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小さな文学少女が友達を欲しがっていたので友達になって、ついでに自己肯定感やら友人関係を整えたら想像以上の勇者になった  作者: 夜月紅輝


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クエスト18 「姉心、弟知らず」#2

「おい、クソヲタク。うずくまってんじゃねぇよ。

 正義面はどうした? 黙ってんじゃねぇよ!」


「お前があの陰キャの身代わりになるっていうから、僕達が直々に相手してやってるんだろ?」


「ボッチのお前に、俺達が遊んでやってるんだぞ? 感謝して欲しいもんだな!」


「っ!」


 中学生ではイケメンの部類に入るだろう茶髪の男子。

 オールバックの眼鏡をかけた黒髪の男子。

 三人の中でややガタイのいい短髪こげ茶の男子。


 そして、三人に浦島太郎に出てくる亀のようにイジメられる黒髪に眼鏡の男子。


 誰がどう見ても間違えようのないいじめ現場だ。

 加えて、人気がないとはいえ小さな公園の中で堂々と。


 いじめられる男子の絆創膏や湿布の数からして、これが初めてではないだろう。


 そんな光景を、敬と天子は公園外の曲がり角に身を潜めて見ていた。

 そして、天子はその光景を見ては過去の自分の状況と重ね合わせ、気分が悪くなったように、眉を寄せて口を手で覆う。


 その天子の様子を気にしながらも、敬はあえて天子に問うた。


「大撫さん、目の前の光景は非常に醜悪だ。そして、それをどうにか出来るのは僕達だけ。

 大撫さんはその光景を目の前にして助けたい? それとも助けを呼ぶ?」


 敬の質問に、天子は敬を一瞥すると、すぐに視線を下に向けた。

 そして、口から離した手をギュッと握ると、覚悟決めたような瞳で敬を見る。


「犬甘さん、私.....助けたいです。ですが、私一人じゃ怯えて上手く出来そうにありません。

 でも、犬甘さんがいればできそうな気がします。手伝ってくれませんか?」


 天子の勇気ある言葉に、敬は一瞬目を大きく開いた。

 そして、すぐに感情を態度でもって示す。

一言で言えば、サムズアップだ。


「モチのロン。俺も同じ気持ちさ。

 それに、どうやら初めてのバトルが来たようだ。となれば、準備しなきゃな」


 敬は肩にかけていたスクールバッグを降ろし、チャックを開けて、ガサゴソと漁り始める。


「相手は中学生だ。中学生にとって高校生とは大きな存在に映る。

 だから、普通ならそこに高校生が割って入れば、追い返すことは可能だ。

 けど、そこには多少のリスクを生み出すことになる」


「リスク......ですか?」


「例えば、僕達が干渉できない学校とかで、高校生の助っ人を呼んだといういちゃもんでいじめがエスカレートしたり、再び同じ状況となった時に”必殺アニキ召喚”にてヤベー奴を連れてくる可能性もある」


「それじゃ、どうすれば.......」


「そのためのこのアイテム」


 敬がバッグから取り出したのはニット帽のようなものに三つの穴が開いたものと、大き目の紙袋だった。

 それを見た天子は、特にニット帽のようなものを見て眉を寄せ、質問した。


「あの......なんで目出し帽が入ってるんですか?」


 そう、敬が取り出したのは全体的に黒く、目や口元の周りだけ赤く縁どられた目出し帽だ。

 よく映画やドラマで銀行強盗するような犯人がつけてるイメージのやつ。


 それを敬がスクールバッグから平然と取り出す姿勢に、天子が驚いても無理はない。

 そんな天子の質問に、敬はさもありなんといった様子で答えた。


「もちろん、身バレ防止のためだ。

 が、僕の心にはソシャゲによって住み着いたシ〇コという正義のジャンキーがいてね。

 それ以来、いつ何時でも正義を執行するために持ち歩いてるのさ。例えば、こんな時のために」


「は、はぁ.......」


 天子はわかったような、わかんないような曖昧な返事をした。

 そんな天子を置いてけぼりにしながら、敬は紙袋を持って、それを天子の顔に照らし合わせる。

 そして、「この辺かな」と呟きながら、筆箱からハサミを取り出し、穴を開けた。


「よし、完成。すまないが、大撫さんはこの紙袋を被ってくれ」


「え?........私もですか?」


 天子は紙袋を受け取りつつも、二度三度敬と紙袋を交互に見る。

 確かに手伝い頼んだのはこちらだがこれは無いんじゃないか、という風な顔だ。

 されど、敬は天子から来る懐疑的な視線をスルーしながら、答えた。


「大丈夫。気づいてないだけで皆心にはファ〇ストを飼っている。勇気を持って臨もう」


「あの、言っている意味もわからないのもそうですが、別に勇気うんぬんで戸惑ってるわけじゃないです」


 天子からの今日イチのツッコみを受けつつ、敬は目出し帽を被ると、天子の手をつれて走り出した。

 そして、公園を囲む腰辺りの高さの茂みに隠れると、仕方なく紙袋を被った天子に合図する。


「大撫さん、僕が飛び出したら後に続いてくれ。

 そして、何か強そうな……そうだな、相手を威圧するつもりのポージングをしてくれ」


「ぽ、ポーズですか.......?」


「そうだな.......やはり僕が強い人物でパッと思い浮かべるのは範馬勇〇郎かな。

 まぁ、その人物は後で気になったら調べてもらうとして、その人はこう......バンザイとまではいかないけど、両手を大きく広げての威圧するポージングがあるんだ。それをやってくれ」


 敬が脳裏に描いたポーズを実践すると、天子もそれを真似した。

 すると、それを見た敬は――


(どうしよう、ミナミコアリクイにしか見えない......)


 もともと小動物的な愛らしさ溢れる天子の精いっぱいの威嚇ポーズ。

 もちろん、あのポーズは範〇勇次郎だから成立するのだが、多少威を借りれば圧も出るかと思いきや......うん、まるでない。


「そう、それ! んじゃ、本番よろしく!」


 色々と思った敬だったが、今は一刻を争うので流すことにした。

 その言葉に、「わ、わかりました!」と天子が返事するのを確認すると、敬は目線を公園に向ける。


「それじゃ行くよ!」


 敬はサッと公園に走り出すと、天子もその後に続いた。

 そして、二人は中学生四人の前で並ぶと、すかさずポージング。


「やいやいやーい、このような場所で乱暴狼藉たぁふてぇ野郎どもだ!

 この野良正義ジャンキーが黙っちゃおけねぇ!

 正義を執行されたくきゃ、とっとと失せな!」


「う、失せな!」


 突如として現れた敬と天子に、いじめっ子三人は固まった。当然の反応だ。

 なぜなら、目の前にいるのは蟷螂拳のポーズをとる目出し帽のヤベー奴と、範馬〇次郎拳もといミナミコアリクイ拳をしてる紙袋を被ったヤベー奴なのだから。


 いじめっ子三人の真ん中にいた茶髪の中学生は、左右にいる友達に視線を送る。


 そして、「なんかヤベー奴来たけどどうする」「とりあえず、離れた方がいいと思う」「関わらずに帰った方が良さそうだな」と簡単に言葉を交わし、早々にその場を去っていった。


 足早に公園から出ていくいじめっ子達を見て、天子は両手をゆっくりおろすと、体の前で両手を組んだ。


「帰りましたね.....ただ、なんか頭のおかしい人みたいな目で見られたんですが.......」


「まぁ、それが狙いだからね」


 敬が目出し帽を取りながらそう言うと、天子はすかさず敬の方を見て、「え?」と声を漏らす。

 そして、紙袋を頭から取ると、改めて聞いた。


「あの......あれって威圧するための行動じゃなかったんですか?」


「それも目的の一つだ。けど、普通に考えてみ?

 正義感に溢れた高校生と、正義感に溢れたヤベー奴のどっちの方が相手に与える動揺が大きいか。

 当然、後者だ。なぜなら、ヤベー奴だからだ」


「な、なるほど......?」


 天子は首を傾げながら、理解を示すように返答する。

 もはや敬の謎理論など真面目に付き合う必要などないのだが、それでも真面目に向き合うのが天子らしさと言える。

 そんな天子をよそに、敬は倒れている中学生の前で腰を曲げ、そっと手を伸ばした。


「やぁ少年、大丈夫か?」


「は、はい......助けてくださりありがとうございます」


 その中学生はお礼を言うと、敬の手を掴んだ。

 敬に引っ張り起こしてもらうと、中学生は身を縮めるように両手でカバンを抱え、更にはギュッと強く抱きしめる。

 また、目線は当然のように逸らし、バツが悪そうな顔をする。


「......」


 その中学生は敬と天子の方を交互に見つつ、後ろ足を一歩下げた。

 そこにもう片方の足を揃えると、途端に腰を綺麗に曲げ頭を下げ、その後一気に振り返り逃げるように走り出す。


「ま、待ってください!」


 瞬間、天子が声をかけつつ、手を伸ばして中学生の制服の裾を掴んだ。

 直後、制服が引っ張られたことで中学生は制止。

 そして、中学生はゆっくり肩越しに振り返ると、困惑した表情で尋ねる。


「な、なんでしょうか......?」


「あ、えっと.......その、き、傷が、手にありますので......」


 天子は裾を掴んだまま、視線を左右に動かす。

 声は小さく、どもっており、初対面に対する会話に緊張しているような喋り方をした。

 しかし、天子は裾を掴む手をギュッと強く握ると、最後には中学生に真っ直ぐ視線をぶつけた。


「わ、私、絆創膏持ってますから!」


 敬以外だと初めての異性に、声を詰まらせながらもしっかりと用件を伝えた天子。


 そんな天子の優しさが伝わったのか、中学生は逃げの姿勢を解き体を振り返らせると、返事こそしなかったがコクリと頭を下げ、天子の優しさに甘えることを示した。


 瞬間、天子は敬以外の異性に意思疎通が出来たことに、パァッと明かる笑みを見せる。

 また一方で、天子の笑顔に中学生は顔を赤らめ口を手の甲で隠しながら顔ごと逸らした。


「......ふむ」


 そんな二人の様子を、敬は何かを考えるように顎に手を当てて見つめていた。


―――数分後


 敬は公園の近くに設置されている自販機からお茶を三つ買い、それを持って公園に戻る。


 公園のベンチには座る中学生と、中学生の手に絆創膏を貼る天子の姿があり、治療が終わったタイミングを見計らって敬は声をかけた。


「少年、これをどうぞ」


「え.....あ、はい......ありがとうございます」


「それから、大撫さんはお疲れ。かっこよすぎてちょっと惚れちゃったね」


「え!? あ、いや........その、ありがとうございます」


 突然の敬からの言葉に、冗談とわかりつつも頬を赤く染める天子。

 そして、熱くなった体を覚ますようにお茶に口をつけた。

 そんな天子をよそに、敬は中学生へと話しかける。


「なぁ、間違いだったらごめんだけど、もしかして姉に”編ヶ埼京華”って名前いない?」


「え.....はい、そうですけど.......姉を知ってるんですか?」


「やっぱりか」


 納得するように頷く敬を一方で、天子はお茶に口をつけたまま目を剥いた。

 そして、ペットボトルに蓋をしながら、敬に尋ねる。


「よく気づきましたね......」


「眼鏡しててわかりずらいけど、目つきが編ヶ埼さんに似てたんだ。だから、ピンと来たね」


 そう言う敬であるが、実は当たったのはただのまぐれであり、今はカッコつけているだけである。

 内心では当たった驚きと、外れたことによる恥ずかしさを回避出来たことによる安堵をしていた。


 その気持ちを天子に悟られる前に、敬はポケットからスマホを取り出し、その名から一枚の画像を表示して中学生に見せた。


「はい、これ。一応、証拠ね」


「なんか姉さんが卒業写真に休んだ人みたいになってる......」


 敬が見せたのは、プリクラに雑に京華の写真をくっつけた画像だ。

 その写真を見て、その中学生は「お兄さんも割にはっちゃけてますね」と呟きながら、那智と夕妃へと指さした。


「あ、この二人は百式さんと涼峰さんですよね。何度か少しだけ話したことがあります。

 ということは、本当に姉さんと知り合いなんですね......」


「僕は犬甘敬だ。是非、スウィートドッグと呼んでくれ」


「それだと甘犬さんになりますよ。わ、私は、大撫天子と言います。改めて初めまして」


「僕は編ヶ埼元喜と言います。こちらこそよろしくお願いします」


 天子が丁寧に頭を下げると、それに呼応するように元喜も自己紹介しながら頭を下げる。

 そして、ようやく全員の自己紹介が終わった所で、敬は本題を切り出した。


「にしても、災難に遭っているようだね。アレはいつから?

 あ、いや、別に言いずらい事だったら話さなくていいよ。

 ただ話せば少しは気持ち的に楽になるかなと思っただけだから」


「そ、その、編ヶ埼さんが京華さんに知られるのを恐れているのだとしたら、私達は伝えません。

 ただ、この状況は例えお姉さんに伝えてでも、どうにかした方がいい気がしますが......」


「......」


 その二人の言葉に、元喜は膝上に置いている組んだ両手の親指をくっつけたり離したりしながら、顔を下に向け、眉を寄せる。

 少し考えるような素振りを見せると、やがて伸ばしていた背筋を背もたれにつけ、口を開いた。


「実は――」


 そして、元喜が話始めたのは、これまでから今に至る過程であった。

 もともと元喜は大人しい方で、少数の友達との狭く深い交流で日常を過ごしていた。


 されど、少しばかりの正義感を持っており、小学生の頃はケンカする見ず知らずの同級生同士のケンカに仲裁に入るほどの勇気を持っていたが、その正義感が中学生の時に災いをもたらしたのだ。


 元喜が中学一年生の時の秋頃、たまたま人気のない場所で例の三人にいじめられている同級生を目撃した。

 そこで正義感を発揮した元喜は、すぐさま見ず知らずの同級生を庇うが、相手は三人で多勢に無勢。


 格闘技を習っていれば別だったかもしれないが、あいにく何も持たない元喜は三人にボコボコにされてしまう。


 加えて、いじめっ子というのは粘着質だ。

 特に優位に立っている自分達に歯向かう相手に対しては。


 結果、いじめのターゲットが元喜に移り、今度は元喜がいじめられることになった。


 最初こそは、元喜にも同級生を庇っているような気持ちがあり、暴力を振られるのは辛かったが、耐えることは苦ではなかった。


 しかし、人には役割を与えられると、その役割通りの動きをするという心理的性質がある。


 有名な例を挙げれば、スタンフォードの監獄実験がある。

 その実験では心身ともに健康な人を集め、さらにその人達を半分に分け、それぞれに看守と囚人という役割を当てた。

 

 その結果、時間経過がするにつれ、看守はより看守らしく、囚人はより囚人らしく行動を取ることが証明された。

 さらに時間が経つと、看守は権力に溺れ囚人に暴力を振るうようになったという。


 元喜のいじめに関して、そのような役割が与えられたわけではないが、いじめを行う中学生三人と暴力を受ける元喜という立場がそういう状況と酷似してしまった。


 故に、もともと別の人に暴力をしていた中学生三人の暴力性はさらに増す一方で、いじめられる元喜は心理的に弱者という立場を受け入れてしまい、やがて抵抗すらできなくなってしまった。


 そんないじめが数か月と続き、外が温かくなると人気が無ければ、外でも平然と元喜はいじめを受けるようになった。

 そんな時に、偶然敬と天子が通りかかり、助けたというが現在だ。


「......なので、助けてくれたことにはありがとうございます。

 ですが、やっぱ姉さんに言うのだけはやめてください。

 姉さんにはただでさえ色々と迷惑かけてるのに、これ以上厄介事を増やすのは.....」


「で、ですが......」


 元喜の言葉に、天子は否定しようとするが、それ以上の言葉が出てこないのか、口を閉ざす。

 代わりに、敬の方をチラチラと見て、代わりに言って欲しそうに視線を送った。

 しかし、その視線に対し、敬は反応することなく終始無言であった。


「......ぼ、僕、そろそろ帰ります」


 元喜はシュタッと立ち上がると、足早にベンチから離れていく。

 そして、公園の出入り口で敬と天子に一例すると、あっという間に走り去っていった。


「あ......」


 手を伸ばしつつも、短くこぼした言葉とともにゆっくり手を下げた天子。

 元喜が走っていった方をしばらく見つけると、口を開いた。


「行ってしまいました.....これで良かったのでしょうか」


「どうだろうね。一時的には救えても、根本的な解決になってない以上、恐らくはいじめは続く」


「それじゃあ......!」


「大撫さん、助けてあげたいという気持ちを抱くのはとてもいいことだ。

 だけど、こういう事態は往々にしてさらなるトラブルを呼ぶことが多い」


 敬は一度首の後ろに手を当てる。

 そしてその手を放すと同時に、天子の方を向いた。


「まぁ、回りくどいことを言ったけど.......簡単に言えば、僕は大撫さんを危険に遭わせたくないんだ。

 もし、あの中学生の知り合いに怖いお兄さん達がいたとして、その人達に下手な正義感で関わった僕達が捕まったとする。

 そうなれば、女の子である大撫さんが一番酷い目に遭う可能性が高いんだ。それはわかるよね?」


「.......っ」


 敬の忠告に対し、天子は口を噤んだ。

 敬の意見はもっともであると天子も理解しているからだ。


「でも、でも.......」


 とはいえ、どうにも納得がいかない様子の天子。

 そんな天子を見て、敬は一つ息を吐き、そっと目を逸らした。


 今の天子の状態は、ボッチという身を脱出し、今や友達を得て気が大きくなっている状態だ。

 それ自体は、自信が言動に表れているということで悪くはない。


 しかし、ボッチという存在は、他者との交流を断ったことで、自分の中にある非常に狭い知識と常識で生きている。


 それこそ、今の天子の取ろうとしている行動など、正しく元喜の再現だ。

 齧ったような正義感で関わろうとし、自分に降りかかるリスクを甘く見積もっている。


 故に、敬は天子の視線をスルーし、忠告したのだ。

 とはいえ、敬自身も自分が言った言葉が、しっかりブーメランであることは理解していた。


(安易にいじめ現場に突撃するよう誘導したのは、どこの(バカ)だよ......クソが)


 そう思いながら、敬は頭をガシガシと掻いた。

 天子のことを言うなら、あの時こそ軽率な行動だったと言えなくもない。

 もちろん、勝算があった故の行動だったが、それでも言える立場ではないだろう。


「......ハァー、とりあえず、帰ろうか」


「......そうですね。変なこと言ってごめんなさい」


 敬は今の話題を避けるように、帰るよう誘導した。

 その言葉に、天子は眉尻を下げながら返事する。

 その後、二人は分かれ道で別れるまで、終始無言であった。

読んでくださりありがとうございます(*‘∀‘)


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