第1話 道民、神様の試し召喚で異世界転移に遭う。
窪谷ショータ。三十五歳。職業は、どマイナーな鍵師ね。
名前。珍しいでしょ? どう。マスター。
オレはクソ女神カッ◯ヌードルって名前の女神で、容姿が妖怪バックベアードみたいなのに十四歳のとき、この異世界に拉致られてここに来たんだよ。
ははは。妖怪バックベアード、がなんだって? そうか。ここの世界には妖怪自体、いないのか。
マスター。オレは北海道の旭川って都市に住んでいた、いたってどこにでもいるような普通の子どもだったんだよ。
オレは元旦って言われる一年の初日、高校受験のお参りに神様へお参りに行ったんだ。するとだよ、まさかだ。辺り一面が真っ白になって視界が奪われる、ホワイトアウトって現象に襲われたんだ。
気がついたら、オレの目の前は真っ白な空間。そんでもって目の前に妖怪バックベアードがいた。真っ黒な球体の中央には、赤オレンジ色の一眼球があって、球体の全体から真っ黒で薄い靄みたいのが溢れ出ていた。
「異世界転移、召喚はこれほどまでに簡単だったか」
まず。開口一番に、この台詞はないと思いませんか。オレの前に立つなり、クソ女神は褐色肌で銀の長髪を団子に首元にまとめて、黒いリクルートスーツを羽織った女の容姿に変わった。赤オレンジ色した、吊り上がった眼球がオレを見るんだ。
表情からすぐにわかったよ。オレの反応を面白がっていたんだよ。女になったバックベアードみたいだったクソ女神がいう。
「仕方ないな。お前に【言語変更転換能力】とマイナーだが有能な【開閉能力】と、さらに【女神の祝福】をくれてやろう。許してくれるな」
もらえた能力にオレも渋々と許した。その能力のおかげで、オレは来てしまった異世界で生き延びることが出来た。
クソ女神はマジもんの神さまだったんだなって、今更ながらに思うよ。
さて。話を続けようか。二十五歳の冬。独身貴族を満喫していたオレは深夜、偶然通りかかったゴミ捨て場に二人の捨て子を拾ったのさ。
獣人のハーフで長男タイラー。そして、妖精のハーフで長女メアリー・アン。
オレは世帯主になった。紆余曲折と育児を十三年間がんばったら、二人は成人になって、あっという間に独立だよ。オレはまた一人になってね、こうして酒を飲んでんだよ。マスター。
ぽっかり空いた一人の時間で、オレは考えるんだ。
正直な話さ。オレは旭川に帰りたい。でも、三十路も過ぎた。怖いよ。もしも。奇跡が起きて十四歳に戻って旭川に帰っても。多分、オレは十四歳だった頃には戻れないだろうな。
まぁ、いいか。じゃあ、マスター。ご馳走様。




