生きてるやつは目の前の子犬しかいないが…この舌っ足らずな声は何処から聞こえたんだ?
「こ、こたえろっこたえ、ないのならか、かみつくぞ!」
『さっきからキャンキャン言ってんのはお前か?』
「ヒッ…!そ、そうだっ」
怯えてるが此方からけして目を離さずしっかり見下ろしてくる。しかも話せる。少なくとも俺が今まで見てきた奴より格段に頭はいいようだ。
『ごめん。怖がらせるつもりは無かった。謝罪する』
「しゃざいは、ぅうけとってやるっ」
『…ああ。あと、俺の正体は俺が一番知りたい。腹が減って起きたら既にこの姿だった』
「?……、!!ぼくはおまえなんかにたべられたりし、しないぞ!」
『心配しなくても食わねえよ』
うまそうとは思ってるけどな。
俺の不穏な考えに気づいたのか子犬の震えが増した。怯えんなよ、傷つくだろ。
面白いので凝視する。
しかし、にわかにガタガタと震えていた子犬の空気が変わる。
怯えなくなった訳ではないが、意を決したような顔つきになった。
「……それと、もうひとつ、おまえにききたいことがある」
『なんだ』
「かあさんを、ころしたのは、おまえか」
子犬はヒタリとこちらを見据えた。ギラギラとこちらを見る子犬の姿は森の中で横たわる、あの大きな狼の死してなお、美しい姿が重なる。
俺の予想が正しければ、こいつの言っている“かあさん”は、
『……知ってどうする』
「ころす。かあさんのかたきをとる」
可愛いだけかと思えば中々に好戦的な奴だ。
『何故、俺に聞く?』
「おまえからは、かあさんのにおいがする」
殺したのは俺じゃないが喰ったのは俺だからな。犬らしく鼻の利くことだ。
『結論から言えば俺は殺してない』
「…そうか」
目を逸らす子犬。
『だが、喰った。』
「!」
『腹に大きな切り傷。原因はおそらくそれだ。俺が見つけたときには既に呼吸は止まっていたし、腹が減っていたから喰った』
さあ、どうする。対象の見つからない復讐の矛先は俺に向けるか?
「……なら、いい。それとおまえにたのみたいことがある。かあさんを、ころしたやつをみつけるのをてつだってくれ」
え、めんどくさい…。俺関係ないし。
喧嘩を売られるという事態は避けることができたがもっと面倒臭いことを吹っ掛けられた。
俺の嫌そうな雰囲気に気づいたのか子犬のいきり立っていた尻尾は徐々に下がってきている
「ず、ずうずうしいとは、わかってる!でも、ぼくひとりではなにもできないんだ」
『だろうな』
「だから!『でもな、』
『俺に、何の得がある?』
可愛いとは思うが助けてやりたいとは思わない。何より意味を感じない。
むしろ、あれほど旨いものを喰う機会を作ってくれた奴には感謝したいぐらいだ。
「……ぼくをたべればいい」
おや、
『俺なんかに食べられたりしないんじゃなかったか?』
「あだうちをてつだってくれるなら、べつだ」
可哀想に、ブルブル震えて。
「ぼくは、よわい。このばしょでいきているのが、せいいっぱいだ」
尻尾もすっかり股の間に挟み込んで。
「でも、おまえは、いやあなたはつよい。」
それでも、こちらを見る眼は力強く、美しい。
「ぼくはほこりたかき、戦大狼。そこらへんの、ざこどもとはちがう」
「まりょく、ちからともに、せいちょうすればほかのやつらと、ひではない」
『それは大した自信だ。それほど強いなら俺の助けなんか要らないだろ』
「せいちょうしきるまでは、よわい。とてつもなくな」
弱いのか…。しかもとてつもなく。
「かあさんからくったちからを、ぼくにかしてくれ」
こいつの母親からの力がどれだけの影響が俺にあったのかは分からんが、それなりに強くなったんだろうか。
可愛い子犬が、こんなに熱心に勧誘してくれているのだ、これ以上つついてやるのは可哀想だ。
やることも大して決まってない身だし、まあ、いいだろ。
『分かった。俺がどれだけ助けになるか判らんがお前に協力しよう。よろしくな、子犬』
「ありがとう…おま、あなたにあえたのは、」
『それと、無理して貴方とか使わなくていいからな』
「そうか、だがこいぬ、とよぶな。ぼくはおおかみだ」
どうやら子犬呼ばわりは不満らしい。
『なら、お前はなんて名前だ?』
「……ぼくには、まだ、なはない」
『母親に付けてもらってないのか?』
「戦大狼は、いちにんまえになってから、なをもらう」
成る程、しかたない。
『なら、付けてやろうか』
「は?」
『だから、名前をつけてやろうか?』
そんな、あり得ないみたいな目で見るなよ、照れるぞ。この俺が。気持ち悪いぞ?
『不満ならお前にもつけさせてやるよ』
「はぁ?ながないのか?おまえが?」
何が不満なんだよ、こいつ。ハッキリしてくれねえと、わからんぞ。
あと、態度でけぇ。最初あんなに怯えてたのに。
「わかってないのか…」
『あん?』
「いや、もういい。おまえが、かまわないならなを、つけてくれ」
何か腑に落ちんが、まあいいか。
『なら、ポチはどうだ』
「やだ!なんだその、なさけないひびき!」
『じゃあ、コロ』
「なにそれ!」
『文句の多い奴だな…それなら…、』
それからは、小生意気になった子犬に候補を挙げ続けた。
全部、拒否られたがな!
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──…
『なら、《グランツ》ならどうだ!かっこいいだろう?』
「フン、それならいいよ。」
まー、生意気になっちゃって…。
「なをかえそう。おまえのなは《シックザール》」
『《シックザール》か、いい名前だ。ありがとう』
早いな、名前決めるの。
「だれかが、かんがえるじかんをくれなからね」
『……』
尻尾掴んでやろうか、こいつ…。
「おこるなよ!……では、ここになのせいやくのせんげんをなす、わがなは《グランツ》。かのものの、なは《シックザール》」
名の制約?なんだそれ?と聞こうとして、俺は動きを止めた。
臓器も何もない身体の何処かが、漏れだす?いや、溶け出している?どこか意識が朦朧とする。
妙な心地を味わい、子犬ことグランツに何が起きたのか尋ねようとして、ビビった。
目の前の子犬は居なくなり、かなりのでかい犬が座っていた。
グランツどこいった。
お読みいただきありがとうごさいます!
一応まだ続きます