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温泉戦隊バスバスター ☆ センターは草津グリーン  作者: nandemoE


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戦闘! 下呂イエロー!


 アマゾナイトノベルズ様より2026年1月6日配信開始!

 『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』


 悪役令嬢が現代日本に逆転移!?

 戸籍も、頼りも、お金も、住処すらない絶望的な状況。

 しかも「人を一生愛せない呪い」まで掛けられていて……。


 男性にも女性にも読んでほしい作品です。

 ぜひぜひ応援よろしくお願いいたします!



 セオンたち三人と下呂イエローの戦闘が始まった。


 取り囲んだトツィギ兵たちを軽々と吹き飛ばした規格外の強さを見て迂闊には飛び掛かれない三人は一カ所にまとまらず、下呂イエローを取り囲むように散る。


「やああああっ!」


「うおりゃあっ!」


 そこからセオンとアルカが槍で距離を保ちつつ二方向から攻撃を加え、イオウの体勢を崩しにかかる。そしてその隙を後方から見逃さず構えていたのはナトリである。


「原始の息吹、万象を抱く淵源となりてすべてを焼き貫く神威となれ! ワイルド・ファイア!」


 原創術の炎弾が一直線にイオウに向かって放たれる。イオウはその直撃を受けながらもダメージはないとばかりに軽く笑った。


「ヒャハハ……キミたち、なかなかいいチーム攻撃するじゃん!」


「まだまだぁっ!」


 息つく暇も与えずに追撃で繰り出されるアルカの連続突き。その切っ先はわずかに原創術の炎をまとっていた。


「へぇ……? アルカ君それ、もしかしてさっきのおっさんが使ってた技じゃん? 原魔剣って言ったっけ? 原創術と剣技を合わせちゃったやつ!」


「俺のは槍だから、さしずめ原魔槍ってとこだな!」


「すごいアルカ! 初めて見た技なのに、もう見よう見まねで!」


 セオンも一緒になって攻撃を繰り出しながらアルカの技に感心する。


「えぇ~? でも、先っちょに消えそうな炎しかついてないよ? 意味あるの? それ」


 イオウは余裕の態度で攻撃をかわしながら笑う。


「うるせぇ! すぐにマスターしてやるよっ! オラオラオラァーッ!」


「熱いねぇー! オレっち、そういう熱いノリ、嫌いじゃないぜ?」


「ウソついてんじゃねー! さっき熱いノリは苦手とか言ってたじゃねーか!」


「あれ? そうだっけ? 忘れちゃった! ヒャハハハ!」


 軽口を叩いているイオウであったが、セオンたちの単調な攻撃に飽きたとばかりにあくびをすると、攻撃予告であるかのようにゲロガンハンマーを持つ手に力を込めた。


「危ないアルカっ! 一度引いてっ!」


「おうっ!」


 ハンマーを振り回す攻撃を警戒してセオンたちは飛びのき、また三人でイオウを取り囲む。だがイオウはそんな三人の行動を鼻で笑って再び力を抜いた。


「でもさァ……キミたち、実力差に合わせた戦い方がまるでわかってないよねェ……それじゃあオレっち、いまひとつ楽しくないじゃん?」


 しかし下呂イエローとなったイオウは好きに囲ませたとばかりに武器の柄を肩に掛けて余裕の姿勢だった。


「うるせぇ! 舐めた口は俺たちの連携攻撃を破ってから言いやがれ!」


 アルカがイオウの背後から槍を構えて言う。


「だぁから! それがわかってないんだってば!」


 イオウは首だけを背後に向けて答える。前方で構えるセオンからは目を離しても大丈夫だと言わんばかりに。


「言わなくちゃわからない? バスバスター相手に一般人の攻撃が通用するわけないじゃん? 逆にオレっちの攻撃は軽ーくつついたってアルカ君とナトリちゃんには致命傷なんだよ? これってさ、三対一で有利なんじゃなくて、逆にセオン君が弱点を抱えて戦ってるってことになるの!」


「んなわけあるかよっ!」


「ま、キミたちがそう思うならオレっちは構わないけどさ……じゃあなんで唯一オレっちに対抗できそうなセオン君はキミより積極的に攻撃してこないわけ?」


「へっ! セオンは俺たちの切り札だぜ。俺とナトリで隙を作って、強力な一撃をくれてやるのさ!」


「ヒャハハ! すでに表にしちゃったカードを切り札と言っちゃうのがまた素人感あってイイネ!」


「うるせぇ!」


 アルカはイオウの言葉を遮るように槍を振り払った。それでもまったく気にした様子もなくイオウは続ける。


「じゃあ一つ頭の悪いアルカ君に教えてあげよっか。セオンが積極的に攻めてこれないのはね、オレっちの攻撃を防げるのがセオン君だけだからだよ。わかる? よーするにアルカ君は足手まとい、な・の」


「な、なんだと……!?」


 アルカの足は引きずるように一歩うしろに下がる。


「だからさァ……キミたちの正攻法はこう! まずは三人で固まってオレっちに飛び掛かる! 次にアルカ君が粉々に粉砕される! その次にナトリちゃんが優しく粉砕される! そして大振りのハンマーを振り回したオレっちに生まれた隙を突いてセオン君が仕留める……! これっきゃないっしょ!」


「ふ、ふざけんなっ!」


 アルカが地を踏みならすように叫んだ。


「えぇ!? もしかしてアルカ君、仲間のために命をかけられないって言うのかいっ!? それでもヒーローの仲間なのかいっ!?」


 だがイオウは余裕にも、わざとらしく両手を上げて驚くようなポーズをとり、ついでに持っていたハンマーを適当に放り捨てた。


「ああっ! しまった! オレっち驚いて武器を投げ捨てちゃったよ! ももももしかして、オレっち大ピーンチ?」


 チラリとふざけた視線をアルカに向けるイオウ。


「テ、テメェ……舐めくさりやがって……」


 散々煽られたアルカのこめかみにもとうとう青筋が浮かび上がった。


「待ってアルカ! 挑発に乗っちゃダメ! アタシたちが連携を乱したら相手の思うツボでしょ!」


 今にも単独で飛び掛かろうとしていたアルカはナトリに一喝されて思い留まった。


「あ、あれェ~? 武器を投げ捨ててまで煽ったのにナトリちゃんのひとことで無駄になっちゃった……キミたち、なかなかいいチームじゃん! ……脳筋アルカ君以外は」


 そう言ってチラリと舌を出すイオウ。


「テメェ!」


「アルカってば!」


 またしても勝手に飛び掛かろうとしたアルカをナトリが制止する。


「ふざけるのもいい加減にしろぉ!」


 そこへセオンが割り込むように槍を突き出すが、イオウはそれを大きく飛んでかわしながら三人から距離をとった。


「おっとっと……! さすがにオレっちもセオン君の攻撃だけは気をつけないとねェ……バスバスター同士、まともに食らったら普通にキツそうだし」


 そこでまた舌を出す。


「逆に言えばほかの二人、特にアルカ君は存在価値がないんだけど、ね?」


「この野郎! もう勘弁ならねぇ!」


「待ってアルカ!」


 アルカがまた突っ込みそうになるのを今度はセオンが止めた。


「邪魔すんなよセオン! 本当に俺の攻撃が通用しねぇのか試してやるぜ……!」


「言わせておけばいいんだよ! こっちは別に挑発に乗る必要はないんだ!」


「じゃあどうしろって言うんだよ!」


「僕に考えがある」


「考えだって?」


 眉をひそめるアルカを軽くなだめたあと、セオンはその手に草津グリーンの専用武器、湯もみ槍セントスピアを取り出してアルカに渡した。


「ナトリにはこっちだよ」


「アタシにも?」


 今度は腰のホルスターから小型銃シャワーガンを取り出してナトリに渡す。


「アルカとナトリに渡したのはバスバスターの武器だ。これならいくらキミがバスバスターでも僕たちの攻撃は通用するんじゃないかな……?」


 そう言って拳を構えたセオンに少し苛立った顔を見せながらイオウは言う。


「あ~らら。せっかくの武器を人に渡しちゃってさァ。それじゃあセオン君はいったいどうやって戦うつもりなんだい?」


「僕自身の武器は言ってみればこの戦闘スーツさ。同じバスバスター同士、思いきり殴られればキミだって少しくらいは痛いだろ?」


「ふ~ん……そんなに思いどおりにいくかなァ……?」


「いくさ! 僕たちのコンビネーションならね!」


 言うが早いか、セオンが拳を握って飛び掛かった。


「だけどセオン君、格闘技は素人だろう? そんなんでオレっちと戦えるのかな?」


「やってやる!」


 それからセオンとイオウは何合か拳の応酬をした。そして意外にもキレのあるセオンの動きにイオウは瞳孔を開くように驚く。


「くっ……意外とやるねセオン君。キミ、格闘技とかやってたタイプ?」


 顔を歪めるイオウを休ませることなく拳を突きつけ続けるセオン。


「違うよ。でも、これはきっと戦闘スーツに残された戦士の記憶だろうね。身体が勝手に動き出すんだ! 100万倍のハイテンションさ!」


「オレっち、意味わかんないんだけど!?」


「自然と身体の動かし方がわかるんだ。僕はそれに耳を傾けているにすぎない」


 セオンから繰り出されるパンチやキックは歴戦の戦士のごとく鋭く、イオウをどんどん押し込んでいく。


「戦士の記憶だって? なにを言ってるんだいキミは? そんなものあるわけないじゃないか!」


「キミには聞こえないのか! この激しい風のような囁きが!」


「冗談! そんなに簡単に強くなれたら最初から苦労なんかしないっしょ!」


 だが言葉とは裏腹にイオウはどんどんセオンの攻撃に押され、後退していく。


「ぐっ! ……だけど、これはちょっとそうでもないと説明がつかないぞ……? つ、強い!」


「やああああっ!」


 そこへセオンの渾身の右ストレートが向かい、イオウはたまらず腕を組んでガードをしたが、その衝撃をもって大きく後方へと吹き飛んだ。


「ちぃぃ……ふざけてんなァ……! オレっちのときにはそんなに都合のいい戦闘アシストシステムなんかなかったってのに……」


「じゃあ、キミはまだ本当の意味でその戦闘スーツに選ばれていないんじゃないのかい?」


「なんだと!?」


 セオンの言葉にそれまでひょうひょうとしていたイオウの顔が曇った。


「ちょっと調子がいいからって、そりゃあいい気になりすぎってもんでしょ……オレっちが手加減してやってりゃ好き勝手に言いやがって……どうやら上下関係をハッキリ教えてやんなきゃならないみたいだねェ……」


 そう言ってイオウは真剣な表情で拳を握って構えた。


「気をつけろセオン! そいつ、本気で攻めてくるぞ!」


「わかってる! でもたぶん僕のほうが強いよ!」


 イオウの敵意を自身に向けるため、セオンが煽るように言った直後だった。


「ほざけっ!」


 突如、地を蹴ったイオウがものすごいスピードでセオンに向かった。


「は、速っ……!」


 そのあまりのスピードにセオンは対応しきれず、防御が間に合わない状態となっていた。


「とりま、一撃KOな?」


 そしてセオンの懐に潜り込んだイオウが全力で握りしめた拳を振り抜こうとしたときだった。


「シャワーガン!」


 ぶつかり合おうとする二人の真横から突然放たれた銃撃によって、イオウの視線が一瞬だけそれる。その先にいたのは両手で銃を握ったナトリであり、震える身体を必死に抑えつけながらも引き金を引ききった様子だった。


「チィッ!」


 ナトリの銃撃をかわすために無理に身体をひねるイオウ。そこへ。


「チャンス!」


 今度はセオンが渾身の力を込めた拳を振りかぶっていた。


 が、しかし。


「ガキが舐めてんじゃねぇっ!」


 身体を無理にひねった体勢のイオウだったが、その視界の端にはしっかりと迫るセオンを捉えていた。そしてそのまま身体を一回転させ、遠心力の加わった強烈な回し蹴りを放つ。


「うわあああっ!」


 突然視界の脇から飛んできた回し蹴りに、攻撃途中であったセオンは防御もできないまま蹴り飛ばされて関所の壁に激突。そのまま崩れた木材によって下敷きになってしまった。


「セオンっ!」


 血の気の引いた顔で叫ぶナトリと、それを見て得意げに顔を綻ばすイオウ。


「ヒャーハッハーッ! 残念だったなクソガキどもォ! テメェらがどれだけ悪知恵を働かせようとも、このオレっちにゃあ……」


 得意げに勝利宣言を始めたところでその顔はまた真顔に戻った。


「脳筋アルカ君が……いない!?」


 セオンとナトリの攻撃に対処しているうちに、イオウはアルカの姿を完全に見失っていたのだった。


「へっ! テメェ自身が挑発されて視野が狭まってりゃ世話ねぇよな」


「なっ!?」


 引きつるイオウの表情。


 アルカが構えていたのは大きく回し蹴りを放って隙だらけとなったイオウのすぐうしろ。草津グリーンのセントスピアをしっかりと握りしめ、さらにそれに原創術の炎をまとわせた状態で完全に攻撃体勢となっていた。


 そして今度こそ体勢の整わない完全無防備となったイオウの身体のど真ん中にその一突きは炸裂した。


「くらえっ! 見よう見まねの原魔槍! ブレイズ・セントスピアァァァッ!」


「ぐうおえあああぁぁぁ~っ!」


 その強烈な一撃は無理に振り返ろうとしたイオウの胸に突き刺さると、その炎によって彼の身体を激しく燃やしながらはるか後方の断崖まで吹き飛ばした。


「がはぁっ!」


 断崖に打ちつけられたイオウはそのまま地に倒れ、血反吐を吐きながら苦しげに胸を押さえてのたうち回った。


「がはっ! がふ!」


 そうしているうちに下呂イエローの変身は解け、元の生身の姿へと戻る。


「く、くそ……油断、した……や、べ……」


 そして芋虫のように地べたを這ってその場を離れようとしたものの、届かぬ先へ伸ばした手は力なく垂れ、最終的にイオウは気を失ったようだった。



 お読みいただきありがとうございます。


 拙作『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』

 2026年1月6日 アマゾナイトノベルズさま より電子書籍化!


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