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第104話 対金星人用戦闘モード展開!

 厳島神社沖に不時着した敵の母船・葉巻型UFO(全長約300M)・・・


 母船に向かって駆け出す僕。その後ろを古新開、麗、マリナ、波多見先生が続き、さらに後方から光線銃を構えたジェシカと青山先生がサポートする。人の列が一つの大きな波紋となって干潟を走る。


 護岸には紅葉と日美子様が並び、弓に矢をつがえている。二人の表情は真剣そのものだ。島民も佐伯景弘神主の指揮の下、倒した金星人を確実に押さえつけていて、手にした鹵獲品を武器代わりに身構えている。


 いよいよ、最終決戦の気配が濃くなる。太陽は低く、影を長く伸ばしている。海面に揺れる光が、今や決戦の舞台を神秘的に彩っていた。


 母船に近づきつつある時、僕の補助頭脳AIが戦闘モードへのチェンジを勧めてきた。内蔵のインジケーターが淡く点滅する。


「ぴこーん! 対金星人用戦闘モードに移行できます。どうしますか?」


 AIの声は平静だが、僕の胸は高鳴っている。選択は一瞬だ。


(AIよ、答えはYESだ! 厳島神社を荒らしたゴキブリは踏み潰す!)


 心の中で即答すると、AIの音声が即座に反応した。


「戦闘モードへの移行を了解! 直ちに発動します!」


 AIは淡々と最終確認だけを送ってきた。


 父の「なんちゃって取説」の最後のページにあった「対金星人用決戦兵器」のフレーズが頭をよぎる。笑い飛ばしていたあのページが、まさか今こうして現実になるとは思わなかった。体内のナノマシンが唸りを上げ、皮膚の下で微細な振動が伝わる。見た目は変わらないが、四肢に満ちる力が瞬時に増していくのが分かる。まるで筋肉が再調整され、関節が滑らかに回る感覚。身体のあちこちにエネルギーフィールドが展開し、空気がぴりりと震える。


 試しに両手で木刀を握りしめ、その刀身にエネルギーフィールドを纏わせると──


 ブゥーンという低いサウンドとともに木刀が光り輝き、刀身の輪郭が蒼白い光で縁どられる。土産物屋で一本二千円で買える物とは明らかに違う輝きだ。木の手触りが金属的な冷たさと混ざり合い、手に伝わる重量も増している。


 母船に近づくと、ハッチらしき場所に光る木刀を突き刺した。刀身は金属の継ぎ目をかすめるように滑り込み、触れた瞬間に焼き切る音が立つ。葉巻型UFOのハッチは、まるで蝋を切るかのように木刀によって裂け、船体と扉の境目が光と熱で溶け出した。煙が立ち上り、火花が散って薄暮の空に小さな流星を描く。


 追いついた古新開が感嘆の声を上げた。


「おいおい! すげえな、白岳! こんな隠し技を持ってたのか?」


 彼の目は丸く、歓喜に満ちている。


「お兄ちゃん、カッコいい! マリナも能力全開放で行くよ!」


 マリナが拳をぎゅっと握り、気合を入れる。


「みんな! 油断は禁物よ」


 冷静に声を飛ばすジェシカが全体を引き締める。


 僕が扉をぐるりと焼き切ると、そこへマリナの蹴りが炸裂する。金属の響きとともに内側の隔壁が激しく弾かれ、「うぎゃあー!」という悲鳴が漏れた。船内の照明がちらつき、煙が逆巻く。開かれた穴からゆっくりと潜入する僕。狭い通路の匂いが鼻をつく。すぐに金星人の警報ベルが鳴り響き、機械的なアナウンスが不穏に反響する。


 金星人が光線銃を構えて迎え撃ってくる。だが、その光弾を僕は光る木刀で弾き返してみせる。衝撃で刀身が震え、弾き返された光弾は壁で跳ね、背後の金星人の脛を撃ち抜いた。さらに 跳弾が続き、仲間を次々となぎ倒していく。


「責任者はどこじゃあ? 隠しとっても為にならんで〜」


 僕の声が艦内に木霊する。逃げ惑う金星人の群れを追って進むと、隔壁が閉じられて逃げ場が塞がれたが、そんなものは木刀の前では一瞬で砕け散る。隔壁を一閃で粉々にし、鉄くずが床に散らばった。


「カチコミじゃあ! さっさと責任者を出さんかい! 広島をなめたらどうなるか教えちゃるけん!」


 広島弁の怒声が金属の冷たさを震わせる。僕らの咆哮が艦内に響き渡る。


 その時だった。艦内の奥深くから、重い機械音とともに何かが近づいてくる。存在感が床を伝い、振動が肩に伝わる。全員の鼓動が一瞬止まったように感じた。


 ──来る。


 直後、容赦なくガトリング砲のように連射される大出力の光弾が、バラバラと僕に襲いかかってきた。咄嗟に全エネルギーフィールドを前面に展開! 対金星人用の特殊な力場なのか・・・目に見えない盾が光弾を弾く。


(親父の装備・・・役に立ってるよ!しかしこんなモノを一般高校生に仕込むかぁー?)


 僕のボヤキはともかく、紅葉ちゃんが震える声で言っていた“金星人の切り札”──あれか! 機械兵(パワードスーツを纏った指揮官らしい奴)が重厚な足音を響かせながら、僕らに突撃してくる。 波多見先生の熱ビーム、青山先生とジェシカの光線銃が機械兵に放たれる! しかし奴も「バリア」を持っているのか、熱も光も弾き返され、まるで鏡に撃っているようだ 


 最後はやはり──僕が決着をつける! ・・・ぐっと木刀を握りしめるのだった。

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