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温泉戦隊バスバスター ☆ センターは草津グリーン  作者: nandemoE


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ぐるぐる回る夜


 アマゾナイトノベルズ様より2026年2月3日配信開始!

 『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』 第2巻!


 悪役令嬢が現代日本に逆転移!?

 戸籍も、頼りも、お金も、住処すらない絶望的な状況。

 しかも「人を一生愛せない呪い」まで掛けられていて……。


 男性にも女性にも読んでほしい作品です。

 ぜひぜひ応援よろしくお願いいたします!



 チャメコの家に泊まることになった夜、彼女の息子の部屋で寝ることになったセオンとアルカは床に布団を並べ、部屋の明かりを消したところで静かに語り出した。


「本当に元気な人だったねぇ。チャメコさん」


 少し笑い混じりにセオンが切り出した。


「そうだな……もしかしたら、それで色々と寂しい思いを紛らわしているのかもしれねーがな」


 母の知人であることもあってか、アルカの声や言葉はいくらか気遣いを含んだように慎重だった。


「なんだか、どこへ行っても辛い思いをしてる人しかいない気がしてくるよね……戦争中だからって言ってしまえばどうしようもないんだけど」


「にしても、さすがに話が長すぎて俺ぁもう限界だと思ったぜ……ようやく解放されたって感じだな」


「あはは……それは僕もちょっと思っちゃった……」


「すげぇいい人なのはわかるし、泊めてくれたのはありがたいんだが……なぁ?」


「ちょっと失礼だけど、オバチャンおそるべし、だったね」


 淡く月明かりが差し込む部屋で二人は軽く笑い合った。そしてその笑いが乾いたように消えたあと、二人の間に少しの沈黙が訪れた。


「アルカ……僕たちがトツィギ軍と協力関係にあること、チャメコさんには言わなかったね」


「あんな話を聞いたら言えるわけねーだろ……だってトツィギ軍は原律石を使ってグンマーと戦おうとしてるんだぜ?」


「そうだよね……ただ、バスバスターがグンマーにそろっている以上、そうでもしないと対抗できないトツィギ軍の事情もわかるし……」


「原律石。謎の多い石だぜ……」


 アルカは少し唸った。


「人が使い方さえ間違えなければ、魔物から人を守ってくれるものだって言ってたよね」


「それはイガッセのおっさんも言ってたな……魔物を退ける力があるって」


「となると、それはそれで間違いじゃない使い方なんだろうね」


「なんだセオン? なんかほかにも言いたいことがありそうな言い方じゃねーか」


「うん……アルカは覚えてるかわからないけど、僕たちがイガッセさんと初めて会ったとき、イガッセさんたちは原律石が兵器になるって言ってたんだ」


「ん~、そういえばそんなこともあったような」


「でも次にトツィギの関所であったとき、彼はそれを魔物を退ける力と言った……僕にはそれが、僕たちに何かを隠しているように聞こえたんだ」


「あ~……たしかに。俺もあの場では深く聞かなかったが、なんかごまかしているような雰囲気はあったよな……でも普通に考えて、あのときの俺たちは会ったばかりの関係だろ? なんでもかんでもペラペラしゃべるほうがどうかしてるぜ?」


「それはまぁ、そうなんだけど……でも、さっきチャメコさんは言ってたよね? 魔物を退ける力じゃなくて、魔物を操る力だって」


「そうだっけか?」


 アルカは間の抜けた声を発した。セオンは気にせずに続ける。


「そうだよ。昼間、僕たちが立ち寄った研究施設がもぬけの殻ってことも知ってたし、もしかしたら昔は関係者だったのかもね、チャメコさん」


「マジかよ」


「そして原律石は魔物を完全に制御できるものではないとも言っていたけど、その話が本当なら、少なくとも十年前の時点で敵である当時の登別ブルーにけしかけることくらいはできてたってことになるよね」


「……言われてみりゃあ、そうだな」


「今はそれから十年も経ってる……イガッセさんはごまかしてたけど、兵器になるとも言っていた……それってつまり、本当はトツィギでは原律石をある程度使える目処が立ってるってことなんじゃないかな……?」


「可能性は十分にあるな……もし本当ならグンマー優勢の戦況に影響を与える規模かもしれないぜ……? だがよぅ。実は俺、まだピンときてないんだよな、その魔物を操るっていう力。だって原律石っつっても言わばただの石コロだろ? それ自身に原始力が宿ってるわけでもねーし、いったいどうやって魔物を操るってんだか俺にはサッパリわからねーよ」


「それに関してなんだけどさ……アルカ、もしよかったら、明日、この町を守ってるっていう原律石を見に行ってみない?」


「それは構わないが……それはどうしてなんだ?」


「もしかしたら僕はその原律石から石の声を聞けるかもしれないって思って……」


「なるほど、その線はありだな……」


「最近になって石の声っていったいなんなんだろうって疑問も浮かんできたことだしさ……僕、ちょっと怖くなったんだよ」


「もしかして、魔物を操っている力ってのが、その石の声なんじゃねーかってことか?」


 セオンは無言で頷くが、暗闇の部屋に寝転んでいる状況では、それはただの沈黙の間にしかならなかった。


「根拠はないんだけど……僕はちゃんとそれを知っておいたほうがいいと思ったんだ……僕だけがなんで石の声を聞けるのかってことを含めて」


「冗談はやめろよセオン! まさか自分が魔物の類かもしれねーとか言うつもりじゃねーだろうな! 認めねぇ! 俺はそんなのゼッテー認めねーぞ!」


 アルカの声に怒気が混ざった。


「じゃあなんでセオンは草津グリーンになれたんだよ! 魔物だってんなら、セオンがヒーローのスーツに選ばれるわけなんかねーだろ!」


「……魔物はヒーローにはなれないの?」


 セオンの淡々とした声にアルカは言葉を飲んだ。


「な、なに言ってんだよ。そんなの当たり前じゃねーか」


 アルカは少し返答に困ったようで声が少し揺れていた。


「でも、それを試した魔物がいるなんて話も聞いたことないでしょ?」


「そ、そりゃ……それも当たり前の話だ!」


 困惑して声がうわずるアルカを責めぬようにとセオンの言葉は自問として内側に向いていく。


「そもそも魔物ってなんなんだろう……? 人間でもヘルズスパでもない謎の生命体……そんな存在が本当に崩壊前の地球にもいたんだろうか……?」


「や、やめろよセオン。そんなこと考えたって俺たちにわかるわけねーだろ? ……当たり前のこと、それでいいじゃねーか」


「それでも僕は気になるんだよ。そう言って深く考えもせずにいたら、わからないことはいつまで経ってもわからないままじゃないか。そんなんじゃ人類に進歩はないでしょ?」


「だがよ、セオンだってその進歩で至る未来の結果を知ってるだろ?」


「崩壊前、科学に頼りきるようになった世代が迎えたヒーロー敗北のこと?」


「そうだ。だからこそグンマーは科学に頼らない原始力による生活をしてんじゃねーか。おおかた魔物だって奢りきった人間に与えられた罰の一つなんじゃねーのか? これはきっとワイルドに生きろって神様のおぼしめしなんだよ」


「神様……そういえば、グンマーの最高指導者イザナがそんな言われ方をしてたっけ……」


「やめろよ! あんな奴は神でも人間でもねぇ!」


「でもさっきアルカはグンマーの生活こそが正しいみたいに言ったじゃないか……イザナはそのグンマーの最高指導者なんだよ?」


 アルカは一瞬、言葉に詰まった。


「それは……単に俺がグリンシーでの生活が気に入ってたからであってだな……」


「でも僕たちはそのグンマーと敵対し、科学を進めようとするトツィギに来たんだよ?」


 暗闇の中にガバっとアルカが身体を起こす音が響いた。


「そんなことはどうでもいいじゃねーか! 魔物やヘルズスパが悪ぃ奴らだ! 余計なことは考えなくてもいいんだ!」


 少しの間が訪れたあと、トーンダウンしたアルカが口を開く。


「わりぃセオン、怒鳴るつもりはなかったんだ……。俺はただ、セオンが魔物やイザナみたいな奴と一緒にされるのが嫌なだけでよ……セオンは、悪くねー……」


 暗闇の中にアルカが再び寝転ぶ乾いた音が響く。


「うん、わかってるよアルカ。アルカはいつだって僕を心配してくれるからね」


「とにかく。俺が言いたいのはセオンはいい奴だってことだ。魔物やイザナが正義の味方になれるわけなんかねーだろ? セオンとは違うんだ」


「うん……ありがとうアルカ。ちょっと意味不明な理論だったけど、アルカらしく僕を一生懸命に守ってくれようとした気持ち、伝わったよ。……おかげで少し気が楽になった」


「て、照れるけどな……たとえ世界中がお前の敵に回っても、俺だけは……いやたぶんナトリやハル姉もそうだろうけど、俺たちだけは最後までお前の味方だぜ」


「ありがとうアルカ」


 セオンは暗闇のなかで暗い天井を見上げたまま誰に見られるでもなく笑った。


 だがそんな笑顔もまたすぐに疑問に上書きされるように曇る。


「あれ……? でもさ……悪い人が正義の味方になれないって理論で考えていくと……登別ブルーに選ばれたサウナって、なんかおかしくないかな?」


「……まだこんな話を続けんのかよ?」


「ごめんアルカ。でも僕、気になっちゃって……だって僕たちが会ったサウナや、トツィギで聞いた話から考えても、彼女は非道な人物じゃないか……」


「戦闘スーツにも気の迷いとか間違いってのがあるんじゃねーの?」


「だとしてもだよ。……もしかして戦闘スーツに選ばれるのに個人の立ち位置は関係ないのかなぁ? そもそも正義ってなんなんだろう? 正義の味方って、いったい誰の味方のことなんだろう……? なんだか頭の中がグルグルしちゃうなぁ……」


「やめやめ! いい加減にもうやめようぜ、こんな話。いいモンはいいモン、ワルモンはワルモン。セオンはいいモン。俺たちに敵対する奴らがワルモン、もちろんイザナやサウナもワルモン! それでいいじゃねーか」


「そういう完全超悪に勧善懲悪な話じゃないからグルグルしちゃうんだけどなぁ……」


「ったく……セオンと話してると俺まで頭がこんがらがってくるぜ……わぁかったよ! じゃあ明日は好きなだけ原律石を調べたらいいだろ!? ただし、それで気が済んだらもう自分が魔物だとか変なことは言わねーでくれよな?」


「うん、わかったよアルカ……いつもありがとね」


「おう! わかったらそろそろ寝るぜ」


「うん、おやすみ」


 セオンは会話を終えても真っ暗な部屋のなかで暗い天井をしばらく見つめていた。


 するとフッと窓の外から差し込む月明かりが消えるように、いっそう室内が暗くなった。


「あれ……? なんだろ? 今、急に外の光が暗くならなかった……?」


 セオンが身体を起こして窓の外を見ていると、呆れたようにアルカも身体を起こして窓の外を見る。


「ん~……あれじゃね? 町の中心にある原律石の塔の光が消えたんだろ」


「あ! 本当だ」


 セオンが布団からモソモソと這い出て窓の外を見ると、町の中央にあった原律石の塔から放たれていた光はなくなっており、人々の生活の光もまばらになったニツコゥの夜の空は穏やかで静かな闇に包まれていた。


「魔除けの光なのに、消えてても大丈夫なのかな……」


「あのなぁ……夜だから消灯でもしたんだろ? ったくセオンは本当になんでも気にする奴だよなぁ」


「ゴメンよ~?」


「ほれ、そんなの気にしなくていいから、いい加減に寝ろ」


 アルカに諭されるように促され、セオンは煮え切らない表情のままその日は眠りに就いた。



 お読みいただきありがとうございます。


 『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』 第2巻!

 2026年2月3日 アマゾナイトノベルズさま より電子書籍化!


 悪役令嬢が現代日本に逆転移!?

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 男性にも女性にも読んでほしい作品です。


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 配信日:2026年1月6日
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