“いもうと”を捨てる。
可愛い“いもうと”であれば、近い距離感で、ずっと傍に居られる。そんなの解ってる。でもソレじゃ、満足出来なかった。
「…ねえ? イイ、でしょ?? 」
男の人は馬鹿だ。物理的な力で、女よりも強いって認識しているからこそ、性別が「女」なら、自分に接近戦を仕掛けた処で、上手く避けれると思い込んでいる。
己の間合いに女が飛び込んだとしても、「女」だから大丈夫だと油断して、その直後に襲われて喰われる男がいるという話を、漫画やドラマ等で見た事はあったが…。まさか自分が、その「襲う側の女」になるとは思わなかった。
「あたし……もう、“いもうと”を演じるの、疲れちゃった…」
近所に住む、妹みたいな存在の女の子に、あれこれイケナイ事を教えて、自分の好みに仕立て上げる悪い男みたいな話を、ちょっとエッチな漫画やアニメ・ドラマ等で見た事はあったが、それだと真面目で奥手な彼が、あたしに中々手を出してくれない処か、関係性が変わる事なく一生を終えそうな危機感を覚え、気付いたら強硬手段に出ていた。
「あたし……こんなに育ってるんだよ? 」
言い様、彼の手を掴んで、自分の胸元に押し付ける。すると彼の喉が鳴るのを聞いた。
「貴方と一つになりたいなぁ♡」
彼の膝の上で、向き合う様な形で座れたのは、“いもうと”という立場から。…でも、その立場を壊したがっている矛盾。
ねえ、“おにいちゃん”。あたしの行動は間違ってる?
だって“おにいちゃん”、今にも泣き出しそうな顔をしているから…。
あたしの事、【好き】だって。でも、【同じ好きじゃない】って、言うから…。