デートの準備をしましょう
「京香ちゃん、おはよ~。」
愛華さん……?
何故私の部屋に愛華さんが……?
夢でしょうか?
そういえば、何か約束が……?
ハッ!!
「……ごめんなさいっっっ!!!私寝坊してしまったんですね!?」
今日はデートの約束の日でしたっっっ!!!
えっと……今は何時でしょう?
「違うよお!私が、京香ちゃんに用事があったから、早めに来ただけえ。」
「そうだったのですか。」
待たせたわけではないと知り、ホッとしました。
昨晩、アキラと話していたら、寝るのが遅くなってしまったのが原因ですね。
性悪女になるための協力はしてくれることになったのですが、今日のデートについてくると言うのを止めるのに時間がかかってしまいました。
アキラは、作り手が分かるものを食べられないので、ケーキ屋は誘ったら悪いかと思ってたんですが……失敗でした。
もう、平気になったのでしょうか?
そんなにケーキが食べたかったかと、代わりに私がチーズケーキを作って渡す、というのでなんとか納得してもらいました。
お土産に買ってくるほうが、美味しいと思うのですが……
『嫌に決まっているだろう。馬鹿か。』
と言われてしまっては……。素人が作ったもののほうがいいなんて、変わってますねえ。
「驚かせてごめんねえ?」
「いえ、大丈夫です。それよりも、用事とは?」
「えへ~。……京香ちゃんの着せ替えだけじゃなくってえ、全身コーディネートしたいなあと思ってえ。」
「全身コーディネート……ですか?」
「うんっ!だめえ?」
「もちろん構いませんよ。」
小首を傾げてお願いされ、悩む間もなく、了承しました。
「じゃあ、準備するからあ、朝ごはんやシャワーしてきてね~。」
「分かりました。」
階下に降りていくと、お兄ちゃんが朝ごはんを作って待っていてくれました。
「おはようございます。」
「おはよう、きー。朝ごはんできてるよ。」
「ありがとうございます。」
お兄ちゃんの作ってくれたお味噌汁や卵焼きを食べますが、何故か、ジーっと見つめられています。
……どうしたのでしょう?
「お兄ちゃん、何かありましたか?」
「ああ、いや。何もないよ。それよりも、今日はお友達と出掛けるんだろう?気を付けていっておいで。」
「ありがとうございます。6時には帰ってきますね。」
「ああ。」
愛華さんを待たせていることもあって、手早く食べて、シャワーを浴びて部屋に戻ります。
「愛華さん、お待たせしました。」
「京香ちゃんお帰りい。あのねえ、今日はこれを着て欲しいんだあ。」
そう言いながら目の前に差し出されたものは、ワンピースでした。
オレンジからピンクのグラデーションになっていて、ふわふわした女の子らしい可愛らしいワンピース。
家族で出掛けたときに、お兄ちゃんや暖人に「似合う。」と言われてつい買ってしまったんですが、膝上10㎝で、短すぎる気がしてきたのと、可愛らしすぎて、気後れしてしまい、結局一度も来ていなかったものでした。
「これはちょっと恥ずかしいんですが……。」
「え~…とっても似合ってるのにい。京香ちゃんの肌の色が映えるしい、京香ちゃんの美脚が効果的に見えるしい。……これもしかして、自分で選んだものじゃないのお?」
「はい。お兄ちゃんと暖人が選んでくれたのですが……。」
「流石あ……。」
「??」
「取り敢えず、今日はこれに決定!絶対に似合うからだいじょうぶう!」
愛華さんに勧められ、そのワンピースを着た私は、続けてリュウに作ってもらったハートをモチーフにしたネックレスと腕時計をつけました。
バックは、秋らしいファーのついた小振りのものに、財布とスマホ、携帯メイクセット等のお出掛けセットを入れて持ちました。
髪は普段は一つにまとめて結んでいますが、愛華さんにふんわり巻いて、下ろしていただきました。
お化粧も、うっすらとですが、愛華さんにしていただき、自分ではしないだろうお洒落な姿にしていただきました。
変身が完了すると、時間が迫っていましたので、仕上げに、ちょっと高めのヒールがついたブーツを履き、隣のリュウの家に行くことにしました。
ピンポーン
「おはようございます。」