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鍵師のおしごと  作者: ちさここはる
EP3:王族直属、自称弟子への金庫依頼編
24/25

第24話 エルフ族の金庫⑥ 次の金庫へ

「僕が落ちてる合間に勝手に閉めて、あろうことか成仏までさせたんですか。へぇーソウデスカァ」

 


 意識を取り戻したタイラーに事情を話せば。そりゃあ、こうなるよな。

 


「悪かったよ。父さんも配慮にか――」


「見たかったよぉうぅうう! 父の! 父の! うでまえがぁああ!」

 


 大泣きする点に「そこで泣くのか、お前って子は」とオレも苦笑を浮かべてしまった。


 それよりも一番、泣きたいのは依頼者である彼女だろう。長い間、隠して一緒に在った幽霊の存在が、なくなってしまったんだからな。

 


「呼ぶんじゃ、なかった。依頼なんか、するんじゃ、……ぅうう」

 


 掠れた声が後悔を吐く。

 


「馬鹿言いなさんな。魂から自由を奪うなんてどうかしていますよ」


「そうじゃないわよ! 見なさいよっ、部屋の惨状を!」



 ラドルが腰かけていた蛹から立ち上がって、オレに部屋の状況を腕を回して、知らしめる。


 今度は、オレが声を詰まらせてしまう。どう、したものかなぁ、が他力本願に頭の中で言語化して浮かぶ。


 こういうときに限って、何も思いつかないもんだな。


 困っているオレに、ブブルブが呆れた口調で聞いて来た。

 

 

「とりあえず。即興の呪縛魔法で外に這い出てしまった蟲たちを隔離はしておいたが。どうしたらいいのだ? あの神に帰すことは可能か?」

 


 殺生をせずに呪縛したというブブルブに感銘した。

 


「恐らくは、引き取ってもらえると思うので伝えておきますね」

 

「うむ。ショータ鍵師、頼んだぞ」

 

 

 蟲の件で話しているオレたちに息子が割って入って来た。


 

「王様ぁ、次の金庫に早く行きましょうや」



 ため口は止めなさい。相手は、エルフの森の王なんだから。

 


「そうだな」

 

「ちょっと! ブブルブ王ッ、アタシの家はどうなるんですか!」

 

「自身の胸に手を当てて考えろ。金銭援助はしてやるが、先に罪を償うのだ」

 


 ブブルブの言葉にラドルの顔面蒼白して蛹の上に腰が戻った。辺りを見渡せばやはり酷い有様で、口端を吊り上げて失笑を零す。

 


「人生長いですからね、罪を受け入れるよ」

 


 ラドルの瞳がオレに笑みを浮かべた。


 もう、この家や金庫に用はない。先に進もう。

 


 ◆

 


「次の金庫で決めるとか言ってましたが、何をですか?」

 


 次の依頼者の家にも移動魔法を使用した。


 エルフの森の最果て。隅っこの湖畔に着いたが。こりゃあまた、歩いていたら結構、日数がかかっていたぞ。


 おいおい、エッカ。頼むよ、勘弁してくれ。


 

「ああ。王族直属の鍵師の資格の在り方だ」

 

「え!」

 

「あの一件で首の皮一枚である貴様の頭が飛んでなくなるか、実力を証明させ納得した上で継続をするかを決めようぞ」

 


 ブブルブの言葉にエッカの表情が冴えないものに変わっていく。しかし、すぐに「心配ありませんよ」とドヤ顔をする。


 

「わたしは王族直属の鍵師であることを証明しますよ!」


 

 ふんむ、と豊満な胸を揺らしてふんぞり返った。おいおい、大丈夫なのか。


 これがフラグなんかにならなきゃいいけどな。嫌な予感しかないんですけどね。

 


「それで、次の金庫はどんなものなんでしょう」

 

「うむ。つい最近、金庫の捕縛には成功したらしいが」

 

「……捕縛?」

 


 捕縛されるような金庫? とオレの頭が状況不明な情報に首を傾げてしまう。一体、どういうことなんだ。

 


「つまり、今回の金庫は移動型ってことなんですが?」

 


 タイラーがブブルブに尋ねれば「そういうことだ」と告げられる。

 


「移動型だろうと、どうであろうと! 金庫に変わりはありません! 王族直属の鍵師として、わたしは開けて見せますよ!」

 


 またしても大口を叩いてエッカがドヤ顔をする。


 もうこれは――フラグってやつじゃないのか。


 どうなんだろうな。

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