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温泉戦隊バスバスター ☆ センターは草津グリーン  作者: nandemoE


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20/30

陽気な追跡者


 アマゾナイトノベルズ様より2026年1月6日配信開始!

 『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』


 悪役令嬢が現代日本に逆転移!?

 戸籍も、頼りも、お金も、住処すらない絶望的な状況。

 しかも「人を一生愛せない呪い」まで掛けられていて……。


 男性にも女性にも読んでほしい作品です。

 とうとう本日、配信開始です!


 ぜひぜひ応援よろしくお願いいたします!



 休憩所の壁に背を預け、あたかも最初からそこにいたかのように突然と現れた青年が一人。


 褐色の肌に肩まで伸びる黄色がかった長髪。腰にはグンマー特有の毛皮の腰巻きを巻いているものの、上半身には鮮やかな黄色のアロハシャツを羽織って胸元を大胆にはだけている。首元には花のような飾り紐、足元は革紐を巻いただけの素足。風変わりな出で立ちと陽気な笑みが場違いなほど軽快に空気を裂いていた。


「誰だお前はっ!」


 イガッセが険しい表情で立ち上がった。


「オレっち? オレっちの名はイオウ……通りすがりの追跡者って、と・こ」


 イオウはイガッセの敵視にさらされても少しも動じずにひょうひょうと答えた。


「その腰布……グンマーの者か」


「あれ? わっかる? このイカしたシャツを着てればバレないと思ったんだけどなぁ……」


「なぜグンマーのお前がそんな服を着ている」


「なぜって、トツィギの人間から奪ったに決まってんじゃん? さすがに人の履いたパンツは嫌だったんたけどさ、腰布で正体がバレちゃうんなら今度はちゃんと奪っておくよ~」


「ふざけているのか」


「ふざけているよ?」


 挑発するようににっこりと笑うイオウ。


「それよりさァ。キミたち、なぁんか面白い話をしていたよねェ……? 草津グリーンがどうとかって」


 ふざけたように笑うイオウではあったが、その眼光だけは鋭く光っていた。


「なんの話だ?」


 イガッセが真顔でしらを切る。


「いやいや、とぼけなくてもいいんだって。オレっち潜入が得意だからさ。けっこう前からキミたちの話、聞いてたんだよね」


「面白い冗談だな」


「冗談なんかじゃないよォ? そっちのガタイがいい子はアルカ君。こっちの可愛い子ちゃんがナトリちゃん。そんで真ん中のセオン君が……六人目のバスバスターなんだっけ?」


 セオンたちに緊張が走った。


「いやァ。先日はトツィギ兵にいいように攻め込まれちゃったからって、オレっち追跡に使われちゃったんだけど……正直今、めっちゃラッキーって思ってる、と・こ!」


「そうか……それは調子のよいところにすまないな。どうやらキミは知りすぎてしまったようだ……」


 イガッセは真顔のまま腰につけた剣を抜いた。


「お? 戦っちゃう? オレっちと戦っちゃう?」


 イオウは舌を出しながら嬉しそうに身体を揺らしていた。


「残念ながら戦いにはならない……これは一方的な処分だ!」


 挑発を繰り返すイオウとは会話などするつもりはないとばかりにイガッセは飛び掛かった。だがイオウのほうもその剣をやすやすと短剣で受け止める。


「ほう……? この一撃を受け止めたか……」


「ヒャハハハッ! そのセリフ、小者感があっていいねェ~! 今度使わせても~らおっと!」


「ほざけっ!」


 イガッセが剣を力任せに振り抜くと、イオウはうしろへ飛びのいて休憩所の室内から屋外へと出た。そしてそれを追ってイガッセやセオンたちも戦闘態勢のまま外へ出る。


「次は容赦しない……覚悟しろ……」


 構えたイガッセの身体から剣に流れ込んだ原始力が炎へと姿を変えた。


「すっ、すごい……! イガッセさん、剣に原創術を組み合わせてる……」


「すげぇ……原創術にはこんな使い方もあんのかよ……」


「アタシたちと戦ったときは、子ども相手で全然本気じゃなかったんだ……」


 呆然と息を飲むセオンたちを気にせず、戦士の面持ちとなったイガッセはその鋭い眼光を一直線にイオウに向けたまま即座に斬り込む。


「くらえっ! 原魔剣! ブレイズスラッシュ!」


「ちょちょちょっ! ま、待ってくれって!」


 取り乱しながらも同じく短剣に原始力をまとわせて攻撃を受け止めるイオウであったが、今度ばかりは振り下ろされた一撃を前に膝を地につけた。


「驚いたな、これも受け止めたか……さすがグンマーが一人で送り込んで来ただけのことはある。だが、このまま切り捨てさせてもらうぞ……!」


 イガッセが上から押し込む剣によってイオウの身体が徐々に下に崩れていく。


「く……このままじゃオレっち……」


「諦めろ……せめてひと思いに断ち斬ってやる」


「く、くっそォーーーっ!」


 と叫ぶイオウであったが、その表情は直後、嘲笑うかのような邪な笑みに変わっていた。


「なぁんてね……ババンバ・バンバン!」


「「えっ!?」」


 それは誰もが何が起きたのかも理解し得ない一瞬の出来事だった。


 発声とともに突如イオウの身体が輝いたかと思えば、剣を交えていたイガッセの身体は後方へと激しく吹き飛ばされ、うしろにあった建物の壁を突き破っていた。


「う……ぐ……」


 かろうじて意識はあるものの起き上がれないイガッセの姿を見てセオンたちは戦慄した。


「うそ……でしょ……?」


「き、黄色……! こ、こいつ、まさか……!」


「げ、下呂イエローが、なんでこんなところに……?」


 恐れ慄くセオンたち三人の前に立っていたのは、鮮やかな黄色の戦闘スーツを身にまとった戦士、下呂イエローだったのだ。


「へっへっへ……オレっち、熱血とか根性とか、熱いノリは苦手なんだよな~」


 そう言ってイオウは黄色いヘルメットを脱いで地に放り投げた。


「突如として単身敵地に乗り込んできた明るく楽しいイケメン追跡者……はたしてその正体とは!」


 そして再び素顔を晒したイオウは笑顔で高らかに宣言する。


「温泉戦隊バスバスターが一人! 下呂イエロー! その人だったのですっ! バァン!」


 登場の効果音のようなものを自らの口で発声しながら、人を小バカにするように舌を出してセオンたち三人を見下すイオウであったが、そこへ崩れた休憩所の建物の中からイガッセの大声が響く。


「何をしている兵たち! 敵襲だ! バスバスターが現れたっ! 全員刺し違える覚悟で飛び掛かって、その黄色の男を殺せっ!」


「うわ、やっべ! オレっち潜入のプロなのに関所じゅうにバレちったァ~……」


 緊張感もなくイオウは頭を抱えて見せたが、すぐにまた笑顔に戻る。


「ま、いいや。これはこれでシューティングゲームの始まりっしょ! それ、シャワーガン! シャワーガン! ヒャーハッハッハァ!」


 自身に迫る関所内の兵を、素早く腰から引き抜いた小型銃で喜々と撃ち倒していくイオウ。


「ヒャーハッハァ! みーんな斬り斬り舞い舞い! 真剣じゃ~ん? あっぱれだねェ~」


「みんな怯むな! 数で押し切るんだっ!」


 イガッセは兵たちに檄を飛ばす。


「おっとっとっと! さすがにこの数は銃一丁じゃさばけないっしょ!」


 しかし数で押し寄せる兵たちが取り囲むようにイオウに飛び掛かる。


「こりゃしょーがない! 雷槌ゲロガンハンマー……召還!」


 だがイオウは兵の大群にも慌てることなく小型銃を腰のホルスターに戻すと、今度は手元に大きく黄色い長柄のハンマーを出現させ、両手でそれを握りしめた。


「いっくぜェ~? 必殺のォ~! 超絶回転! ゲロロロ・ブレイクーッ!」


 イオウが自身の身体を支点にするようにその大きなハンマーを振り回すと、辺りには放射線状に稲妻が走り抜け、彼に飛び掛かっていた兵たちを一人残らず吹き飛ばしていた。


「ヘイッ! お掃除完了っ! 兵だけにっ!」


 そう言ってハンマーの柄を重く地面に突き立てるイオウ。


 その圧倒的な武力を前に残されたのは戦慄するセオンたち三人だけだった。


「で、残ったのはキミたち三人……どうする? キミたちは長年グンマーのために奴隷として働いてくれたわけだしさ。また奴隷として戻ってくるって言うなら、オレっち、許してあげるけど?」


 イオウは相変わらず人をバカにするように舌を出して言っていた。


「ど、どうする、セオン……?」


「みんなやられちゃった……あいつ、強すぎるよ……!」


 アルカとナトリは判断を委ねるようにセオンを見た。


 セオンは二人の視線を受け、震える右手の拳を押さえるように左手を添え、力いっぱいイオウを見返した。


「戦うしかない……僕たちは、ここで負けるわけにはいかないんだ……!」


「ははは……そうだよな。わかったぜ! 俺は、俺はもう逃げねぇ!」


「アタシも! 大切なものくらい自分で守りたい!」


 セオンに引っ張られるように表情を引き締めたアルカ、ナトリはセオンとともに身構えた。


「ババンバ・バンバン!」


 叫びとともにセオンの身体は緑の光に包まれ、その姿は草津グリーンへと変身する。


 それを見てイオウは大袈裟に仰け反るように驚いて見せた。


「へええええ~っ! おっどろいたなあ! ほんとに、本当にバスバスターじゃん! ……話を盗み聞きしてたときは絶対に嘘だと思ってたんだけど……これってさァ。歴史的大発見っていうか、大問題じゃね?」


「……どういう意味です?」


「いやァ? グンマーとトツィギの戦力がどうとか、どっかに巨大ロボが隠されてるはずだとか、オレっちはそういう細かいことを考えるのは面倒なんだけどさァ……とりま、キミみたいのが存在するとなるとオレっちの仕事も増えちゃいそうだしさァ……数が増えたぶんだけオレっちの希少性も下がっちゃうってことだしさァ……なんか色々ごちゃごちゃと考えるのも面倒だからさ……とりあえず、これ、なかったことにしようぜ? ってな訳だからさ……」


 そこでイオウの表情から笑みが消えた。


「まずはじめに、セオン君、死んどく?」



 お読みいただきありがとうございます。


『斬り斬り舞い舞い! シンケンジャーン?』という、あっぱれなセリフを言わせたかった今回です。

サム◯イ戦隊シンケ◯ジャーとは関係ありません。


 ちなみに私はこのイオウという、ぶっ壊れたキャラが大好きです。



 さて、拙作『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』

 2026年1月6日 アマゾナイトノベルズさま より電子書籍化!


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 男性にも女性にも読んでほしい作品です。


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 配信日:2026年1月6日
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