武器の確認をいたしましょう
さて、敵に挑む前に武器が本当に使えるかの確認と、必要でしたら手入れをしなければいけませんね。
いざというときに使えなかった、では困りますから。
さーて、武器を取りにいきましょうか。
えーと……
プルルルル……ガチャッ
「京香ちゃんっっ?どうしたの?京香ちゃんから俺に電話してくれるなんて…めちゃくちゃ嬉しい……。」
「ちょっとレンに会って話したいことがありまして。会いに行きたいんですけど、今何処にいますか?」
「っっっっっ!!会いに来てくれるの?今部室!!」
「では今からそちらに行ってもいいですか?」
「もちろん!」
さーて、では幼馴染みに会いに行きますか。
部室ということは、弓道部のある武道館ですね。
「レン」
そう呼び掛けると、レンこと日向漣は、私に飛び付いてきた。
……重い。暑い。
185㎝の長身と、弓道で鍛えあげられた身体、着痩せするタイプなのでわかりずらいですが、非常にがっしりしているため、抱き締められると小柄な部類にはいる私は苦しいです。
いつものように離すよう、伝えようとして……私はハッと気が付きました!
これが、武器の性能を試す絶好の機会だと!
性悪女というからには……な……なにを……
うーん……悩んでいる間も、私が珍しく拒否しないため、レンはスリスリ私に頬を寄せてきます。
そして、そのレンの後ろで、弓道部の部長が、私を睨んでいます。
……もしかして、いつもみたいに振りほどかないだけでも充分なのでしょうか?
試しに私もレンを抱きしめると、レンの顔はだらしなく緩み、部長さんの顔は、面白いくらいに歪みます。
「ちょっと、藤原さん、ここは部外者立入禁止なの。申し訳ないけれど、出ていってくれるかしら。」
早速私を追い出しにかかってきましたね。
まあ、部長さんはレンに夢中ですものね。
確かにレンは、弓道の腕前は全国レベルですし、顔も精悍な感じで、見慣れている私でもドキッとすることがあります。
そして何より、艶っぽい、耳の奥に残る声。この声だけでも、何十人の女の子たちを夢中にさせてきたか…。
レンも自覚しているため、普段はとても寡黙です。
これだけしゃべるのは、私の前でくらいでしょうか。
…そういえば、この部長も、私が目障りなんでしょう。
陰口は勿論、バケツの水をかけてきましたね。
それに、ノートをビリビリに破かれたのは正直テスト前でショックでした。
…使ってみましょうか。
「レン」
レンの袖をくいっと引き、レンを上目遣いで見上げる。
…あ、レンの頬が赤くなった。
レンの耳元で
「家に帰ってから話すね。一緒に帰ろ?」
というと、即座に返事が返ってきました。
部長さんの顔も、ますます歪んでいます。
さてと、ひとまず一子報いましたし、退散しますか。
自分で言っておきながら、性悪女とはどうすればよいのかよく分かっていませんでした。
ここは一旦引いて、作戦を立てて再度挑むとしましょう。