武器は賢く使いましょう(リュウ視点)
い…いつの間にか、お気に入りが1000件突破していました。
皆様ありがとうございます!!
「ハアッッハアッッハアッッ」
息がきれるのも構わず、廊下を走り抜ける。
京香が囲まれてるだと!?
今度はどこのどいつだ!!!
理科室前に……いたっっ!!!
「京香っっっっっ!!!!!」
チッ!遅かったか!
京香の頬が、赤くなっている。
目の前にいたのに止められなかった…。
腸が煮えくり返る。
一体京香に何の恨みがあってこんなことしやがるんだ!
というか、誰だこいつ。
見たこともねーぞ。
こいつも京香と同じように、顔を腫らしてやりたい。
……でも京香の前でやるわけにはいかない。
京香なら、俺のどんな姿を見ても、拒否はしないだろうが、責任を感じてしまうだろう。
ましてや、あいつらが目の前で傷付いたら、あいつらが京香の心の中に残ってしまう。
どんな形であろうが、俺以外が、京香に痕を残すなんてのは腹立たしい。
……先ずは、京香の頬を冷やすのが先か。
保健室に連れていかねーと。
「京香、行くぞ。」
京香を連れて、保健室に行く途中、『夏さん』とも合流した。
「夏さんっ!」
「京香!たたかれたのか!?直ぐに手当てしないと!」
「大丈夫ですよ。計画通りにできましたし。」
ん!?計画通り?
「リュウ、リュウにもう一つお願いがあるんですけど……聞いてくれます?」
ちくしょう。可愛すぎるだろう。
だが、そんな小首を傾げておねだりなんて俺以外にしてないだろうな。
してたら、その男を牽制しておかないと…京香のあんな可愛い姿を見たら絶対に、どんな男も、京香に惚れてしまうからな。
「は??立派な性悪女になるう???」
「ええっ!」
「性悪女って……無理じゃないかお前には。どっちかーつーと小悪魔?」
「小悪魔?」
「嫌、何でもない。」
「そうですか?」
「ああ。それより性悪女になるって、どうするつもりなんだ?」
「もう作戦もちゃんとあるんですよ!」
京香の話を要約すると、
①俺ら、幼馴染みたちとラブラブするところを見せつける。
②相手に、わざとやっているってことが分かるようにする。
③相手からの反撃を、俺らを使って返り討ちにする。
……ってことだな。
当然却下だな。
ラブラブする相手が俺だけじゃないところが気に入らねーし。
それに、そのやり方だと京香が傷付くかもしんねーし。
「悪いが、俺は協力しない。」
「…そうですか。」
っっ!!
しゅんとするな!
思わず、『やっぱり協力する』とか言いそうだったぜ。
「仕方がないよ。京香。」
「夏さん…。」
「幸い、日向は協力するって言っているし、幸村もお願いすればOKしてくれるかもしれない。」
「そうでしょうか……。」
「ああ、大丈夫。もし幸村が協力しないとか言い出したら、絶対OKがもらえるおねだりの仕方を教えてやる。」
「本当ですか?」
「本当。そしたら、その二人とラブラブを見せつければいいんだからさ。」
『夏さん』とやらが、京香からは見えない角度でニヤリと笑う。
こいつのほうが、性悪女とやらに向いているんではなかろうか。
何にせよ、『夏さん』がこう言うからには、俺が断ったら二人のみがラブラブする!ぜったいする!!
「やっぱり協力する。」
『夏さん』にうまく転がされたようで、面白くないが、ラブラブを見せつけるってことは、それだけ京香にくっつけるし、そばにいれるということだからいいこともある。
では、一番のお仕事として、さっきのやつらを退治してくるか。
「じゃあ、さっきのやつらをちょっと注意してくる。」
「よろしくお願いします!」
……あー、可愛い。
ずっとそばにいたいが……仕方がないよな。
いってこようか。
京香から離れると、少しずつ思考が落ち着いてくる。
京香が絡むと、自分がバカになっているのは自覚している。
あいつらが、それが気に入らないんだろうことも分かっているが……。
だが、俺は京香から離れる気なんかこれっぽっちもない。
「リュウにさわらないでくださいっ!!!」
「きょうか、もういいからはなれろっ!にげろっ!」
「やです!リュウもいっしょじゃないとやです!!!」
「きょうか……。っっくるな!くるなよっっっ!!!」
「やめてくださいっっっ!!!」
…………あのとき、京香だけは俺を見捨てず、俺を離さなかった。
あのときから、俺は京香だけのものだ。
邪魔するやつは…………つぶしてしまわないとなあ…?