5話 最終面接
『日本、特定地域の出生率が320倍を突破!!』
『少子化解消の兆しとなるか?』
『「おちんボ」で明るい未来へ!』
「……というのが、私が学生時代に取り組んだことです。」
世界五大企業の一つ、「エロ社」、最終面接。
エロ社の年収は、初年度から10億を超える。
全世界に流通する金額、その4割を保有するとも言われる、トップレベルのモンスター・アダルト企業。
そこで働く事が許されるのは、頭も股間もキレキレの超秀才だけ。
いたって「普通の俺」が、いくら努力しても手の届くことのない、まさに雲の上の企業。だが―――
「君は?」
「『おちんボ』です」
「サークル活動『おちんボ』を……」
「『おちんボ』部長として……」
「「「君、合格。」」」
今までの面接は、自分が『おちんボ』部長だと伝えることで、難なく通過が決定してきた。
最近のメディア露出により、知名度がうなぎ上りの『おちんボ』。その第一人者である俺を、アダルト企業としては採用しないわけには行かないのだろう。
しかし、最終面接はそうは行かない。「実技検査」があるのだ。
表層的なエピソードだけでなく、俺の実力が定量的に評価され、基準に達さない者は誰であろうと容赦なく落とされる。まさに修羅の道。それが最終面接。
面接官「では、君の”生命力” を見せてくれないか?」
「はい!」
頼むぜ相棒……ッ!
しかしいくら願えど、俺の竿は宙に吊るされたたまま、そこから動くことはない。
「……」
面接官の服が擦れる音が聞こえる。
鳴り響く、時計の秒針。
「……ふむ。」カキカキ
面接官は、失望した様子で、記入欄にメモを書き始める。
そう、初夜。あのとき。
金玉が無い事に気づいた俺は、未だにそのショックから抜け出せずにいるし、抜けずにいる。
たたなくなってしまったのだ。
「君、股間が動かなくては、いくら部長と言えども、ねぇ……」
俺の全身に、冷や汗が滲む。
「お待ち下さい、今、お見せしますから!」
たてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたて
たてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたてたて
ため息をつく面接官。
俺は半泣きになりながら、必死に股間に懇願する。
その瞬間だった。
ビキビキビキビキビキビキッッッ!!
「なッッ!?」
俺のチンポは、ズボンを突き破る。
そこには、黒光りするメガトン級のヘヴィ・タワーが一本、見事にそびえ立っていた。
それはまるで、巨大な仏像のような存在感、もしくは、天を穿つ龍のような威厳さを感じさせる。
これは……何だ!?
検査官が、硬度計をチンポに充てがえる。
「……ゴクリ。」
面接官が、息を呑む。
ピピピッ
「硬度6000...ダイアモンドの10倍です……!!」
「ッ……!!『逸材』 ッ!!!」
「採用ッッ!!」
俺は、エロ社に合格した。