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「母さん、行って来ます。」
「寄り道しないで帰っておいでよ?」との声を聞き、肯きながら家を出て行く。
毎月12日それまで1ヶ月間の間の10歳の誕生日の者に送られる小型転送システム。
事実上送っている訳ではなくデータを分解し読み取り、必要とされる場所で再構築しているだけだ。物質自体は己の手で運ぶか?必要先で準備する必要がある未完の技術であった。
地球は一度ものすごく荒れた。
いや、そういう事を地球は繰り返してきた。
温暖化はいっそう激しくなり、砂漠化。灼熱の域とも感じる熱気に包まれる。
地上では住めなくなり、地下へ、上空へ、海中に人は逃れていく。
すでに発達していた科学技術を駆使して逃れさらに開発しながら時を待つ。
解析技術で余すことなく必要な資源を得、それぞれ旅立った者とお互いに必要な情報を交換し、作り上げた製品をデータ変換し転送、こうして生き残ってきた。
地軸がずれ、氷河期が起き、地上に再び人が現れるまで幾星霜の時がかかったか?
その時には転送システムは小型化され、記録されたデータはどこにでもある物を使い、エネルギーの変動や改変で今では魔法の様な事も一部であるができるようになった。
そのシステムは効率が良くなったとはいえ、体温からエネルギーを得ていた。必要とあらば少し無理をして奪うまでできる。
10歳より前では体力的に不安であるが、これからは成長期も含めなれておく必要もあると判断され、10歳からとされ毎月配布された。
半日寝ているだけで良かった筈だった。
ナノマシンなどを体内に入れ、必要なプログラムを脳内に書き込み、制御システムを腕につける。カプセルの中で完了を待つはずだった。
ビー
ビー
ビー
正体不明のエネルギーを感知しました。
そうして、黒い物が1人の少年を包み込む。
地球上の誰にも邪魔されないはずだった場所でその少年は行方不明となった。