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[アスクレピオスの白蛇]ギルドマスター、霧谷銀華

「アスクレピオスの白蛇って、私も聞いたことある! よく知ってたね景山くん」

「青の旅団の人から聞けるだけの情報は聞いていましたから。著名なギルドの主要メンバーの話くらいは」

「青の旅団? なるほど、そういうことでしたか」


 銀華は得心がいったように微笑を浮かべた。


「あなた達はあそこと繋がりがあるのですね。メンバーではないと言ってましたが……それは嘘ではありませんよね? まさか銀華に嘘をつくわけありませんから」


 穏やかな笑みを浮かべたままだが、嘘偽りなく答えろという強烈な圧を三人は感じさせられていた。篠倉は何度も頷く。


「ああ、もちろん。有名なギルマス様に嘘なんかついたらどうなるかを考えたらそんなことはとてもとても」

「まあ、人聞きの悪いことを言わないでください。銀華達は癒やし手のギルド。手荒なことなんて何もいたしません」


(ほ、本当かな~)

 玲奈はたじたじとなっていた。


「ただ青の旅団と繋がりはあるのですね。でしたらこの[聖なる泉]のことを彼らも知ることになるのでしょう。モンスターを倒す以外で経験値を得られるという、ダンジョンの絶対の原則を超えた神の恵みを」

「青の旅団も……ってことはもしかして……」

「ええ。銀華達[白蛇]はすでに他にもこのような輝く聖なる泉を発見しています。その価値に気づき他にもないか手分けして探していたら、ここと、あなた達を見つけた。……その顔、[青]も銀華達と同じく秘匿していたのですね? ですがもう、秘密は秘密でなくなった。大手のギルド二つが知っているのだから。そして私達の情報収集によると、おそらくはもう一つも嗅ぎつけている……」


 玲奈は篠倉と景山にアイコンタクトをした。

(もしかして、大事になってる?)

(ああ、どうにもこうにもそういう話みたいだ)

(どうしたらいいんでしょうか、僕達は)


 銀華はそんな三人に向けて有無を言わさぬ微笑みを向けた。


「青の旅団の方に伝えていただけますか? 『三者会談』をしましょうと、銀華が提案していたと。青、白、紫による二層の秩序を保つために『天からの贈り物』について話しましょうと」


 


「……っていうことがあったんです」


 ダンジョン二層1階、ゲート付近にて玲奈達は諸葉に泉での出来事を伝えていた。


「ちっ、まさか白蛇もアレのことを掴んでたとはね。あんたらから経験値の泉のことを聞いて喜んだと思ったらこれだよ」

「他のギルドも、あのおいしいスポットがあるってこと知ってたんですね」

「そうみたいね、まったく。うちが独占して二層の筆頭ギルドになってやろうと思ってたのに、面倒なことになったもんね」


 黒髪をガリガリとかく諸葉の表情は、本当にうんざりした様子だ。


「やっぱりそんなに残念ですか?」

「まあそれもあるし、あいつらと三者会談ってのも憂鬱よ。だけどまあ、前向きに捉えた方がいいわね、お前らが新たな経験値スポットを見つけてくれた。つまり聖域は複数あることがはっきりしたのだから。要はうちが一番多くの聖域を確保すればいい話。そうしてレベルアップしたギルド員の力でさらなる聖域を見つけ、そこでさらにレベルアップする、そうしてうちが最強のギルドになってやるわ」

「おおー……」


 マイペースな玲奈にとっては、おおーという感想しか抱けない。

 ギルド間のパワーバランスというのは難しいものらしい。

 自分はマイペースにやれればいいのだけれど。


「……そのためにもまずは三者トップ会談ね。他のところを牽制しておかないといけないもの。面倒だけど」


(なんだか、色々動き始めそうな感じだ)


 自分達が見つけた経験値ポーションから始まったことが、何か大事になっている。

 玲奈はダンジョンの空を見上げて大きく息を吐いていた。

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