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温泉戦隊バスバスター ☆ センターは草津グリーン  作者: nandemoE


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旅立ち


 アマゾナイトノベルズ様より2026年1月6日配信開始!

 『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』


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 戦いが終わった広間には崩れた石片と舞い上がったほこりや苔の名残が漂っていた。


 床にはトツィギ兵が放とうとしていた原創術の焦げ跡が残り、壁の一部には衝撃でひびが走っている。倒れて動かなくなったトツィギ兵たちの影が静かに横たわるなか、セオンたちは息を整えながら立ち尽くしていた。


「うっ……」


「おっと危ねぇセオン!」


 よろけて倒れそうになったセオンの身体をアルカが正面から受け止めて支えた。するとたちまち草津グリーンの戦闘スーツは緑の光となってブレスレッドの宝石の中に消えていき、セオンは元の獣皮の服装に戻った。


「あ、ありがとうアルカ……ちょっと身体の力が抜けちゃって……」


「だ、大丈夫セオン? もしかしてとんでもない力を使ったから……」


 ナトリも心配そうな顔で覗き込む。


「心配してくれてありがとうナトリ……でも大丈夫だよ。少し休めば回復すると思う」


「無理はしないでね……? アタシ、回復の原創術なら少しはハルナお姉ちゃんから習ってるから、遠慮なく言ってね?」


「うん。でも本当に大丈夫。ケガをしているわけじゃないからね」


「そうだな……あの状況で、ケガ一つせずに済んだのは奇跡ってもんだぜ……すげーなセオン。その草津グリーンってやつ……ちょっと俺にも貸してくれよ」


「うん。いいよ」


 セオンはブレスレッドをアルカに手渡した。


「えっと、たしかこうだったか……? 変身! ババンバ・バンバン!」


 アルカは得意げにブレスレッドを装着した左手を突き上げるが何もおこらない。


「あれ? おかしいな……こうか? ババンバ・バンバン! ババンバ・バンバン!」


 アルカが何度か試したもののブレスレッドが反応することはなかった。


「ねぇ。もしかしたらそのブレスレッド、セオンにしか反応しないんじゃないの?」


 完全に緊張感をほどいたおっとりと声でナトリが言う。


「マジかよ……もしかしてこれが戦闘スーツに選ばれるってことなのか?」


「きっとそうだよ! だってセオン、この遺跡に入る前から何かに呼ばれてる気がするって言ってたもん!」


「そういえばそうだったな……てことは、すげぇ……。セオンお前、まさか本当にバスバスターに選ばれちまったのかよ……」


「すごい! すっごいよセオン! 絶体絶命のピンチだったのに一瞬で……とってもカッコよかった!」


「ふ、二人とも……まだそうと決まった訳じゃないよ……。さっきだって、バスバスターが六人もいるなんておかしいって話してたじゃないか」


 セオンは気圧されるように謙遜する。


「それについては考えてみたんだけどよ……そういえば今、箱根レッドって空席なんだろ? なら実質、今いるバスバスターはちょうど五人じゃねーか」


「たしかに! それにさっきのセオンの強さ! 偽者だなんて思えないよ!」


「きっと本物だぜ! となると、空白の箱根レッドあたりは怪しいよな……? 本当にバスバスターの力を持っているのか確かめようがないわけだし」


「きっとグンマー側が自分たちの力を大きく見せようとしてたんじゃないかなぁ……?」


「それだ! きっと本物の五色目が見つからないから架空のレッドをでっち上げたに決まってやがる! 本当に信用ならねーところだぜ、グンマーってところは!」


「ねぇ! じゃあさ。もしかして戦闘スーツを一色も保有していないトツィギ側にアタシたちが向かったら、きっと大歓迎されちゃうんじゃないかな?」


「そりゃあいい! そりゃあいい考えだぜナトリ!」


 などとアルカとナトリは二人で盛り上がっていたが、セオンは浮かない表情だった。


「おいどうしたんだよセオン! 俺たちがトツィギに向かうためのいい手土産ができたってことじゃねーか! 上手くいけば関所だって通してもらえるかもしれねぇ!」


 アルカは嬉しそうに言ったが、セオンは暗い声で答える。


「でもそれって……戦争に使われるかもしれないってことだよ……?」


「「あ……」」


 セオンの言葉に二人は押し黙る。


「ご、ごめんねセオン……よく考えてみたらアタシもセオンが戦争に行くなんてヤダ……」


「すまねぇ……俺もちょっと浮かれすぎて肝心なところを見落としてたぜ……」


「ううん、大丈夫。きっとグリンシーを出てからみんな気を張ってたから疲れちゃったんだよ」


「どうする? もう少しここで休んでいくか?」


 アルカが気を遣うようにセオンに尋ねる。


「もう大丈夫。倒れてるトツィギ兵が起きても厄介だし、まだほかにも別の隊が近くにいるかもしれないから早めにここを離れようよ」


「うん! アルカが荷物を持ってるから、アタシが肩を貸してあげる!」


「ありがと、ナトリ」


 そうして三人は遺跡での戦闘を終えて無事に外へと出た。




 遺跡の暗がりから地上に戻ると、山の斜面の先に遠く小さくなったグリンシーの集落が見えた。だがもう、そこはかつての静かなグリンシーはない。


 広がる平原の上に土煙が舞い、地鳴りのような怒号が空を裂いていた。キーリュから戻ってきたと思われるグンマー兵が毛皮をなびかせながら咆哮を上げ、粗野な槍や斧を振るいながら怒涛のように突撃していく。その前に整列を崩しながら後退するトツィギ兵たちは機械兵装を手にしつつも数の差に押され、じりじりと後方へ引いていた。


 空は夕暮れの朱に染まり、騎乗兵の影が草原を切り裂くたびにまるで大地ごと戦の熱に包まれているかのように赤く見えるほどだった。


 セオンたちはその光景を見下ろす丘の上で、ただ言葉を失って立ち尽くしていた。


「酷い……僕たちの育ったグリンシーが……」


「ハルナお姉ちゃん……大丈夫かな……」


「信じろよナトリ。ハル姉はやることがあるって言ってただろ?」


「うん。そうだよね……アタシたちは、アタシたちにできることをしよう」


 だが三人の落ち込んでいた顔にも徐々に前を向く力強さが宿っていく。


「僕、決めたよ」


 静かにセオンが言った。


 アルカとナトリは静かに続く言葉を待っていた。


「僕はきっとまた、このグリンシーに戻ってくる」


「戻ってきて、どうするの?」


 ナトリが尋ねる。


「グンマーとトツィギの戦いを終わらせたい。また平和だった……平和だと思ってた頃のグリンシーに戻って、穏やかに暮らしたいな」


「へっ! アカギみてぇなことを言うじゃねーか、セオン」


 アルカの言葉にも向き合って頷く。


「うん。箱根レッドのようにとはいかなくても、僕には僕にできることがあるんじゃないかって、そんな気がするんだ」


「じゃあ……アタシもそれ、応援したいな」


「ありがと、ナトリ」


「おいおい、俺だって応援するに決まってるだろ? 俺を置いていかないでくれよ!」


「もちろん! アルカも頼りにしてるよ! さっきだって僕たちをかばおうとトツィギ兵のなかに飛び出していった勇気、心強かったからね」


「たしかに! あれがなかったらアタシ、たぶん萎縮しちゃって動けなかったなぁ……」


「そ、そう言われると照れるな……」


 アルカは頬を染めて後頭部をかいた。


「これからも、僕たち三人は助け合っていこうよ」


「おう! 爆上がっていこうぜ! 世界中を全部かき回すんだ!」


「二人とも、よろしくね!」


 三人は中心で拳を突き合わせて笑顔を向け合った。


「それじゃあ、ここからが僕たちの旅立ちだね」


「ああ。さしあたって目指すはやっぱり俺たちの故郷、ニツコゥだな」


「十年ぶりの帰省かぁ……お父さんもお母さんももういないけど……変わってないといいなぁ……」


 そんなふうに言葉を交わしながら三人は踵を返し、眼下のグリンシーに背を向ける。


「俺なんかもう風景もなんとなくしか覚えてねーぜ。グリンシーより山で自然が多かったことくらいはなんとなく覚えてるんだけどな~」


「そうだっけ? 僕は何かの機械がいっぱいあったような記憶しかないんだけどなぁ……」


「あ、セオンそれトツィギの研究施設だよ。アタシのお父さん、そこで働いてたんだ。アタシ本当はトツィギのサラクシってところで生まれたんだけど、お父さんの仕事の関係でニツコゥに来てたの」


「へぇ~。それじゃあナトリは僕たちとは違って、タイミング悪くグンマーの侵攻に巻き込まれちゃったんだね~」


「本当にどこに行っても戦争戦争で嫌になるぜ」


 そんなふうにわざとらしく明るい声で会話を続けながら三人は第二の故郷グリンシーをあとにする。


 戦の煙が遠ざかり、グリンシーの平原は徐々に背後の影となっていった。黄金色の草が風に揺れ、夕日を浴びて揺らめく様はまるで失われた日常の残り火のようだった。


 風の音も次第に変わり、岩肌をなでるような山の呼吸が耳に届く。北東の山道へと足を進めるその背に夕暮れの光が長く伸び、三人の影を一つに重ねていた。



お読みいただきありがとうございます。


最近の戦隊は追えてないですね……爆○戦隊ブ○ブ○ジャーとか……


さて、いつもならこの辺の区切りがいいところで反応見て畳んでいくんですが、今回はもうちょっと続けようかなと思います。

最後までプロットも組んでるし、もしかしたら見切りが早すぎた可能性もあるし、そして何より下記の広告もしていきたいですからね!


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