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シスコン兄の妨害(愛華視点)

「きーはまだ寝てる。約束の1時間も前にくるとは常識の欠片もないな。きーの友達には相応しくない。常識を身に付けてから出直してこい。」


京香ちゃんの家に着き、チャイムを鳴らすと、京香ちゃんのお兄さんが出てきて、私の顔を見るなりこんなことを言われた。

確かに、京香ちゃんとの約束は9時だったので、8時に来た私は常識はずれだろう。

だが、それは、私と京香ちゃんの邪魔をして、京香ちゃんになかなか会わせてくれないお兄さんや弟くんが悪い!

京香ちゃんのことが大好きなこの兄弟は、京香ちゃんの周りから人を排除しようとするのだ!

今日は、弟くんは部活の遠征で朝早くから出掛けているから、お兄さん一人を突破すればいいのに!

京香ちゃんの着せ替えをしたいから、わざわざ1時間前に約束をしたのに、お兄さんに邪魔をされるわけにはいかない!!

このお兄さんは、京香ちゃんが自分以外の人間と出掛けようとすると、京香ちゃんがお洒落をしないように、邪魔するのだ!

このシスコンめ!

今日はデートなので、いつも以上の妨害が予想される。

なので、今日の私は計画をたててきた。


「そんな言い方ヒドイですう。」

ホロリホロリと涙をこぼす。

女子足るもの、思い通りに涙の一粒や二粒溢せないでどうしますか。



「ハッ!泣くなようっとおしい!」



涙は女の武器とはよく言ったものです。

私が泣くと、大抵の男の子は私の言いなりになってくれましたが、流石京香ちゃんのお兄さん。

私の言いなりにはなってくれません。

ですが……、



「泣いた程度で、寝起きのきーに会わせるわけないだろうが。」


「確かにい、お兄さんは動かせませんよねえ。でもお、『お兄さんの言葉で私が泣いた』っていう事実ができるでしょお?そしたらきっと京香ちゃんは、私の味方してえ、お兄さんのこと叱ってくれますよお?」



「てめえ……」


「それにい、京香ちゃん、『親友にお兄さんが何かした』って聞いたらあ、お兄さんのこと嫌いになっちゃうかもっ!」


「…………。」


平静を装っているが、手をあとが残りそうなほど強く握りしめていることや、冷ややかな眼差し、怒気を押さえたであろう表情から、内心怒り狂っていることが分かる。

……これ以上はまずいか……。

私は京香ちゃんが大好きなので、お兄さんとトラブルを起こしたい訳ではない。

京香ちゃんに好かれている自覚も自信もあるが、お兄さんと天秤にかけられたら、負けるかもしれない。

相手は血縁関係という、切っても切れない、強力な武器をもっている。

絶対に勝てるようになるまでは、完全には敵対してしまわないようにするべきだろう。



「お兄さん。私を京香ちゃんの友達にしてくとお、安心だと思いますよお?私、絶対に京香ちゃんだけは裏切りませんから。」


「……とっとと中に入れ。」


お兄さんも、京香ちゃんには弱い。

京香ちゃんが、なかなか女の子の友達ができなくて悩んでいたことや、出来た友達に利用されたり裏切られたりしたこと、私やなっちゃんが京香ちゃんと仲良くなったときの京香ちゃんの喜びようを知っているからこそ、私やなっちゃんを完全に排除できないのだ。

まあ、親友になるまでは、京香ちゃんの周りから排除するために色々されたわけだが。

京香ちゃんを本当に大切に思っていることを分かってもらえてからは、威嚇や牽制はされるものの、本気で排除しようとはしてこない。

まあ、私やなっちゃんが女の子だから安心してるんだろう。

あのセンパイたちには、お兄さんとも幼馴染みの関係になるのに、かなり本気で妨害しているし。



「ありがとうございますう!」



さあ、予定より早く中に入れたし、寝ているらしい京香ちゃんの可愛い寝顔を堪能してから、着せ替えをし~よおっと♪

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