第85話 アルヴィア姫の死闘
「ガアーー」
「グォーー」
「どうやら、国王軍もアジトを見つけたようだな」
さっき見つけたアジトの方向から魔物の雄叫びが聴こえた。
「どうしますか?ご主人様」
「ん〜一応目的は達成したけど、相手の出方次第では国王軍だけだと厳しいかもしれない、取り敢えず戻る。みんな良いか?」
全員が頷き移動を始めた。
……………………▽
「さくら!?」
「大丈夫……このくらい大したことないから」
ビックオーガ数体の攻撃をさくらと一花の念動力で受け止める。
「くらえー『炸裂弾 パーンストーン』」
陽菜乃はビックオーガ達の眉間に乱れ打ち、当たったビックオーガはノックバックしながらも倒れず耐える。その隙を狙いさくらと一花は念動力を圧縮し槍を生成、
「お母さん行くよ!」
「さくら、頂戴!」
さくらから一花に魔力が流れ込む。
『貫けー『流星槍』」
ビックオーガの腹部に魔力の槍が突き刺さり、その衝撃で後方にあった木まで吹っ飛び動かなくなった。
「やる〜さくら、一花さん」
陽菜乃の達はハイタッチして喜んだ。
「陽菜乃、嬉しいのは分かるけどまだ戦闘中てす!集中してください」
アルヴィア姫からお怒りの一言で3人は
背筋を伸ばし戦闘態勢にはいる。
「ずいぶんと暴れてくれたな国王軍、いずれは嗅ぎつかれると思っていたが、もう少し待ってもらいたかったものだ」
杖を片手に魔道士が魔物を引き連れ現れた。
「あなたが黒幕、サマリンや他の町を魔物に襲わせたのですか?」
「ん、そうだが、見れば分かるのではないかアルヴィア姫、私はセネイラと申します。まさかあなたが直々に来ていただき光栄至極、あなたの命も頂きましょう」
男は不敵な笑みを浮かべる。
そしてその後ろから見慣れない4体の魔物が前に出る。体長3メートル程の大きさで形はサイに似ているがやや細めで全体的に黒ずんだ肌をしている。
「なんか……後ろの魔物変な気配しない?気持ちが悪い感じがするんだけど」
陽菜乃は顔をしかめた。
セネイラは不敵に笑い、
「気が付かれましたか!さすがは勇者殿、これだけ近くにいてもその程度ですか」
周りを見るとアルヴィア姫を護衛している兵士が倒れていた。
「え!?なんで?」
「チッ、これは毒じゃね〜呪いだな!」
アインは身体がだるいのか重そうに身体を動かしていた。
「ご明察だよ!戦士くん、これに耐えるとはそれなりの耐性があるようだ」
「この程度楽勝だ!」
アインは虚勢を張る。
実際は本人の耐性というより、身に付けている鎧に付与されている聖属性の効果によって守られていた。
「そうですか、それではこちらのカースハウンドの相手をしてもらいましょうか、行きなさい」
「オラー来いやー」アインは剣を構えた。
陽菜乃達は加勢しようとアインの下に向かうが、新たな魔物が2体現れ止められる。
「あーもうなによ!邪魔しないで!」
「早くしないとアルヴィア姫達が危ないから、一発で終わらせるわ」
「お母さん!『念動力』」
「はあーーー」
魔物の間から一人の女性が現れ念動力を弾く。
「「え!?」」
さくらと一花は驚きながらも防御態勢をとる。
「異世界に来たらいつかは会えるかなって楽しみにしてたけど、出来ればこんなところで会いたくなかったよ」
現れたのは杖を掲げ長い耳の褐色の女性、ファンタジーでも有名な種族ダークエルフだった。
「ここは通さないわ。あなた達の相手はワタシよ」
「グガァーー」2体の魔物が動き出した。
見た目は狼男、真っ黒な毛色でそれぞれ武器を持っていた。巨大な鎌と巨大な盾。盾は側面に鋭い刃がついて攻守に使える仕様となっている。
それぞれ一対一で戦いを始めた。
さくらと一花は鎌を持つワーウルフを相手にする。動きが速く鋭い鎌の一撃で受ける。
重い!受けた瞬間、力が自分以上とそくざに判断し鎌の力をそらしつつバックステップで躱す。
ワーウルフは鎌を後ろに構え魔力を込めると大振りし魔力を斬撃にしては飛ばした。
「クッウーー」
さくらは追撃を槍で受け止めるが衝撃を受け止め切れずそのまま後方に飛ばされた。
「さくらーー!」
一花は念動力でさくらを優しく受け止める。
「ありがとう!お母さん!アイツ……強いよ!」
「そうみたいね。力も速さも今までの魔物とは段違い。協力して倒すわよ。さくら」
「うん!」
さくら達は強敵ワーウルフに挑む。
その頃、陽菜乃も同じく身体能力の高さに苦戦を強いられていた。
「あ〜コイツ!……当たらない!」
盾は使うワーウルフは躱しながらも状況に応じて盾を使い突進、弾丸を防ぎ、陽菜乃は接近を許してしまう。
「また来た!?うっ!」
陽菜乃は腕をクロスさせ、マジックシールドを展開、盾による斬撃を受けとめる。ワーウルフは何度も盾を叩きつける。陽菜乃はなんとか耐えながら攻撃に移った。
「マジックアンジュレーション」
マジックシールドから突風のように魔力が放たれ、
ワーウルフは吹き飛ばされた。
「く〜これ凄い疲れるのよね〜。
これ……結構ヤバいかも」
陽菜乃は体力、魔力共に消費し、
こちらも苦戦していた。。
……………………▽
◆アルヴィア姫の視点
兵士達の半数がまともに動くことが出来ず、動ける者も半分程度の力しか出せていない。
私は徐々に押されているこの状況を覆す方法を模索していた。
「レミ、左からヘルハウンドが来ます。牽制して下さい」
私は姉とは違い必要とされていない存在、特別な取り柄もありません。だからこそ戦術を学び多くの戦場に出て経験を積んだ。そのおかげで広い視野と精度の高い魔力感知を習得することが出来た。だからこそ分かってしまった。
敵が多過ぎる。この戦力差をどう埋めれば良いと言うのですか。
前からオークキング、ゴーレム、ゴーレムキング、サイクロプス、その他多くの強力な魔物がこちらに集まって来た。
「くっ、全員聞け!姫様をなんとしても逃がす!私と共について来い!」
アインは動ける兵士に指示を飛ばし、
私を守るための前に出る。
どうやらアインも私と同じ考えに至ったようです。
しかし、私だけが……
「アルヴィア様申し訳ありません、我々ではこれ以上魔物どもを止めておくことは難しい、どうかお逃げください」
アイン、そして兵士達は死を覚悟している。
それ程圧倒的な戦力差、これを覆すには何か…
陽菜乃達もかなり強敵な魔物に苦戦している。こちらの援護には来れない。他に、他になにかこの状況を打開する方法はないの!
その時、どこからともなく声が聴こえた。
「アタシが居るでしょ、アルヴィア」
「えっ、この声………キャリーちゃん様!?」
腰に携えていた。伝説の剣が声をかけてくれた。
「そうか、そうよ!キャリーちゃん様、私にお力を貸してくださいませ」
「もちろん良いわよ!アーサーの子孫アルヴィア、私を使いなさい。ただしあなたでは一振りですべての力使うことになるわ!外すんじゃないわよ!」
「はい!キャリーちゃん様」
私は剣を握り構える。
今までそばに居たキャリーちゃん様、構えて初めて
分かりました。まるで違います。これが戦闘状態になったキャリーちゃん様、まるで魔力の塊、そして私自身に魔力が伝わり変わって行くのが分かります。
これがアーサー王の血筋の者にしか扱えない力。
私は剣を上段に構え振り下ろしました。
伝説の剣エクスキャリバー……
勘違いしてしまいそうです。
これが私の力だと……
目の前にあった建物、そして森が消し飛んだ。
あったのは開けた大地と広がる大空だった。




