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性悪女流デートの誘い方(リュウ視点)

「リュウにさわらないでくださいっ!!!」

「きょうか、もういいからはなれろっ!にげろっ!」

「やです!リュウもいっしょじゃないとやです!!!」

「きょうか……。っっくるな!くるなよっっっ!!!」

「やめてくださいっっっ!!!」







「リュウ。今度の日曜日に、私とデートしませんか?」



少しうとうとしていたようだが、京香の声で目が覚める 。

教室か……。

京香がここまで来るとは珍しいな……。


先ほどまでのは夢だったか……と安堵するも、本当に夢だったのか気になり、京香が抱きついてきたのをいいことに、腕のなかに引き寄せる。


居心地が悪いのか、もぞもぞと動く京香に悟られないように、さりげなく、肩、背中、腰、脚と触っていくが、怪我はないようである。



確認を終え、京香を引き寄せ、胸板に寄りかからせる。

京香も、安心したようにすりよってくる。



…うん。京香が4歳のときから仕込んでおいてよかった。

途中で恥ずかしがった時期もあったが、俺の『みんな敢えて外では言わないだけで、幼馴染みなら普通のことだ。』って言い訳を素直に信じて、続けてこれた。

……『幼馴染み』には、あいつらも当てはまるからな。

用心しとかねーと便乗されちまう。



「お願いできませんか?」



……。

教室でその顔は禁止だ。

可愛すぎる。

ここが家だったら……。

嫌、ダメだダメだ。

京香は純粋すぎる。

下手に手え出したら嫌われちまう。



普段は冷静なはずの俺の頭は、京香の上目遣い一つで、正常に働かなくなっちまう。


なんとか絞り出すように、了承の返事を出す。


嬉しそうに礼を言った京香に、また頭の中が働かなくなりそうだったが、京香から爆弾が落とされ、一気に正常に戻る。



くそっ。カップル限定と聞いて安心していたが、レンの野郎と『愛華さん』とやらも一緒かよ!


レンの野郎だけでも厄介なのに、『愛華さん』も一緒となると……。

京香の視線も、京香の微笑みも、京香と『半分こ』も全部とられちまうじゃねーか!!!



二人で行こうぜと誘ってみたが、あっさりと断られた。

チッ!仕方ねー。

デートできるだけでよしとするか……。


『愛華さん』と『夏さん』は、京香の親友だ。

今まで俺らのせいで、女友達がいなかった京香は、初めて出来た親友がよほど嬉しいのか、二人の話ばかりで、妬けるくらいだ。

……二人の話をする京香が可愛すぎる。


まあ、二人とも、今までの京香を利用しようとする女共と違って、本気で京香を大切にしているからよしとしよう。




…………二人の悪口を言って、本気で京香を怒らせて、半年口をきいてもらえなかったアキラみたいにはなりたくないからな。

あいつ、本気で死にそうになっていたからな。

まあ、いい気味だったが。

だが…俺は絶対に嫌だ。






そんなことを考えながら、京香を送り出した俺は、再び顔を俯ける。

そうでもしないと、周りの奴等が、あーだこーだうるせーからな。




少しうとうとしかけたとき、今度はスマホの着信音で目が覚める。

眠かったが、京香かもしれないと、スマホを操作すると、表れたのは、知らない名前だった。

京香でないことに、イライラしながら、目を閉じようとすると、京香の声が思い出された。




『リュウ!こちらは夏さんです!私の親友なんですっ!』



そうか…夏さんとやらの名前だった。


気になり、一応用件を聴こうと、着信に応える。




「はい。」

『職員棟から、京香が女共に囲まれているのが見えた。すぐに向かうが、理科室前だったので、ここから少し遠い。近くにいたらすぐ…』



最後まで聴かずに教室を飛び出す。

京香っっっっっ!!!!!

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