第八録:The 2 Stage:凍てつく湖の氷精と健気な大妖精
ええ、大変長らくお待たせしました!
余り書けず、更新がかなり遅れてしまいました
では、どうぞお楽しみくださいw
竜耶Side
ルーミアとの戦闘に勝利した俺は、湖に向う為に森の上を飛んで移動しているが、まだ湖らしきモノは見当たらない
一様ルーミアの指差した方角に進んでいるけど、辺りは依然として木々が生い茂る森の中だ
其れと、ルーミアと戦闘している時に見かけなかったが、移動して数分たった辺りだろうか?また、いきなり襲い掛かってきた
自然の化身と云われてるだけ有って数は無限なんだろうか?まぁ、妖精は殺されても自然が死なない限り復活するって、数週間前だが慧音に教わった事があるしな
「けどなぁ~やっぱり多すぎね?幾ら何でもさぁ?」そう、現在俺の周りには二百匹を超える妖精達に囲まれてたりしている………
だが、幾ら取り囲んだと言っても、所詮は妖精だ。見た目が子供な為、大抵の奴等は頭が悪い。正面を突き抜ければ良いだけの事だ
「て、事だ。遊ぶなら、お前等だけで遣りな!」俺は指輪の霊力と魔力をチャージして威力の高い弾幕を正面に居る妖精達に向って撃ち込む。案の定、道が開けたので急いでその場から移動する。
妖精達も囲んで逃げられないと思って居たんだろう………まぁ、妖怪達に囲まれたら流石にそうは行かないかも知れないが………
其れから数分後の事だ。森を抜けた先には広大な湖が広がっていた。ココまで大きい湖はそうは無いだろう。やっぱり幻想郷の自然が豊かな証拠だな。だが、一つだけ可笑しい点がある……其れは………
「確かに夜だから冷えるって言っても、此れは幾ら何でも寒すぎだろう………」例えるなら、今の時期が丁度夏に近づいていると仮定しよう………
確かに夏でも夜は流石に冷えるのは常識だ。だが、この湖の寒さは、はっきり言って秋の季節を通り越して冬にでも成ったかの様な寒さだ………
「べぇっくしょい!?うぅ~、早めにこの湖を抜け出さないと風邪引きそうだな………」冗談抜きで、風邪引いてしまいそうな位寒い………まさか、此れも妖精の仕業じゃないだろうな?
妖精‘S Side
その頃、広い湖に浮かぶ離れ小島に、2匹の妖精の内一匹の青色のショートヘアの髪型で青い服を着込み、背中には氷で出来た様な羽を持つ妖精が盛大に、くしゃみをした
「べぇっぎしょい!!?ずずぅ~あぁ~、何かスッキリした」
「チルノちゃん、大丈夫?風邪引いてない?」次に普通の妖精より少し背が大きくて緑色の髪をした妖精がチルノと呼ばれる氷精を心配していた
「大丈夫だよ、大ちゃん!あたいはさいきょーだかんね!!」チルノと呼ばれた氷精は笑顔で笑いながら大ちゃんと呼ばれた大妖精と話す
「でも、さっきの人間の巫女の人と箒に乗った魔法使いの人の二人組みにはビックリしたよねぇ?私やチルノちゃんが、他の妖精よりも多少強いって言っても二対一はいくら何でも酷いよねぇ~」私は先程の弾幕ごっこを思い出して苦笑いしていた
「まぁ、さいきょーのあたいに敵わないと分かって仲間を呼んで来た時は、流石のあたいもキツかったわね!でも、まぁ!あたいのさいきょーの噂も漸く人間達に広まったのね!やっぱり、あたいったら、さいきょーね!」負けてボロボロになってもケロッとしている辺りタフだなぁ~っと思っている私は苦笑いしていた
「そういえば大ちゃん?顔色悪そうだけど大丈夫?大ちゃんは、あたいと違って丈夫じゃ無いから無理しないでね?無理そうだったら直ぐに、あたいに言うんだよ?あたいが、絶対に大ちゃんを守ってあげるからね!」何時も笑顔で元気いっぱいのチルノを見て微笑む私は
「うん、ありがとう。チルノちゃん」と笑顔でお礼を言うが
(本当に、ありがとう。チルノちゃん!だけどごめんね。チルノちゃんにこれ以上心配掛けちゃうと本当に足手纏いになっちゃうから、あと、もう少しだけ私に我慢させてね………)私はチルノの気持ちに本当に感謝し内心では泣きたい気持ちでいっぱいだったのを必死に堪えていたのだった
竜耶Side
「おかしいなぁ~、もう、かなり飛んでる筈なのに、何で向う岸に着かないしどうなってんだぁ?こりゃ?」そう、いくら飛んでも全く向う岸に到着しないのだ。まるで、見えない壁にでも遮られてるかの様に辿り着けないで居た。
寒い上に向う岸に渡れないので体温の低下を抑える為に、体力を必要以上に使ってしまうし、このままでは非常に拙い。時間が過ぎて朝に成るとまた、あの紅霧の濃度が濃くなってしまう。そうなれば、幾ら俺でも体調を崩しかねない。早くココの可笑しな原因を尽き止め、霊夢と魔理沙に追い着かなければ………そう思った時だった
「あれ?あんな離れ小島あったけ?ん?微かだけど誰か居るな………」さっきから、同じ風景を見て居る俺はその違いを見逃さなかった。俺はその小島に少しずつ近寄り誰なのかを確認しに行った。良く見ると妖精だ………
それも普通の妖精よりも少し背が大きいな?大体10歳くらいの子供が二人居た。一人は薄緑色の髪をした妖精だな。普通の妖精よりも立派な羽で綺麗だ。
もう一人は氷の羽を付けた水色の髪で元気に笑う妖精だな……てか、この湖が異様に寒い
のは、あの娘の仕業だろう・・・・何となく俺の勘がそう告げる。霊夢じゃないが、あの氷の羽を見れば大体は予想が付くはずだ………
と、そんな事を考えていたら、薄緑色の髪をした妖精が俺に気が付いたようだ………そして、氷の羽を持った妖精も慌てて俺の方を向いたと思ったら、いきなり氷の弾幕を撃ち放ったのだ………俺は驚いたが、其れを回避する
「あぶな!?俺が一体何をしたって言うんだ………」すると、氷精は獲物が来たと言わんばかりの顔をしながら………
「また、あたい等の縄張りに入ってきたわね!人間!このさいきょーのあたいが返り討ちにしてやるわ!」またって言うか、この湖に来たのは初めてなんだが………
チルノSide
あたい達は、湖の小島でお喋りしてたら、大ちゃんが何かを感じたのか急に後ろを振り向いた。あたいも少し遅れて同じ方を見たら、其処には人間の男一人が湖の上で迷ってたんだろうか分かんないけど、あたい達に気付いたようだ………
あたいは、さっきの巫女と魔法使いの二人組みを思い出して、このイライラをソイツにぶつける事にした。
だけど、あたいの攻撃はソイツに避けられた………さらにイライラしたから、あたいは空に昇りソイツに指差してこう言った………
「また、あたい等の縄張りに入ってきたわね!人間!このさいきょーのあたいが返り討ちにしてやるわ!」
大妖精Side
「ああ~もう空に上がっちゃった。弾幕ごっごだとチルノちゃん相変わらず早いんだから~、いっその事、気が付かなきゃ良かったな……」私がそう思っているとチルノちゃんは男の人に向って宣言した
「また、あたい等の縄張りに入ってきたわね!人間!このさいきょーのあたいが返り討ちにしてやるわ!」チルノちゃん、それ死亡フラグだよ………と心の中でツッコミを入れるしかなかった私だった…
「ッ!?はぁはぁ……お願い…もう少しだけ持って……」身体に激痛が走る。其れを我慢しながらチルノちゃんの戦いを見守る事しか出来ないのはとても歯痒かった(はがゆかった)………
本当はチルノちゃんと一緒に弾幕ごっこをしたい……でも、今の私の身体じゃあとてもじゃないけど、着いて行く処か弾幕を撃つ事さえ出来る状態じゃなかった
竜耶Side
「それそれそれそれっ!凍っちゃえ!!」まだスペカも出してないのに氷の弾幕を乱射して来た・・・・・・てっ言うか、せめてスペカの枚数ぐらい宣言して欲しかった・・・・・
「だぁぁもう!俺が何したって言うんだよ!」俺は炎晶の腕輪に魔力を注ぎ、炎の弾幕を波の様に放ち、迫り来る氷の弾幕を溶かし相殺する
「むぅ・・・・あたいの氷を防ぐなんてやるわねぇ!でもこれならどうよ!氷符『アイシクルフォール』!」前方を覆う様に氷柱の弾幕と中位の球体型の氷を撃ってきた。こう言う弾幕にはコレだな?
「悪いが消させて貰うぜ!錬雷『スパークバニッシュ』!」雷晶の腕輪を媒介に、雷球を作り撃ち放つ。雷球は氷の弾幕に当たると弾け飛び、無数の電流が氷柱の弾幕を破壊しものの見事にスペルブレイクさせた
「ううぅ~まだまだぁ!凍符『パーフェクトフリーズ』!」氷精が氷塊を此れでもかと言う位大量にばら撒いた。驚いたのは、目の前まで迫ってきた氷塊がイキナリ停止した事だ俺は念の為に、回避できる位の隙間に移動した。
数秒後、停止していた氷塊が再び動き出した………のは良いんだが、真っ直ぐ向かって来ると思いきや彼方此方、別な方向に飛んで行ったのだ………ある意味ランダムで脅威にも為れば、別段何もしなくても回避出来る使い勝手の悪いスペルカードだな?
「………此れで終わりか?何か案外呆気ないな?」図星を突かれたのか、眉間に皺が寄る氷精は直ぐに怒った表情をした。まぁ、子供と同じだから感情的に為り易いのは仕方ない
「ぐぐぐぅ………もう、アッタマ来た!此れで全部凍っちゃえ!雪符『ダイヤモンドブリザ「ゴホゴホッ!」』大ちゃん!!?」氷精がスペルカードを宣言しようとした時に、近くに居たもう一人の妖精が突然、咳き込み苦しみだした。氷精は弾幕ごっこを即座に中断し、苦しがっている妖精の元へ向った
「何が何だか分からないが、とりあえずあの子の様子を見に行くか………」どうやら、あの妖精の症状は、この紅霧の毒素を大量に摂取してしまったのが原因だろう。
普通の妖精は興奮状態となり出会い頭に襲ってくるが、この妖精の様に身体に悪影響を及ぼす毒素だけを取り込む場合もある。大事に至る前に治療した方が良いだろう………下手をすると、あの氷精がパニックに陥り彼方此方に氷を撒き散らし気温が下がれば人里も無事では済まないだろうからな
チルノ Side
「大ちゃん!?大ちゃん確りして!」頭の悪いアタイでも、どんどん顔色が悪く為ってるのが分かる………あたいは大ちゃん抱えて小島まで降りた
「だ…大丈夫…だよ?ちょっと、咳込んだだけだから……ゴホゴホ!?」無理に笑顔を作る大ちゃんが、また咳込んだ……すると口を押えた手には血を少し吐いていた………
アタイは馬鹿だ!!こんなに苦しんでるのに、何時も一緒に居たのに何で気が付かなかったんだろう
「どうしよう…どうしよう………」あたいは、大ちゃんの弱っていく姿を見て如何して良いか分からずに居た。しかしその時、いきなり大きな影が月明かりを遮った。あたいは直ぐに後ろを振り向いたら、さっきまで弾幕ごっこをしていた人間の男があたい達の後ろに居た
「な、何よ?アンタの相手なんかしてる暇何かない!大ちゃんが……」あたいが喋っている途中に男がしゃがみ込んで大ちゃんのおでこに手を当てた。何をしてるんだろう?
「まずいな、思ったより容体が悪いな」そんなの見れば分かる!だから如何しようか悩んでるのに……
「この場で今すぐ応急処置するぞ。手伝え氷娘」あたいは耳を疑った………この男、大ちゃんを助けるのを手伝ってくれるの?
「おい、氷娘。お前名前は?」と、いきなりあたいの名前を聞いてきたから、ちょっとビックリしながら答えた
「チ、チルノ」
「そうか。じゃあチルノ?この湖の水は普通に飲んでも大丈夫なのか?」
「う、うん。あたい達、妖精はいつも飲んでるから大丈夫だと思うけど?」
「良し、じゃあこの大瓶に水を汲んできてくれ。俺は道具を準備するから」そう言うと腰のポーチみたいな物から色々道具を取り出してる。ってあたいも水汲みに行かないと!あたいは湖に向かう事にした
竜也Side
「さて、さっき軽く解析しただけだったから、もう少し詳しく調べないとなぁ?」俺は何かないかと思ってポーチの中やポケットの中を探ると一枚のスペルカードが出てきた
「これは確か、弾幕で使えないから省いて置いたやつか?いや、待てよ?これなら……」俺はそのスペルカードを使う為に、弾幕は出ないがスペカ宣言を試みる事にした
「解析『アナライズアプリケーション』!!」自身の能力である『ありとあらゆるモノを解析する程度の能力』を応用して制作した補助型のスペルカードで、このスペカは別に戦闘で無くても使用出来、様々な物を解析でき、また、人体構造を解析し、毒や神経毒などの毒素に見合った解毒剤をその場で制作するのにも重宝するスペルだ。因みに戦闘では、相手の弱点なども解析できる
俺はスペカで大ちゃんと呼ばれた妖精の体の状態調べる。案の定、身体から悪影響を及ぼす程の魔力を帯びた毒素が多数検出された。その多数の毒素が身体を浸食し汚染している。これは普通の解毒薬では治りそうには無い……原因の歪んだ魔力自体を浄化させるにはやはり聖水をベースにした浄化薬を制作する必要がありそうだ
水以外で必要になる素材は、純銀、塩、レモン果汁、解毒薬、念のため蜂蜜も追加しておこう。すると、チルノが大瓶に水を汲んで戻ってきたようだ。「汲んで来たよ!次は!」と、少し焦っているので、まずは落ち着かせる
外の世界の教会が使う聖水はハッキリ言って役に立たないが、俺の作る聖水は錬金術で制作する為、神秘性が十分にある。
純銀を銀の杯に作り替え、杯に水と微量の塩を入れ、さらにレモン果汁と蜂蜜を混ぜ合わせる。解毒薬を溢さずに分量を量って入れる。ある程度混ざり合ったそれを霊力で錬成陣の上に乗せ錬成する。すると杯の中にある液体がボコボコと音が鳴り湯気が上がった。
「よしチルノ、これを冷やしてくれ。くれぐれも凍らせるなよ?その子が飲めなくなるからな?」
「わ、わかった………」湯気を立てている浄化薬を冷却し、飲めるくらいまで冷えた様だ。後はこの薬がちゃんと効果を発揮してくれると良いのだが……
チルノが薬をゆっくりと飲ませる。するとさっきまで荒かった呼吸が徐々に収まり穏やかに息をしている。楽になったのか、閉じた瞳がゆっくりと開いていく。チルノが若干泣きながら、あの娘を見つめる
「チルノ…ちゃん?」
「大ちゃん!よがっだよぉ~!!」ボロボロと涙を零しながら抱き着くチルノの頭を優しく撫でる少女は、次に俺の方に目を向けた
「ありがとう…ございます。まだ動けませんが大分楽になりました。それとチルノちゃんがご迷惑をお掛けしました」
「まぁ、行き成り襲い掛かられた時は驚いたよ?あと大事に至らなくて何よりだ。2~3日は様子を見て休んでいた方が良いだろう」
「はい、わかりました。あ、それと、湖の方向感覚は元に戻ってますので安全に通れるはずですよ」
「そうか?そういえば、湖の奥には何があるんだ?」俺はただ、霊夢と魔理沙の力の流れを辿って来ただけだから詳しい事は全然知らないしなぁ?
「ええっと~真っ赤で大きな家?みたいな物が有るんですけど私達はその近くを何度か通っただけなので、あまり分からないです」
「いや、其れを聞ければ十分だよ。後は行って確かめるだけさ」そういえば、さっきから静かだけどチルノはどうし……てって、泣き疲れて寝てるよ。まぁ余程安心したんだろう?無理もないか
「じゃあ、俺はそろそろ行くよ?確り休めよ?じゃあな!」俺はその場を後にして、次の目的地に向かった
大妖精Side
「行っちゃった………」まだ動けないけど、あの人が飛んで行った方向を見つめていた。妖精は人間から見れば少しあまり相性は良くない。それも其の筈、悪戯をすれば嫌われるのは当然だし、力が強い人からは雑魚扱いされて時々問答無用で倒される時もある
でもあの人は真剣に私の事を心配してくれたから、凄く嬉しかった。
「人里に行けば、また会えるかな?」私に抱き着いて眠っているチルノちゃんの頭を撫でながらそんな事を考えていた………
いつも通り質問や感想を随時お待ちしておりますw