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性悪女の道も一歩から(弓道部部長視点)

(……今日もカッコいい……)

静かに、凛と佇む姿に目も心も奪われる。

弓を射る前の、集中。ゆっくりと目を開けて、そっと弓と矢に手をかける仕草。キリリと弓を引き絞るときの、少しだけ眉間に皺がよる姿。矢が当たったときに吐く息は、艶っぽくてどきどきしてしまう。

これは私が彼のことを愛していることからの欲目もあるかもしれないが、本当に素敵な人なのだ。


素敵な人だから、彼のことを好きな子も多い。

彼の顔や声を聴いて、キャーキャー騒ぐのだ。

彼は、そういう女の子が嫌いだから、すごく迷惑なんだけどね。もうやめてほしいわ。


もちろん彼の中での私は特別だから、私は全然別よ?


中等部1年のころから、お互いを大切に思ってたんだもの。

中等部1年のとき、私は弓道部に入部したの。

弓道部に所属していた姉の真似をしたのだが、そこで生まれて初めて夢中になれる人に出会ったの。


今まで特に勉強をしなくても、学年で1位をとれていたし、運動神経も抜群、容姿もよく、周りの子には一目おかれる存在だった。

中学受験をしたが、最難関と言われるこの学校にもあっさりと受かった。


楽しく1年間を過ごしたあと、2年生に進級して、そして、行われた入学式で運命の出会いがあったのだ。

入学式総代として壇上に登ったレン君。

最初は、つまらない入学式と思っていた私が馬鹿だった。

レン君の姿を最初から見れなかったのだから。

でもレン君が話始めると、直ぐ様顔をあげたわ。

そして、目が合った瞬間分かったの。この人が私の運命の人だって。


だから、レン君が私を追って、弓道部で会ったときに、話しかけに行ったんだけど、照れてしまったレン君は、全然話してくれなかったの。でも微笑んでくれていたから、嬉しかったんだと思うわ。


それから、中等部の2年間は順調に愛を育んできた私たちだけど、私が高等部にあがったことで、殆ど会えなくなっちゃったの。


永い永い1年間を我慢して、やっとレン君が高等部にあがってきて、また前のようにラブラブな2年間を過ごそうと思っていたのに、邪魔者が現れたの。


ヒロインの邪魔をする悪者ってやつね。


その悪者は、レン君の迷惑を考えない、最低な人なの。

レン君の幼馴染みなのをいいことにワガママ言い放題のしほうだい。


しかも!レン君を脅しているのよ!!!


レン君を脅して、自分に話しかけさせたり、迎えにこさせたり、一緒に登校させたり、抱き締めさせたり、もう最低!!!


今日も、私がレン君をデートに誘っていたのに、予め脅しておいたのか、

レン君は全然OKしてくれなかったの。

可愛そうなレン君。レン君も私とデートしたいはずなのに。


そう思っていたそのとき。





何よ何よ何よ!!!!


あの女っっっ!!

レン君が、迷惑しているのが分からないのかしら!?


レン君に抱きついていいのは私だけなのに!

レンくんだって迷惑してるのに!


そのはずなのに、どうしてレン君はあの女に微笑みかけるの?

どうして抱きつかれても拒否しないの?

どうしてデートを受け入れるの?

どうして私とあの女を比べて、あの女をとるの?

どうして私のことは「部長さん」なのに、あの子のことは「京香ちゃん」なの?私だって、「美里」とか、「みい」とかよばれたいのに。

どうして?どうして?どうして?




……あの女が何かしたのね。

だって、レン君があの女を選ばされたときに、明らかにこっちを向いて、にやっと笑ったもの!!!


そして、レン君を私から連れ去るときも、嫌みったらしい笑顔で!!!



あの性悪女っっっっっ!!!!!





レン君、安心して。

あなたの美里は、あんな性悪女に負けないから!

待っててね。



絶対何か原因があるんだから、原因を突き止めて、レン君を救ってあげなくっちゃあ。

百合に相談して、レン君を取り戻すわ。


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