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邪魔なものは排除しましょう(百合視点)

「お前らがなんと言おうが、俺の大事なのは京香だけだ。京香に手を出そうとするのなら、容赦はしない。」



こわい怖い恐い!!!



リュウ様が少ししてから戻ってこられたとき、私たちはリュウ様を怒らせてしまったことやリュウ様にどう言われるのか、どう言えばリュウ様に許していただけるのか、などいろいろなことで頭がいっぱいでした。


取り敢えず、謝罪しようと、リュウ様に声をかけようとしたときに言われたのが、このお言葉でした。




でも私は、リュウ様のお言葉よりも、リュウ様ご自身に恐れを抱いてしまいました。


リュウ様の表情も声音も、感情の一切をそぎおとしたようで、あくまでも淡々と言われていました。



そんなリュウ様に、『お怒りになられたのではない』と勘違いした愚かなオトモダチが、リュウ様に余計なことを言ってしまいました。



「リュウ様っ!ごめんなさい!……でも私、リュウ様を自分のもの扱いしたあの子が許せなくって!!……リュウ様はものなんかじゃないのにっ!」



バカッッッ!!!ただでさえ怒っていらしてるのに!!!

あの子に冤罪をかけようだなんて!!!




「へえ、京香がねえ……。」


「そうなんですっ!」


「京香がそんなことを言うはずがない。万が一、そんなことがあったとしても、俺は京香のものになるのなら全然構わないしな。何の問題もない。」



「……で?京香にそんなこと言うなんて……覚悟はできてんだろうな?」






普段は、美しいリュウ様なのに、刺すような鋭い視線、氷のような声、怒りのオーラが突き刺さる。





こわい怖い恐いっっ!!!



一人一人の顔をしっかりと脳裏に焼き付けるかのように睨まれ……身体の震えが止まらなかった。






リュウ様がその場を離れられても、震えは収まらなかった。



早く、あの性悪女をリュウ様から引き離さないと!

……リュウ様は、あの女がいると、リュウ様でなくなってしまう。



(本当に……?)




中等部1年のころに出会ったから、四年間ご一緒しているのに、まだ私の顔も名前を覚えてくださっていなかった。


多分、今回のことで、初めて覚えられたのでしょう。


この学校は、成績順でクラス分けがされるから、リュウ様と同じクラスになれるよう、必死で勉強しているのに……。


(あの女は、リュウ様に名前を呼び捨てされている。)




私は笑顔なんて見たこともなかった。

いつもクールで、笑うどころか、表情を崩されることすらほとんどなかった。


(あの女には蕩けそうな笑みを見せられる。

あの女が、何かするだけで、いろいろな表情を見せられる。)




何があっても動揺されることなんてなかった。


(あの女が、上目遣いや小首を傾げるだけで動揺される。)





『みんな一緒』なら『リュウ様は特別を作らないから』って納得できたのに。我慢できたのに。

『特別』へのリュウ様の対応を見ていると、我慢なんかできなくなっていった。





(…………本当は、私の逆恨みだって分かってる。

あの子が、リュウ様をたぶらかしてるんじゃないって。

リュウ様があの子のことを好きで、リュウ様からあの子に近づいてるんだって。)




……でももう止まらない。止められない。

リュウ様とあの子を見るたびに、心が真っ黒なものでどろどろに染まっていく。

最低な言葉が口から出てくる。

醜い行動をとるようになる。





(……これ以上したら、リュウ様にもっと嫌われる。)

まだ間に合うわ。

(……あの子に謝りに行けば。)

あんな性悪女に?

(……反省しないと。)

あの性悪女が悪いのよ。リュウ様に気付いていただかなくちゃ。







心の中で二つの感情がせめぎあう。


(リュウ様に嫌われたかもしれない……)


早く……あの性悪女の本性を暴かなくっちゃあ。

リュウ様が気付いてくだされば、元通りになるわ。







もう一つの感情には蓋をして、見ないふりをした。

(だって……リュウ様に嫌われたなんて……考えたくない)


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